アニメでフランキーの2代目声優が木村昴だと聞いたら、自然と手が進んでいました。
何処までも広がる青空。
真下にはモクモクと広がる雲が一面を白で覆い尽くしており、空から指す太陽の光もいい加減うんざりしてきた。
「ん~~そろそろ食糧もなくなりそうだね……」
「仕方ないよ。元々そんなに多く持ってきてなかったし……」
『って言うか、雲の上しか進めていないのが問題だろ』
プテラノドンのような意匠をしたバイク──【仮面ライダーバイス・プテラゲノム】の上で、入間とヤマトが自分達が置かれた現状に難色を示していた。
入間とアリクレッドがこの世界に迷い混み、現地人のヤマトと邂逅してから数ヵ月。
ヤマトの親友と言うポートガス・D・エースの命を示す“ビブルカード”が小さくなっていくことに危機感を感じたヤマトは、入間にお願いをして、生まれてから自分にとって監獄以外のような場所であった鬼ヶ島を抜け出し、必ずここに戻りカイドウを討つ決意を固め、親友のエースを救うために旅に出た…までは良かったが、そのあとが色々と問題だらけだった。
まず、島を出た先は酷い嵐だった。雨と雷に晒されてもリバイの鎧を纏う入間とバイクに変形したバイスは無事だっただろうが、悪魔の実というものを食べたヤマトはカナヅチらしく、万が一にも海に落ちたりしないように雲の上までやってきたのだが、その際に嵐に襲われて死にかける。
そして、肝心のエースの居場所が分からないということ。エースの命の危機を警告させたビブルカードには、その人物のもとへ向かっていくという特性があるのだが、分かるのはあくまでも方角だけであり、具体的な場所を特定できないという事だ。しかも、リバイ達は今雲の上。下が見えないので、ビブルカードを頼りにしていくしかないのだ。
「それで、今はどの辺りなの?」
「あぁ、ちょっと待ってくれ……あれ?前と方角が違う」
「え?通り越したってこと?」
ヤマトがビブルカードを取り出すと、昨日示していた方角とは反対方向を指しており、知らぬ間にエースのいる場所の上空を通りすぎてしまっていたらしい。
「引き返さないとなぁ……」
「それも分かるけど、一旦何処かで降りて休まないと、アリさんがもたないよ」
二日近く降りずに空を走っていれば限界もくる。
そう言うと、バイスを操縦する入間の後ろに座っているヤマトは目を輝かせる。
「降りるってことは……冒険だね!」
「そう、なるのかな…?でも、降りた場所が魔境かどうかは分かんないよ?」
どうやらヤマトは『上陸=冒険』と考えているようだ。
だが、この世界についての常識や地理も知らない入間は、降りた先に何があるのかなど分かる筈がない。
そこまで考えていると…突如、背後にいるヤマトが声を張り上げた。
「イルマ!前を見るんだ!!」
「っ!?」
咄嗟に入間が顔を上げると、目の前に広がる光景に顔を強張らせた。
そこには、赤黒い光を放つ巨大な穴が存在しており、そこから飛び出した巨大な腕が、物凄いスピードで迫ってきているのだ。
「う、嘘でしょ!!?」
『イル坊!騒いでねーで速くするぞ!』
上空とはいえ前には気を付けていた筈なのに、突然こんなものが現れたことに入間は驚愕しつつバイスを操縦し、迫り来る巨腕を紙一重で回避する。
しかしその瞬間、再びバイスの前に暗黒のゲートが現れた。
「なっ!?」
「しまっ……」
『回避できな…!』
イルマがとっさに避けようとするが、既に高速の勢いは止められず、入間とヤマトを乗せたバイスは、漆黒のゲートの中に飛び込んでしまった。
『……』
虚空に開いた穴からその光景を眺めていた異形は、無言で入間とヤマトとバイスが消えた場所を眺めていたかと思うと、その穴が閉じて、その場から姿を消してしまった。
とある漆黒の闇に包まれた部屋に、赤い光が発生する。
そして、その光が一層強くなったかと思うと、その赤い光から、二つの人影が飛び出した。
