ブルアカハーフアニバーサリーおめでとう。
今回のハフバガチャでミカや水おじ狙う先生とかいますか??
あ。ちなみ作者はミカ難民です。
深い、フカイ、深い夢に落ちていく。
意識だけが落ちていくという稀有な事態に私は特に逆らう事もせずにこの感覚に身を任せながら目を閉じる。
ふと、こうしているとここまで“寝る”という行動をするのは久々だなと感じる。
いつもならシャーレの部室のソファーで横になって仮眠をとるぐらいしか出来ないほど忙しかったのだから。砂まみれの道路の上とは言え、こうして深く眠りにつくことなんて久しぶりの事だった。
──夢を、見た
燃え盛るキヴォトスの夢を。
何度かシャーレの見回りをした時に会った子と非常に似ている子たちまで。
でもその夢は悪夢に等しくて。
会った事の…それも私を親しんでくれる少女たちの目は血走り、涙と血を流しながら銃の撃ち合いを止めない少女たち。銃弾が無くなったと見れば素手で殴り合う、そんな凶相に私は一目で夢である事が分かった。
諦めたように濁り切った眼差しで銃を構える少女がいた。
雨に濡れて、それでも尚滂沱の涙を流す少女がいた。
自分に銃を構えて、そのまま事切れた少女がいた。
獣のような凶笑を上げて銃を乱射する少女がいた。
致命傷を負いながらも胸元に“何か”を抱えたまま瞳を閉じた少女がいた。
「「「「「先生」」」」」
私の、名前が呼ばれた。愛おしそうに、苦しそうに、悲しそうに、噛み締めるように、狂おしそうに私の名前を誰かが呼んだ。
──────そうして私は目を醒ます。
◆
シロコ…改め、砂狼シロコはまだ砂に埋まっていない道路を自転車で疾走する。
まるで暴走するかのような速度でシロコはペダルを踏み抜く。
砂山をまるでスキーのように飛び出し、目の前に障害物があれば自慢の銃で破壊し自転車が通れる隙間を無理矢理作り今、シロコは風になる。
タイヤからは火花が散り、普段なら通らないような裏路地も駆けて抜けていく。その間に数名ヘルメット団っぽいのを轢いた気がするけど、ドローンで追撃して来たからヨシと周囲を目を凝らしながら最初の地点に到達する。
………そう。そこは私と先生が最初に会った場所
「…………いない…か」
会った路地には先生の姿も影もなく、鼻を鳴らしながらいつも脳裏に焼きついている先生の匂いを辿ろうにもここには来ていない事が分かる。当たり前の話だが一日のズレというのは小さくとも大きい。
この辺りで待つのが得策か。それとも探しに行くのが正解か。
シロコは一瞬迷った結果───────自転車に飛び乗り、砂嵐を纏いながら走り出した。
わかり切った話だが…お金が足りないとなった時にすぐに銀行強盗を考えるようなじゃじゃ馬娘に“待つ”だなんて方法が取れるわけが無いのである。
「………いない」
まず最初にシロコが辿った道は、最初に会った場所から逆算しアビドスに近い駅まで走る事だった。人気が失われシロコの自転車が砂をかき分ける音だけが周囲に響く中、シロコは何度も何度も鼻を鳴らしながら先生の匂いを嗅ぎ取ろうとする。
「………………っ……」
次にシロコは駅からの道を手当たり次第、探した。
少しでも先生の匂いを、足跡を探して“先生”という存在を実感したかった。
だというのにどの道にも、どの方角にも先生がいたという証拠が見つからない。
「……………違う、違う」
嫌な考えを振り払うように首を横に振るシロコの目は潤み、半泣きになりながらもその足を止めることはしない。……絶対に、絶対に違うのだ。“先生がアビドスに来ない”だなんて…“何かの取り違えで手紙が届いていない”だなんて有り得るはずがないのだから。
「………………っ!?」
ふとシロコの耳が捉えた呼吸音。明らかに小動物ではない人ほどの息。
それにしては吐息が薄すぎるとシロコが気がついた瞬間。最悪の発想と共にシロコは飛び出す。
そこには───────
「先生……!」
ずっと、ずっと夢に見ていたその横顔。
野宿のつもりだろうか。丸めた上着を枕にして横になって寝ている【先生】がいる。
その瞬間。シロコの胸に溢れた感情をなんて言おうか。
親愛?歓喜?哀愁?……いや。そんな言葉では表しきれないほどの喜びがシロコの胸を満たす。シロコの狼耳が喜びを表現する様にピンッと立ち上がっているのを気にする事もなく、シロコは先生の側に急いで且つ一切の音を立てずに近づいていく。
「…………ん。寝てるみたい…」
どうやら本当にただ、ぐっすりと先生は寝ている様だとシロコはとりあえず安心する。熟睡している先生は目が覚めにくいとは前も一緒だったけど、それはよくよく考えると忙しすぎるから纏まって寝れる時間は寝ているだけなんじゃ無いかと薄っすらと先生の目元にクマが出来ているのを見てシロコはふと考えてしまった。
