ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師   作:もふもふたぬきねこ

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今回は大して話が進みませんが、重要なアイテムを入手するイベントが
原作にありますのでそれに沿っています。
が、知識ドーピングは進んでいますね……。

今回もよろしくお願いします。


10. 35日目   アトリエ構えました!

「……ぃよっし、出来た!」

 

昨日と今日、2日間で爆粉うにとグラスビーンズの調合に成功!

 

この大釡、すっごく使いやすい。

温度調整とかもそうだけどエレメントをとっても感じやすい。

なんとなくじゃなくて、はっきりとエレメントが繋がる過程が分かる。

 

慣れもあるのかもだけど釜の性能は絶対あると思うね。超高級品だし……。

アルさんってホントに魔法使えないんでしょうね? 理解できてないと思えないんだけど。

 

 

 

アルさんに断りを入れて工房から外出した。一度アンペルさんに報告しようと思って。

すぐそば、アンペルさんたちの借家の前ではレントが腕立て伏せしてた。おいおい……。

 

「ようライザ、一昨日ぶりだな。アンペルさんたちなら留守だぜ?」

 

「こんな所で腕立てとか不審者に見られるわよ? 今更だけど。でもそっか、アンペルさんはお出かけ中か」

 

「錬金術を聞きに来たのか?」

 

「まあそうなるかな? 正しくは報告って感じだけど」

 

「つうと?」

 

「貰ったレシピ分は調合成功、あとアトリエ構えました。そんなとこね」

 

マジか!? というレント。マジだよ。

 

「そっちも前進してんだな。タオもちょっとだけど進んだらしいぜ」

 

「タオはあいかわらず自分ん家でやってる感じ?」

 

「ざっくりとした読み方を教えてもらって、自分で覚えられるようにって感じだとよ」

 

あたしと同じで自習に近いか。タオの解読も進むといいね。

 

「……なあライザ、これから時間あるか?」

 

「決まった予定はないけど。どっか出かけるの?」

 

「リラさんとの訓練でちょっとしたコツは掴んだ気がすんだけど、やっぱ実感がねえんだよ。だから魔物相手に試してみてえんだ」

 

対岸かぁ。

あたしとしても素材採取をする機会ではある。

特に鉱石関連は島では手に入らないのだ。いつまでもアルさんのを分けてもらうのはね。

 

とはいえ、前みたいにこっそり行くのは気が引けるね。迷惑かけないって言ったばっかだし。

せめて正直に伝えて行くとしましょう。

 

「わかった、じゃあちょっと支度させて。せっかくだからタオも呼べば?」

 

そうだな、とタオを呼びに行ったレントを見送り工房へ帰還だ。

 

 

 

「あれ? 早かったね、おかえり。留守だったかい?」

 

「はい。それでさっきレントに会って、対岸に行ってこようかと……」

 

「そうなんだね。気を付けていくんだよ」

 

……うん? 今の会話にどこか違和感。

 

直後の一言で判明した。対岸に行けるのが当たり前になってるって事。

 

「アガーテさんには話してあるから」

 

 

 

 

 

 

「ライザか。アル君の手伝いを続けているそうだな」

 

「うん。それで、また島の外に行かせてもらいたくて……」

 

「アル君から貰った音爆弾、魔物を追い払うのに凄まじい効果を発揮していると皆からも評判だ。あの浜での爆音がどうなるのかとは思っていたが流石の一言だな。それで……また新しく考えている、という所か?」

 

「それもだけど、普段使い分や音爆弾の素材集めも兼ねて」

 

「それでレントとタオも一緒か。まあいいだろう。ライザも音爆弾は持っているな?」

 

「全員持たせてもらってるよ」

 

では危なくなったら迷わず使って必ず逃げるように、との締めで許可を貰えた。

 

対岸に向かう舟の上、漕ぎながらレントが呟いた。

 

「やべえな、俺たちが堂々と対岸に渡る日が来るなんて思いもしなかったぜ」

 

「本当だよね。話を通してもらってなかったら無理だったと思うけど」

 

「かなわないわねぇ……」

 

悪ガキだの悪童だのと呼ばれているあたしたちが、護り手公認で掟破りをしでかしているのだ。

ひと月前じゃ想像すら出来なかったね。

 

「レントからちょっと聞いたけど、タオの作業は順調なの?」

 

「いきなりは進まないけどね。アンペルさんと読み合わせをさせてもらって、そのままあの本の解読を進めているよ。独学だった頃と比べればずっと方向性は決まったかな? ライザこそアトリエを構えたんだって?」

 

そうよ、と肯定したところで対岸に到着する。

まずはレントの用事を済ませましょうか。

 

 

 

レントの希望もあって、今回は少しだけ街道に足を伸ばす事になった。

街道から外れなければそれほど魔物はいないし、強くもないとはリラさんの談だ。

だけどアルさんから聞いた翼竜なんてのは危ないって事だったし、気を付けてかないとね。

 

