じゃあというわけで先生はルルハワでバカンスしてくるから……
『ヘルメット団が潜伏しているであろうエリアに到達しました』
周囲の安全に気をつけて進んでください。
ホシノたちの案内でたどり着いたのは砂があまり目立たない繁華街。だけどその賑わいはD.U地区にある繁華街と比べて明らかに人気が少なく、所々閉まっている店も目立つ。
「うん。やっぱりこの辺?」
『はい。半径15km圏内にシグナルを確認』
おそらくヘルメット団の本陣でしょう。
リアルタイムで更新されていくアヤネからの情報にアロナが見やすいように整理してくれて私に表示してくれる。ありがとうの代わりにフリフリと手を振ってくるアロナの手を指で触れてみたりくすぐったそうに揺れるその頬を突いたりして情報を整理していく。
『おそらくここまで来れば向こうも気がついているでしょう。実力行使です!』
敵の数は20と少し。アヤネの忠告通りに少し先の物陰が騒がしくなり、慌ただしく走る足音が多数聞こえる。このまま行くとこの路地が最前線になる。下手に隠れられて混戦になると面倒だがこうして出てきてくれるのならこちらも取るべき手段が楽になってくる。
「みんな準備いい?」
「はい!こっちは既に……」
私の前と後ろを取り囲んで(一応私の護衛も兼ねているとの事らしい)ここまで進んできたホシノたちの声を掛けるとノノミがミニガンを抱え上げた。……ここに来て思う事だがやはり華の女子高生がこんなゴツい銃を抱えているのを見ると何とも不思議な気持ちになってくる。
「みんな準備終わってるよ〜」
リロードする特徴的な音が響き、全員が好戦的に口角を上げる。
既にこっちの準備は終わってる。響く足音と怒号が近づいてきた所で私は慣れた動作で右腕を振り下ろす。
「それじゃ」
不思議と自分の口角も上がっている様な気がした。
どうしてだろうか………ああ。きっと私はこの子たちを信じているからだろうか。
「作戦開始」
「「「「『了解』」」」」
さあいくよーとホシノの掛け声と共に張り巡らされたバリケードを蹴破り、飛び出す。変わらず一番槍として飛び出したホシノは前の様に銃だけで攻めるのではなく黒い盾を身体全体を覆える大きさに広げて銃弾を弾きながら手持ちのショットガンを乱射する。よく見る青いシールドがホシノを覆ってるのを見るとあの盾を使っている間はシールドも出てくるのだろうか……?
「あはは〜遠慮なしですよ〜!」
ホシノの鎮圧に耐えきれなくなった第一陣の真ん中は既に瓦解しているがそれでも両翼の敵はまだ居る。チマチマ削っていくのも良いが今回は強襲作戦だ。敵が混乱している間に制圧し切ってしまう方が良いだろうとノノミに制圧射撃で片付けてしまう様に指令する。
それを待ってましたと言わんばかりにノノミは左から右へとミニガンを動かして斉射する。流石にシロコとセリカが削っていた所にダメ押しと言わんばかりのミニガンの斉射だ。ヘルメット団たちも耐えきれなくなったのか気絶する様に倒れた。
「………うーん。いつ見ても頑丈」
ヘイローという謎の生徒だけにある頭上の輪っかが銃弾を受けても痛いだけで済む様になっているとは知っているが逆にそれしか知らない。…ああ。後は寝ている時はヘイローが消えている、位だろうか。
「ん。先生急ぐよ」
「大丈夫今行くよ」
先に進んだシロコたちを追いかけて私もその後に続く。
アヤネから送られてくる情報によればまだまだヘルメット団はいる感じだ。
「もう!イラってきたわっ!!」
「……ドローン起動。」
中々にしぶといヘルメット団に痺れを切らしたのかセリカは空になったマガジンを投げ捨て目に止まらぬ早さで装填し直し確実に仕留め切れるであろうヘルメット団にヘッドショットを繰り返し、必ず沈めていく。
その仕留められる様にヘルメット団を“浮かせる”ことが出来てるのはシロコの攻撃もあるだろう。シロコが投げる手榴弾はほぼほぼ百発百中。破裂するその音と衝撃で倒れるか体勢を崩し、その間に誰かに倒される。シロコの愛用のドローンだってそうだ。空から撃たれるミサイルの波は生半可では耐えられない。
