連日投稿成功
ふぁ〜眠い
「みなさん。お疲れ様でした」
そうしてほぼほぼ蹂躙してきたとも言う救出作戦は、逆にヘルメット団の武器を奪い取る事まで出来るほどの大成功となった。やってる事は強奪と略奪?……まあこっちは大切な大切なアビドスの仲間が狙われたんだ。それだけで済んで可愛いものと思え。と言うのがホシノの談である。ぶっちゃけアビドスが修羅の国なのは1番先輩であるホシノのこの性格が影響しているのではないかと先生は訝しんだが、そうも言ってられない。と考えていた所だった。
アヤネのセリカを心配する声に、問題ないと返した直後。
まるで気絶するかの様にセリカが教室の床に倒れ込んだのは
「セリカ!?!?」
「ん……大丈夫。脈はある。気絶してるだけ、保健室連れて行く」
まあそれもそうだろう。flak41の対空砲を受けたのだろうとホシノは逆に歩ける方がおかしいと寝かせておきな〜とシロコがお姫様だっこでセリカを連れて行く後ろ姿を眺めながら呟く。
「はい。……これも先生が居なければ、どうなっていた事やら……」
「うんうん☆これも先生のお陰ですね〜」
「先生にはお手柄だよ〜」
名誉アビドス先生の称号をあげる〜と適当な事を言いながら寄りかかってくるホシノにされるがままにしていると、いつのまにか横にノノミが座っていた。私の肩に頭を乗せてくれるほどに距離が近くなったのは少し信頼されている証だろうかと少し嬉しくなる。
「……ではここから、ヘルメット団から押収した武器や散らばった戦車のカケラから、今のキヴォトスでは使用が禁止されている違法機種である事が確認されました」
つまりどういうことだろうか?と首を捻る私。キヴォトスでは禁止されているとか、違法だとかアヤネが言っている時点であってはならないモノである事は分かるのだがそれが何を意味するのか。正直言うと頭の中で繋がらなかった。
「つまりこの部品の流通経路を辿っていけばヘルメット団の後ろにいる存在が分かるという事ですね〜」
「はい。明らかにヘルメット団では手に入れることのできないような武器の数々。そして何故、その裏にいる存在が私たちの学校を執拗に狙っているのか
明らかになるかもしれません」
ノノミの補足説明に纏めてくれたアヤネの言葉でようやく実感が湧く。
それなら確かにそうだ。この前ヘルメット団のアジトに強襲した時、馬鹿げた量の物資や資材が積まれて置かれていた。それらはどこにでも流通しているモノばかりだったがあれ程の物資をヘルメット団に流したのも今回の違法機種に関して繋がっているモノだとするのならば調べて損はないはずだ。
「うん。じゃあ調べて行こうかー」
いつの間にか立ち上がっていたホシノの音頭で作業が始まる。
あれ、そういえばといつぞやかの記憶に消していた自分宛てだった筈の手紙をノノミが回収してくれていた筈だ。
「そういえばノノミあの手紙の中身見た?」
「手紙……ですか?………ああ、ああ〜安心してください☆ただの迷惑メールでしたよ?」
何となく聞いただけなのにこのノノミの驚き様。一体何に驚くべき要素があるのか訳が分からないがノノミがそう言うのならきっとそうなのだろう。
◆
「ホシノ先輩〜。私、大丈夫でしたよね〜!?」
「うへ〜……危なかったねぇ……」
◆
夜になったアビドスの校内を歩く。
常に不夜城となっている(仕事が終わらないという意味で)シャーレとは違い普通の学校の様に、必要な所だけ電気を付けているアビドスと言うのは先生にしても新鮮だ。今も尚アヤネはパソコンに向かって何かを調べているし、シロコやホシノは戦車のカケラや押収した武器を整理している。ノノミは今は料理を作っている様だと私は1人気絶していたセリカの元に向かったのだった。
「セリカ。大丈夫?」
「うぇ!?先生!?……ど、どどうしたの!?」
保健室の中に入れば、特に顔色とかも悪くないセリカの姿があった。
外傷とかも無いみたいだし疲れて意識を失っていただけかと私は1人胸を撫で下ろしながら、セリカは無事かと問う。……うん。まあ私が来るとは思っていなかったのか非常に驚かれたのはあれだが。
「一応、お見舞いに、ね」
「……あ、りがと……私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないし」
病人にはと経口補水液を手渡し、セリカの近くに座る。
フラつきながらも立ちあがろうとするセリカの肩を抑えながらもう少し休む様に声をかける。アヤネたちの手伝いやバイトがあると言っているが、ただでさえ狙われているというのに私程度の力で抑え込めるのならまだ動かない方がいい。
「………。あ、あの!」
「……………っ?」
耳元で大きな声を出されたら流石に私も驚くと、声をかけてくれたセリカのその次を待つ。一体何を言いたいのだろうか。少し待った所でセリカが震える声を抑える様に小さく呟いた。
「もし、もしも……私たちが、アビドスが先生に隠している事があるって言ったらどうします、か?」
「?」
いつものセリカとは思えないほどにしおらしいセリカの姿に先生も首を傾げる。隠し事…と言われても、私はシャーレでアビドス生とは関わって数日だ。そんな何もかも明かす様な深い信頼関係がもう出来ているとは思えないので、隠されていても何らおかしくは無い。
「本当は言わないといけないのに、私たちがそれを隠してるって言ったらどうするの?」