「……()()っていうけれど竜は竜か。やっぱ強かったわね」

 

「ずっと遠くの方にだけど……でっかいのも居たよ。あんなのひとたまりもないよ……」

 

「まだまだ考えなきゃいけねえ事だらけだな。付き合ってくれてサンキューな」

 

オオイタチと、緑色のぷに、そして翼竜――ミニワイバーンっていうんだって、を倒したところでレントがなんか掴んだらしい。えらくさっぱりしたもんだ。

それにしても街道沿いにも翼竜うじゃうじゃいたね。行商の人が大変なわけだ。

 

「リラさんから何教えてもらってるの?」

 

「戦い方っつーよりは心得ってのがメインだな。どんな時でも警戒を怠るなって感じだ。それが出来れば必要な動き方が出来るって聞いてるぜ。あとは俺の体力付けだ」

 

さっきの戦いはそれを確認してたと。

初めて3人で戦った時を思えばずっと楽だったけど、そんなに違うもんなのかな。

 

この後はあたしの用事――素材採取を手伝ってもらう。

あたしの作業って言うと「え~」って反応だけど、「アルさんの分もだよ」ってなると全然態度が違うのがちょっと腹立つ。まあ許してやろう。

 

「そういえばライザ、アトリエはどこに作ったんだい?」

 

タオから質問がくる。そりゃそうだ、話してなかったもんね。

 

「アルさんの工房の空きスペースを借りたよ。その方がお願いもしやすいって言ってもらえて」

 

「おいおい、またアルさん頼みかよ」

 

「あたしもこれ以上お世話になるつもりなかったんだけどね……」

 

「ミオさんたちは?」

 

「錬金術ってのは言ってないけど、ちゃんと事情は話してOKをもらってるよ」

 

へぇ~って感じの2人、あたしだってそうだ。

アルさんの名前があったとはいえ、よくまあ折れてくれたもんよね。

 

 

 

せっかく対岸に来たので鉱石をメインに採取する。

さっきレントに付き合ってた時にキノコとか骨とかも拾っといたから、何かに使えるでしょ。

 

ついでにレントには釣りでもお願いしときゃ良かったなぁ。竿がないや。

竿もそうだけど採取道具も作らなきゃいけないかな。

草とか植物は鎌、木は斧、岩はハンマーってとこかな? 虫とか用の虫取り網もいいかも。

 

せっかくアルさんの作ってくれたベルトがあるんだから、しっかり使わないとね。

 

タオのやってる事はあたしたちじゃ協力しようがないから、袋がある程度いっぱいになったところで島に戻る。レントがいて助かった。あたしとタオだけじゃ運ぶの大変だったし。

 

荷車に乗せて旧市街に戻ってきたら、リラさんが借家の壁にもたれてた。絵になるなあ。

 

「何処に行っていた?」

 

「教えてもらった事を実践してみようと対岸に行ってました。あとライザの手伝いを」

 

「そうか」

 

「今アンペルさんいますか?」

 

「ああ。菓子でも食べているんじゃないか」

 

あいつは甘党すぎる、とつぶやくリラさんにお礼を言って中にお邪魔した。

 

「アンペルさん、こんにちは」

 

「ライザか。自分でやってみてどうだ?」

 

「もらった2つのレシピは作れました。でも他のレシピっていうのは閃かないですね」

 

「まあそんなにすぐ閃くものでもないだろう。しかし……もう2つとも調合するとはやはり才能があるらしい。アトリエも構えられたのだな」

 

「アルさんのお店のスペースをちょっと分けてもらいました」

 

実際は増やしてるんだけどね……つくづくとんでもない。外からバレなきゃいいけど。

 

「成程、すぐ傍になるわけだな。こちらとしても話がしやすいか。レシピについては適当に関係なさそうな物も見てみるといい。料理などは良いアイデアのネタを持っているぞ」

 

料理のレシピかぁ。アルさんのお昼関係もあるしフレッサさんにでも聞いてみようか。

 

そうだ、ついでに聞いてみよう。

 

「あの、アンペルさん。採取用にちゃんとした道具を作ろうと思うんですけど、金属ってなにが一番簡単ですか?」

 

ほう、といったアンペルさんの反応。

 

「自分で道具を揃えるという考えは良い事だ。簡単と言うか、ありふれているのは鉄だな。インゴットにしておくと使いやすいぞ。あとそこまで畏まらなくて構わん」

 

「わかりま……わかった。それでインゴットっていうのと、元の素材を教えてもらっても?」

 

「鋳物といって錬金術を使わない昔からの金属の取り扱い方法だ。単なる長方形だが台形の方が積みやすい。素材としてはアマタイト鉱という黒い鉱石に含まれている。見た事はあると思うが」

 

あーあの鉱石ね。今日の採取のメインだ。

 

