久しぶりの初投稿でミスりました!申し訳ございません!
それでは本編どうぞ!
広大な草原。舗装されていない砂利道。そんな中を10両の戦車が、1両の戦車を攻撃していた。一見酷そうに見えるが、これはれっきとした試合なのだ。その中の1両から通信が入った。
『隊長。この先は行き止まりです。一気に仕掛けましょう!』
「焦るなエリカ。急いては事を仕損じるとも言う。ここは冷静になれ」
『私もエリカさんの意見に賛成だよ。早くしないと、折角のチャンスを逃しちゃうもん』
『み、副隊長は、最も真剣になってください!』
『ご、ごめん』
「…わかった。副隊長とエリカの意見を尊重しよう。各車両この先の採石場で決着を付けるぞ」
『了解!』
「それじゃあ行くぞ!
そう言って、10両の戦車は全速力で採石場へと向かうのであった。一方、採石場に既に到着していた1両は山の頂上から、戦車大隊の動きを双眼鏡で覗いていた。
「パンターG型が3両、ティーガーⅠが2両。ティーガーⅡが1両。ヤークトパンターとラングは2両づつか…流石に足が遅いヤークトティーガーとマウスは出てきてないか…」
山の頂上にいる1両の戦車はⅢ号戦車J型。そんな彼は10両の戦車大隊を前にして、特に怯えた様子はしていない。そして、双眼鏡をしまうと操縦席に座り考え込むのであった。
「…とりあえず様子見かな?相手は、あの西住姉妹が率いている黒森峰女学園戦車部隊だからな。けど…」
そう言って、Ⅲ号戦車J型のエンジンを噴かした。どうしてこうなったかと言うと、彼は黒森峰女学園戦車道に喧嘩を吹っ掛けて来たからである。
事の発端は15両対15両で紅白戦を行っていたがその間に割って入ってきたのである。最初のうちは、様子見であった彼女達であったが、紅組、白組関係なく攻撃される様を見てしまい、王者黒森峰女学園のプライドに火が付いた。
しかし、あれよあれよ10両まで数を減らされてしまい、採石場まで追い込む事に成功したのだ。これで勝てると思っていた彼女達。だが、Ⅲ号戦車J型はあろうことか、10両に向かって飛び込むのであった。
「然らば、柴田流戦車道の神髄をとくと見よ!」
『敵戦車採石場上空より接近!』
「なに!?」
『やぁ~やぁ~我こそは柴田流戦車後継者なり!いざ尋常に勝負!!』
無謀と思われていた策であったが、10両の間を縫うように進んでいったⅢ号戦車J型は、的確に急所を狙い撃ち、あっという間にティーガーⅠ2両とティーガーⅡ1両を残すのみとなった。
「まさか、我々がここまで追い詰められるとはな…」
『どうするおねえちゃん?』
「…3人同時に攻め立てる。みほ、エリカ。合わせるぞ」
『了解!』
3方向からの同時攻撃。連携が取れていないと成功しない攻撃に、修也はキューポラを開けて、何かを投げ込んだ。すると周囲に煙幕が張り巡らされた。
『な、何よこれ!?』
「煙幕だ!気を付けろ!この機に乗じて攻撃してくるぞ!」
『了解!』
しかし、いくら待っても攻撃は来なかった。やがて煙幕が晴れるとⅢ号戦車J型の姿はなかった。
『何よ、尻尾を巻いて逃げちゃって…』
『う~ん…そうかな?』
「……」
果たして本当に逃げたのだろうか。常勝連勝している黒森峰戦車道をここまで追い詰める程の実力の持ち主が、怖気づいて逃げるのであろうか。そうまほが思っていると、Ⅲ号戦車J型が居た所に一枚の手紙が落ちていた。
『またの再戦を楽しみに待っています。柴田流戦車道後継者。』
「…柴田流戦車道か」
「どうしたのおねえちゃん?」
「…いや、何でもない」
そう言って、まほはその手紙を胸ポケットにしまうのであった。これが俗にいう『黒森峰の汚点』と言う、野良試合で出来た初黒星であった。
「戦車道」。戦車道は乙女のたしなみ!第二次世界大戦時の戦車を使った武道「戦車道」が華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている。そう、戦車道は女子のみが行う武道。男子がやるなんてもってのほか。
