ここから、そして永遠に   作:ネマ

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セリカと先生の平凡な一日

 

 

 

アビドス高等学校から手紙を貰った私は道中、砂漠に迷い危うく遭難すると言う所で偶然通りかかったアビドスの生徒…砂狼シロコに救出と道案内されてアビドスに到着する事になった。

 

アビドスに到着してからすぐ、ヘルメット団がアビドスを襲撃。私の拙い指揮の元でこれを撃退。だがこのまま攻め込まれ続けるのは悪手だと言う事で相手が疲弊している襲撃後直後に逆に攻め込み、強襲作戦を実行。

 

見事これを成功させた私たちはその後、敵拠点を破壊してアビドス高校に戻り簡単な祝賀会をした後にアビドス高等学校での初日を終わらせたのだった。

 

 

「………あれ?先生」

 

「おはよう。セリカ」

 

翌日。まだ慣れないアビドスの地形を把握しようと仕事を切り上げて朝早いアビドスの散歩がてら無為に歩き回っていたと言うわけだ。そうしてあっち行ったりこっち行ったりとフラフラしていたら目の前に1人の少女が歩いていくのが見えた。

黒髪に黒い猫耳を付けた少女。アビドス高等学校一年の黒見セリカである。

どうやらこんなところで私と会うとは思わなかったのかその顔を驚きに彩られながら小走りで寄ってきてくれた。

 

「おはよう。……どうしたの先生。こんなところで」

 

また迷ったの?と聞いてくるセリカに私は簡潔にこの辺りの理解を深めるために散歩してたんだと言う。セリカはそれに納得したように首を小さく縦に振り、こう言った。

 

「私は今からバイトだから…あまり長々とできないけど」

 

一緒に見て回ろうか?…説明付きでアビドスのこの辺り案内できると思うけど?

そういうセリカの耳はピクピクと動き表情は澄まし顔でありながら耳だけがこうして動いているのを見ると、どちらの選択を取るのか期待してるようにも見えた。

 

「うーん…別に忙しいな、ら」

 

1人で回るよ。と断ろうとした瞬間、露骨に耳を折り曲げて目を細めるセリカに私も流石に断りきれなかった。確かに当てもなく彷徨っているだけだと何が何だか理解しきれないだろうと自分で理論武装を後付けしながら

 

「………やっぱり頼んで良いかい?」

 

「…………!!ええ!」

 

それじゃ行きましょ!そう言って差し出される手を掴んで私はセリカについて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

そうして私とセリカはアビドスの散策に乗り出した。セリカの案内と解説の元、私たちは散策を続けた。もう砂に呑まれて久しい中心区からまだ砂に呑まれていない人気のある場所までセリカの解説はツワーガイドのように楽しめ、そして瞬く間に時間が過ぎていった。

 

「そろそろ、バイト行くわね先生」

 

「ああ。もうそんな時間か……」

 

そうこうしていると太陽が真上あたりから陽射し始めた。

私たちは最後に歩き疲れたという事で小さなテラスにお邪魔して、買ってきたお菓子やらジュースやら摘んで雑談していた所だった。ふとスマホを確認したセリカは立ち上がり今からバイトに行くからと立ち上がった。ここから帰れるかというセリカの心配を私は「問題ないよ、いってらっしゃい」と手を振るのだった。

 

「………うん。いってきます!」

 

満面の笑みで何度もこちらに手を振って駆け出していくセリカに手をふり返しながら、私もそろそろアビドス高等学校に向かわなくてはならないなと席を立ち上がったその瞬間だった。

 

「……………あなたがシャーレの先生?」

 

「うん?」

 

後ろから声が掛かる。声質的に生徒だろうか?敵意や善意では無く、ただ純粋に私に問うその声にふと振り向いてしまった。

 

そこに立っていた子は大きめな黒色のローブを羽織り、鼻筋まで深くフードを被った子だった。キヴォトスの生徒である証拠のヘイローは見えるがヘイロー自体不規則にヒビが入っており、黒くされど金色に淡く光っているのが目に見える。

 

「そうだけど……」

 

「よかった」

 

君は?と聞くより先にその子はかろうじて見える口角を上げ、端的ではあるが嬉しそうに声を弾ませる。一体どこの学校所属なのか。アビドスと関係がある子なのか聞こうとしたその時だった。

 

目の前、少し遠くに居たはずの少女が消えていた。

 

「座って話をしない?」

 

「……………っ!」

 

どこに消えたんだと首を捻るより先に、後ろから少女の声が聞こえた。

さっきまでセリカが座っていたその席にその少女の姿はあった。何処から出したのかペットボトルを傾けて私に座るように促した。

 

(見えなかった……!)