「ありがとうアンペルさん、早速やってみるよ。ところでアンペルさんは何を作ってるの?」

 

「主に戦いに使うアイテムだな。コアクリスタルがあるから消費はせんがレパートリーは考えねばならん。ただまあ、そう難しい調合は今の私には出来んのだがな」

 

コアクリスタル? それに……なんていうかアンペルさんって大錬金術士みたいな貫禄あるけど。

そんな考えが顔に出てたのかな? アンペルさんが説明してくれる。

 

「コアクリスタルは古代の錬金術で作られた道具、「古式秘具」のひとつだ。クリスタルが使用者の魔力を読み取ってコアとしたアイテムを複製する。期間毎の限度はあるが魔力がある限りは何度でもアイテムを使えるわけだ」

 

うーわ。あたしでもわかるぞこのヤバさ。

 

え、なに? 魔力がある限り一回アイテムを作れば使い放題?

そこだけで錬金術として成り立ってるじゃない!

 

するとアンペルさんは小物入れから宝石みたいなものを持ってきた。

 

「一つやろう。これがそうだ」

 

「ええぇ!? ありがたいけど……貴重品なんじゃ?」

 

「貴重品ではあるが余り物でな。私が持っていても使い道がない。コアクリスタル同士が干渉しあうせいで一人で一つしか使えんのだ。加えて使うには錬金術士の魔力と錬金術で作ったアイテムが必要だ。リラ一人では機能しない」

 

「……じゃあ、ありがたくもらうね」

 

「有効に使ってくれ。こちらとしてもライザに手伝ってもらいたい事はあるからな」

 

それって?

 

「私の右腕は……昔の事故のせいで神経が傷ついていてな。繊細な調合は出来んのだ。だからライザにそういった調合を頼む日が来るかもしれん」

 

そんな……ケガされてたのか。

じゃあ最初教えてもらった時の「超えられるかも」ってのも、ホントに期待しての事だったんだ。

 

「わかった、ありがたくもらうよ。今はお返し出来ないけどいつか助けになれるよう頑張るから」

 

期待している、と微笑むアンペルさんの返事を聞いてお暇した。

 

リラさんとレントたちは、どこかに行ったのかな?

さぁて、せっかく教えてもらった金属レシピ、早速試してみよう!

 

 

 

「戻りました~」

 

「お帰りライザ。レントとリラさんが荷物を運んでくれていたよ」

 

やっば、すっかり忘れてた。あとでちゃんとお礼言わないとね。

 

「色々集められたみたいだね?」

 

「はい。今までの釜とか杖とかで使った素材も含めて遠慮なく持ってってください。それとアルさん、錬金術じゃない鉄の作り方って教えてもらってもいいですか?」

 

ありがたくいただくよ、というアルさんだけど……それ以外でなんか懐かしそう?

 

「鉄、か。そういうのが書いてある本があるから後で持ってくるよ」

 

そう言って、アルさんは作り方を説明してくれる。

図鑑なんてかなり貴重品でしょうに、在る所にはあるものだね。

 

鉱石っていうのは色んな金属と石が混ざり合ったものらしくって、その中でも特に多いものが各鉱石で決まっているらしい。鉄ならアマタイト鉱ってわけね。

それを高温で溶かして、なんかいろいろやって、混じりけの無い鉄だけにする、と。

いろいろの部分は異世界言語だったから今はパス!

 

ちなみに、ちょうどいいくらいの炭を入れたものが「鋼」だよと、うれしそうに教えてくれた。

やっぱりなんか思い入れがあるのかな?

 

 

 

さて調合で考えると起点はアマタイト鉱、あとは溶かすための火属性を含む燃料ね。

混じりけをなくすってのをどうしようか悩みどころだけど……とりあえずなんか入れちゃうか!

 

持ってきてもらった本も読んでみたところ、他の金属も書いてあった。

 

あたしの杖の補強、もとい魔改造に使ったらしい銅こと「ブロンズアイゼン」。

コベリナイトとかいう青い鉱石を使うらしい。見た事ないなあ。

 

硬ったい金属らしい「スタルチウム」……金属って元々硬くない?

これの原料は彗星岩。むちゃくちゃ熱くて光ってるらしい、どんな鉱石だ……。

 

2色に分かれた不思議な金属「クリミネア」。どういうものなのかさっぱりだ。なによこれ?

これに関しては材料もわかんない。まあ錬金術用の本じゃないから仕方ないよね。

 

アルさんが言うには他にもあるんだって。覚える事が多いなあ。

とにかくまずはインゴットの調合から始めましょ!




秘密シリーズの必須アイテム、コアクリスタルの登場です。
2以降は使い方の手段が増えていますが、今作は無印準拠でお願いします。
インゴットの製造はリアル、ハガレン、アトリエの違いがわかりやすいですね。

次は久々にクラウディアが登場します。
次回もよろしければご覧いただければ嬉しいです。
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