だが、彼
『戦車道は乙女の嗜み。男子が乗るなんてもっての外!』
そんな時代の中でも、彼は持ち前の技量と実力で生き抜いて行くのであった…
「pppp…」
時刻は午前6時。場所は大洗女学園艦内にある学生寮。黒髪に短髪。身長は170㎝前後。中等部はある部活に入っており、それなりにガタイがいい彼は、五月蠅く鳴っている携帯のアラームを止める。そして、時間を見て身支度を始めるのであった。
「う~ん…6時か…起きるか」
白を基調とし、両肩に緑のラインが入った大洗女学園の制服を男性用にカスタムした制服を着て玄関に向かう。その時にある物も同時に、取って外に出ていく。
「ハンカチよし。ティッシュよし。財布よし。スマホよし。あとは…コイツか」
そこは、車のキーみたいのが握られていた。だが、修也は車を乗らない。けど、ある乗り物のキーを持っている。そのキーを鞄にしまい、玄関に飾られている写真に向かって合掌するのであった。そこには、修也の両親が写っていた。
「いってきます。母さん、父さん」
修也の母親は、修也が生まれてすぐに亡くなった。元々体が弱い人で、修也を生むまでもつか、どうかだった。そんな彼女に寄り添って居たのが父だった。
その父も、修也が高校に上がると同時に、長年たたっていた肺がんが悪化し病死。死ぬ間際に『母さんは美人で気立てのいい人だった。お前もそんな人に会えることを、あの世で母さんと一緒に見守っているよ…』だった。
そして、現在戦車道がない大洗女学園に通っている。少子高齢化に伴い、近年では大洗女学園は男子生徒の受け入れも始めていた。その第一号が修也となっていた。
最初は珍獣扱いされていた修也であったが、2週間もすれば慣れたものである。そんな事を考えていると、校門前にたどり着いた。修也の席は普通科の窓際に陣取っているため、誰にも注目されることなくいけるかと思っていたが…
「おはよう」
「おはよう♪修也~」
「おはようございます。修也さん」
茶髪にウエーブがかかっており、どことなく優しそうな雰囲気が漂っている目の前にいる子は武部沙織。腰まである黒髪に気品溢れる仕草が特徴の五十鈴華。この2人は、修也が大洗女学園に、転校して来た時に色々世話になった人だ。
「2人は早く登校して来るんだね」
「ええ、家が華道の家元ゆえ、朝のうちに生け花をしてくるんです。沙織さんとは、校門前で出会いました」
「そうなんだよ。華の家って大洗で一番大きな家なんだよ!」
そんな話しをしていると、ある話題で話している女子生徒達の声が耳に入ってきた。
「ねぇ聞いた。この前の噂~」
「どんな噂なの?」
「何でも、学校の裏山から毎晩物凄い音が聞こえて来るんだって…」
「へぇ~アタシは、暴走族が毎晩走り回っている様な音を、聞いたって噂は聞いたけどね」
「ちょっとやめてよ~そんな怖い話」
そんな話しを修也は複雑そうな顔をして、聞いていた。沙織と華は心配そうに見ていた。
「……」
「どうしたの修也?」
「あまりお顔が優れないようですけど…」
「大丈夫だよ。それよりも、もう少しでSHR始まるようだよ」
そう言って、SHRが始まるのであった。その時転校生の紹介があった。
「あ、あの!熊本から、て、転校してきました。西住みほといいます。よろしくお願いします」
自己紹介がたどたどしい彼女を見てみると、ある学校で出会った事を思い出した。そして、彼女は修也の隣りの席になった。
「こんにちは。茂手木修也って言います」
「こ、こんにちは!あ、あの!」
「大丈夫。ゆっくりでいいから」
「は、はい…西住みほです。よろしくお願いしますね」
「うん。宜しくね」
そう言って、修也とみほは授業に集中するのであった。しかし、修也の頭の中では別の事が渦巻いていた。
