ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師   作:もふもふたぬきねこ

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久々の冒険回です。
無印ライザに比べて3はとっても広いらしいですね。オープンワールド?
そうなるとネタは増えるんですが、整合性取るのが大変そう。

この話は本来第三課題なんですが、省略しました。
だってアルが居たら第二が発生するわけありませんもん。

誤字報告ありがとうございます。前話はちょっと手違いで直ってないかもしれません。

前話のアンケートを此処でも実施しています。

今回もよろしくお願いします。


22. 53日目①  第二課題 想定外の実地試験

翌朝。

今日もアトリエで調合をしようと工房に来たあたしを。

 

「おはようライザ。待っていたよ」

 

「ライザおはよう。呼びに行こうと思ってたところだったよ」

 

アルさんとクラウディアが出迎えてくれた。

 

「あたしを?」

 

「うん。実戦課題を今日やるからって。レント君にはタオ君を呼びに行ってもらった所だよ」

 

「もちろんみんなの都合がつけばだけど」との事。当然まったく問題なし。

前の課題から2日しか経ってないけど、まあいいか。早いにこしたことないもんね。

 

「それじゃあ行こうか」

 

「今回もアルさんが来てくれるんですか?」

 

「うん。実は僕も今回の課題に関わってるところがあってね」

 

レントとタオと合流したところで、5人で港に向かう。

既にルベルトさんは対岸にいるらしい。大丈夫なのかな?

 

 

 

 

 

 

そして見えてきた対岸は……どういう状況なのよ。

 

ルベルトさんと、護衛であろうアガーテ姉さんは分かるよ?

 

……なんでボオスとランバー、さらに他の護り手の人たちもいるわけ?

 

「ライザ君。待っていたよ」

 

「おはようございます、ルベルトさん。あの、この状況は一体?」

 

「それについては私から説明する」

 

アガーテ姉さんが教えてくれるらしい。

 

「最近街道沿いの魔物が増えていると行商人から話が上がっていてな? 早い話がそれを確認、可能であれば討伐する事が今日の護り手の活動の目的だった。だがバレンツ氏から提案が入ってな」

 

「実戦課題を受けてもらう予定の君達にその事前偵察をやって貰うつもりだったが……君達と同年代で腕が立つというブルネン家の方々の話が入ってね。ならばいっその事、一種の比較試験をしてもらおうかと考えた。少々不謹慎だとは思うが」

 

「比較試験、ですか?」

 

あたしたちと、ボオスたちって事?

補足でアガーテ姉さんが説明してくれる。

 

「勿論無謀な事はご法度だぞ。目的は街道の北にある旅人の休憩小屋。そこに書いてある注意書きのうち、3番目の内容を覚えて戻ってくる事。その間魔物との戦闘があるだろうが不要な戦闘は推奨しない。あくまで必要な戦闘に対処して無事に戻ってくる事が目的だ」

 

やる事自体は分かったけど、それで比較って何だろう?

 

「ボオスとランバーには護り手を2人付ける。この4人で行って戻ってくるまでの結果を評価する。そして、ライザ達にはアル君に付いてもらう。尤もアル君は強過ぎるから原則戦闘には参加しない。そこは魔物との戦闘経験があるお前達3人とのハンデだ」

 

「ふん。そんなものあろうがなかろうが全て片付けるだけだ」

 

おーおー自信たっぷりです事。

というか、アルさん。

 

「今日の事、知ってたんですか?」

 

「うん、昨日の朝にライザが来る前にね。だから「みんなによろしく」と言っただろう?」

 

分かんないって!

 

「先行してボオス達、時間をおいてライザ達が出発だ。行って戻ってくるまでの時間も考慮はするが、魔物への対処やルートの選択などが本来の評価対象だ。総合的に判断するという事を頭に入れておけ。それと全員にアル君の音爆弾を配備する。緊急時は迷わず使え」

 

という事で、アルさんの音爆弾が渡される。

しばらく使ってなかったけど今回はどうだろう。ないといいんだけど。

 

「それとだ……未確認の情報だが、小屋の手前周辺の廃墟群で大きな魔物を見かけたという行商人からの話が出ている。夜だったせいで姿など全く分からんと聞くし、私も先ほど見回ったがそれらしいモノは見つけていない。だが念の為、用心しておいてくれ」

 

大きな魔物……まさか、ね。

イヤな予感が当たらないといいけど。仮にアルさんが感知していたら既に討伐してるか、間違ってもこんな試験を許しはしないよね。

そのアルさんは……無表情気味か。感知外に何かがいる可能性を考えてるのかな。

 

 

 