「あだッ!?」
「へぶっ!?」
「ぐはっ!?」
その人影──入間は、情けない声を出しながらその部屋の床に顔を打ち付け、そこへ自身よりも遥かに大きな体躯をした人物──ヤマトがのし掛かってきたことで、入間は潰れた蛙のような悲鳴を上げた。
「あったたた……何だったんだ、今のは…?」
「ヤ、ヤマト……色々当たって……」
「ん?あぁ、すまない!」
小柄な入間と大柄なヤマトの体格差により、ヤマトの豊満な胸が入間の後頭部に押し付けられるようにしてのし掛かってきて、入間は後頭部の柔らかい感触をなるべく考えないようにしながら声を上げると、ヤマトは申し訳なさそうな表情で立ち上がった。胸を頭に押し付けたことに関する羞恥心は無さそうだ。
「それで……ここは何処なんだい?」
「そ、それは僕にも……」
ヤマトが辺りを見渡し、入間は顔を赤くしながらも周りを見てみる。
闇に目が慣れてきて中を見ることが出来るようになると、その部屋は控えめに言ってもボロボロだった。木造建築と思われる部屋で、かなりの広さだ。
長いテーブルが三つあるが、どれも煤や埃を被っており、天井のものと思われる木材が床に落ちてテーブルの一部を破壊している。テーブルの上には、ボロボロの樽や、錆びて刃もボロボロの剣が何本か突き刺さっている。
入間はテーブルに突き刺っていた剣を引き抜いてから室内を見渡し、大工のアルバイトをしていた経験から、部屋の状態を推測する。
「……殆んど何か争ったせいで壊れた箇所もあるけど、壁やテーブルの具合から見て、放置されて数十年は経ってるね。何処かの廃墟かな……」
そこまで言ったところで、突如入間とヤマトの耳に音が聞こえてきた。
カツン……カツン……
それは、靴音だった。
入間は“オーインバスター50”、ヤマトは愛用の金棒“
「ヤマト……」
「うん、分かってる。こんな場所にいるなら……僕達をここに連れ込んだ奴かもしれない……警戒するに越したことはないね」
そう会話している間にも、その靴音はどんどんと近付いていき、二人は武器を持った手の握力を強くし…遂にその靴音が目前まで迫ってきた時、入間はオーインバスター50をガンモードにして銃口を向けた瞬間、
「ギァアアアアアアアアアアアアアアっ!!!??」
「「えっ!?」」
銃口を向けられた人物が悲鳴を上げた事で、入間とヤマトは目を丸くしてその人物の容姿を見て…絶句した。
それは、ヤマトにも匹敵する背丈にくたびれた紳士服を着込み、シルクハットと大きなアフロ……そしてその顔は、骸骨だった。顔を骸骨のようにペイントしたのではなく、模型でもなく…マジの骨だった。
よく見れば、その骸骨は顔だけじゃなく、青いスカーフタイの下に見える体も、袖から覗く腕も手も、全てが骨……白骨死体だったのだ。
だというのに、その白骨死体は、入間の向けたオーインバスター50に怯えるように両手を上げながら絶叫を上げており、入間とヤマトはポカンと口を開けていた。
30分後。
「す、すみませんでした!いきなり銃を向けちゃって……」
「ヨホホホホホッ!お気にならさず!!こちらこそご挨拶も出来ず失礼!ビックリしました!生身の方にお会いするなんてもう何十年ぶりでしょう!!」
床も壁もボロボロに風化し、あちらこちらに苔や錆びた剣が目立っている甲板の上で、入間は目の前に立っている紳士服を着込んだ骸骨に頭を下げた。
あの後、骸骨の絶叫に毒気を抜かれた入間とヤマトは、取り敢えず警戒を解いて骸骨に簡単な質問をしてみたのだが、骸骨は何の事だか分からないというような反応しか返さなかった為に、入間はオーインバスター50を向けてしまったことを謝罪していた。
骸骨というのには流石の入間も驚いたが、魔界にいた影響か自分でも驚く程にすんなりと彼を受け入れていた。まぁ、魔界にいる悪魔達はTHE・化物みたいな者がごまんといるし、クラスメイトが全身骨だけの悪魔と一緒に遊んでいた話を聞いたような聞かなかったような。