(この子が西住家の子か…お姉さんと違って大人しそうな子だな…)
そんな事を思っていると3時間目の授業が終わり、昼食を取ろうとしていた時であった。突然沙織と華がみほを、昼飯に誘い出したのだ。
「へい彼女!お昼ご飯どうだい?」
「へぇ!?」
「沙織さん、西住さん困ってらっしゃいますよ」
「えっと…」
「はぁ、とりあえず武部さん五十鈴さん。食堂に行きますよ。西住さんはどうする?」
「えっと…迷惑じゃなければ、ご一緒してもいいかな?」
「うん!別に大丈夫だよ!」
「私も大丈夫ですよ。では、案内致しますね」
そう言って、華の案内のもと食堂へと向かうのであった。修也は断ろうと思っていたが、華に腕を掴まれて「修也さんもですよ」と無理矢理連れて行かれるのであった…
食堂にて、沙織と華とみほが一緒に座り、修也が対面する形で座った。ちなみに、華のご飯の量だけ特段多かったのは言わないでおこう…
「それじゃあ、改めて。私は武部沙織!」
「同じく五十鈴華と申します。以後お見知りおきを」
「茂手木修也だ。宜しく」
「西住みほといいます。よ、宜しくお願いします!」
「そう固くならなくてもいいよ~同じ高校生なんだし!」
「そうですわ。これからは仲良く致しましょうね。みほさん」
「は、はい…」
「大丈夫だよ西住さん。武部さんと五十鈴さんは、僕がこの大洗に来た時に、良くしてくれたからね」
「そ、そうなの?茂手木君って何時からここに来たの?」
「二週間前からここに通っているんだ」
「そうなんだよ~最初は、男の子ってどんな感じの子かと思っていたけど、修也って優しい感じがするんだよね」
「ええ、私も家の手伝いで、殿方と会いますがここまで優しい方を見たのは始めてですわ」
そう思われていた事に意外だと思った。そんな感じで昼休みが終わり教室に戻ると、ある3人組が待っていた。
セミロングの茶髪で、黒のリボンでツインテールにして、ちょっと小柄な女子生徒。おっとり系で長身、かつ巨乳な体型の女子生徒。片眼鏡をして、きりっとしている女子生徒。この3人こそ、大洗女学園の生徒会を指揮している会長、副会長、広報の3人である。
その中のツインテールの子が、みほの目の前に来てある提案をして来たのだ。
「君が西住ちゃんで合ってる?」
「あ、はい…貴女は?」
「アタシは角谷杏。一応この学園の生徒会長をしてるの」
「私は小山柚子。副会長よ」
「河嶋桃だ。広報担当だ」
「それでさぁ単刀直入に言うけど、これから行う部活紹介でさぁ…戦車道履修してよ」
「え?」
みほは、初め何を言っているのかわからなかった。しかし、杏の答えは変わらなかった。
「け、けど、この学園には戦車道は無かったはずですが…」
そう、みほが転校する条件として「戦車道及び戦車道関連の施設が無い学園」が絶対の条件だった。しかし、その条件は無情にも崩れされてしまった。
だが、生徒会のメンバーはそんな事お構いなしに説明を続けるのであった。
「ああ、今年から復活したんだ」
「それじゃあ、お願いね」
「じゃあよろしくね~」
そう言って、3人は出て行くのであった。出て行った途端にみほは膝から崩れ落ちそうになったが、寸前で修也が助けたため大事には至らなかった。
「おっと!大丈夫かい?」
「そんな…戦車道だなんて…」
「マズイな…誰か保健室まで付き添いが出来る子はいるかい?」
「それなら私が行くよ!」
「私も同行いたしますわ」
みほが倒れて、保健室に行くまでのあいだに先ほど話していた3人は罪悪感に駆られていた。
「大丈夫でしょうか会長。西住にあんな事を任せてしまって」
「…そうだよね。ちょっと急過ぎたかな」
「会長…」
「けど、四の五の言っていられないんだよ。これしか方法が無いんだよ…」
その眼にはある並々ならぬ覚悟があった。例え西住本人から恨まれようとしても…