 

キヴォトスの生徒たちの身体能力が私を遥かに凌ぐ事は知っていたが、音もなく影もなく一瞬の隙に回り込まれているだなんて実際にこの目で見てようやくその差が実感できた。

 

「いいよ」

 

「!ありがとうございます。」

 

では何から話しましょうかね?

そういって隠されて分からないはずなのにその少女は私との会話が本当に楽しみだったんだと分かるぐらい目の前の少女は心が踊っていた。“もし”この少女がシロコと同じような耳を持っていたら今頃、その耳ははちきれんばかりに上にピンッと立っていたのでは無いだろうか。

 

「じゃあまず、先生の事聞きたい…です」

 

「私の事?」

 

コクりと頷くその少女。

 

「とは言ってもね…あまりに多くのものが違って……」

 

“何故か”自分の口はスラスラと答えていく。

外の世界との違い…つまりは日常的になった銃火器の音。硝煙の臭い。私の様な大人は居らず、居るのはロボットやら動物やら。…そして謎に距離が近い生徒たち。

 

「へぇ…なるほどそれで先生は───────」

 

「そうだね。だからこうして────────」

 

話し込んでいると次第に少女も慣れてきたのか口調は柔らかくなり、つい私も気を良くしてしまい非常に話し込んでいってしまった。そうして話し込んでいるとその少女は何かを話したそうに口を籠らせる事が目についた。

 

「……どうかしたの?」

 

「へ……?」

 

「ううん。何か言いたそうだったから」

 

目がフードで覆われていなければその眼差しは大きく見開いたであろうその少女の呟きに私は首を傾げることしか出来ない。ヘルメット団とも今まであったどの生徒とも違うこの少女は一体何を言うのだろうか。

 

「………………………やっぱり先生は先生ですね」

 

「!?」

 

“あの時”からずっと変わらず。そう呟く目の前の少女。

 

「君は……一体………」

 

何処かで会ったと言うのか。

私のその呟きより先に、その少女の姿がまた見えなくなる。

 

「ねえ先生」

 

「…………!?」

 

瞬間、私の背中から聞こえる少女の声。

また私が目に見えるより先にこの少女は後ろに回り抱きついてきている。

無機質な熱とは違う、人肌ほどの暖かさにこの少女が決して幻でない事が分かる。

 

「もし、生徒が悪いことをしてしまったら……どうします?」

 

「それは勿論、叱って反省させるよ」

 

“大人”として“先生”として当たり前の事だ。

とは言ってもこのキヴォトスでは銃火器やら強盗やら多発する中で私がそんな叱るような案件が起きるとなるとそれこそ…なんだろうか。喧嘩の仲裁?とかになるのだろうか

 

「じゃあもしそんな叱る。ほどで許されない事をしてしまったらどうします」

 

「…………叱る、ほどで?」

 

想像が付かない。と私は首を捻る事しか出来ない。

そんな叱るほどで許されない事をしたとかそうなると本格的にワルキューレの案件になるのではないだろうか。もしくは連邦生徒会の矯正局?とか。

 

「はい。決して許されない大きな罪……」

 

誰からも絶対に許さないほどの悪い事をしてしまったのなら

 

「先生はどうします?」

 

「…………………………………」

 

そんな大きな事。もはや想像の付かないというレベルではない。

でも……もしそう。生徒が、そんな“誰からも許されない”と言うのなら───

 

「………君は、私を【先生】と最初呼んだね」

 

「?………はい。」

 

「じゃあ答えはひとつだけだ」

 

私が先生である以上、これはもう決まっているものだ。誰からも許されないのであるのなら、私の回答はひとつだけ。

 

「謝って、反省してるのなら許すよ。誰もが許さないのならせめて私だけでも、許すよ」

 

「……………………」

 

沈黙する少女。何か間違えた事を言ったのかな?と少し不安になるが何も間違えていないと思う。“大人”として“先生”としてでなくとも私はこう答えるだろう。

 

