影との契約 襲撃予告
一輝達が新たな力を手に入れたこの数日間。この間もデッドマンズによる犯罪は後を絶たなかった。しかも、ギフテリアンの登場によって事件に巻き込まれた人物の中の何人かは救う事ができず。フェニックス側は後手に回ってしまっている。
「若林総司令官、何の御用でしょうか?」
今現在、司令室に若林総司令官、狩崎、大二の三人がいた。光はデッドマンズの事件の後始末に奔走していた。
「五十嵐、少しお前の中にいる悪魔と代わってくれるか?」
「……可能ですがどうされました?」
「お前の悪魔と契約をする」
大二はそう言われてあまりやりたくないが司令官からの指示によりカゲロウと交代すると若林の前にカゲロウが姿を現す。
「おいおい、どうしたってんだ。フェニックスの総司令官様」
「ヘーイ、前々から君にはデッドマンズに潜入するように頼んでいたがもうその必要も無くなった。よって、これからは君にもデッドマンズ殲滅を頼みたい」
「なるほどねぇ……だが、そんな事俺が了承するとでも思ったか?」
案の定カゲロウはそんな事をやる気が無いのか返事はあまり良いものでは無い。
「……カゲロウ、無理に協力しろとは言わない。だが、デッドマンズと手を切った以上お前もデッドマンズのターゲットの中の一つだ。その事を忘れるな」
「へっ、総司令官様だからと言って上から目線かぁ?」
「カゲロウ、口を慎めって!」
大二がカゲロウを宥めるが、カゲロウはやりたい放題である。すると狩崎が溜息を吐くと共にある事を伝えた。
「……実は君が協力する暁には君達に新たなスタンプをプレゼントしようと思っていたんだけどねぇ」
「何だと?」
「君達の力を更なるレベルに押し上げるための力だ。……どうだい?欲しくなっただろう」
それを聞いてはカゲロウも黙ってはいられない。案の定食いつくと狩崎に詰め寄る。
「そのスタンプはどこだ?持ってこいよ」
「まだ完成していない。それに、君が協力しないのならどちらにしろスタンプは渡せない」
「くっ……仕方ない。そのスタンプ、必ず完成させろよ」
結局カゲロウはスタンプを渡してもらうことを条件に話を受けた。そして、カゲロウは再び大二と交代すると大二は二人への無礼を謝る。
「先程はカゲロウが失礼な態度をとってしまいすみません……」
「大丈夫だ。むしろ、こちらとしては読めていた事だ。謝る必要は無い」
「それにしてもここ最近デッドマンズが本格的に動いてるねぇ。幹部は全員健在だしデモンズも奪われたままだしね」
「早急に取り返します」
大二の言葉に若林も頷くとその場はお開きとなるのであった。その頃、ウィークエンドの拠点ではオルテカが思い切りアギレラに攻められている。
「オルテカ、デモンズの力でも勝てないってどういう事なの?」
「アレは私が直接負けたわけでは無い。カウンの失敗をお忘れになったのですか?」
「ちょ!?待ってくださいよ。何で私だけのせいにされないといけないんですか。こういうのは連帯責任では?」
「はぁ……言い合っても埒があかないわ。ひとまずこの件は一旦保留にするわ。それと、ライヤ。今度はあなたが行きなさい」
「えぇ、丁度新たなるデッドマンを生み出す親を見つけましたしね」
ライヤはそれから部屋を出ていく。するとオルテカの持つデモンズドライバーがまた喋り出した。
「オマエラノノゾミハナンダ?」
「ギフ様を主人として我々が世界の支配者として君臨する世界ですよ」
「ホウ、オオキクデタナ。ナラバオレノチカラヲツカエバヨカロウ」
「ああ、好きなだけ使わせてもらおう」
場面が再び移ってここは幸せ湯。そこでは一輝達の元に二人の男女が訪れている。
「あの……すみません、私達を助けていただけませんか?」
社長と思わしき男性が頭を下げると隣にいる女性も頭を下げた。それを聞いて一輝、さくら、元太の三人が対応する事に。
「「「襲撃予告!?」」」
「はい、ウチの事務所に所属するお笑い芸人が狙われていて……」
社長が慌てた様子でそう言う。どうやらデッドマンズに芸人が狙われているらしい。そのせいで収録も何件か中止になったとか。
「そんな……」
「折角人気も出てきたのに……」
「それで、そのお笑い芸人と言うのは……」
一輝からの問いにマネージャーと思わしき女性がタブレットを出すとその画面を見せた。
「光陰階段です」
「「光陰階段!?」」
「私はマネージャーの富永真由です」
「んだよそいつら、そんなにすげーのか?」
バイスは光陰階段が何なのか知らないために疑問を呈する事に。そのために一輝はバイスへと小声で補足する。
「光陰階段って言ったらベスト・オブ・コントの優勝者だぞ」
「ふうーん、俺っちそういうのはよくわからないんだよなぁ」
「それで、犯人の目星はついてますか?」
元太からの問いに富永は頷くとまたタブレットを操作して画面を開く。そこには二組のコンビがあった。それはあずきもちというコンビと両翼の翼という名前である。
「この二組が怪しいですが、特定まではできなくて……どうかお願いします!光陰階段を守ってください!」
「ボディガード込みですね。わかりました」
「いや、そこまでしなくても……」
「いえいえ、頑張りますよ。うちの長男が!」
「ちょっと!私は?」
「さくらはボディガードまでする必要は無いから」
幸実にそう言われてムッとするさくら。そしてバイスは完全に呆れたような顔つきに変わる。
