内心1「ぼけー!肝心な生徒との絡み書いてないやんけ」
内心2「あのぅ…今から書きましょうか?」
内心1「あほう今から急いで書いたモノの出来がいいわけないやろがい」
内心2「なら明日までに仕上げましょうか」
内心1「それなら……まあええやろ…」
昨日。『ここから、そして永遠に』を投稿した後の壮絶な自問自答の記憶である。
「………全て、私のミスでした」
ボンヤリと、光だけがある空間に1人の長髪の少女が立ち尽くす。
かろうじて青髪と分かるその頭上には壊れかけの輪が淡く光っていた。
「いえ…考えれば分かるかも知れない蛮行。」
その全て、一切合切私の責務でしょう。
悲しげに立ち尽くすその少女の姿は揺れ今にも消えそうな儚さと共に近づいてくる。……その時になってようやく分かった。この少女はとても怒っているのだと。悲しみに耐えながらも怒りと嘆きに支配されているということを。
「私たちは“その先”を用意した」
「その先には何も無い荒野が広がるだけだったというのに」
もはや意味のないことを。とその少女は首を横に振る。
ゆっくりと語るその少女はついに片目から涙を流す。どうにかその涙を拭えないかと手を伸ばすが………そうだ。今の自分には
「今更になって図々しくともお願いします。【先生】」
…………そうだった。そうだ。私は【先生】だ。
………【先生】?一体誰を導く先生だ?
「繰り返した先の結末。【先生】の相棒の
「ですが。今になって尚、天秤が揺らされるというのなら」
少女の声は片耳に脳裏に多くの情景が浮かび上がる。
自分はこれを、これらを知らないのに知っている感覚。
まるで忘れるなと言わんばかりに何度も何度も繰り返される記憶。
全てを忌み嫌い完全に閉ざしたアビドス
狂乱の檻に囚われ禁忌に手を伸ばしたミレニアム
怒りと狂気に狂い、互いを傷つけ合うゲヘナとトリニティ
自らの存在理由を投げ棄て秩序を乱すヴァルキューレとSRT
そして全ては閉じた楽園の中、怒りと嘆きと絶望に沈んでいくキヴォトス
「全て忘れてしまって構いません。」
「何も知らなくても、貴方は必ずその“選択”を選ぶでしょう」
記憶を1つ思い出しては消えていくたびに、自分の身体が構成されていく。
そうだ。自分は、【先生】……あの子たちの。“シャーレ”の【先生】だ。
何故“そう”なのかは分からない。何故“先生”なのかは分からない。
でも、魂がそう言っている。でも、心がそう叫んでいる。
「お願いします。私たちの────────」
あの子が泣いている。泣きながら笑っている。
最後に名前だけでも聞きたかったというのに口を開いても声にはならずただ空気が漏れ出るかの様にパクパクと口を動かすことしか出来ない。
◆
「……せい。せんせい。……先生!!」
意識が少しずつ覚醒する。まだ寝たいと思いつつも肩越しに揺らされる自分の身体に“何故か”新鮮味を覚えながらも少しずつ目を覚ます。その最中、本来ならあり得ない頭の後ろの柔らかさに気がつく。
「起きましたか?………おはようございます」
周囲を見渡すよりも早く、その顔面がどアップで近付いているのに驚く。
空の色そのままの様な青い瞳にメガネをした鋭く尖った耳が特徴的な黒髪の少女。
初めて会った…つまりは初対面だというのに何故かその視線には強い、強い感情が見え隠れしていた。
「では僭越ながら。……【先生】は何処まで覚えていますか??」
「…………どこまで??」
何を、言っているのだろうか。跳ね上がる様に飛び起きるとその少女は椅子に座りながらこちらを期待している様な目で見ている……が。残念ながら私は何も知らないのが現状だ。それを示す様に首を横に振ることしか出来ない。
「………っ!?………い、いえ。【先生】はこちらに来たのは初めてですものね」
まるで酷く何かに驚くかの様に目を一瞬見開いた後、その少女は首を横に振り立ち上がる。その時、私はようやく目の前に立つ少女には本来人間ならついていないはずの頭上に何か輝く輪がついていることに気がつく。
「では……案内させていただきます」
その少女に連れられ自分はエレベーターに乗り込む。次第に上に上がる浮遊感と共に外の景色が見える。そこから見える景色は多くのビルが立ち並び、遠くでは海の青さが反射している。そしてそれに負けじと輝く空の青さ………何故だろうか。この景色に酷く安心を覚える自分がそこにいる事に気がついた。
「まず私の名前を。……私は七神リン。ここキヴォトスの連邦生徒会に幹部として所属しています。」
親しみを込めてリン。とお呼びください。
そう少女…リンは会釈する。リンという名前と共にここキヴォトスの名前を何度も何度も噛み砕く。私は“キヴォトス”に呼び出されてどこかで【先生】をしなくてはならない。という事だろうか。
「キヴォトス。それは数千の学園が集まって出来た学園都市。」