とは言ってもこのままなのは少し暇だと先生の隣に腰を下ろしたシロコは手持ち無沙汰に空を見上げた。あと数時間すれば日も暮れて、夜の砂漠は寒くなる。
今の先生の服装だときっと寒くなってしまうだろう。…もしそうなったら私が抱きついて熱を共有すればいい。ん、完璧とシロコは自問自答で解決法を編み出した。
「……………………………」
次第に暇になりすぎたのかシロコは先生の枕の横に正座し、一息で先生の枕を奪いその隙に先生の頭を自分の膝の上に乗せる。まさに神業。先生に一瞬でも違和感を感じさせる事もなく、そして物音一つも立てずに行われたその無駄に洗練された無駄では無いかもしれないけどやはり無駄な技能は、先生をシロコの膝の上で膝枕させる事に成功した。
「…………ん。……」
髪を撫でたり、頬を撫でたり…髪を噛んでみたり、首筋に顔を埋めてみたり。
自分の匂いを先生に擦り付けようとした所で、先生の意識が覚醒する様な気がした。
「おはよう。先生」
◆
「おはよう。先生」
目を覚ましたと思ったら目の前には銀髪の少女がいました。
どうも先生としてアビドス廃校対策委員会まで行こうとしたのは良いのですが、少し…いや中々、距離があったみたいで疲れていた私は路上に布を引いて寝ていた。
そして目が覚めたら……
「………お、おはよう、ございます??」
目の前には銀髪の少女が顔を近づけていた。
どうやらよく見てみるとその少女の頭にはちゃんと青いヘイローが浮かんでいるし、更によく見ると狼耳も付いていた。青色の眼差しの中の瞳孔だけが白と黒のオッドアイになっている。
「ん。よく寝れた?」
「……おかげさまで」
というかこの子は誰なんだろうか?と私は考える。
ここ、キヴォトスには生徒たちであるヘイローを持つ少女以外に人型の人は見た事がない。ロボットや動物の姿をした人ならあるがそれでも私と同じ様な人は居ないらしい。
まあそれを除いてもここは砂漠だし、まさかいい年した大人である私が襲われるはずも無いしと寝ていたらまさか起きた途端、目の前に人が居るとは驚きだ。
どうやら、飛び起きるとその銀髪の少女に膝枕されていたらしい。
「………それより、君は??」
「私?」
首を傾げる銀髪の少女に何というか得体もしれない罪悪感を感じてしまう。
昔会った人の名前と顔を自分だけが忘れている様な、そんな罪悪感。
けど、何度考え直してもこの子とは初めて会うのだ。間違いなく。
「私の名前は砂狼シロコ……ん。シロコと呼ぶべき」
よろしくと差し出された手を握る。
その瞬間、とてつもない力でシロコの腕に引き上げられ、強制的に顔と顔の距離を近づけられる。あわや額と額がぶつかると言った所でシロコの両手が私の頬を固定する。
つまり顔と顔の距離が非常に近くなっているという事だ。
「………えーっと私は」
「知ってる。“シャーレ”の先生……でしょ?」
その通りだと頷こうとするが、押さえつけられている現状では目で同意することしか出来ない。私が同意したと見るや否や、シロコはまた私が気が付かないまま抱きついてくる。その衝撃で後ろに倒れそうになるがどうにか踏ん張るが互いに抱きつく形になってしまった。
「ん……待ってた。ずっと、ずっと私たちは先生を待ってた……」
「……………」
私の肩で震えるシロコの姿を見て、私はただシロコを抱きしめて背中を撫でてあげる事しかできなかった。大人であり、先生である私を待っていたと言うのは今はアビドスの生徒しかいない。……それはつまりシロコはアビドス廃校対策委員会としてアビドスに残った5人の内の1人という事になる。
[少し時間は経ちまして……]
ひとまず落ち着いたシロコを引き剥がし、私たちは道路の端っこで膝を合わせながら話し込む事にした。私の予想通りにシロコはアビドスの生徒で今回、私に救援要請をしたからこの広大なアビドスを案内する案内役としてシロコが迎えに来たらしいが……
「つまり…すれ違ってしまったんだね?」
「ん。まさか先生を見つけるのにこんな時間がかかるとは思っても見なかった」
不覚を取ったと歯噛みするシロコを見て、申し訳ないという気持ちと共に庇護欲が湧き上がってくる様な気がする。涙目で見上げながらとても大きな感情を伝えるかの様なシロコの狼耳がピクピクと震える姿にまるで大型犬の様な愛くるしさがある。
「……撫でる?」
「………ん゛っっ……」
まさか私がそんな興味津々でシロコの頭の狼耳を見ていたわけではない。