「というか、うちのパパさんはいつになったら頑張るのやら……」
「良し一輝、バイスとお笑いコンビを組んで潜入捜査だ!」
「「……えぇ!?」」
「まずは芸能界に入らないと話にならないからな」
「いや、もっと他の方法があるでしょ。例えば裏方とか」
「……あ」
どうやら元太は芸能界に入る方法がコンビを組むぐらいしか思いつかなかったようで後から言われてその選択肢もあると思い出す事になる。
「はぁ……先が思いやられる」
さくらは溜息を吐き、結局二人は光陰階段のボディガード兼マネージャー見習いとして一時的に光陰階段の近くで仕事をする事になった。
「仕事については私が教えますので少しずつやれるようにしてください」
富永はそう言って一輝と実体化したバイスに仕事を教える。そんな中、富永の元に一本の電話が入った。
「……え?ちょっと待ってください!それって……」
「どうしたんですか?」
富永に一輝が質問すると富永からある事が伝えられた。それは光陰階段のメンバーの一人、光村亘が寝坊して遅刻したという事だ。
「これから番組収録なのにどうして……」
困り果てた様子の富永、だが寝坊とあれば一輝やバイスにはどうする事もできない。ひとまず光陰階段の楽屋で光陰階段のもう一人のメンバー、陰野智のと合流する事になった。
「あなた達がボディガードですね。この度は引き受けていただきありがとうございます」
「えっと、亘さんは……」
「アイツ、ここ最近いつもこうだ。遅刻の常習犯になんかなったらダメだって言ってるのに……」
そう言って呆れる陰野。それから暫くしてようやく光村が到着すると楽屋のドアを開けた。
「本当にすみません!遅刻してしまいました!」
「お前な、ここ最近そればっかじゃねーか。ひとまず準備して、さっさと収録に行くぞ。説教はその後だ」
光村が準備をしてから早速番組の収録に向かう。勿論富永や一輝達はお偉いさんへと謝って回る。そのタイミングで二人も到着して撮影が開始された。
その間は特に何か問題があったわけでは無かったが、撮影後に楽屋へと戻る最中、それは起きる事に。
「何とか乗り切ったな……」
「本当にすみません」
「ここ最近遅刻が酷いからな。あんまり回数を重ねているとそのうち呆れられるぞ」
「はい……」
そう言ってシュンとする光村。一輝、バイス、光村、陰野の四人が歩いていると突如として廊下の角からデッドマンが二体登場。片方は昆虫の下半身に黒の折り紙で折られた固い装甲。巨大な頭部には二本の長い角と一本の短い角があり、その上にはフリルのような装甲が存在するトリケラデッドマンだ。
もう一体は爬虫類の下半身に体を茶色い折り紙の装甲で纏ってこそいるが、表面はヌメヌメとしている。また、両手に鞭のような物が出ていて片方は何かの尻尾、もう片方は何かの頭部のような形状となっている。そして、その二本の腕から伸びたラインは背中で繋がっていた。
「ばっ、化け物だ!」
「な、何なんだよコイツら!」
光村と陰野が怖がる中、一輝は二人の安全を確保するために前に出る。そしてバイスも並んだ。
「下がってください!」
「片方はトリケラだけど、もう片方のデッドマンは何だ?」
「とにかくやるぞ!」
《レックス!》
《Come on!レ・レ・レ・レックス!》
「変身!」
《バディアップ!》
《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
一輝がリバイに変身するとバイスも仮面ライダーへ。それから二体のデッドマンとの戦いを始める。
その少し前、スカイベースの一室では大二と光が朱美の元を訪ねていた。
「朱美さん……」
「大二君、光君、いらっしゃい」
「すみません、お忙しい時に」
「今日は何の用事で?」
朱美からの問いに二人は顔を見合わせてから朱美の方を見て話し始める。
「……ヒロミさんの事についてです」
それから二人は朱美と共にヒロミの事について話す事に。自分達の力が足りなかったばかりにあの時ヒロミを見捨てるしかできなかった自分達を今も悔いているのである。
「……そう。やっぱり、苦しいよね」
「はい。俺達がもっと上手くやれていれば……」
「僕にもライダーとしての力があれば……」
すると朱美は二人の元に手を置いて首を横に振る。それを見て二人は驚いた。
「今はそうやって自分を責めてはダメ。ヒロミは二人にそんな気持ちにはなって欲しく無いと思うわ」
「「………」」
「ヒロミは最後に私と会った時こう言ってたわ。“俺が今いなくなれば二人は苦しむ”ってね……あーあー、ヒロミ。こうなる事をわかってるぐらいならなんでいなくなっちゃうんだろう」
朱美は一人でヒロミの事を嘆いてから二人へと続きの言葉を語りかけていく。
「でもヒロミはこうも言ってたわ。“あの二人ならきっと俺の意志を継いでくれる。アイツらは強くなったのだから”とね。だから今二人にできるのはヒロミの気持ちを無駄にしない事よ」
そう言われた二人は頷くと朱美へとお礼を言う。するとデッドマンズが登場したという連絡が入り、二人は現場へと急行する事になるのだった。それを見て朱美は一人呟く。
「……ほんと、あの二人は真っ直ぐね。……足元を掬われないと良いけど……」
朱美は二人を心配しながらと見送りつつ、自分の業務に戻っていくのだった。
また次回もお楽しみに。