ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師   作:もふもふたぬきねこ

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新章突入です。
錬金術をどのように使っていくか。ストーリーも動き出します。

本話のクラウディアは作者のイメージが膨らんだ結果です。
商会の一人娘ならこういう場面ってこんな感じじゃない? という
妄想被害の産物です。
原作ではお茶係だったと思いましたがそれじゃ寂しいですし。

アニメいかがでしたか? 私は盛大に録画を失敗したため
3日後ですね……。

またまた誤字報告ありがとうございました。
エディターでは限界が……見直すしかないですね。

今回もよろしくお願いします。


第三章 変わりゆく人々 ~錬金術ってこう使うんです~
15. 43~45日目① クラウディア現場監督 爆誕!


と、いう事で!

早速家の修復を始めていくわよ!

 

「えらく気合入ってんな?」

 

「当然でしょ! これだけ大きな錬金術のお仕事なんて初めてなんだから!」

 

「仕事じゃなくて、僕らの隠れ家修理にアンペルさんたちを巻き込んでるだけの気がするけど?」

 

「なに、昨日言ったように私達にも利がある話だ。やる気があるならありがたい」

 

「みんな頑張ろうね!」

 

「とっとと始めよう」

 

朝からアンペルさんの釜を運び、森の広場の廃墟までやってきたあたしたち。

一番楽しそうなのはクラウディア。やっぱりやってみたかったんだろうなあ、こういうの。

さてと。

 

「まずはみんなで素材集めね。最初は軽く集めてあたしとアンペルさんで調合していくから、みんなはその後も採取を続けて。で、一通りそろったら本格的に修復に取り掛かるよ!」

 

「私達は荷物を移す準備もある。調合が終わったら一度島に戻らせてもらうぞ」

 

まあそこは仕方ないよね。一刻も早く釜が使える状況にしなきゃだし。

 

 

 

という事でチーム分け。

 

素材が分かるあたしとアンペルさんは別チーム。

リラさんはレントの修業を兼ねるって事で同チームでアンペルさんと一緒に。

クラウディアとタオはあたしのチームになった。力ある人があっちに寄っちゃったなあ。

 

木材と、ある程度の土はあたしたち。石材と、持てるだけの土はレントとリラさんに任せよう。

アンペルさんは右腕の事があるしね。

調合に入ったら男と女性チームで別れてもらいましょ。

 

そんな感じで軽く素材を集めてから調合開始だよ!

木材は島でも採れる丈夫なアイヒェ(ミズナラ)。石材はタオに文句言われたあの石柱が手っ取り早い。

土は昔から使われてるらしい「しっくい」なるものがあるらしくって、草と砂を混ぜて作るらしいから海沿いにたくさん生えている塩草を使う事にしてた。

石柱を丸ごと担いできたリラさんにはさすがに面食らったわね……。

 

で、意外だったのが。

 

「はいレント君! 次そこの木材を奥の角に立てて!」

 

「お、おう!」

 

「タオ君は出来た漆喰を塗っていって! 下から上に押し上げる感じだよ!」

 

「わ、わかったよ」

 

「ライザ、石材が調合出来るのってあとどのくらいかかりそう?」

 

「えっ、ええと……あとちょっと?」

 

「凡そ30分といったところだ」

 

「それじゃあ、リラさんは石柱をもう一本お願いします!」

 

「任せろ」

 

クラウディアだ。完っ全に現場監督やってる。

商売をやってると時間にもシビアになってくるのかな……。

リラさんの石柱担ぎも当たり前のようになってるし。

 

 

 

 

 

 

「精がでるね」

 

今はお昼前くらいかな? 直した桟橋に一隻の舟。アルさんだ。

 

「アルさん! 手伝いに来てくれたんですか?」

 

「正確には差し入れかな? お昼ごはんが要るかなと思ってね」

 

「うおおお!! 助かりますアルさん!」

 

「お腹ペコペコだったんだ!」

 

まあ朝から働きづめだしね。

あたしもお腹が空いてきた――鳴らないようにしないと。

 

「食事は大事だ。助かるぞアル」

 

「何か甘いものはあるかね?」

 

「うん……40分くらいなら調合の時間と採取に都合をつけて……」

 

いけない。クラウディアがまだ監督モードから戻ってこないよ。

呼んでも反応しないクラウディアを心配したのか、アルさんが近づいて。

 

「クラウディア?」

 

「アルさん! この家錬成できませんか!?」

 

とんでもない事を言いだした!