「申し遅れました。私、“死んで骨だけ”ブルックです!!どうぞよろしく!!」
「入間です。よろしくお願いします」
「僕はヤマト!よろしく!」
明るい口調で自己紹介をしてくる骸骨──【ブルック】に、入間とヤマトも名乗る。
すると、ブルックはヤマトに視線を向けた。因みにどうでも言い話だが、ヤマトもブルックも260cm台のとてつもなく大きな体躯をしていることで、同年代に比べて小柄な入間は常に二人を見上げた状態で話している。
「オヤオヤ!そちら実に麗しきお嬢さん!んビューティフォー!!」
「……?お嬢さん?」
ヤマトは誰かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡しており、入間はチョンチョンと彼女の腕を叩いて意識を向けさせると、「君の事だよ」と指を指して教える。
そして、例のごとく「僕は男だ!!」と主張しようとするのを止めさせた。ヤマトは立派な角を除けば10人中10人が見ても美女と呼べる容姿をしているので、事情を知らないものからすれば相手を困惑させるだけなのだ。
「私、美人に目がないんです!骸骨だから目はないんですけど!ヨホホホホ!!」
「いや、そのジョーク笑えませんから。というか、目もないのにどうやってヤマトや僕たちの事見てるんですか?」
本人はジョークのつもりなのだろうが、そもそも目がないのに何故入間やヤマトを見ることが出来るのだろう。入間は本気でこの謎の生き物(死体?)の正体が気になってくる。
「ところでヤマトさん……パンツ、見せてもらってもよろしいですか?」
「いや、いきなり何を言ってるんですか!?」
突然の骸骨のセクハラ発言に入間は目を向く。何故か脳裏にクラスメイトの鳥を思い浮かべる。
一方で、セクハラ発言をされたヤマト。普通の感性を持つ女性なら、目の前の骸骨に向けて罵倒と平手打ちを飛ばすだろうが、ヤマトの感性は普通ではなかった。
「失礼だな!僕はパンツなんか履いてないぞ!」
世界が止まった。
この場に仮面ライダークロノスでもいるのか、先程まで異様に明るかったブルックも、ブルックの奇妙さに困惑していた入間も、時が止まったように硬直しており、その原因であるヤマトはキョトンとした表情で首をかしげる。
やがて、ブルックは血管がない筈なのに鼻血を吹き出して倒れ、入間はヤマトの服を掴み、どこにそんな力があるのかと言いたくなる程の力でヤマトを甲板の端まで引き摺った。
「ヤマト、今の発言は二度としないでよ?」
「え?何でさ。僕は男だからパンツじゃなくてふんど」
「言・わ・な・い・で!!」
「わ、わかった……分かったから……」
いつになく真剣な表情の入間に、ヤマトは引き気味に承諾する。
入間としても、何故かヤマトには他人とは思えない何かを感じているために、ヤマトの事は大事な友人と思っているために、先程のような発言は控えてもらいたい。
話を終えた入間は、ヤマトの盾になるように立った入間は、ブルックに質問をする。
「それで、ブルックさん……この辺りに島とかはありますか?」
「さぁ……この霧ですからねぇ。私もかれこれ50年、この海を彷徨っています」
「「50年!?」」
飛んでもない年月に入間とヤマトは目を向く。確かに、この船の周りはほとんど見えない程に霧に包まれているが、50年も迷ってしまうような霧の中に放り込まれたのだから。
「それより、この素晴らしい出会いを祝して歌を歌いませんか!」
「音楽か!いいね!!」
「いやヤマト!能天気すぎるよ!」
「ヨホホホ!では、楽しい船旅を一曲……」
楽しそうに笑ったブルックが何処からかバイオリンを取り出し、ノリノリのヤマトと共に歌い出そうとしたとき……
──出たァ~~~~!!!