「…………そっか」

 

「それじゃあね先生。また会いましょう」

 

今度は、先生が真実を知った後に。

 

意味深に呟かれたその言葉と共に背中越しの温もりが消える。まるで最初から居なかったかのようにテラスには人気が無く、閑静と静寂だけがこの場を支配していた。

 

「…………………ねえアロナ」

 

『zzz………ほへ!?はい!アロナです!』

 

シッテムの箱を取り出してアロナに声を掛ける。するとアロナは寝ていたのか寝息と共に飛び起きる声がして寝ぼけ眼を擦りながらアロナは姿を現した。

確実に寝ていたなこの子…と思いながらも私はアロナにひとつ聞きたかった。

 

「さっきまでいた子。覚えてる?」

 

『え?………先生………』

 

誰かそこに居たんですか?

そう首を傾げて聞いてくるアロナに私の背筋は凍りつく。私のその反応に慌ててアロナはセリカの事ではないか?と言うが今だけは頭を抱えたくなった。

 

「ローブを被った子、居なかった?」

 

『??…………っ!?』

 

どういう事なんだろうか?とアロナが首を傾げた後、その言葉の意味を察したのか途端に涙目になりながらこちらに齧り付く。アロナの青いヘイローは驚いているのが丸わかりなように波立っているのが見える。

 

『せ、せ、先生…ホ、ホラーはまだ少し季節が……』

 

「うーん…アロナが見落としてるって考えはない?」

 

というかそうであってくれ。と私は身勝手ながら考えていた。アロナも寝ている感じだったから寝過ごしてこういい感じに見落としている説を提唱したかった。

 

『私が先生に近づく人を見落とすと思いますか!?』

 

「う…うん……悪かった。ご、ごめんね……?」

 

とか考えていたらアロナは怒ってしまった。

私怒ってますとアロナは頬を膨らませプンプンと言いたげに手足を振り動かす。

 

『……………後でプリンくれたら許します』

 

あと、撫でてください。そう言い涙目で座り込むアロナに悪い事をしたな…と私も罪悪感が湧いてきた。確かに、最初から助けて貰っていた“相棒”を疑うなんて。

 

「……本当にごめんね。アロナ」

 

『先生の秘書として私は居ます』

 

私は絶対、先生にウソは言わないんですから。それは信じてください。

そういうアロナの表情にはいつものような幼さとはかけ離れた強い眼差しがあった。

 

 

 

 

 

 

その後、私とアロナは夢を見たのかもしくはユーレイを見たのか。と言う事にしてアビドス高等学校に向かった。ちょうど昼前ということもあってかバイトに向かったセリカ以外、全員部屋で思うがままに寛いでいた。

私もアヤネを手伝いノノミを手伝い…としながら時間を潰していると昼を少し過ぎてしまった。誰かの腹の鳴き声に合わせて私たちも手を止めてホシノの案内の元、セリカが働いているというラーメン屋に向かうことにした。

 

「ここがセリカちゃんのバイト先ですよ〜!」

 

柴関ラーメンと書かれた風情ある木の立て看板を横目に年季の入った硝子製の横開き扉をノノミが開けてみんな入っていく。私もその後ろをついて店の中に入っていく。……中は想像以上に広く、結構生徒たちも来ているのを見ると繁盛しているようだ。

 

「3人分お待たせしましたー!」

「替え玉ですね?少しお待ちください!」

 

向こうでは紫色の前掛けと白色の頭巾を身につけたセリカが残像が見えるほど素早くされど丁寧に働いている姿が見える。お盆の上に数個のラーメンを乗せて運んでいるセリカとふと視線が有ったような気がした。

 

「あれ?アビドスの生徒さんたちじゃないか!」

 

好きな席に座ってくれや。カウンターの奥から声が聞こえると思ったら、そこに立っているのは二足歩行の柴犬だった。だけどセリカや他の客が彼のことを大将というあたり、彼がこの柴関ラーメンの店主なんだろう。

 

「おや?アンタ、みねぇ顔だな」

 

「大将、先生は……」

 

「私はシャーレ所属の教員としてこのキヴォトスに招かれまして……」

 

「そんなかしこまらなくていい…そうかアンタが………」

 