いやまあ、実はその考え間違ってないんだけどさ!? 本末転倒だよ!

 

「出来るけど、高くつくよ?」

 

「ちなみにお時間はどのくらいで?」

 

「ん~、今ここにある資材を使っていいなら……20秒くらい?」

 

(にち)でも、時間でも、分でもなく、秒!?

 

「……ライザ」

 

「なにかな? アンペルさん」

 

「今、20秒という言葉が聞こえた気がするが――聞き間違いだな?」

 

「間違ってないよ? アンペルさん」

 

「アンペル、無駄な現実逃避はやめろ。アルは適当な事は言わん」

 

「……右腕の事が無くてもそれなりに錬金術には自信があったのだがな」

 

「時間短縮の規模と人件費も考えると……でもさすがに出費が……」

 

「クラウディア! いい加減に戻ってこようよ!」

 

つくづく規格外のアルさんに半ば呆れつつハチミツの香りでいつものクラウディアを引き戻して、あたしたちはランチタイム! 持ってきてもらったご飯や飲み物を広げてみんなで休憩だ。

あれ? この味って。

 

「うちの味?」

 

「わかるかい? 僕だけで作るには時間が無くてね。ミオさんに協力してもらったんだ」

 

「ミオさんが? ……おふくろの味ってやつか」

 

「久しぶりに食べる味だね」

 

お母さんが手伝ってくれたんだ。

帰ったらお礼言わなきゃ。

 

「これがライザのお母さんの味かぁ……」

 

「ふむ、素朴でいい。偶にはこういった味を食べたくなる」

 

「お前の料理は甘いか味付けが極端だからな。アルが作ったのはどれなんだ?」

 

「この辺ですよ」

 

木材部に腰掛けるあたしたち、地面に座るレントたち、壁にもたれかかるアルさんたち。

みんな普段のスタイルが出るわね。別にあたしも地面に胡坐で平気だけど。

 

「初めて食べる味だな」

 

「調味料に自家製が多いですからね。お口に合わなかったですか?」

 

「初めてというだけだ。美味いぞ」

 

「それならよかったです」

 

「アル君。その調味料は何で作ったものなんだい?」

 

「豆ですよ」

 

「豆!?」

 

島では栽培されてないけど、あの豆だよね?

あの麦よりは大きいけどブドウよりは小さい、ちょっと渋めの粒。

アレがこんな味になるの?

 

「お酒とかと同じでね。やり方や環境を変えると色々作れるものさ」

 

料理のレシピから錬金術が思いつくって言われたけど、おんなじもんなのかな。

各家庭の特徴が出る味付け……奥が深いわね。

 

「アルさん。これの製法ってライセンス料は……」

 

「ヤベエぞ……クラウディアがまたアッチ側にいっちまった」

 

現場監督じゃないけど今度は商売人になっちゃってるよ……。

ライセンスって販売権利とかそんな感じだっけ?

 

 

 

そんな感じで、わいわいがやがやお昼ご飯を食べて作業再開だ。

アルさんは持ってきてくれた食器とかを集めて、さらにお菓子と飲み物を差し入れてくれて島に戻っていった。ホントにありがとうございました!

 

再び現場監督モードに戻ったクラウディア指揮の下、調合に建築に採取に、各々作業を進行中。

なんというか監督というより、親方化してきてるかな?

 

そんなクラウディアのおかげもあって余分に素材を集める必要もなく、調合もする事なく、資材は今日だけで集まった。監督すごい。

 

「今日の作業だけで私はお役御免か。わりと早かったな」

 

「大した量はないが私も荷物を片付ける。私の分はレントをこき使え」

 

「う、ウイッス!」

 

あんたリラさんには絶対服従ね。まあでも、実際力仕事はレント任せだ。

あたしはか弱い乙女だし――あんたらその目は何よ。

タオはやっぱりというか細かい作業に向いてるのかな?

クラウディア曰く「さかん職人」って言ってたくらいに上手みたい。

 

さて明日からあたしは何をしようかな?

