仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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東山の宣言 悪魔の取引

ブルーバード本部に移動した一輝とバイス。彼等の足取りは重い物であった。今二人がいるのは地上での作戦本部である。すると大二やさくらが一輝を出迎えた。

 

「兄ちゃん!」

 

「一輝兄!」

 

「大二……さくら……ごめん。俺のせいで……父ちゃんが」

 

「……ヒロミさんから聞いたよ」

 

「でも、兄ちゃんだけでも無事で良かった」

 

大二からそう言われて一輝は頷く。するとそこに幸実や彩夏、幸四郎、五月、六花、七瀬の四人も無事に保護されていた。

 

「母ちゃん、彩夏……幸四郎達まで……どうしてここに」

 

「……お父さんが出た時にヒロミさんや狩崎さんが手を回していて。洗脳された市民が私達をターゲットにするかもって言ってたから」

 

それを聞いて一輝は納得する。幸せ湯は付近の住民も利用する銭湯だ。よって知名度も付近ではそれなりにあった。加えて、“元太の限界突破チャレンジ”や“ゆっきーのハッピーチャンネル”などと言ったネット上での知名度も大物バイチューバーには遠く及ばないが存在するので真っ先に狙われるリスクを避けた形だ。

 

「……一輝さん、大二、さくら。総司令官と狩崎さんが呼んでいます」

 

それから一輝達が本部の内部へと移動していくと司令室へと入る事になる。そこにはヒロミ、狩崎と言ったいつもの面々に加えて一人の客がやってきていた。

 

「君は……輝樹君!?」

 

「この世界線では初めまして……ですね。光お爺ちゃんとさくらお婆ちゃんがお世話になっています。改めて、僕は牛島輝樹。40年後の未来から来ました」

 

そこにいたのはディアブロとの戦いの際に未来からやってきた存在であるさくらと光の孫……牛島輝樹であった。彼の腰には転移のために使ったと思われるサイクロトロンドライバーが巻かれており、彼が未来から来たという事がわかった。

 

ただ、未来から来たから仕方ないとはいえ、会って早々にお婆ちゃん扱いされたさくらは憤るわけで。

 

「ちょっと、未来から来たからって何で私がお婆ちゃん扱いされないといけないの!私、まだまだお姉さんなんですけど!」

 

「さくら、抑えて抑えて……」

 

「狩崎さん、これって……」

 

「恐らく、今回の事件は未来の存亡がかかった程の事態……だからやってきたという事になるだろう」

 

「あれ?でもさでもさ。今、狩ちゃんってそのベルト……サイクロトロンドライバーって作ってたっけ?」

 

「私が未来の技術をみすみす逃すわけ無いだろう。10年前に一度来た時にちゃんと設計図は写してある。色々あって少しずつ進めてはいたが、完成を後回しにしていただけだ」

 

そんな風に言う狩崎。これに関しては以前、アナザージオウの事変があった際にハルトに仕えていたアナザーウォズこと灰ウォズが研究中だったセンチュリーの力を使っていたので研究そのものは10年前から始まっていた事になる。

 

「とにかく、輝樹が来たってことは未来がとんでもない事になってるって事だよな?」

 

「ええ。……奴等が使役する七大罪悪魔によって未来はメチャクチャになってしまいました」

 

となると、ここでの対応を間違えてしまうと折角の平和な世界がまた10年前のギフが生きていたあの頃に逆戻りしてしまう。いや、世界そのものが七大罪悪魔達に好きにされている時点であの頃よりももっと悪い状況になっているだろう。

 

「ひとまず、輝樹の紹介はここまでにして敵味方の情報を整理しましょう」

 

今現在、敵として出てきたのはレヴィア、アス、マモ、ベルド、ベルゼの五人の悪魔。そこに敵の総帥と思われる東山。更に未だに姿を見せていない敵……傲慢と憤怒の敵を含めると総勢が八人。そこに敵の配下の戦闘員が入るとなると……敵はあまりにも強大になってくる。

 

「加えて、こちらで即座に戦える戦力となると……五十嵐三兄妹に狩崎、そして光と輝樹が変身できるセンチュリーのみ……か」

 

「ただ、私は壊れたライダーシステムを直さないといけないからジュウガは出られないよ」

 

そうなると実質四人で倍の人数の幹部クラスと戦闘員を相手にしないといけなくなる。

 

「そういえば、デモンズトルーパーやデモンズウォーリアーは?アレも戦力に入るんじゃ……」

 

