仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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十五話目
工藤出撃 ヒロミの後悔


ヒロミが仮面ライダーに変身禁止の注告を受けた翌日、ロッカールームで彼は一人悩んでいた。

 

「………何故こんな事に……」

 

可能性としてあり得そうなのはやはり仮面ライダーに変身するためのベルト、デモンズドライバーだ。しかし、この何の変哲もないドライバーにそんなことができるのか。そう考えた時だった。

 

『俺……悪魔。ふはは……』

 

「何!?」

 

突如としてデモンズドライバーの液晶部分に目のような発光が現れるとドライバーは言葉を話し始めたのだ。

 

「……まさか、本当にこのベルトに原因があるのか……?」

 

ヒロミがそう言う中、その様子を遠くから見つめる影がいた。その影はそのままその場を去っていく。

 

その頃、デッドマンズベースではアギレラが上機嫌な顔になりつつある準備を進めていた。それは……。

 

「ふふっ。もうすぐギフ様との結婚式。あと少しでギフ様はお目覚めになるわ」

 

どうやらアギレラはもうすぐギフ降臨のために必要な生贄を集合させるつもりなのである。

 

「しかし、アギレラ様。例のものがまだ……」

 

「えぇー?大丈夫よ。アイツが抜かりなく準備をしてくれているわ」

 

アギレラは上機嫌なままどのような服を着るべきか選んでいく。その目は輝いており、目的がもうすぐ達成できるために気持ちが昂っているのだ。

 

「五人のギフテクスもあと二人で揃う。そして、生贄も目星が付いていますからね。あとは彼がアレを持ち帰るだけです」

 

「私の準備が整うまで好きにしても良いわよ」

 

そう言うアギレラ。それを聞いた工藤はニヤリと笑うとオルテカにプロトバイスタンプを要求した。

 

「俺にもチャンスを与えてもらおうか。そうすれば五十嵐一輝を仕留めてやる」

 

「ではこれを差し上げましょう。お願いしますよ」

 

「あの二人は一時謹慎中だからな。今動けるのはお前だけだ」

 

野田と灰谷に関しては作戦の失敗に加えて失態を晒したために一時謹慎処分となっているのだ。そのため、残っていた工藤に順番が回ってきたのである。

 

「ふっ。俺はあの二人とは違うという事……見せてやる」

 

そう言ってデッドマンズベースを出ていく工藤。それを見届けたアギレラはご満悦と言った顔つきであった。

 

「あ、そうそう。私の初陣もそろそろだからサポートよろしくね」

 

「かしこまりました」

 

同時刻、フェニックスのスカイベースでは狩崎が大二とヒロミの二人を自室へと集結させている。

 

「三人に集まってもらったのは他でもない。フェニックス内部に潜む裏切り者についてだ」

 

「……そう言えば、以前狩崎さんは裏切り者の正体に辿り着いていましたよね」

 

「ザッツライト。それで、そいつを誘き寄せるためにある仕掛けをする。二人共、手伝ってもらえるかな?」

 

「わかりました。俺達にできる事なら何だって言ってください」

 

「……そう言えばどうして光は呼ばないんですか?」

 

「ああ、裏切り者と彼を合わせると少し危険だからね……。感情的になってしまうのが最悪のパターン。加えて光はライダーじゃない。そう考えると君達二人だけが適任者となるんだよ」

 

狩崎は早速二人へと指示を出していく。しかし、狩崎はその裏切り者については言及する事は無かった。それに対してヒロミは僅かに警戒心を強める。

 

「………」

 

一方その頃、噂の光はというと街の巡回中に偶々そこを通りかかったさくらと会っていた。

 

「さくらさん!」

 

「光さん……こんにちは」

 

「こんにちは。学校帰りですか?」

 

「まぁそんな所ですね」

 

それから二人は近くにあった公園のベンチで話す事になる。最初に口を開いたのはさくらだ。

 

「そういえば、この前助けていただいた三人がお礼をとしてこれを渡して欲しいって」

 

「え?僕にですか?」

 

そう言ってさくらが渡したのは四つの袋に入ったクッキーだった。光は四つという数字に目が行くと疑問を抱く。

 

「あれ?この前助けたのって三人じゃありませんでした?四つ……誰か二つ作ったんですかね?」

 

「……違いますよ。私の分も含めて四つです」

 

「さくらさんの分も!?」

 

光は驚いたような顔つきだった。さくらの事は自分でもあんまり助ける事ができてない。それなのに何故渡してもらえるのか。それが知りたかった。

 

「どうして……」

 

「……私がそうしたいと思ったからですよ。それに、ラブちゃんも渡したいって言ってましたし」

 

「ラブラブ!光!」

 

「そんな、俺なんて何もしていませんよ?」

 

「またまたぁ〜。光さん、私のサポートをしっかりしてくれてるじゃないですか」

 

そう言ってグイグイ行くさくら。光もそんなさくらに動かされて笑顔へと変わっていく。

 

「ラブ〜。光、ラブ!」

 

ラブコフも光の事を気に入っており、以前助けてもらったヒロミと同じように彼へと懐いていた。二人でそう話しているとそこに一人の影が現れる。

 

「二人共、仲良いのね」

 

「「あんたは……」」

 

二人はその声の正体を聞いて驚いた目をその人物へと向ける事になるのであった。

 

時は少し遡り幸せ湯にて。そこには工藤が一輝を直接訪ねており、中へと入っていった。

 

「あ、すみません。今日はお休みの日でして……」

 

入り口で工藤を出迎えて今日はお休みだということを伝える元太。しかし、工藤はそんなもの知った事かと言わんばかりに元太へと掴みかかる。

 

「そんな事はどうでも良い。五十嵐一輝を出せ」

 