………うん。まあ正直に行かせて貰うと、時々シャーレ周辺で会う獣耳の子や、羽の生えている子たちの肌触りがどんなのか気にならなかったかと言われれば嘘になる。
こうして、今回のシロコの様に感情が獣耳に反映されている子は珍しいから気にならなかったと言われれば嘘になる。
「…………先生になら、いいよ?」
「……………………………」
そうやって上目使いで撫でやすい様にと耳を傾けるシロコを前に、私はどうするべきが正解なのか考えているうちにシロコの方から寄ってきた。ジリジリ…と滲み寄ってくるシロコに腕も掴まれ、私の腕は万力の力でシロコの頭を撫でようとする。
そうして、私は抵抗を諦めた
「────────────んっ……!」
「……………………………」
「せ、んせ……もっと─────」
「……………………………」
「ん……そこ……もっと、強く……ん……」
〔しばらくお待ちください……〕
頭を撫でただけだと言うのに私は何故か非常に疲れ、シロコはツヤツヤ…と言わんばかりのSEを出すかの様に色艶が出ていてこれまた何か逆なような…逆でもあれだがそんな変な感想と共に私はシロコに俵抱きにされた。
「……………えっ?」
「ん。この方が早く着く」
どうやらシロコは自転車で来ていたらしく、困惑する私を置いてシロコは私を抱えたまま自転車に乗り込む。片手運転だから危ないよと声をかけてもここは人がほとんど居ないから大丈夫。とペダルに足をつけた。
まあそんなに速度を出さないのかと私が歩くぐらいの速度を想定していた
「じゃあ。飛ばすね」
「…………ん?……っ!!」
瞬間、景色が斜めに動いている様に見えた。
顔面を圧迫する様な空気の流れに私はようやくシロコの自転車がどれほど速く漕いでいるのかを知った。タイヤが地面を強く擦る音と共に、私の口から漏れ出る悲鳴を置き去りにしてシロコは自転車を漕いで行く。
「大丈夫?」
「……だいっ、じょうぶ!だけど……」
この速度に慣れてきた頃、シロコが丁度いいタイミングで声を掛けてきた。
……ただまあこの姿、安全に宜しくない上に非常に私の腹筋まで悲鳴を上げかねない危険な体勢だった。
「…………じゃあ私に抱きついて?」
「ん?」
そんな私の内心を悟ったのかどうか分からないがシロコは途中で足を止めて所謂“おんぶ”の体勢になってと声を掛ける。
「ん。先生は楽な体勢になれる。私は両手が使えて更に速度を出せる。完璧」
このまま進んで行くと日が暮れちゃうよ。と言うシロコに私も腹を括るしか無い。
これがもし私が意識が朦朧としていたなら恥ずかしく無いのかも知れないが、今の状態で生徒におぶられるというのは少々恥ずかしいものがある。
まあ。背に腹は変えられないのは間違いないのだが。
「ん。完璧になった」
「………先生のメンタルはボロボロだよ……」
私の腕はシロコの首を絞めない様に絡み、足も邪魔にならない様にペダルに掛けさせて貰って自転車はようやく動き出した。
シロコの後ろから見る自転車の景色は普段、電車に乗っているかの様な速さに心地よい風が当たり、景色を一望しながら進む。
ただ…その、目の前に障害物があれば銃を取り出してそれを破壊してまで進もうとするのはどうかと思う。捨てられて長い時が経っているとはいえ家の塀を破壊するのは流石にやりすぎとは思いたい。
「……………着いた」
「シロコ。ありがとう」
体感10分程度。道中、小規模な砂嵐が有ったから私の顔はシロコの髪に埋められたとか(いい匂いはしたがね?)、シロコが持っていた予備の水筒から水を飲まして貰ったとか至れり尽くせりで私は学校の校門の前に立った。
「ここが……」
「そう。ここが今のアビドス高等学校」
地面には大きな陥没穴や明らかに整備されていないコンクリートの道を抜け、そこには非常に威圧感のある白塗りの学校。校舎の一番目立つところには貰った手紙と同じ校章が付いていた。
「先生。」
別館という話だったが、それでも非常に大きな校舎に圧倒されていると横から自転車を片付けたシロコが寄ってきた。
「今日から、宜しく」
まさかシロコがそんな先生の寝ている隙に先生を襲うだとか、わざと自転車で遠回りしたとか、わざと砂が荒れそうな所に突っ込んで自分の匂いを嗅いでもらおうとか、間違えてシロコ自身が口を付けてしまった水筒を渡してしまったとかするわけないもんなぁ!?
あ。ちなみにシロコの頭を撫でた頃から各地で羽用の高級ブラシや耳や尻尾用の高級シャンプーや香水など高級美容品が急に爆買いされて店舗から消える現象が発生したんだって不思議だね!
感想、評価お待ちしてます。
……うーん。作者が想定してるより進みが遅いなぁ。
水曜日にもう一度更新するかもです。