一輝達がトレーニングを開始した翌日。この日も一輝とバイスは早くにスカイベースへと来てトレーニングを重ねていた。正午にはライヤからの呼び出しがある。そこに間に合わせるにはとにかく試行錯誤を繰り返しつつ呼吸を合わせるしかないのだ。
「「だあっ!」」
二人が同時に攻撃を命中させるものの、また一輝の体が炎に包まれて失敗。このままでは昼までに完全にはマスターできない。
「クソッ。このままじゃ……」
「はひー、こんなの厳しすぎるでしょ」
『……少し無理をしているようだね。ここで30分程休憩を取ろう』
「でも……」
狩崎の言葉に一輝はまだやれる事を示そうとするが、狩崎の決定は変わらない。
『いいや、無理はさせられない。一旦ここまでだ』
一輝とバイスは起こされると狩崎は部屋から出ていく。時刻は午前十時。あと二時間しか無いこの状況では合わせるのは至難の業だ。
「ライヤとの約束の時間まであと二時間しか無いのにここで休憩って狩崎さんは何を考えてるんだよ」
珍しくいつもは冷静な一輝が取り乱している。そんな一輝を見てバイスは彼を宥めようとした。
「一輝、そんなに無茶して良いのかよ。もしここで下手に体を壊せば元も子も無いんだって」
「ッ……でも、それじゃあ」
「はぁ。別に今成功させなくたって良い。ライヤの奴が今回分離できなかったら死ぬってわけじゃ無いんだ。肩の力を抜こうぜ」
バイスにそう言われて一輝は目を見開く。実際その通りだった。一輝は何としてでも間に合わせるために焦ってトレーニングをしていたのだ。そしてそれは二人の出力を合わせるための妨げになる。狩崎はそれを見越した上で休憩を入れたのだ。
「俺は焦ってたのか」
「おう、だと思うぜ」
それを聞いて一輝は一度深呼吸すると気持ちを落ち着けた。この連携を完成させるために一輝は一度落ち着くと決意を新たにする。
その頃、街中ではオルテカが一人ウィークエンドの拠点から出てくると暴れていた。
「ふふっ。早く来い仮面ライダー。新生デモンズの力を思い知らせてやる」
オルテカはギフジュニアを街にけしかける事で大暴れ。このままでは被害が拡大する一方だ。そこに大二と光が到着する。
「オルテカぁあ!」
「性懲りも無くまだこんな事を……」
「ほう。ただ、今回の私を侮ると痛い目を見ますよ」
するとオルテカは手にデモンズドライバーを構えた。その時、デモンズドライバーに目の発光が宿るとベイルが言葉を発する。
「五十嵐大二。俺の邪魔をしたお前を許すつもりはない。我が力の全力で潰す」
《デモンズドライバー!》
「この世界は……俺達の物」
《スパイダー!》
《Deal……》
《Decide up!》
「変身」
《Deep.(深く) Drop.(落ちる) Danger……(危機)(仮面)rider Demons!》
オルテカはデモンズへと変身する。それを見て大二もスタンプを構える。すると中からカゲロウの声が聞こえてきた。
「ちょっと待ったぁ。今度は俺の番だ」
「……カゲロウ。だが、イーヴィルエビルはまだ待ってくれ」
「あん?」
「先に街に散ったギフジュニアを片付ける」
《バット!》
大二がスタンプを自らに押印。それにより、カゲロウが出てくると二人でベルトを装着。変身した。
《バット!》
《Confirmed!》
「「変身!」」
《バーサスアップ!》
《仮面ライダーエビル!》
《仮面ライダーライブ!》
二人はそれぞれエビルとライブに変身するとすかさずライブがジャッカルバイスタンプを装填する。
《ジャッカル!バーサスアップ!》
《仮面ライダーライブ!ジャッカル!》
「はあっ!」
ライブがギフジュニアを素早く倒すために駆けていく中、残ったエビルはデモンズとの戦闘を開始する。
「カゲロウよ、お前は大二を飲み込もうとしていた時の方が悪魔らしい生き方をしていたのに何故五十嵐大二を認める」
デモンズドライバーに潜むベイルがエビルへとそう問いかける中、エビルはそんなベイルへと言葉を返す。