「……………………」

 

しみじみと呟く大将に、どうした事だろうと聞くのも不躾な事だろうかと考えていた所だった。

 

「いや……色んな生徒が“シャーレの先生”と言っていてな」

 

「それは……」

 

一体誰のことを言ってるんだと気になっていたんだと目の前で笑う大将。

その威風溢れる姿は確かに一国一城の主としての確かな誇りがある様に見えた。

 

「ま。大先生も食っていってくれや。この柴関ラーメンをな」

 

「それはそれは……楽しみにしてますね」

 

ニッコリと笑う大将はその後すぐにカウンターに引っ込み、残された私たちは空いているテーブル席に座る事にした。………さて、問題はここからだった。

 

「うへー…先生?私の隣空いてるよ〜?」

 

「そうですね!私たちの間どうですか?」

 

ホシノとノノミの間の席に座るように2人から声をかけられた。

 

「ん……先生、ここ空いてる」

 

「先生!こちらへどうぞ!」

 

そして同じようにシロコとアヤネも2人の間の席に座るように声をかけてくれた。

 

「「「「ん?」」」」

 

瞬間、私を置いて話は加速していく。

 

「………ねえシロコちゃんたち。年功序列って知ってるかな〜?」

 

「ん。今、それ関係ない。」

 

「ノノミ先輩は優しい先輩だから譲ってくれますよね……?」

 

「ふふふ〜……だが断ります〜」

 

笑みと笑みと笑みと笑みのメンチの切り合い。微笑んでいるはずなのにこの卓からは暗く澱んだ空気が迸ったように見えた。心なしかこの店で食べていた人たちもこの卓から逃げるように席の位置をずらしたりしているのが見えて私は頭を抱える事しか出来なかった。

 

「うへ〜……先輩に譲れって言ってんだよ。後輩」

 

「いつものおじさんのガワ、剥がれてる。どうしたのお・じ・さ・ん?」

 

「後輩に譲れって言ってるんですよ。十六夜ノノミ先輩」

 

「生意気な後輩ですね〜♣︎」

 

真顔でメンチを切り合いはじめたホシノとシロコ。満面の笑みなのに笑っていないアヤネとノノミ。ただ私が分かる事はひとつ。今にでも背負った銃を引き抜きそうな、銃を引き抜いて決闘しそうなぐらいこの卓には今、血の気が昇っているという事だけ。

 

「………(大先生、強く生きてくれ!)」

 

「………(私は何も見てないし知らない)」

 

どうにか現状を打破しようと周囲を見渡すと知らんぷりするかのように私が視線を向けたらウェーブのように視線が逸らされていき、現状を打開する大本命として期待していた大将はカウンターからサムズアップ。セリカは知らんぷりと四面楚歌で真っ青な状態になってしまった。

 

「埒開かない……ん。表出る?」

 

「あはは〜すぐに暴力に訴えるのどうかと思いますよ〜?」

 

「ですがこうなったら仕方ないですね……」

 

「アヤネちゃんもやる気かぁ……仕方ないなぁ〜」

 

シロコの親指で外を指差した瞬間、少女たちはもう立ち上がり担いだ銃のリロードやらタブレットを取り出して何かを呼び出したりしている。これはまずい本格的に争いになると私が仲裁しようとしたその時だった。

 

「はい先生。お誕生席でいいでしょ?」

 

「セリカ………!!」

 

我関せずと知らんぷりしていたセリカがパイプ椅子片手に近づいてくる。

その表情には呆れと言っても過言ではない虚無の顔をしてしまっているのに奇しくも仲裁役を任せてしまったセリカに罪悪感が湧かない訳じゃなかった。

 

「……ちなみに先生はどっちに座る予定だったの?」

 

「どっちに座っても嫌な予感しかしないけどね」

 

「その勘は正しいと思うわ」

 

さもありなん。セリカの関心する声と私の微笑み。そしてすごい真顔でこっちを見てやめないシロコたちに柴関ラーメンは一時、修羅場になったとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

「大将ー!上がりますねー!」

 

「おう!お疲れ!」

 