「いや〜……圧倒的だね……」
『はい。先生の指揮のおかげです』
その敵に反撃を許さないホシノたちの技量の高さとチームワークの出来の良さと言い、どうしてアビドスを十分な資材の無いままで今まで守ってこれたのかがよく分かる一面だった。私の驚嘆さえ混ざる呟きを聞いていたのかアヤネがわざわざ私を褒めあげてくれるがこれは紛れもなくアビドスの…アヤネたちの力だという他なかった。
「……きっと次が最後だね」
「多分ね〜……先生まだ気を抜いちゃダメだよ〜」
少し進んだ先は小さな袋小路になっている。
そしてそこで待ち構えているヘルメット団の残り。
それを私がデータとして受け取るよりも先に少女たちは気がついているのだろう。
ホシノがいつもの笑みを少し浮かべた後に急拵えで準備したであろう簡易的なバリケードを蹴破る。………さあ最終ラウンドだ。
「一番前は私にお任せ〜」
もう一度盾を大きく構え直したホシノは盾で突っ込みながら銃を乱射する。
シールドバッシュで吹っ飛ばされたヘルメット団たちは即座にノノミの斉射(小)によって意識を奪われて、後ろの方に構えていた筈のヘルメット団はセリカの精密射撃とシロコのドローンで一気に数を減らした。
「これでおしまい…!」
最後の1人をセリカの射撃が倒した所で強襲作戦成功だ。
気絶しているヘルメット団たちには悪いけどアビドスを狙った自分達を恨んでくれと私たちはとりあえず勝利を祝う事にした。
「戦術の勝利……」
「先生!お疲れ様でした〜!」
Vサインをして勝ったことを教えてくれるシロコと片手を振ってくれるノノミたちに手を振り返し、合流する。……ホシノたちに目立った傷は無く、完全勝利と言っても過言ではないかもしれないほど上手くいった作戦だった。
◆
「……ここが保管庫だろうね〜」
少し落ち着いた後、私たちはヘルメット団のアジトの内部に侵入する事にした。内部は私が想像している以上に綺麗に整えられ、生活感がまだ残っていた。
「すごい量の資源」
驚愕するようなシロコの言葉に内心同意しながらも見ていく。溜め込んだ資材の中には銃弾やその他の資源だけでなく、見たことない虹色のノートだとか円盤のカケラだとか欠けたレンズだとか水晶埴輪だとかが溜め込まれていた。
………一体何に使うんだろうか……
色んな…言っては悪いが使い所がない様な破片が入った木箱を抱えて、とりあえず向こうのほうでも同じ様に見ているホシノたちの一目につく様にと近くの机に置こうとした時だった。私の着けていた通信装置にアヤネから通信が入ってきたのは。
『あ。先生、それらの素材は使いますので持って帰っていただけると助かります……』
アヤネが言うそれらの素材はオーパーツと呼ばれるモノらしく、ホシノやユウカが出していた青いシールドの強化や銃やドローンの強化に使われるらしい。この中には非常に珍しい代物も混ざっているとアヤネの説明があった。
「……………………………」
「あれ?先生どうしたの?」
ほら!これ見て!技術ノートとか戦術BDとかいっぱいあったわ!
一番近くで物資が入っていた箱を見ていたセリカが目を輝かせて近づいてくる。
嬉しそうに中身を出していくセリカを見ているとこちらも微笑ましくなってくるがその紫色のヤツが一番珍しいとは驚きだ。なんか一番いっぱい入ってるし。
「ほら!先生も幾つか持って帰って!」
「………えぇ……いいの?」
うん。とセリカは頷く。どうやらアビドスでは合わない“型”のがあるらしい。
そう言うのは違う学校では使えたりして、見つけて手に入れたら小銭稼ぎの手段として使えるらしい。……“紫色”は一番珍しいと言うだけあって高額で売れるから持って帰れるだけ持って帰るべきだとセリカは熱弁する。
「…………………おかしくない、か?」
「え?……何が?」
どうかしたの?先生と猫耳を嬉しそうに揺らしながら私に問う。
そんな珍しいモノがダース単位で、それも大体これらの資材は全てまだ手付かず。
