ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
戦闘描写続きで作者がふらついております。
今回もよろしくお願いします。
『HAHZOPDV ALYHZBUHHHHHHHHH!!!!!』
「なっ!? こりゃあ……ライザ!?」
シーカーの先からあたしの輝く魔力が真っ暗な空へ飛び。
弾けて光の雨が降ってこようって時に……魔法が掻き消えた。
前線にいたレントは察したらしい。常闇の絶叫の対象が――あたしだって事。
「マズいっ!!」
『HAHZOPDV RVUUHHAHZOPDV ALYHZBUQHUHPDHFV !!』
「右に飛びなさい!」
キロさんからの指示はしっかり聞きとれた。
オマケに常闇の動きもハッキリと目で追える。
問題なのは――あたしの身体がコッチにすっ飛んでくる常闇の動きにちっとも追いつかない事で。
『RPLALZOPTHL RHPQPNVRB !』
ドッ!
「っライザッ!?」
あたしの全身を動かすより、そばにいたクラウディアを突き飛ばす事にした。
アイツはどうにも……光が「キライ」らしい。狙いはあたしのはずだ。
槍を使った横方向の薙ぎ払い。どっかで見たわね。
あー蝕みの女王か、やっぱ似てるんだ。あるいは……あたしの杖の攻撃?
常闇の右腕が思いっきり身体の左側に振り絞られ、その反動があたしを打ち抜く事になる。
当たったら最低でも全身の骨が粉々になるのは間違いなさそう。
ここで終わる? ここで諦める?
イヤなこった!
やっと色々知る事が出来たんだ。
島の外も。世界ってやつも。あの人の事も! あたし自身も!!
こんなわけ分かんないやつにぶっ壊されてたまるもんか!
残った身体だけでいい! 意地でもコイツを捕まえてやる! アルさんを間に合わせてみせる!!
呆けてる場合じゃない、あたしの身体を動かせ!!
「来なさい!」
『…………HUAH』
一瞬。
ほんの一瞬なんだと思うけど。
常闇の動きが鈍った。怯んだ――そんな気がした。
その一瞬は、次の1秒先の結果を引き寄せた。
だってその直前に、こんな一連の音が耳に届いていたから。
パンッ!
なんか聞こえた――最近は聞き馴染みのある音。
カシャン!!
なんか聞こえた――確か、結構ヤバめな音。
そして、とってもよく聞こえた――聞きたかった声。
「今度は間に合ったかな!!」
シュボッ!
ドンッ!!!!
『!!!…………HAAZB !! RVYLOH』
常闇の身体が一瞬でフラムみたいに爆発し、動作は暴発し、衝撃で吹っ飛んでった。
あたしは五体満足らしい。ついでに身体の重さが完全に吹き飛んだ。
「十分に大遅刻だよ……この大バカ!!」
「ええぇ、特に寄り道はしていないのに……」
こんな戦場なのに、どこかやさしい女の人のような男の人の声。
「待ってましたぁ!」
「遅れたツケは払ってもらわないとな」
いつも微笑んでるような声。でも今度は子どものような声じゃない。
「間に合うと信じていたぞ」
「来てくれたんですね!」
いつか同じところに、そばに立ちたいと思ってた人の声。
「みんなお待ちしてました! ほらライザ!!」
クラウディアが顔を向けてる方へ振り向く。
――とってもよく、知ってる人の姿があった。
「…………アルさん?」
『………………A…………L……………………SA…………』
「うん、ただいま。どうやらまた遅刻したらしいね。遅れてゴメンよ?」
帰ってきた。この10年、あたしも成長を見てきた姿で。
色んなものがこみあげてきて……感極まる。そのまま抱きt
『ZVUUHZVUUHZVUUHZVUUHTHZHRHTHZHRHTHZHRHTHZHRHHYPLUHPHYPLUHPHYPLUHPHYPLUHP』
せっかくの雰囲気をブチ壊しにする音が響いてきた。あのヤロウ……。
あとちょっとでそのままイイ感じにいけそうだったのに! ブチのめす理由が増えたわ。
「あれが常闇、ね。どうやら……僕は嫌われているのかな?」
≪のっとりありー≫
「むっ? ……死ぬほど嫌いだってさ。なんでなの?」
「あんなの相手でも、死ぬほど嫌われるのは思う所があるなあ……まあ仕方がないのか」
『ZVUUH ZVUUHRVAV HYPLUHP HYPLYBTVURH !』
ブオッ!!