「……え?」

 

困惑する元太に工藤はプロトバイスタンプを取り出す。それを見た元太は恐怖に震えた。

 

「なっ!?」

 

「お前に用は無いから今回は見逃してやる。さぁ、早く五十嵐一輝の場所を教えろ」

 

「そんな事言われて素直に答えるわけ……」

 

「父ちゃん!ちょっと来てくれ!」

 

すると男湯の中から響き渡る一輝の声。それを聞いた元太はこのタイミングの悪さに内心で頭を抱えた。そして、工藤はナイスタイミングとばかりに元太を離すと靴のままドカドカと男湯へと入っていく。

 

「父ちゃ……お前は」

 

「よう、五十嵐一輝」

 

一輝は工藤を見ると睨みつける。霊体のバイスも出てくると工藤を見て誰かと考え込む。

 

「あれ?アイツ、どこかで見たような……」

 

「工藤、ここまで来て何のつもりだ」

 

「ふん。俺はお前に負けた。それで全てを失ったんだ。だからこそ今度はお前の全てを奪ってやる」

 

そう言う工藤に対して何かに気がつく一輝。そして怒りで体を震わせていった。

 

「一輝?どうし……」

 

「そんな事はどうでも良い……ひとまず……靴を脱げ!」

 

一輝は怒りの形相で工藤に詰め寄っていくと工藤を無理矢理転ばせてから靴を脱がせようとする。

 

「そこかよ!!」

 

バイスがツッコむがお構い無しとばかりに工藤へと飛びつく一輝。流石の工藤もこれには完全に不意を突かれる形となり倒れると一輝が工藤の靴を脱がせた。

 

「お前、俺の事はどうでも良いと……」

 

「そうじゃない。銭湯の中に靴を履いたまま来るからだろ」

 

「チッ……お前のそう言う所、イライラするんだよ!」

 

《サーベルタイガー!》

 

工藤はプロトバイスタンプを押すとそのまま契約。これにより工藤はサーベルタイガーデッドマン・フェーズ2へと変身。その姿は爬虫類系の下半身に、上半身は軍服を思わせるような白い装束のバックルと襟に橙色の仮面を身に着けている。軍帽のように見えるサーベルタイガーを模した獣の頭部から巨大な牙が口と後頭部が突き出し、両腕にも鋭い牙が鉤爪のように伸びていた。そして口の中には巨大な一つ目があり、その見た目はこれまでのフェーズ2やギフテクスとも遜色ならない。

 

「お前の大切なものを全部ぶち壊して……お前を始末してやる」

 

「ふざけるなよ……湧いてきたぜ!」

 

《レックス!》

 

それから一輝もサーベルタイガーデッドマンに対抗するためにベルトを巻きスタンプを押す。

 

《Come on!レ・レ・レ・レックス!》

 

「変身!」

 

《バディアップ!》

 

《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》

 

一輝は仮面ライダーとなるとサーベルタイガーデッドマンへと向かっていく。それを見たバイスは叫んだ。

 

「一輝、ここじゃなくて外でやれよ外で!」

 

「わかってる!」

 

そのまま二人でサーベルタイガーデッドマンを押し出すと家の外に出て戦いを開始した。

 

場面は再び戻ってスカイベース。そこではヒロミが一人考え込んでいた。そこに大二がやってくる。

 

「ヒロミさん、どうしたんですか?」

 

「……数年前の事を考えていた」

 

「数年前?」

 

ヒロミは大二へと自分の身の上話を始める。ヒロミが司令官となる前、ヒロミには二人の同期がいた。その名は山桐千草と田淵竜彦。ヒロミ、千草、竜彦の三人は同期として切磋琢磨して互いに高め合う仲である。

 

「……アイツらとの日々は充実していた。それだけアイツらとの出会いが俺に刺激を与えていたんだと思う」

 

「その言い回しだともう同期はいないように聞こえますが……」

 

大二のその言葉にヒロミは頷く。それからヒロミは大二へと続きを話した。

 

「ある日、俺達三人は任務があってデッドマンズの拠点の一つに乗り込んだ。その時、任務に就いていた俺達の分隊は拠点に突入したのは良かったのだが中に誰もいなかった」

 

ヒロミ達が突入した施設はまるでもう打ち捨てられたかのように誰もおらず。それから更に内部を調べようとしたヒロミだったが他の二人は罠の危険を考えて退くことを唱えた。

 

「だが俺は二人の意見を聞かずに突入を強行した。その結果は最奥の部屋に入った途端に設置されていた爆弾が起爆。二人は俺の事を庇って爆発に巻き込まれて死んだ」

 

「そんな……」

 

それからヒロミはその日の事を後悔し続けた。だからこそもう二度と自分の選択を後悔しないために物事を決める際は慎重に尚且つ冷静な状態でしっかりと決めるという事を自分の中で決めたのだ。

 

「あの二人が死んだのは俺のせいだ。その事実は変わらない。だからこそ俺は二人の分の命も背負って戦う。俺の命を懸けるのも二人が俺を生かしてくれたからこそだ」

 

話を聞き終わった大二はヒロミへと自分の中に浮かんだ意見をヒロミへと話す。

 

「……俺は二人に救われた命だからこそもっと大事にした方が良い気がします。勿論、命をどう使うかは自分の自由です。それでも……それでも俺はヒロミさんに死なれたらきっと後悔します。だから……」

 

大二がそこまで言った所でヒロミは大丈夫とばかりに微笑むと大二を安心させるように言葉を発する。

 

「大丈夫だ。俺はそんなすぐにいなくなったりはしない」

 

それから二人は狩崎の仕掛ける作戦に備えて狩崎の部屋へと歩いていくのであった。




また次回もお楽しみに。
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