………そうこれはまるで
「ヘルメット団ってそんなに稼げるモノなの?」
「それはないですね〜」
私の問いに後ろからノノミが大きな木箱を抱え、近づいてくる。
向こうのほうにもまだまだ物資があるのを見ると選別はもう少しかかりそうだ。
……話を戻そう。ヘルメット団とは稼げるのか?という問いにノノミはきっぱり否定する。
「ヘルメット団って言うのは不良の様なモノです。」
『宵越しの金は持たないと言われるほどの傭兵ほどではありませんがそれでも金に飢えているのには間違い無いでしょう』
ノノミの解説にアヤネの追説でなんとなく分かってきた。
………このヘルメット団には裏に“誰か”フィクサーとなる支援者がいると言うこと。
どういう意図で、どういうつもりでアビドスを攻撃するヘルメット団たちを支援しているか知らないがこれは明らかにアビドスに敵対する人か組織があるということが分かった。
「ちょっと〜…そんなに気を荒げてどうしたのさ〜」
「ん。ホシノ先輩が見つけたの…先生に上げる」
手ぶらでいつもの様な笑みを浮かべたホシノと大きな金貨袋を掲げたシロコが近づいてきた。得意げに微笑むシロコは私の手にその金貨袋を押し付ける。ズッシリとした重さを前に私は一体何なのかホシノたちの許可を得て開けてみる事にした。
「…………これは………」
「おー!珍しいモノだね〜先生」
袋いっぱいに詰められた色とりどりのコイン。銃のデフォルメマークが刻まれた金色のコインや紫色のコインなど初めて見たモノばかりだ。一体何なのか考えていたら横から覗き込んできたホシノが小さく手を叩き、これらのコインについての解説をしてくれた。……曰く、これらコインも非常に珍しいモノの一つでこれが有れば特別な物資に交換してくれるらしい。(連邦生徒会が)
「これを使えば私たちの力を強くすることもできるんだよ〜」
というか主にそれ用途だね。とホシノの説明を聞いて私はそれならホシノたちが持っておくべきだろうと言葉を口にする。見せてくれた紫色のノートやBDだってそうだ。小銭になると言うのなら余計にお金に困っているであろうアビドスが持っておくべきだろう。そう言った。
そう言った筈だった
「先生〜……
「これはホシノた、ちが………」
何故か、ホシノの目が近くにある。オレンジ色と青色のオッドアイの眼差しが何故か今だけはとても
「これはさ〜先生と私たちの成果だよね?」
「…………そう、なのか?」
うん。と頷くホシノ。
今気がついたがホシノの両手は私の頬を掴んでいて決して目を離すことはできないようにされていた。
「そうだよ〜…だって、先生の指揮のおかげで私たちは勝てた。だからここの物資をどうするかは先生の好きに出来るの。」
「……………………」
ホシノの目に“何故か”逆らえない。
……そう、なのだろうか。これらはホシノたちの成果であって私の……
『……まあその辺りは帰ってから決めましょう』
ここはまだ敵陣地です。早く必要な物だけ持って帰ってここは閉鎖しましょう。
横からアヤネの通信の声が入る。冷静なその声の横入りに私は何故か酷く安堵した。今までに私でさえも言ったことのない様な間抜けな賛同の声と共にホシノの顔を意識して見直す。
「うへ〜……アヤネちゃぁん……」
ごめんね先生。強引に話進めちゃって。
そう言ってピョンと飛び退き、また積まれてあった物資の裏に進んでいく。
ちょっと頭、冷やしてくると後ろ手に片手を振るホシノの姿に私はさっき感じた“逆らいがたい魅力”と言うのは見間違えていただけなのかもしれないと考え直す。
「ん。先生、近くにバンもあったからそこに全部積んでこ?」
そうしていると袖を引っ張られる感覚がしてその方向を見てみるとシロコが指差していた出入り口には黒色のバンが止まっていた。それを使うのは確定なのかノノミやセリカが既に物資を詰め込んでいた。
私もそれを手伝おうと机から離れた瞬間だった。
机から何か“黒色の封筒”が地面に落ちた。
(…………………?)