……槍の投擲がこっちに! 狙いはアルさんかあたしか!!
「アルさん!!」
「任せておいて、よっ!」
パンッ!
バチバチバチバチッ!!
アルさんが「何もない所」に向けて錬成をする。
常闇から投げられた槍が。
あたしたちの前で――音もなく止まった。
『YLUZLPOHUVB ZVUUH THZHRH』
え。えっ?
えええええええええええええええええええええぇ!?
「えっアルさん魔法使えるようになったの!? 加護!? これも錬金術なの!?」
「ちょっおち、落ち着いて!? 空気中の窒素を超高密度の壁に整列させただけだから!」
「そんなわけ分かんない事を「だけ」って表現するあたり、錬金術師はおかしいのしかいないね」
「風評被害も甚だしいね? 一緒くたにしないでおくれぇよっ! ……ほら、ライザ」
止めた槍を蹴り飛ばす――少なくともアルさんはおかしい側だと思うんです。
いつの間にか落としてたらしい帽子をアルさんが拾って被せてくれた。
タオが言うには、コレがないとあたしじゃないらしいしね。
「アルが間に合ったのはありがたいが、このまま続けてもジリ貧は確実だな……アル! キロ! ライザ! 決め手を考えてくれ! 分解とやらが出来そうならそれでいい!」
「お前さんにしちゃ作戦じみた事を考えるじゃないか。同感だ! 我々で時間を稼ぐ!」
「頼んだぜライザ! アンペルさんは俺の後ろで!」
『HUAHYHOHQHTHUHUVFV ! TVRRHPGLUIBOBAAVIHZOPAL』
「操術・絡繰り!! そうはさせないよ!」
「私たちであのアイテムを妨害するよ! ライザは決め手をお願い!!」
常闇がまたアイテムを投げようとしたところをタオが叩き落す。やっぱ冷静だね!
みんなが時間を稼いでくれてる。今のうちに何とかしなきゃ!!
「それにしてもっ! まあ……随分と派手なっ! 見た目のフィルフサだねっ! 特性に因るものなのかなっ!」
「最初は……この空間に溶けてたみたいな、真っ暗闇そのものだったんです」
「それをヨルムンガンドが集めてくれて、今の形を成している状態だよ」
≪わーくと≫
近接組、遠距離組に当たらないように……なんか空気を殴ってるような動きを続けるアルさんが、それでも冷静に解析していく。空気パンチ? まあどこでも火柱出せるし今更か……。
そんな中であたしとキロさんの説明を聞いて、アルさんが「う~ん」と考える。
これもアルさんの「理解」を進める事になるのかな?
「無の存在、現象にして物体、ね。金属光沢の特徴は反射――すなわち拒絶。黄金は永遠を表す色。つまりは完全なる拒絶――自身以外を全て否定する特性って事か。人の形をしているのは……知恵の実を食らったもの。という事は世界のバグみたいなもので、知恵を持ってしまった法則なのかな……まさか
「さっきはアイテムも使ってきて、もうなんか人っぽいなんてもんじゃあ……」
「Uri ! 扉の向こうの存在だとしても証明しようがないね。どうにかなりそう?」
あたしの言葉を受けてアルさんの表情がちょっと曇った。
あれは元が法則だとか概念だとか感情だとか、もうそういう域じゃない気がするんだ。
人型のフィルフサか、フィルフサっぽい人か、世界が作った人っぽくてフィルフサっぽいナニカ。
「アイテムすら、か。しかも何か喋っているみたいだよね。そもそもこちらの世界の存在らしいから……古代の錬金術で作られた兵器の極致、か? 何にしても完全に滅ぼすとかは難しそうだ。形を成した世界の仕組みみたいなものには違いないだろうしね。父さんが封印に留めたのも、そう言う事なのかもしれない。けど理由が「因果が濃い」って事は……まあそれは一旦後回しか」
相変わらず一人でどんどん話を進めちゃってる。
まあいいや。説明されたとしても理解できる気がしないもんね!