「ゴチャゴチャうるせぇなぁ!そんなのアイツが俺の相棒として相応しいからに決まってんだろ!」
「なるほど、あくまで相棒を信頼するか。だが、それはお前らにとって命取りになっても良いのか?いつかは捨てられるかもしれないんだぞ」
「そんな心配していたらよ、体が幾つあっても足りねえんだよ!」
エビルはデモンズからの一撃を受け止めると蹴って後ろに跳びつつ着地と同時に前に出て斬撃を喰らわせる。
「どうやら話しても無駄でしたね。ベイル」
「ふん。ハナからアイツを許すつもりは無い。オルテカ、遊びは終わりだ。さっさと終わらせろ」
「ああ」
《Add…!》
《モグラ!》
《Dominate up!》
《モグラ! ゲノミクス!》
デモンズが右腕にドリルを装備するとエビルのエビルブレードに対抗。こうなるとリーチの面でも互角にされてしまい、エビルは徐々に押されていく。
「チッ、やはりパワーの差が出るか……」
エビルは元々パワー戦は得意では無い。蝙蝠の特性を活かした奇襲が主な戦法と言える。それでも今回は正面戦闘をせざるを得ない。何しろ今のデモンズに奇襲の類を使えるような状況では無いからだ。
「今度はこちらから行きますよ!」
デモンズとエビルが衝突する中、ライブは超スピードで街を駆け回り、次々と出てくるギフジュニアを倒していく。
「だあっ!」
ライブガンを撃ちまくり、すれ違い様に殴り、敵を殲滅する。ギフジュニアは雑魚敵なのでそこまで強く無いが、中にはギフテリアンも揃っており中々殲滅スピードが追いつかない。
「数が多すぎる……これじゃあカゲロウが保たないし、戻る頃にはライヤとの約束の時間になってしまう」
するとそこにフェニックスの部隊が到着。だが、普通の武器ではギフジュニアは兎も角、ギフテリアン相手にフェニックス側の勝ち目は薄い。その時、狩崎から連絡が入った。
『ヘーイ、大二。君はカゲロウの元に戻りたまえ。ここからは彼等の出番だ』
「彼等……?」
するとフェニックスの隊員の中の分隊長がデモンズドライバーと同形状でありつつ、黒い部分が白くなり、筋肉質の部分が青くなったドライバー……デモンズドライバー
《デモンズドライバー!》
「あれは……」
更に手にはスタンプを持ち、その色は白をベースに黒いアリの意匠が入っていた。そして、隊員はスタンプを押す。
《アントトルーパー!》
《Deal……》
《Decide up!》
「変身!」
《Duel.(闘う) Daer.(挑む)Defense……(守る)仮面ライダー!》
隊員がスタンプを液晶部に押印すると共にその体を青と黒の二色の鼓動のようなリングが出てくると装甲が形成。姿を変えていく。
それはミリタリーを模したようなアンダースーツにアリの黒いカラーリングをした装甲。装甲自体は軽微だが、それでも胸や腹、両肩、両腕、両脚と最低限は確保されており、頭部はアリの顔を模したような装甲で大顎のようなパーツが目立つ。
そして、大きな特徴として右腕にはアリの大顎のような武器があり、左腕にはアリの腹をもしたパーツが付いている。
『まだ量産体制には入れていないが仮として数人分仮面ライダーデモンズトルーパーを配備した。これの真骨頂は自身の悪魔を制御してコントロールする。ただし、システムとしては通常のデモンズよりもスペックが落ちるため、強敵との戦闘には向かない。が、既に出力が大方割れているギフテリアンぐらいならどうにかできるからね』
「はあっ!」
デモンズトルーパーはギフジュニアを蹴散らすとギフテリアンと格闘戦を開始。互角以上の戦いをしていた。
「任せます!」
ライブはデモンズトルーパーがある程度戦えるのを見るとすぐにその場から撤退。そのままデモンズトルーパーに戦線を引き継ぐ事になる。
デモンズトルーパーはアリの力を模しているだけあってパワー勝負ならスペックがある程度低くても十分戦うことが可能だ。