 

 

 

 

 

 

次の日。今度は4人で集まって対岸の広場に向けて出港する。

レントは重作業、タオは軽作業、クラウディアが親方なのは昨日のまま。

 

そして、あたしは。

 

 

 

「おも~~~い!!」

 

 

 

いつの日か……アルさんの採取集めを手伝った時だっけ? あの時のようにあたしはうめいてた。

クラウディア親方の前であたしの乙女主張は通用しなかった――まさか強化魔法まで使う?

 

という事であたしは石材を使って建物の内装担当中だ。

まあ錬金釜周りなんかはあたしが一番詳しいし、適材適所なんだけどさ……。

だけど思ってたよりずっと急ピッチだ。これなら明日には完成しそう。

 

「順調に出来てるよね。指揮者って大事なんだなあ」

 

「ライザがやってたらと思うとゾッとするぜ。ぜってえ俺らに丸投げだぜ?」

 

「お昼はフラムでいいかしら、レント?」

 

「はいライザ! そこが終わったら次は隣の炉みたいなのだよ!」

 

「はぁい……」

 

ダメだ。監督コワイ。

 

お昼はお母さん――昨日はちゃんとお礼言ったよ、とクラウディアに準備してもらった。

この時だけは比較的いつものクラウディアに戻るけど、「午後も頑張ろうねっ!」と言ってるのを見た限りじゃ抜けきってはないよね……。

 

 

 

そして。そんな作業を次の日も続けて。

 

「できた……!」

 

「おう。らしくなったじゃねえか」

 

「元々の形があったとはいえ、結構なんとかなるもんだね」

 

「みんな、おつかれさまだよ!」

 

家自体の修復は完了。住める形に、調合出来る場にする事ができたよ。

外観はともかく内装が大変だったわね。監督の存在が特に。

 

とはいえあたしたちでそろって大きな形を作り上げられた、一つのシンボル。

愛着が湧くよね。

 

「今日はもう遅いし、リラさんたちに話をするのは明日か?」

 

「そうね。今から話しても動いてもらうのは明日になるし、もう準備は終わってるらしいし」

 

「そっか……終わっちゃったんだね」

 

「クラウディア?」

 

「ううん。なんでもないよ」

 

タオは不思議がっているけど――あたししか聞いていなかったね。

そっか。クラウディアはあたしたちと一緒に冒険みたいな事をしたかったんだもん。

 

こっちの拠点も出来たし、ルベルトさんに相談する事も考えようかな。

後は、クラウディアを仲間にするための節目を設けましょうかね。

 

「そんじゃまあ――この拠点を完成した事を機に、誓いを立てようと思います!」

 

「なんだ? いきなり」

 

「いいのよ、なんだって。あたしはもっと錬金術士として腕を上げて、アルさんやみんなの力になる事を誓います!」

 

「……なるほどな。じゃあ俺はあの北の塔を制覇して、島の連中を見返してやるぜ!」

 

レントが意図を察したらしい。意外にこういうとこ鋭いよね。

 

「僕は……僕は古代文字を解読して、書庫の本を読み解いて、もっと色んな知識に触れる!」

 

タオも乗ってくれた――さあクラウディア。

 

「私は……私は! みんなの前でフルートを演奏できるようになる!」

 

うん――これでみんな揃ったね。

もう仲間なんだよ。クラウディア。

 

「フルート? あーそういや、昨日もライザに魔法かけてたっけか」

 

「あっ、いや、ぅん、まあ……それなんだけど」

 

心地いい演奏じゃなくて、アレはちょっと怖かった音とプレッシャーの集合だったわよ?

 

「ケースの中身は楽器だったんだね」

 

「あたしは一足先に聞かせてもらったわ。あんたたちも聞かせてもらえるよう精進なさいな」

 

魔法の事はスルーして。

誓いを立てて島に帰ろうと舟に足を向けた。

 

 

 

その時。

 

 

 

「ちょっと待て」

 

――レントが、警戒の声で足を止めた。




今後もこんな感じに近いキャラ付けです。
ライザとやっていけるなら、ある程度はヤンチャかなと。
話の展開上、年少組だけでなく大人組も参加させてみました。
どの発言が誰なのか識別つきますでしょうか?

比較的漢字が少ないのがライザ達、多いのがアル達です。

最後にレントは何に気付いたのか。
次も楽しんでいただければ嬉しいです。
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