「そして……今から【先生】が働く場所でもあります。」
なるほど…と一応は理解しておく。
最低限の説明を聞いたところでエレベーターが目的の階を知らせるチャイムを無機質に響かせる。そうしてその階には4人の少女が思い思いに立っていた。
「【先生】…来たのね!?」
私が反応するよりも早く、その少女が飛び込んでくる。
特徴的な菫色の髪をツーサイドアップにしている、制服の上にジャージだろうか?それらしい白色を着崩しながら飛び込んでくる。どうにか受け止めるとその頭上の輪がよく見える……輪は黒色で中に藍色のラインが入っているのを見るにこの頭上の輪は1人1人違うのだろうか。
「少しはしたないですよ。ユウカさん」
「【先生】に会えたのが嬉しいのは分かりますが」
その後ろから残された3人も近づく。最初に苦言を言った少女は私…よりももしかしたら背丈的に大きな子で長い黒髪とそれを超える様な大きな黒い羽根が特徴的な少女。そしてもう1人、白い髪に少々小柄な少女。……この時に気がついたが全員、銃を携帯している様だ。
「………ここで争うつもりはありません。」
まずは主席行政官の話を聞くべきでしょう。
そうベージュの髪をたなびかせて最後残っていた子が声を上げる。…だというのにその視線は私にずっと向いたままなのがどうも気になるがそうも言ってられない。
「はぁ……
そうして4人の少女に囲まれていると、横に立っていたリンがわざとらしく大きなため息を吐いて声を上げる。……普段、仲の悪いとはどういう事だろうかと脳裏に違和感が走った瞬間、目の前の4人がまた声を上げ始める。
「そう。なら早くしてもらって良いかしら?」
会長もノアもコユキも…ひいては多くが【先生】の登場を心待ちにしているの。
そう。先ほど一番に飛びついてきた少女…ユウカと呼ばれた少女がリンに向けて皮肉とも取れる少し棘のある言い方で声を上げる。
「それは難しいでしょう。」
「はい。ミレニアムで【先生】を受け入れるのは些か難しいのでは?」
その横から長い黒髪の子と白い髪の少女が待ったと言わんばかりに声を上げる。
どうやら聞いているとこの2人は同じ学園に通っているらしいとだけ分かった。
「問題児を多く抱えるミレニアムも色々と問題事が多いトリニティも【先生】の安全が考慮されてません。」
やはり私たちゲヘナの“風紀委員会”が【先生】と共にするべきでしょう。
一番物理的に遠くに居ながらも、一番強い視線が向けられていた少女が更に待った!と言わんばかりに声を掛ける。
ここまでの情報を整理するならば…この場には少なくとも3つの学園の生徒さんが来ているという事になる。“ミレニアム”、“トリニティ”そして“ゲヘナ”。この目でその学園の内情を見ていないからあまり何も言えないがミレニアムでは問題児が多くて、トリニティでは何かあるのだろうか?……ならゲヘナは?と首を捻っていたら先の3人が食い気味に否定してきた。
「一番治安の悪い“ゲヘナ”が言えることではないわね」
「よくトリニティの前でそんな戯言が吐けたものですね」
「………………………」
ユウカと黒髪の少女が…訳すると一番ゲヘナが酷いだろうが!というカウンターを叩き込み、それに白い髪の少女は何も言わない。ここまでで学園の話を聞いているとどうやら互いの学園はあまり仲が良いわけではないらしい。語らずともリンの言っている事が理解できてしまった。
「そこまでにしていただけますか?暇人の皆様方」
「「「「誰が暇人だ(ですか)(よ)」」」」
そうこうしているとリンが4人の少女の言い争いを止めるかの様に話しかける。
どうもこうもリンも喧嘩腰だが……当の本人が完全に置いていかれているのはどうすれば良いだろうか。と苦笑するしかない。
「【先生】は連邦生徒会直属の捜査部“シャーレ”の顧問として招かれました」
これは決定事項です。とリンはピシャリと言い切る。
私はどうやらその捜査部という物々しい所の先生として呼ばれたらしいとだけ分かるが……
「それに先生の安全性に関しては何の問題もありません」
「「「「………………」」」」
そのリンの一言に4人とも苦虫を噛み潰したかの様な表情をした後、沈黙した。
そんな少女たちの姿に図星なのか…とふと思うがその後に続けられたリンの言葉が何か引っかかった。
「聖槍に……聖骸布」
「それと瞳…でしょうか?」
「回答は拒否させていただきます。……それではとりあえずシャーレへ」
意味深に呟くユウカとゲヘナ所属の少女の言葉にリンは考えることもせず切り捨て、私に視線を寄こし移動することを目で訴える。それに私は了承代わりに頷いた直後だった。……リンのポケットから着信を訴える音が鳴ったのは。
「こちらリン……どうしたのモモカ?」
[こちら交通室〜どう先生と再会出来た??]