で、最初にボオスたちが出発する事になったんだけど。

 

「街道沿いの魔物は全て始末しておいてやる。ゆっくりと後を歩いてくるがいい」

 

そんなセリフを残して行っちゃった。話の内容忘れてんのかしらね。

 

「まったく。そういった事にならないよう護り手の2人には言い含めてあるが、無駄な忠告になりそうだな」

 

姉さんも思わずボヤいてる。ホントだよね。

 

 

 

それから……20分くらいかな? 時間が経ってあたしたちも出発になった。

 

「じゃあ行ってくるよ。待っててね、クラウディア」

 

「うん。みんなも気を付けてね」

 

「緊急時を除いて基本的に僕は口出ししないし戦闘にも参加しない。君達の考えで進んでおくれ」

 

「分かりました」

 

レントの声をきっかけに歩き出す。

 

なにげに採取以外の目的で3人揃って街道に入るのって久々だ。

前回というか、半月くらい前にレントの付き合いがてら初めて入った時以来かな?

まさかここにアルさんを加えて歩く日が来るなんてね。

 

しかしまあ。

 

「なんつうか、普通に魔物がいやがるな?」

 

ぷにやら翼竜やらが前に来た時と同じようにそこら辺にいた。

全滅させる話はどうなった。

 

「いくら大口を叩いたところでボオスたちは魔物との戦闘経験ないんだし、護り手の人の判断を素直に受けたんじゃない?」

 

「僕らでも全部相手ってのはないよね。まあそもそも戦わずに済むのが一番いいんだけど」

 

「つっても街道の安全確保も兼ねてんだろ? 脇はともかく真ん中に居座ってる野郎と、待ち伏せていやがりそうな廃墟群とやらの魔物は片付けとこうぜ」

 

まあそんなとこか。

道草せず進路上の魔物は倒すって感じにしましょ。

 

 

 

そんな感じでボチボチ進む。この辺の魔物は一回相手したやつだしね。

で、前はここまでって決めた所まで来た。ここから先はあたしたちも未知のエリアだ。

 

「眺めがいいね~」

 

「地名としては中央ライム平原と呼ばれているよ。気を引き締めてね」

 

アルさんが初めて口を開いた――いけないいけない。これは試験なんだから。

 

さっきまでと方針は変えずにそのまま進む。

島の周辺は小妖精やイタチもいたけど、こっちにはいないわね。

代わりに見た事ない緑色の翼竜と、北東のはタオが見たっていうでっかい翼竜か。

デカいのはムリだね。実力差が読み取れないや。

 

「翼竜が……二本角になってやがんな。今までのよりなんとなく強そうだぜ」

 

「あたしたちにとっても初めてだから気を付けて戦いましょ。今までの紫色のとどう違うか見極めとかないとね」

 

「戦わないって選択肢はないんだね……まあこのハンマーは使いやすくなったけどさ」

 

という事で、街道上をバッサバッサと飛ぶ翼竜(ウィンドフェザー)と初戦闘。

さっきまでのより少し速いかな? こっちの方が魔物としては強いみたい。

 

まあ、2匹同時くらいは問題なしだね。

なんせ。

 

「行っくよーレヘルン!」

 

弱点が一緒なんだもん。氷フラムのレヘルンでまとめて攻撃できちゃう。

今回2人にもアイテムは持たせてるけど、今のところはあたしだけでも十分ね。

 

「コアクリスタル、だっけか? やっぱ便利だよなソレ」

 

「便利だからこそ、古式秘具ってやつの中でも数はあるらしいわよ?」

 

「昔も今も考えることは一緒なんだよね」

 

それにしても、元々の数から減っている気がしないわね。

ボオスのやつめ、全部避けてってんじゃないの?

 

さて、とっとと先に……レント?

西の方をじっと見てる――なにか橋みたいなものが?

 

「なあアルさん……ダメなら答えてもらわなくていいです。あっちには何が?」

 

「……掟にある「悪魔の野」さ。稀に流れてくる魔物は桁違いに強い。絶対に入らないようにね」

 

「わ、分かりました」

 

あんな普通に街道の脇道のように見える先に、禁足地って言われてるとこがあるんだ。

今のはアルさんからの警告だ。あたしたちが踏み込んだらケガじゃ済まなさそうだね。

大人しく今はこっちの事を優先しましょ。

 

 

 

 

 

 

さらに街道を歩いて北に進んでいくと――あれが廃墟群と旅人の小屋ってやつかな?

分かれ道の真ん中部分に小屋があって、その手前に聞いた通りの廃墟群。

 

あそこに大きな魔物がって聞いたけど、まさかフィルフサじゃないよね?