そんな昼の修羅場も大将の名物、柴関ラーメン(税込580円)の前には腹の音も鳴り止まず先生も含めた全員、目の色を変えて麺を啜っていた。生憎とサイドメニューはあまり無いがそれでもラーメンのボリュームと味だけで勝負するその意気込みはゲヘナの部活のお墨付きだ。(良いか悪いかはあれだけど……)

 

「…………はぁ。全くあんなに“騒いじゃって”……」

 

夜の砂漠を1人、黒見セリカは駆け抜ける。

夜も遅くなってくると街灯もつかないこの辺りを抜けて私は1人、疾走する。

 

「………………………」

 

いつもなら、通りの路地を抜けるのを“わざと”素通りして私は目的地に急ぐ。

こんな夜中にどこも空いていないはずなのに私は“識っているから”

 

『セリカちゃんごめんなさい。』

 

『大丈夫よ。悪いようにはされないわ』

 

悲痛そうに顔を歪める、私の大切な仲間たち。

“これから”のために“私がカイザーに誘拐される”というのは絶対に必要だから。

 

「…………………ええ。そう」

 

「………黒見セリカだな」

 

進んだ先、袋小路になっている路地の行き止まりで足を止める。

すると私の後ろから多数のヘルメット団が銃を構えた状態で現れる。

……前回と同じだ。私を誘拐するためにヘルメット団は“バイトを終えた”後の1人を必ず狙う。

 

「ヘルメット団……いいえ。その上の依頼かしら」

 

「対象、視認。黒見セリカと断定……どうします?ボス」

 

昼間“わざわざ”騒ぎを起こしてくれた先輩達から渡された武器は銃弾だけじゃ無い。

………まあ。わざわざというわけでも無いのだろう。あれは“結構ガチ”な争いをしていた。

 

「カイザーの使いっ走りもご苦労様ね。ヘルメット団?」

 

「……………っ!捕獲しろ」

 

先手必勝と言わんばかりに私の焚いたフラッシュバンと共に私は仕込んでいたミニガンを取り出す。取り回しは最悪だがこの袋小路。一歩通行からしか攻められないのなら私にも勝機がある。“大戦”の記憶がある記憶持ちなら別だけど、何も知らない“一周目”のヘルメット団風情に私はやられるほど弱くは無い。

 

「やろっ………!」「くっが………っ!!」

 

「おあいにく様。あなたたちにやられるほど私は弱く無いのよ……!」

 

弾が尽きたのならシロコ先輩の手榴弾を投げて撃ち抜く。

爆風と音で浮いたヘルメット団を冷静に狩りながら物陰を飛び移る。

ヘルメット団にとってゲリラ戦を仕掛けるのはいいけど逆は苦手という事をよく知っている。今の私に必要なのは…位置を悟られ続けない事だ。

 

「アンタたちに攫われなくても……アンタたちの装備を奪ったら帳尻は合うのよ…!」

 

“前まで”は私はヘルメット団に攫われるだけだったけど。こうして私は“攫われると解っているのなら”こうやって作戦を立てて、準備をする事だって出来る。

前回はこうして襲われて攫われて、それを助けにきた愛しの先生たちに助けられた時に蹴散らしたヘルメット団の装備から話は進んだけど……つまりはヘルメット団の装備を私たちが手に入れたらいいという事になる……!

 

「………っ!この程度!?アンタたち?」

 

「舐めるなぁぁ!!」「クソがっ!やっちまえ!!」

 

これなら勝てると確信する。残るヘルメット団の数と私の銃の残弾数。

再度、リロードした瞬間だった。私の視界に黒い布が舞ったのはそれと同時。

 

「…………………っ!?」

 

「遅い」

 

人影ほどの大きさ。明らかに私に敵意を持った一撃を放ってきた“それ”は私の首筋を狙って飛び込んでくる。音もなく影もなく襲ってくるその速度は全力のホシノ先輩かそれ以上……!

 

「あんた……何…者………」

 

避け切ることもままならず意識が落ちていく。

あんな奴、居なかった筈、な…のに………

 

 

 

 

「間抜け。……所詮この程度、か」

 

「すみません…助かりました……」「面目ない……」

 

「お前らには期待してない。早く運べ」

 

 

 

 






んあー!疑わしい生徒が多すぎます!!

やめなよアリスちゃん!人狼ゲームでもないのに人を疑うなんてやっちゃダメなんだよ!

王女。そういう貴方も疑わしいですよ。




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