「さっき僕の身体を錬成した際、父さんの封印の構築式は正しくこの身に持ったし理解もしたから動きを止められればチャンスはある。その為に分解するなりなんなりしないと、かな。結局分解頼りかぁ……」
「秘密の錬金術師のはずが、頼りになるのは完全に
目に見える世界の仕組み。もうわけ分かんないけどそういうもんらしい。ナマモノっぽいけど。
錬金術も行くとこまで行っちゃうと、ああなるのかもしれないのか。
「特効がありそうなのは……やっぱり光の加護だよね。元々対常闇専用のスキルなんだし。キロさん、アレいける?」
「起動する為の魔力を溜めておくよ。アルもそのつもりで。詠唱は覚えている?」
「勿論息の吐き方までしっかりと。大丈夫だよ」
「ダメだよアルさん! アイツ、光を感じるとすっごいブチ切れてくるから!!」
さっきあたし、それでミンチになりかけたし。
でもアルさんは「ははっ」と笑う。
「つまりは有効な手段なんだろうさ。嫌われているのは加護の方なんだと思いたいね。遅刻した分頑張るよ――手伝ってくれるかい?」
「――はい!!!」
もちろんだ! そのためにあたしはここにいるんだから!!
アイツが光を嫌がるなら……真っ先にアルさんを狙ってくるはず。
それが一つだけならね!
「レント! タオ! クラウディア!」
正面をレント、両脇をタオとクラウディア。
「あたしを守ってくれる!!??」
このメンバーで固めてもらって。
「まっかせろぉ! 槍だろうが何だろうが弾き返してやんぜ!」
「なんでこんなの相手にタゲ取りしなきゃいけないかなあ! ライザは自分に集中してね!」
「もちろんだよ! 演奏し続けて――ここは絶対に通さないよ!」
全部のヘイトを買ってやるわよ! 嫌がらせのフルコースだ!!
「邪魔は私達も続ける! ライザは役目に集中してくれ!」
「手数重視だ! スキルまでに留めろ! 任せるぞ!!」
年少組三人がこっちへ飛んでくる。アンペルさんとリラさんでその場に押しとどめる。
キロさんは詠唱の準備に入って、アルさんはその守り……なんか羨ましい!
ついでにその八つ当たりも受けてもらうわよ!
さっきアイツはあたしにめちゃくちゃ反応した。今なら理由が分かるね。
だってあたしの魔法は――光と星で出来てるから!!
「さあいくよぉ!
十八番の七連発! 始まりはこいつからだ!
『RBZZV HAHZOPDVALYHZBUQHUHPDHFV ! RBNHRV !』
あたしの光弾を打ち消すように、グルグル回転しながら槍が飛んでくる。
「タオ! 来んぞ!」
「分かってる! 怖いんだよもう!! 縛術・影縫い!!!」
グワァラゴワガキィーン!
すんごい音がした。タオのハンマーが回転しながら飛んできた槍を見事に打ち返す。
――あんたホントに器用ね!!
「ナイスバッティングだよ!」
「こっちからもボール投げ返してやんわよ!
「いいぞタオ! ライザ! 光が嫌だというならこれはどうかね――賢人の宝典!」
これは、さっき常闇のアイテムを相殺したやつだ。輝く不思議な本。
色々なエレメントが吹き出し、一つとなり、光となって常闇の金色の身体を照らす。
何気にこれすごいよ!? クリスタルエレメントの調合の応用かな?
『THIBZOP TVPFHKH ZHPTHPZOPU』
「大精霊様からの賜りものからそんな本を調合するなど! 後で処分しろ、五月雨蹴り!」
本の輝きを上書きするように、槍の爆発が再び世界を暗闇へと塗りつぶす。
その後を埋めるようにリラさんが攻撃する。やっぱりこの2人はこの2人だ、息ピッタリ。
じゃあ次は!
「槍が使えんのは、アンタだけじゃ、ないっ!
『HUAHOHFHWWHYPZVUHUVRH OHQPUZLU!』
シーカーをもらってから、以前に比べりゃ随分と増えた光の槍の本数。
それでも常闇の目を振り切るには数が足りないらしい。
ガガガガガガガガガガガッ!!!!!
どう飛んでくるか知られてるみたいに――全部砕かれた! けど!