「…………待つよ。君たちが“それ”を伝えてくれる時まで」
俯くセリカを慰める様に髪を撫でる。どうやら隠し事をしている事にセリカは強い罪悪感を抱いているのは明白。だけどそれがどうやら私に繋がるとまで言われると気になるがまあこう言うのは気長に待つべきと相場は決まっている。
「……やっぱり先生は、先生よね。」
「え?」
セリカの呟きに私は聞き返す。聞こえなかった。一体何を言ったのだろうかとも思うが、どうやらその顔を見たらどうにか解決できたらしい。良かったと思う。
「先生……その、ありがとね。」
助けてもらった事とかお礼できてなかったから…と言うセリカは更に照れ隠しと、まだこれぐらいでアビドスの役に立てた訳じゃ無いから!と言う姿にはホッコリする。
「…………。」
「先生」
「?どうしたの…」
立ち上がり私の横に来たセリカは、背伸びしてまで耳元に近づきまるで内緒話をするかの様に小さな声でこう伝えた。
「私たちが持つのは“釘”…それと連邦生徒会には気をつけて」
「……………どういう……」
「じゃ、先生。……そのまた明日ね!!」
一体それはどういう意味なのだろうか。そもそも連邦生徒会に気をつけてとは何が言いたいのか。それを私が飲み込むより先にセリカは満面の照れた笑みを浮かべて走り去って行く。
───アビドスの夜が、始まろうとしていた。
「……格下のチンピラ程度では、あの程度が限界か」
同時刻。何処かのオフィスビルの一室でそのヒューマノイドは報告を読み取り落胆する様に報告の内容を見る。曰く、主力戦車さえも放出したのにあの程度の戦果とはともはや嘲笑うかの様に報告書を投げ捨てる。
「と、なると生徒には生徒を。……専門家をぶつけるべきだろう」
もはや笑うしか無い物量の差さえも一方的に覆す。それが生徒と言う存在であるのなら、同じ生徒をぶつければ良い。目には目を、歯には歯を。古来から変わらない鉄則だと機械仕掛けのその腕を動かし、何処かへと電話をかける。
『はい。どんな事でも承ります。便利屋68です』
「仕事を頼みたい。便利屋」
そのヒューマノイドの所属を、人は“カイザーPMC代表取締役”と言った。
銃撃音が鳴り止まない。爆裂音が鳴り止まない。
だがそれは戦いの音では無い。まるで狼が獲物を狩るかの如く、まるで獅子が獲物を追い込むかの如く、一方的にそして圧倒的にヘルメット団を狩っていく。一体敵がどれほどの人数なのか、どんな武器を使っているのか。それさえも分かる事も出来ず1人、また1人とヘルメット団は意識を落としていく。
「ぐぁっ……!!」
そしてまた1人、暗闇の中からの一方的な狩りを前に手も足も出ずに地面に伏していく。だが、そのヘルメット団の1人はある意味で運が良かった。そんな狩りを行った気高き獣たちの姿を見る事が出来たのだから。
「お、お前たちは……一体なんだ」
「あーあー。こっちは終わったよ」
「こっちも同じく。ボス…どうする?」
怯える声に興味も示さず、その影から三人の少女が姿を現す。
1人はまるで猫がネズミを嬲って遊ぶかの様な笑みを浮かべて、1人はこちらをまるでモノを見下す冷酷な視線が、1人は弱さを憐れむ様な視線で少女たちの言う“ボス”の存在を待つ。
「放っておきなさい。今更、点数稼ぎにもなりはしないわ」
「うああああああ!!??」
三人の少女がまるで敬愛するかの様に視線を下に向ける。その瞬間、鳴り響く基調的な足音と共にヘルメット団の背中に突きつけられた冷たい冷たい銃口の先。間違いなく、今ヘルメット団を一方的に壊滅させた奴らを率いる“ボス”の風格を滲ませる無感情な声色と無慈悲なまでの宣告を前に、遂にヘルメット団は悲鳴を上げる。
「辛気臭いアジトね。まるでドブネズミの巣みたい」
「……いいわ。あなた達に解脱の境地をくれてあげる。」
「な、っ何を……」
嘲る様に憐れむ様に呟くその“ボス”の声はまるで逆らえないカリスマだ。
……いや。逆らうだけ無駄だとその時点でヘルメット団の心はたった4人に屈服していたのだ。
「要するにクビよ。リストラ。……アビドスの一件はこれから私たちが引き継ぐわ。」
「ふ、ふざけるなぁ!!??」
だがどこの世の中にも意外としぶとく、ある意味では肝の座った輩がいるらしい。
心は既に勝てないと分かっていながらも認められないとばかりに這いつくばったまま吠えるヘルメット団の誰かが居るのだ。それを勇気と言うのか蛮勇というのか。……だが少なくとも今は後者らしい。
「これはお願いじゃなくて命令よ」
「今この時刻を以てあなた達の依頼はこの便利屋68に引き継がれた。」
だがそんな抵抗も見飽きたとばかりに、その少女たちのボスは冷酷に告げる。
まるで鮮血を被ったかの様な赤色の髪をたなびかせ、鋭く光る黄金色の眼差しとその特徴的なツノはまるで悪鬼。地獄の底から手招く冥府の番人。
「そう。便利屋68がね」
彼女たちの名前は便利屋68。
百戦錬磨の怪物たちがアビドスへと手を伸ばしたのだった。
「アルちゃんまた変なの読んだよね。」
「うん…まあ好きにさせたら良いんじゃない?」
「あ、あわわわわ…せ、先生と会うのにこんなので大丈夫でしょうか……」
伏線は密やかに、されど大胆に♤
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