一言に黒色の封筒というより、黒色に白色の無数の亀裂らしい模様が刻まれている特徴的な封筒だった。差出人は書いていないけど中には紙が入っている様な厚みが分かる。
Dear S.C.H.A.L.E teacher
ただ一言、宛名だけ書かれた手紙。
宛先は“愛しきシャーレの先生”という明らかに私に向けての手紙。
「………………………」
開けないわけにはいかないだろう。
何故、“こんなところに”私宛の手紙があるのか分からないがそれでも私宛というのなら見ないわけにもいかないと覚悟を決めて手紙の封を破った。
その時だった
「先生。それはダメですよ〜」
突然横からノノミの声が掛かる。
目にも止まらぬ早さで手に持っていた手紙を奪われ、後ろ手に隠されてしまった。
「シャーレの先生へ。なんて書かれた手紙がこんなところにあるわけ無いでしょう?」
十中八九、危ないモノが仕込まれてますよ。
少し怒ったように、頬を膨らませながらノノミは手紙を抱えてしまい込んだ。
「やっぱり、そうかな?」
「はい!先生は“大切な人”なんですから周囲には気をつけてくださいね!」
要人を護るニュアンスで言われたその言葉には、私が今まであやふやだったシャーレの公権力の強さを見た気がした。……確かに、全ての学校の上に立っているような連邦生徒会直属の捜査機関なんて否が応でも要人になってしまうのだろう。
「先生!帰るわよ!」
そうしていると既にバンに乗り込んだであろうセリカが手を招いている。
最後になってしまった私とノノミは特に何か言うわけでも無く顔を見合わせて少し微笑み、バンに乗り込んだのだった。
◆
もしかしなくても無免のホシノの運転は以外にも丁寧で、特に何か事故を起こすことなくアビドスの校舎に帰ってくることが出来た。車の中ギュウギュウに詰め込まれた資源と、シッテムの箱に入れて欲しいと言われた壊れやすいモノを全部合わせると余裕で私が持ってきた資源を超える量が今のアビドスに揃った。
「うーん………」
汗を流しに行ったホシノたちを置いて私とアヤネは頭を悩ませる事になった。
この資源たちが一体どこから流れてきているものかと言う事。それが分かればさらに遡って、アビドスの借金の大元と関係があるのか分かる。
「調べた結果、どれもこれも既製品…」
つまり何処でも流通している代物でした。
アヤネの結果に私たちは揃って頭を悩ませることしか出来なかった。
オーパーツや教本なんかは基本的に何処でも落ちているモノだし(流石に今回は珍しいものばかりあったが)、相手の使っていた銃弾や手榴弾は何処でも使われるモノ…
となればこのヘルメット団は本当にただの野盗に過ぎないと言うことだ。
「とりあえず今は成功を喜ぼう」
「……そうですね!」
伏線を埋め込みすぎたせいで起承転結の結で全部回収する事になると考えたら早く書き上げていきたいのに自分が思っている以上に話が進んでいない現象。
生徒たちの動きとか、今回手に入れた資源の手を引いているのが誰か分かれば教えてください。みんな、待ってるよ……
それでは今回は皆さん大好き十六夜ノノミちゃんです。
初めてこの子の事を知った先生方はうお…でっっか……となった先生も多いのではないでしょうか。新任応援イベント的な一日ずつクリアしていくイベントの報酬でもノノミの神名文字のカケラが三桁単位でもらえると言う事で先生の初めての星上げを捧げたのはノノミという先生もおそらくいるでしょう。
そんなノノミのメモロビ。詳しくは言えませんがASMRをまず買いましょう。
勿論メモロビだけでなく通常のモモトークでもノノミに惚れたっていう先生は多いんじゃないでしょうか。というかまず金髪巨乳型天真爛漫系お嬢様とか性癖の盛り合わせ……本気だね……!
お嬢様でありながらアビドスで同じように苦労を重ねて、あの言い方からしてどうやらアビドスの退廃を招いた原因を知っている辺り過去編が待たれる。
というかアビドスの過去編は早くしてくれよ。そろそろ寒くなってきたんだよ
そんなノノミですがやっぱり先生とこうナチュラルに距離が近くあって欲しい。
具体的には先生が書類の作業をしていたら後ろからノノミが抱きついてくるような距離感であって欲しい。やっぱり膝枕はメモロビから言われてきた古今東西ノノミと先生の距離感を表しててすこ。モモトークでもあった様な抜け駆けの女としての強かさもノノミのお嬢様感が良いよね。それでいて先生もノノミならと身体と心をを休められるのなら余計に。
じゃあ先生?そんなノノミを裏切ってね?
ぶっちゃけた話、ノノミって設定上そこまで強者感は無いんですよね。まああのアビドスに居るって時点で他校のモブとの実力差はあるでしょうが各校の最強…それこそホシノや00やゲヘナの風紀委員長、パテル分派の首長などなどどの先生に聞いても強者と上げられる中でノノミが名前をそこに連ねるかと言われると難しい所。まあ良いところのお嬢様だから…と弁解できますが。
というわけでそんな強者たちが先生とゲマトリアたちになす術なく転がされてる前で“わざと”見逃されてるノノミとか絶対美しいと思うんです。まあそれを愛ゆえの慈悲と見るか取るに足らない羽虫だから見逃されたと見るかは別ですが。
勿論、そこで心が折れるノノミじゃないでしょう。
おそらく各校でも同じように奮起して生徒vsゲマトリアの全面戦争が始まりを告げているのかもしれません。まあ残念ですが勝てるとは言ってない。
きっとノノミが次に先生の顔を見るのは事切れた先生の姿でしょう。
21g抜けた先生のその姿はとても美しい芸術品に見えるでしょう。いえーい。生徒たち見ってる〜?君たちの実力不足のせいで先生は1人で逝ってしまいました。かわいそ…
じゃあ最後に先生にはキチンとお別れしないとね……
先生のむ、骸にキ、キスをしたノノミとかうわーん。エッチです。
感想、評価お待ちしてます。