あたしは一人じゃない!!
「飛んだ後はスキができんだぜ? くらえ! 轟雷剣!!」
レントはもう常闇の動きを覚えたらしい。戦士の心得ってやつ? 出来てんじゃない!
あたしのジャベリンを砕いて飛んだ常闇を、レントの雷が打ち抜く。
ちょっとずつだけど、確実にダメージは入ってる!
「キロさん! あとどのくらい!?」
「あと一分だけ耐えて!」
「じゃあ……おっきいの行きますかぁ! シーカー、お願い!!」
スキル限定で――あたしの最大火力魔法!
『RVUUH KVZOPAHYH FVPFHTPOV !』
「ライザは傷付けさせない!」
バキバキバキバキバキバキッ!
「こういう強化は得意なんだよっ!!」
パンッ!
バチバチバチバチバチバチッ!!
クラウディアが作ってくれた氷の壁。
それをアルさんが錬成で強化したらしい。つまりカッチカチの氷、氷山ってやつ?
ガリガリガリガリガリッ!!!
バカでっかいカキ氷でも作ったみたいな音が鳴って、魔力砲は上向きへ軌道を変えた。
氷の壁は砕け散ったけど……ちょうど射線も確保だね!
あたしの渾身の一撃、お届けだ!
ギュゥゥウウウオオオオオオオオオオオ!!
「ぶっ飛びなさい!
ボッ!
『…………!?』
ドォカアアアアァァァァァン!!!
多少避けようとしようが、こんだけデカけりゃ当たるよね! さっきの魔力砲の仕返しだ!
これもしっかりダメ入ったっぽい! 光っぽい攻撃はわりと効く!!
ついでに後ろへノックバックさせて距離も稼げた! チャンスだ!
「キロさん! アルさん!」
「ありがとう!! ――いくよアル!!」
「了解!」
常闇に構えるように立つキロさんを支えるように、アルさんが後ろから両手を握る。
キィィィィィィン
「「
グォングォングォングォングォングォングォングォングォングォングォングォン!!!
≪わお≫
最初の一節で……真っ白な、爆発的な光の力が放たれる。魔力じゃない。正真正銘の加護?
これは……言わばアルさんのフェイタルドライブ?
あたしたちの世界で使えないわけだ。納得!
『ZVUUH ZVUUH RVUUHRVAVAAL UHUKL UHUKLUHUV TVBPFHKH FBTLUHYHZHTHZB』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
真っ黒で分かんないけど……あっちも間違いなくナニカを溜め始めた!
これ絶対ヤッバイやつだ!!
「お前達! 今すぐキロとアルの傍に寄れ!」
「それぞれの力では防ぎきれん! 2人の力に合わせる形で相殺するぞ!」
「「「「はいっ!!」」」」
「「
急いでアルさんたちのそばによる。
太陽とは違う――眩しいって感じじゃない、文字通り真っ白な光の力が周囲を覆う。
どこか優しい癒しの力を思わせる、だけどとんでもない規模の力。
『FBTLUHYHOHFHRBZHTLAL TVPFHKH UHUKLHAHZOPNHHUVOPAVUP RVDHP』
――
は?
なんか聞こえた。
聞こえたっていうか……感じた? 意味は分かんない。
誰が発したのか分かんないけど、聞き間違いや気のせいじゃない。
何かを感じた。それは音とか気配とかじゃなくって。
もっと、頭に直接響いたような。
「「
ヒュゥウウウウオオオオオオオオオ……
『GLUIB THZZHYHUPZBYB HAHZOPNHHUVOPAVDVAVYPTVKVZB』
キロさんとアルさんの詠唱が終わったらしい。
あたしたちの背後には――いくつもの光の力の渦。
一個でも当たったら島が消し飛びそうだ。
『GLUIB UVTPRVTB』
アッチも準備できたらしい。
常闇が持ってた槍かなんかが、あたしたちと常闇の間で回転して。
そこに一切の色はない。そこに一切の音もない。
周囲はすでに真っ暗闇のはずなのに、更に真っ暗と分かる黒い穴が――多分ソコにある。
落ちたら……あたしがここにいたって記録すら残らない。
「来るよ! エレメントを前に固めて!」
もうあたしが言ったのか、誰かが言ったのかわかんないけど。
言われなくてもそうするよ!!