軽く廃墟群の中を通り、接敵した翼竜を退治して小屋に到着ってとこで――ボオスたちがいた。

 

「……っもう来やがったか。随分と駆け足で来たらしいな?」

 

「普通に移動して周辺の魔物を倒しながらよ。数でも教えようか? というか、魔物の数全然減ってなかったんだけど?」

 

「ふん、身にかかる火の粉だけを払っただけだ。こんな平原回るだけで日が暮れる。こっちが為すべき事は、後はアガーテへの報告だ。精々魔物と遊んでろ」

 

全部始末するってあんたが言ったんじゃない。

そんな事を言う間もなく、ボオスたちは島の方向へ去ってった。

 

「あれを見れただけでも収穫もんだな。ざまあねえぜ」

 

「あたしたちの目的はクラウディアのためよ。ボオスたちなんてどうでもいいわよ」

 

「僕らもさっさと課題を片付けちゃおうよ。小屋の扉の……注意書き、これか。3番目だから「南に下る旅人は、街道を外れる事なかれ」……おとぎ話の一節?」

 

そうだね。掟と一緒になってるおとぎ話。

 

「そうだな。続きは「西に広がる悪魔の野、決して踏み込むことなかれ」「東の城には竜住まう、怒りに触れることなかれ」か。悪魔の野はさっきアルさんが教えてくれたところとして」

 

「東の城って「流星の古城」だよね。この辺で一番大きな遺跡の。あそこに竜がいるのかな?」

 

誰も見た事がない悪魔と竜。でも、それにまつわる場所自体は実際にあるのよね。

城は分かりやすかったけど、悪魔の野も強い魔物がいるってのは教えてもらったばかり。

 

この前ボオスに啖呵切ったけど――まさか本当に竜はいないよね?

そうしてあたしたちも浜に戻ろうとした……その時だ。

 

 

 

「3人とも、()()()の視界に入らないように。僕が注意を引く。ボオス君達と合流出来たら一緒に退避してくれ」

 

 

 

アルさんから突然の指示。

 

――アイツの視界? 注意を引く? えっ何の事、アルさん?

 

そんなことを思ってるうちに、アルさんはすっごい速度で駆けていった。

 

 

 

そして。

 

 

 

ドゥオォォォーーン!

 

ギィェァアアーーーーー!!

 

 

 

爆発音と、何かの鳴き声、ってあれまさか。

 

「竜!?」

 

廃墟群の上空から、あたしたちが相手した翼竜の軽く10倍はある赤い竜が降りてきていた。

なによ、あれ。

 

「ど、ど、ど、どうすんのさ! あんなの襲われたらひとたまりもないよ!」

 

「……さっきアルさんから言われたでしょ。竜にバレないように向こう側へ行くわよ。ボオスたちがいたら合流」

 

「一人任せっぱなしって思っちまうが……俺たちが行っても邪魔になるか。タオ、行くぞ」

 

「う、うん」

 

ここからでも羽ばたく音が聞こえるくらいの巨体。

それが廃墟群の真ん中……ちょっと開けた箇所か。そこに留まってる。

幸いこっちは竜の背中側だね。廃墟の外を通っていけば……。

 

と、思ったところだったんだけど。

 

(ボオス!?)

 

(4人ともやられちまったのか!?)

 

(な、た、助けなきゃ。ああでも逃げなきゃあ~、どうすればいいんだよ!)

 

驚きつつも何とか小声で会話。あんな化け物の近くで大声を上げる勇気は無いわね。

ボオスたち4人を庇うように、アルさんが立ちふさがっている――こっちには気づいたみたい。

 

それと同時に竜からゴアァァって音がして。

 

 

ボッ!

 

 

火球がアルさんに吐き出された!

 

「アルさん!」

 

思わず出ちゃったあたしの声は一切関係ないように、アルさんは身体の前でパン! と手を合わせ――手合わせ錬成!

 

 

バチッ! バァン!

 

 

地面から小さめの盾を一瞬で錬成して、その火球を……斜め後ろへ弾き飛ばした。

 

(ええぇ……)

 

(やべえな。弾いた事も作った速さも)

 

(そんな事より、アルさんの立ち位置が僕らの対角になってる! 多分徐々に動いて視界をずらしてくれるから、その隙にボオスたちを連れていこうよ!)

 

頭を戻してタオの言葉を頭に入れる。戦闘モードに入ったらしい、冷静だ。

アルさんも目配せしてる。その考えで間違いなさそうね。

 

じりじりと時計回りにずれていくアルさんと竜の視界。

それに合わせてあたしたちもボオスたちに少しずつ近づいていく。

音爆弾が転がってた。あの竜には効かないのか、使う間もなかったのか。

 

「……っつう」

 

(! 大丈夫ですか! まだ竜がいるから静かに!)