──ゴースト
「「「え?」」」
突如、近くでそんな大絶叫が聞こえてきた。
ブルックはバイオリンを持つ手を止め、入間とヤマトは目をぱちくりさせた後、船の甲板から、その声が聞こえてきた方角を覗き込む。
「船?」
それを見た入間は訝しげに呟く。
舵も効かず波に揺られて海を突き進むブルックの船と近くには、ブルックの船の半分くらいの、ライオンを模した船首をした帆船だった。
その船が掲げている帆には麦わら帽子を被った骸骨のマークが描かれており、それを見たヤマトは目を輝かせる。
「っ!イルマ!あの海賊旗、エースの弟の船だ!!」
「えっ!?」
満面の笑みで声を上げるヤマトの言葉に、入間はヤマトとの話し合いの記憶の中を探り、該当する記憶を割り当てる。
「確か、エースって人の弟って……エニエス・ロビーって所を火の海にした凶悪な海賊団“麦わらの一味”の船長の“麦わらのルフィ”だっけ」
「コラ!エースの弟になんて事を言うんだ!?」
「イタッ!?新聞にそう書いてあったでしょ!?」
鬼ヶ島で拾った新聞の内容をそのまま口にした入間に、ヤマトの拳骨が落とされる。人並外れた力を持つヤマトの拳骨は、変身前は普通の人間(?)である入間にはメチャクチャ痛かった。
「何で行くの!?私やっぱり帰る!!」
「サンジ、お前もヤル気満々だなー」
「船の上で美しいレディの姿が見えたからな。大丈夫!ナミさんはおれが守るぜ~~♡」
「おや、誰でしょうか……」
その時、船の下から三人分の声が聞こえてきた。その内の二つは男の、一つは女の声だ。
その声を耳にした(骨だけの体でどうやって音を聴きとっているのか?)ブルックは船の下を覗き込んだ瞬間、麦わら帽子を被った男と、グルグル眉毛が特徴の金髪の男性と、オレンジ色の髪をした美女とバッタリ目があった。
その瞬間、ブルックの船に、耳をつんざくような大絶叫が響き渡った。
数十分後。
船に乗り込んだ麦わら帽子の男…【モンキー・D・ルフィ】は何故かブルックの姿を見て大はしゃぎし、排泄はするのかとどうでも良い質問(ブルックは排泄はすると答え、内臓も何もない体なのにどういう事なのかと入間は苦笑いした)したり、グルグル眉毛の男…【サンジ】が目をハートマークにさせながらヤマトを口説いていたり、オレンジ髪の少女【ナミ】に、ブルックがパンツを見せてほしいと頼んだら蹴りで返されたりと、カオスな光景が繰り広げられたかと思うと…
『そんな事よりお前、俺の仲間になれ』
『えぇ、良いですよ』
何と、ルフィが合って間もないと思われるブルックを勧誘してブルックは即了承。そこへ、ナミとサンジが猛反対するが、ルフィは構わずにブルックを連れていき、何故か入間とヤマトも連れてこられた。
「“ヨミヨミの実”…!?」
そして、入間とヤマトは、ライオンの船首をした船“サウザンドサニー号”のダイニングでサンジが作った料理を堪能した後、ブルックの素性を聞いていた。
ブルックの話を要約すると、彼は50年近く前まで海賊だったらしいのだが、敵の海賊団との海戦の末に敗北し、クルー達と共にブルックは死亡したのだという。
だが、ブルックは生前、“ヨミヨミの実”という悪魔の実を口にした“復活人間”であり、生前はただカナヅチなだけだが、死んだ後に蘇ることが出来るとんでもない能力を持っていたという。しかし、ブルックの魂は黄泉の国から舞い降りたが、
(死者の蘇生って……この世界、僕が想像してたよりずっと凄いね)
死者の蘇生なんて、入間の魔術でも到底不可能だ。体を火にしたり、動物になったりと、悪魔の実には本当に驚かされるばかりである。
そう入間が考え込んでいる間にも、ブルックの過去の話は続いていく。
数年前、ブルックはある男に“影”を奪われてしまったらしい。影を奪われるとは、光のある世界に存在できなくなるらしく、日光を浴びると消滅してしまう体になてしまうらしい。故に、ブルックは鏡にも写真にも姿が映らない。今ブルックが消滅しないのは、この海域の霧に守られているからだという。
よって、日の下に出れば死ぬ体であるブルックはルフィの勧誘を断るが、ルフィは自分が影を取り戻してやると言い出した。
「……ヤマト、どうかしたの?」