――発射だ!!!
「「
『
もう……何が起こってんのか、ちゃんとは分かんない。
とりあえず光の渦からものすごい数のデカい光線が常闇に向かって。
常闇が展開してるんだろう黒い穴に飛び込んで、穴の中は大変な事になってる……んだろう。
あたしたちをも飲み込もうと空間自体を引き寄せて、それを光の砲撃が妨害してる。
全てを飲み込もうとする穴を、お腹いっぱいに満たすように。
大量の発射音と破裂音。弾けるエレメント。誰かかナニカの叫び声。
――
ああ。大体わかった。
これって。
「アル!」
「うん!」
発射源の2人はしっかり状況を把握してたらしい。いつの間にか音は止んでいた。
アルさんが、常闇がいるんだろう方向へあっという間に駆けていく。
「……僕の加護は」
白い光に染まった目が真っ暗闇に再び慣れて、うっすらと見えてきた。
常闇が力を放ち切って、大きな隙をさらしてる。
光の砲撃は全部飲み込まれたみたい。だけど黒い穴も蒸発したらしい。
「この時の為に」
パンッ!
最近聞くようになった音が、妙に耳に響いた。
アルさんの両手が――ついに常闇の身体に届く。
「あったんだろうね!」
『…………!!』
常闇も状況は理解してるんだろう――でも動けない。
その状況を作る為にあたしら頑張ったんだかんね!!
そんな、読み取れるはずもない常闇から感じ取れた表情は……絶望。
ただただ、真っ暗だった。
ドッ!
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!!!
『――――――――――――――――』
今までに見た事ない――もう雷みたいだ。
錬成反応の電撃が、常闇の全身から放たれた。
一瞬の出来事のはずなのに、その過程がよくわかる。
常闇の金色の外殻が、分解されてひび割れていく。
常闇の――音になってない絶叫が暗闇に響き渡る。
――
……なんでこんなの、あたしは聞き取れんのかしらねえ。
『………………』
シュ~~って湯気でも上がるかのような音がして。
常闇がガチャンと膝をついた。気絶したような感じかな。
――勝った。
「…………はぁ、加護っていうのも限度があるみたいだね。分解するにしても存在が分厚過ぎる」
「無限なんてものはないからね。お疲れ様」
「そっちもね。しかしこれは……」
アルさんが手をニギニギしてる。常闇の「理解」ってやつが変だったのかな?
キロさんがアルさんのそばに向かう。あたしたちもアルさんの……常闇のそばに向かう。
常闇が動きを止めたおかげで、やっと間近に観察する機会が出来た。
ひび割れてはいるけど、金色の甲殻に青い筋。この辺は「ザ・色違いフィルフサ」って感じだ。
背中に生えた翼っぽいのなんかは蝕みの女王の翅によく似てるし。
ところどころ棘みたいなのが生えた感じなのも虫っぽさを感じさせる。
けど……それを除くとホントに人間みたいだ。
甲殻になっちゃってるから表情とかは分かんないけど、両腕と両足にそれぞれ5本ずつの指。
背丈なんてガーディアンどころか、あたしと比べてもほとんど差はない。ただの人の身長だ。
本当に、これは一体何なんだろう。
「漸く……終わったのだな」
「まだだ。アルが封印を構築して常闇を封じる。それで終わりだ」
「最初は「人か?」なんて思っちまったが……やっぱバケモンだったな」
「それを倒しちゃった僕らもわりとマズイ存在になった気がするよ……」
「みんなホントに強くなったよね! かっこよかったよ!」
この後……常闇はアルさんに封印されて、また永い間真っ暗闇の空間を漂う。
人の負の感情の拠り所になって、また結界を侵蝕して外に出ようとする――何かをしようとする。
その時は、もうあたしたちの誰も生きてないだろうけど。
それが……この先何度も何度も繰り返されるんだろうね。
――
それで――いいのかな?
常闇との対決、決着です。
ですがライザには何か思う所があるようで?
ライザのスキルに限り、一度は和訳のルビを振っていたのはこの時の為でした。
「あ~」と思った方は心の中に閉まっておいて頂けると幸いです。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。