「確かに頭数を揃えるだけならできるが、いかんせん敵幹部が強すぎる。加えて、ベルトを壊されて戦闘不能になる際に何かのエネルギーを奪っている。となると……変身者から悪魔を奪ったのかもしれない」

 

そうなると戦闘不能になった隊員から次々と敵に洗脳されるリスクが跳ね上がるという事だ。下手に強敵相手にぶつけられないというのも辛い点である。

 

「何か弱点は無いのか……」

 

大二が頭を悩ませる中、彼の体内にいるカゲロウがふと何かを思いついたのか声を上げた。

 

「……そういや、あの悪魔達はギフに匹敵するような力を使っていたが……それを使うためのエネルギーはどこから集めてるんだ?」

 

「え?」

 

「だから、ギフの野郎と同じようにあの悪魔達のエネルギーはあくまで一般市民達の悪魔の集合体だろ?これまでもそうだったじゃねぇか。強力な敵が存在するためには色々試行錯誤こそしていたが、殆ど必ずエネルギーの集積所みたいなのがあっただろ」

 

言われてみればギフは異空間にあった棺が核のような役割を果たしており、ダークリバイスもホモ・ギフテクスもそうだ。未遂だったが、シーカーもリリスをエネルギー核にしようとしたし、代替え案として大量の悪魔を取り込んだ。アリコーンに関しても留美を取り込む事でヒューマンミュータントが完成していた。

 

それらを総合すると今回の敵も何かしらの悪魔の力の源になる物が存在するはずなのだ。

 

「その大元を潰せば供給されているエネルギーが滞るんじゃないのか?」

 

「なるほど……それならどうにか……」

 

「待って、でもそれだけの力を集められる核がどこにあるかわからないのに……それが見つかるまでずっと耐えないとダメなの?」

 

さくらの言葉に一同はまた考え込む。そう。カゲロウの策が使えるのはあくまで核となる物が見つかってから。それが見つかるまでは防戦一方にならざるを得ない。その上、人々が洗脳されれば長期戦は敵に有利に働くのみでしか無い。

 

「……一輝。ローリングバイスタンプを貸したまえ」

 

「え?」

 

「少しそのスタンプに手を加える。……まぁ、それは来るべき時に備えてでしか無いが」

 

「わかりました。お願いします」

 

そう言って一輝はローリングバイスタンプを狩崎に渡すと狩崎はそれを受け取った。そんな時であった。突如として本部に警報が鳴り響くと少しだけ本部が衝撃で揺れる。

 

「ワッツ!?何だこれは……」

 

「情報部、何があった!」

 

『……それが、突如として地面が押し上がるような形で……巨大なタワーが出現しました!』

 

そこに映し出されたのは先程の地鳴りの際の録画映像だ。その映像では何も無かったはずの廃墟のような広大な土地が盛り上がると同時に地面が下から押し上げられる形で天へと伸びる巨大タワーが完成したのである。その真下には巨大な軍事施設のような物も揃った。

 

「何だあれは……」

 

「ッ……あの場所はまさか」

 

「間違い無いね……10年前、アヅマとシックが起こした飛行機ハイジャックに始まった事件を解決した際にシックが最期に文字通り派手に爆破して崩壊したはずのエリア666の跡地だよ」

 

実はあの事件があってからエリア666跡地は一度閉鎖。それから爆破の際に危険物等が爆発してその地点は汚染された危険があるとされ、安全が確保されるまでは手が出せなかったのである。

 

「ッ……まさかこんな近くに敵の拠点が築かれていたとはな……」

 

すると突如としてブルーバードの本部の方にも入るように全世界への一斉中継が開始された。そこに映されたのは東山である。

 

『全世界に生きる人類よ。俺の名は東山。いきなり中継が行われてさぞ困惑しているだろう。だが、これは君達への朗報だ。……これより、世界は悪魔統一国家デビルワールドの元に支配する事とする』

 

東山の突然の宣告を聞いて人類悪魔撤廃計画に参加していない正気の一般人達は困惑する。しかし、洗脳された人々は当然のようにこれに賛同して声を上げた。更に東山は言葉を続ける。

 

『ついては……全世界に存在する政府全てに降伏勧告を送ろう。もし逆らうのならば徹底的に打ち砕く。このようにな』

 

それから東山がリバイス達ブルーバードの仮面ライダーが次々と倒されていく映像を垂れ流していく。その映像はブルーバードを信じ、世界の平和を信じて止まなかった正気の人々を動揺させるのに十分だった。