「いや……多分だけど、ブルックの影を奪った奴が分かるかもしれない」
「知ってんのかヤマ男!」
うんうん唸っていたヤマトの様子に気付いた入間が尋ね、ヤマトの答えを聞いたルフィが食い付いた。是が非でもブルックを仲間にしたいのか、それともブルック自身のためか…何故、数分前に会ったばかりのブルックのためにそこまでしようとするのか、入間にはまだ分からなかった。
「……そうだ!確か、クソ親父と戦って負けた……ゲッコー・モリア!カゲカゲの実の能力者だ!」
「ッ!!モリアですって…!?」
ヤマトが挙げた名前に、黒髪の美女【ニコ・ロビン】が反応した。
「知ってるのか、ロビン」
「元々の懸賞金ですら、貴方を上回る男よ、ルフィ…!ゲッコー・モリアは、“七武海”の一人よ!!!」
ロビンがもたらした情報に、麦わらの一味は目を見開く。特に、ナミと、天狗のように鼻の長い男【ウソップ】と、ピンクの帽子を被った狸っぽい生き物【トニートニー・チョッパー】は絶望したような表情だ。
しかし、その言葉の意味を知らぬものが一人。
「……七武海って、何ですか?」
「アンタ、知らないの!?」
「いやぁ、この世界に来てからまだ日が浅いもので……」
この世界の情報を知る為の手段がヤマトの口からしかなかった為に、この世界の情勢がまるで分からない入間は、そもそも七武海を知らなかった。
「そういや、聞き忘れてたな。お前らは何であんなところにいたんだ?この骸骨の仲間じゃねえんだろ?」
そこへ、黄緑の短髪をした【ロロノア・ゾロ】が入間とヤマトに問い掛けた。
生きた骸骨というインパクトが強すぎるブルックに全員の意識が釘付けになっていたが、まだブルックの船に乗っていた入間とヤマトの事は何も分からないままだと気付き、麦わらの一味も入間とヤマトに視線を向けた。
「ギャアアアアアアアアアアッ!?」
その時、ブルックが悲鳴を上げた。
一同が視線を集めると、そこには腰を抜かしてある地点を見て震えているブルックの姿があり、一同もブルックの視線をおってみると、そこには緊張感のない顔をした半透明の存在が、壁を突き抜けて此方をジーっと見ていた。
同時に、サニー号が轟音を響かせながら、船内が大きく揺れる。
「なんて事!まさか、この船はもう『監視下』にあったのか!?」
ブルックがダイニングから飛び出して外を見る。
そこには、サニー号の眼前に見える、巨大な唇と歯を模した造形物があったのだ。
ブルックの指示でサニー号の後方に目を向けてみれば、そこには不気味な城や建造物が立ち並ぶ島があったのだ。先程まで島もなにもなかった筈なのに、突然現れたこの島に、誰もが驚愕を隠せない。
「これは海を彷徨う“ゴースト
「もう、何が何だか……」
怒涛過ぎる展開に、最早入間はいっぱいいっぱいだ。
すると、ブルックは後船楼前から船首に向かってジャンプした。入間でも魔術を使うか仮面ライダーにならなければ出来ない跳躍力に、船にいた面々は驚きを露にする。
「“死んで骨だけ”軽いのです!あなた方は今すぐ後ろにそびえる門を何とか突き破り脱出してください!絶対に海岸で錨など下ろしてはいけません!私は今日!貴方達に会えてとても嬉しかった。美味しい食事!一生忘れません!ではまた!縁があれば何処かの海で!!」
そう言うと、ブルックは船首から飛び出した。
悪魔の実の能力者は総じてカナヅチになるから溺れるのではと止めようとしたが……
なんという事でしょう。ブルックは目にも止まらぬ速さで足を動かし、何と海の上を、背丈以上の水飛沫を上げながら物凄い勢いでスリラーバークに向かっていったではありませんか。
ナミ、ウソップ、チョッパーがスリラーバークから離れようとルフィに声を投げ掛けるが、ルフィはワクワクを抑えきれないような満面の笑みを浮かべていた。言うまでもなく、行く気満々である。
「入間……」
「……まさか、行く気なの?」
「当然じゃないか!こんなの、冒険しない方がおかしいだろ!?」
「やっぱりぃ……」
ルフィと感性が近いのか、それとも監禁生活の反動か、ヤマトの冒険心がそそられたらしい。
しかし、海の上を走れないヤマトがスリラーバークに乗り込むためには……
「連れていってくれないかな、入間?