更に言えば、左腕のアリの腹から射出させるエネルギー弾は命中した相手の装甲を僅かに溶かす作用がある。これに右腕の大顎を合わせる事でギフテリアンの剣を受け太刀した際に逆に剣をへし折れるぐらいであった。
つまり、デモンズトルーパーの能力はギフテリアン相手に圧倒的に有利と言えるだろう。利点はそれだけに留まらない。リバイスの使うオーインバスターやオストデルハンマー、リバイスラッシャーを普通に使いこなせるので武器を使った戦闘も可能と言える。
《アントトルーパー!Charge!》
《デモンズフィニッシュ!》
デモンズトルーパーから繰り出された連続パンチからの回し蹴りでギフテリアンは火花を散らすとそのまま爆散。撃破されるのであった。場面は戻り、エビル対デモンズの場面である。
ここではエビルがデモンズのパワーに押されて吹き飛ばされていた。
「ぐうっ……」
「さぁさぁ?どうしました?随分とやられていますがまだやりますか?」
「好き放題言ってくれやがって」
するとそこにライブが到着するとエビルの前に立つ。それを見たエビルは立ち上がるとライブを小突いた。
「遅せぇよ大二」
「仕方ないだろ。こっちだって対処してたんだからよ」
「まぁ、言い訳は後で聞いてやるよ」
《イーヴィルウィング!》
《Confirmed!》
《Wing to fly!Wing to fly!》
《ウィングアップ!》
《イーヴィルアップ!》
《Wrath!Wicked!Warning!イーヴィル!イーヴィル!イーヴィル!イーヴィル!イーヴィルエビル!》
エビルはライブと一つになるとすかさずイーヴィルエビルへ。デモンズはイーヴィルエビルになった事で飛躍的に上昇したパワーに押される。しかし、今回のデモンズはいつもとは違った。
「ッ!?あまりダメージになってないだと?」
「言っただろう?今回の私を侮ると痛い目を見るとね!」
デモンズはベイルの力で超強化されており、イーヴィルエビルとも互角に渡り合える程になっていたのだ。
「だからって好き放題させる気はねーよ!」
エビルとデモンズの戦闘が更に激化する中、スカイベースでは一輝とバイスのトレーニングが佳境に差し掛かっていた。
「「だああっ!」」
二人からの攻撃により、リバイが粉砕されると一輝の持つオーインバスターに火が灯る。だが、これは一輝が息を吹きかけるとすぐに消えた。二人のバランスが向上した結果である。
「良し……」
『こっちも順調だね。でも、そろそろ時間だ。ライヤの元に行きたまえ』
それから一輝は元の世界で起きると変身解除。そして、ボルケーノバイスタンプを手にしようとする。しかし、その手を狩崎に掴まれた。
「まだだ」
「ッ!?どうして……」
「今はまだ完璧とは言えない。リスクが大きすぎる」
「それでも……それでも俺はやらないとダメなんです」
「……わかった。持っていくのは許可しよう」
「ありがとうございま……」
「ただし。それを使うのはあくまで最終手段にしたまえ」
狩崎からの言葉に一輝は頷くと部屋を後にした。そこに若林もやってくる。
「……結局渡したのか」
「えぇ。今の彼に渡すのは躊躇してしまうがやむを得ないからね」
「……何事も無ければ良いが」
一輝がライヤの待つ場所へと走っていく。そして、そこに到着するとそこは老朽化が激しく、既に廃棄予定の工場だった。そのために物は何もなく、ただ広い空間が広がるのみだ。
「……来たぞ、ライヤ」
「お前一人か。折角なら弟や妹を連れてきても良かったんだぞ?」
「いや、今回は俺が決着を着ける」
「そうか……ならば早速やろう」
ライヤの言葉と共に一輝はスタンプを取り出す。そして、二人はその姿を変える。
《レックス!》
《サーベルタイガー!》
「変身!」
《バディアップ!》
《仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
二人は変身を完了するとそのまま走っていき、戦闘に突入。ここにライヤとの戦いの火蓋が切って落とされた。
また次回もお楽しみに。