 

『これでわかっただろう?ブルーバードの仮面ライダーなど我々にとっては相手にすらならない。逆らう者は彼等と同じ末路を辿ると知れ。ただし……我々に従うのであれば、誰であろうと拒みはしない。平和な生活や不自由無い暮らしを約束しよう』

 

その言葉には怪しさで満載であり、普通であればこのような胡散臭いパフォーマンスなど全ての人に受け入れられる可能性は低いだろう。だが、今は世界の人々の少なくない人数が洗脳されている。人間というのは人だかりができればそこに群がる生き物だ。

 

それにここまでわかりやすい信仰対象が出てきてそこに少なくない人数が賛同する……そうなれば残る人々も次第に賛同し、たった一度の宣告でも世論はひっくり返ってしまう。

 

「これは……不味い事になったねぇ」

 

「どうすれば……」

 

そんな中で一輝は悔しそうに拳を握り締める。それと同時に東山は今度はブルーバードの本部への連絡を送った。

 

『それと、我々の思想に抵抗の意を示すブルーバード諸君。特に、五十嵐三兄妹にとって大切な存在である五十嵐元太はまだ生きている』

 

指を鳴らすと画面が切り替わり、そこにはボロボロの体で磔にされている元太の姿があった。

 

『……彼を生きて取り戻したいのであれば明日の正午……君達の持っている抜け殻となって保管されているギフスタンプを指定の場所に持参。こちらに寄越したまえ。勿論それを断るのは自由……だが、その場合五十嵐元太の命の補償はしない。懸命な判断をする事を願っているよ』

 

そう言って通信は一方的に切られてしまった。五十嵐元太の身柄を渡す代わりにギフスタンプを寄越せという事である。

 

「……こんなの、罠の中に飛び込んで来いと誘っているような物じゃないですか!」

 

「でも……そうしないとパパの命は……」

 

「ッ……どうするべきだ」

 

司令室にはそんな風に重苦しい空気感が漂っていく。東山から提示された交換に応じるべきか否か……。会議の論点はそこに変わっていく事になるのだった。

 

同時刻。敵のアジトにて。一人の科学者と思われる三十代半ばぐらいの男が白衣を着ており、五十嵐元太の囚われている部屋にいた。元太には様々な機械が取り付けられており、男は機械を操作していく。そこに東山が入ってきた。

 

「……ルシファ。首尾はどうなってる?」

 

「ふふっ。勿論上々ですよ。後はスイッチを押すだけです」

 

「……そうか。俺達の計画にこの男の中に眠るあの力が必要だからな」

 

「それはそうと、声明を受けての各国の反応は?」

 

ルシファと呼ばれた男が狂気を貼り付けたような笑みを浮かべる中、東山もそんな彼へと余裕の顔で返した。

 

「全て思い通りだ。……次々と戦わずして降伏を申し出ている。……本当に、国が作られるのは時間がかかっても、壊れるのは早い物だ」

 

「ええ。……しっかし、あなたも悪ですねぇ。交換を持ちかけて誘い出しておいて……騙し討ちするつもりなんですから」

 

「人聞きが悪いな。俺はちゃんと交換は成立させる。もっとも……その後の事など知らないけどな」

 

ルシファからの指摘に答える東山の目は完全に五十嵐元太を使って五十嵐三兄妹を貶めるつもりの物である。

 

「では、早速ポチッと」

 

彼がスイッチを押した瞬間。いきなり彼の体に赤黒い電流が流れ込むと彼は凄まじいダメージに悲鳴をあげた。

 

「ぐあああっ!?」

 

すると体の至る所に赤黒い血管のような細長い何かが元太の体に浸透していくと彼の目が赤黒く発光していく事になる。そして、そんな彼に機材で繋がれているベルトのような物は……デストリームドライバーを改造する前のそのベルトの姿であり、元太にとっては忌々しい過去の象徴。ベイルドライバーであった。

 

そして、元太が苦しむ中で世界各国は次々と戦う事無く降参していく。それはアスによる洗脳が首脳部を中心に行われているため、国民の意見よりも彼等の政府の人間達が私利私欲のために降伏していってるのだ。

 

「さぁ、我々の計画を次のフェーズに進めよう」

 

ブルーバードとデビルワールドが直接接触し、交換をする予定時刻まで……あと半日。




また次回もお楽しみに。
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