「ッ!分かったよ……」
弱い言葉を使われ、それに入間自身あの島に行ってみる髪はあると考えていた為に、入間はリバイスドライバーを取りだし、腰に巻き付けた。
芝生が生い茂る甲板に降り立ち、麦わらの一味が何をするのかと注目を浴びる中、入間は緑と紫の鷲の意匠が刻まれた“イーグルバイスタンプ”を取りだし、それを起動した。
リバイスドライバーに、バイスタンプを押印する。
背後にLINEのようなエフェクトが現れ、目玉を飛び出さんばかりの勢いで驚愕する麦わらの一味を余所に、入間はポーズを取ってバイスタンプを装填した。
姿を変えた入間は、右がピンク、左がパープルに分かれており、複眼はピンクサイドがグリーン、パープルサイドがマゼンタ。額には仮面ライダーダブルの「ダブルフィーラー」を模したW型の触覚の近くには鋭い鳥の目、セントラルパーテーションに当たる部分には嘴の意匠が確認できる。肩アーマーはエッジの効いたデザイン。胸部にはワシの顔を模したアーマー、下半身はマントのつけられた【仮面ライダーリバイ・イーグルゲノム】に変身した。
実体化し、仮面ライダーバイスとなったアリクレッドは、仮面ライダーダブルを模した右がターコイズ、左がグレーとなった被り物をしており、ダブルの形をした触覚の下にある目を模したパーツと合わせてワシの鋭い眼光を再現している【仮面ライダーバイス・イーグルゲノム】に変身した。
「「「うぉーーーっ!!!カッチョイイーーーっ!!」」」
「「……」」
「変身だとぉッ!?なんだあの技術力は!!?」
「なんだあのカラフルな鎧は……」
「二人になりやがった…能力者か?」
ルフィ・ウソップ・チョッパーは目をキラキラと輝かせて歓声を上げ、ナミとロビンは無表情でシーン…としている。
水色のリーゼントに海パンとアロハシャツという出で立ちの【フランキー】は未知の技術に目を見開き、ゾロとサンジは怪訝な表情を浮かべる。
ルフィ達の歓声にピースで応えるバイスに、居心地の悪さを感じたリバイはバイスタンプを傾ける。
「行くよ、アリさん!ヤマト、僕達に乗って!」
「おうよ、相棒!」
「分かった!」
バイスがリバイを肩車する体勢を取ると、二人の体が変形する。
両者のマントが合わさる事で巨大な翼を再現し、リバイのイーグルエンブレストが展開して頭部となり、バイスのイーグルゲノレガースが展開して鋭い脚爪を構成すると、二人は巨大な鷲──【リバイスイーグル】となった。
「「「また変わったァーーーーッ!!」」」
「肩車しただけだろ!」
ルフィ達三人の歓声とサンジのツッコミを余所に、ヤマトは甲板を蹴ってリバイスイーグルの背中に飛び乗った。
「麦わらのルフィ!エースの弟である君とはもうちょっと話したかったけど、それはまた今度の機会にしよう!!」
「エース!?お前、エースの事を知ってんのか!?」
「それはまた今度話すよ!」
「えーっと、ルフィさん!麦わらの一味の皆さん!ご飯を食べさせてくれて、ありがとうございます!今度必ずお礼しますので!」
そう言うや否や、リバイスイーグルは翼を羽ばたかせ、スリラーバークへと向かって一直線に飛び出していった。
リバイスイーグルの背中に仁王立ちしたヤマトは、そこら辺のお化け屋敷が可愛く見えるような島を見据え、憧れの侍が初めて上陸した際に放った言葉を叫んだ。
「とうとう『ワノ国』を出た!僕の冒険が始まったんだ!!」
「まだ降りてないよ!?」
「というか、ワノ国を出たのは結構前の事だろ……」
下から聞こえてくるツッコミは無視した。
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