「ええ。そして今からシャーレに乗り込……」
どうやら私の知っている電話である耳に当てる仕組みではなくホログラムで向こうと通話するらしい。そんなSFじみた通話の方法で目を輝かせていた所だった。
[いやーそれなんだけどね〜……あっ!おっはー!先生]
「それが………まさか………」
リンと通話していた少女…ピンク色の髪をした今までキヴォトスで会った中で一番幼いであろう少女は電話越しに私に手を振ってくれた様だ私も小さく手を振り返すとニンマリと満面の笑みをした後、リンとの会話に入り込んだ。
どうやらおはようと言ってくれているあたり私が寝ている間にでも一度会ったのだろうか?そんな栓のないことを考えていたら横でリンが頭を抱える仕草をした。
[十中八九狙ってるだろ〜ね?]
「あっの……災厄の狐……!」
リンは頭を抱えながら恨み言を口にする。聞いている話だとその“災厄の狐”という“誰か”或いは“何か”で問題があったらしい。
「防衛室長にも見張ってる様に頼んだんですけどねぇ!!?」
[あはは〜無理無理。カヤ室長今ヘラってるもん。]
「……………まあ。良いでしょう」
さらに聞いているとその“災厄の狐”を見張るために防衛室長という多分結構偉い人…名前をカヤと言うのだろうか?その人まで動かしたのは良いものの、そのカヤさんは……
「あの狐が狙うのは……シッテムの箱」
[そしてあわよくば“シャーレ”の破壊だろうね〜]
話を聞いているとその“シッテムの箱”というのは【先生】に必要…つまり私が必要とするもので、そしてその箱と“シャーレ”…つまり私のこれからの働く場所を破壊しようとする輩らしい。
「と言うわけで……先生と愉快な暇人の皆さまwith私。」
リンは指さしで名前を上げていく。……いやうん。その暇人として纏められた4人もどうやらその“シャーレ”とやらに共に行くことになるらしい。本当にそれで良いのか?と4人を見ると全員、自前らしい銃を構えて準備万端だと頷く。
「行きましょうか……“シャーレ”に」
◆
「ふむ…バカとハサミは何とやらとは言いますが……」
外の怒号やら銃声を尻目に1人の少女は暗闇の中を歩く。
その少女はとりわけ夜目が効くわけでも、何かライトを持っているわけでもない。それでも壁に手を付けることなく…
「まあ。その内の“バカ”が言っても何の意味もないですわね」
オホホ…と1人でツッコミ、自嘲しながらその少女はひたすらに歩く。
右に左に…真っ直ぐに行った先に、一つのドアに着いた。
「……お邪魔しますよ」
無人の部屋の中淡く…最低限のライトだが、この部屋には光があった。
それもそのはず、ここには【先生】が利用する資材を作る“クラフトチェンバー”ともう1つ。絶対に見逃せないモノが安置されている。
「ありました……これが」
デスクの上に置かれた1つのデバイス。タブレットの形をしているが何処で製造されたのか。OSも構造も…さらには動くシステムも完全に謎に包まれた代物。それが
「シッテムの箱」
【先生】が【先生】たる機械であり、そして私たちが“これ”のせいで【先生】を止めることが叶わなかった…謂わば忌むべき代物であることは確か。
「………我々は望む、七つの嘆きを。我々は覚えている、ジェリコの古則を。」
このシッテムの箱の起動パスワードは識っている。
いつも常に、我が身は【先生】と共にあったのだ。だというのに……
「開きませんか………」
まあ。そうでしょうね。
という納得と共に、シッテムの箱をもと有った場所に戻す。
これで開くというのならもっと先にこの箱は動いていたし、わざわざ【先生】を喚ぶ必要など無かったはずだ。だけどもしかしたら…もしかしたらの期待はあった。
「“指”を持つ私なら……と思ったんですがねぇ……」
自分の胸元。絶対に奪われない自分の最も安全な所から小さな木箱を取り出す。
これは私の罪。決して逃れることも目を逸らすことも許さないし許されない罪禍にしておおよそあらゆる場面で逆転を、奇跡を一度だけ起こせる代物。
連邦生徒会や各学園で保管している“第一級聖遺物”には格が劣るがそれでも。
「………今度こそ。ここから」
そして永遠に。
そのために私は……狐坂ワカモはあなた様の前に現れるのですから。
現在進行形でヘラってるカヤ室長「うわぁぁぁぁぁもう駄目だ逃げられるぅぅぅ!!無理だよぉ先生ぃ…先生ぃぃぃぃ!失望されるかなぁ?ねえ失望されるかなぁ?!?」(髪の毛をぐちゃぐちゃにかき乱しながら&半泣き)
反応があれば続き…ます??