 

護り手の1人の目が覚めた。幸い目立ったケガはなさそうだね。

 

(今、どういう状況だ……?)

 

(アルさんが竜を引き付けて、あたしたちから視界を逸らしてくれてます。もう一人の護り手の人を連れていけますか? あたしたちでボオスとランバーを連れていくので)

 

(分かった……)

 

まだふらつき気味だけど、冷静でいてくれて助かる。さすが護り手。

 

指でレントにボオス、あたしとタオでランバーを連れてく事を指示。

さすがにレントも従ってくれるわね。

レントがボオスを肩に担ぎ、あたしとタオはランバーの両脇を支える形で引きずった……背が足りないのよ!

 

何度か竜が火球を吐き出す音を聞きつつ、なんとか全員物陰に入る事ができた。

戦ってる感じの音はしないから、対峙し続けてる?

そう思った時、羽ばたき音が大きくなり竜は飛び上がって……東に去っていった。

 

「……行った?」

 

「みたいだな。アルさんは!?」

 

「皆無事かい!?」

 

アルさんが駆け足でこっちに向かってきてた。

 

「あたしたちは大丈夫です。ボオスとランバーは気絶してるけど、大きなケガはないみたい」

 

「我々も同じような状態だ……アルフォンス、助かった」

 

「その辺りは後で。あの竜が戻ってくるともしれませんから、まずは帰還を優先しましょう。ランバー君は僕が背負っていくよ。レント、ボオス君をお願いできるかい?」

 

「アルさんのお願いじゃあ断れねえな……ボオス、感謝しろよ」

 

手が空いたあたしがレントの剣を、タオが荷物を持ち。8人そろって浜に向かった。

着くまでの間は誰もしゃべらなかった。しゃべる雰囲気じゃなかったわね。

 

 

 

 

 

 

「これは……一体何があった!?」

 

「ボオス組4名、軽度ですが負傷しています。念の為早急に島へ搬送しましょう。竜が出ました」

 

「っ分かった! すぐに連れていこう」

 

アルさんの軽い説明を受け、ボオスたち4人は一足先に島へ帰還となった。

大事無きゃいいけど、アルさんが軽度と言ってる以上は大丈夫かな。

アルさんともう一人の護り手の人、ルベルトさんも混じってテキパキと搬送の準備がされてく中で、アルさんが起こった事を説明していってるね。

 

「……ライザ。大丈夫だったの?」

 

「ありがとうクラウディア。大丈夫だよ、あたしたちはね。アレに見つかってないし。アルさんの見立てでも大事無いって事だから、ボオスたちも大ケガではないはずだよ」

 

あそこから東に飛ばれてもここからじゃ見えないか。何が起こったかクラウディアたちは分からないよね。

 

「まともにやり合ってたら、俺たち今頃どうなってただろうな」

 

「やめてよ……フィルフサの時と変わんないよ。あんなのどうしろっていうのさ」

 

高く飛ばれるとレントじゃ厳しいし、あたしも杖は使えない。そもそもダメージ入る?

 

「それにしても……本当に居たんだな」

 

今までただのおとぎ話だとか、掟で適当にそうなったんだと思ってた。だけどホントにいた。

いろいろ思う所はあるけれど、あたしの中に一つの不安……掟は全て本当なの?

 

だったら、あたしがやってる事は……。

 

そんな事を思ってる間にアガーテ姉さんたちが戻ってきた。

 

「お前達、よく無事に戻ってくれた。そしてボオス達を連れ帰ってくれた事、心から感謝する」

 

そういってアガーテ姉さんが頭を下げてくる。姉さんに頭を下げられる日が来るなんて。

 

「姉さんが頭下げる事じゃないよ。未確認の大きな魔物が竜だなんて誰も想像できないし。あたしたちもアルさんが引き付けてくれた間に、ボオスたちを物陰に移動させただけなんだから」

 

そう。一番にして唯一の功労者はアルさんだ。

竜の接近にすら気づかなかったあたしたちだけだったら、今この場に居られたのかもわかんない。

 

「聞いてるとは思うけど……その竜、東に飛んで行ったよ。おとぎ話の通り流星の古城に住まうっていう竜なんだろうね」

 

「なんつうか……あいつらは大丈夫なのか? アルさんは軽傷って言ってたけど」

 

「うん。放たれたブレス、その着弾の余波での気絶だと思う。直撃は受けていないはずだからエドワードさんに診て貰えば大丈夫さ」

 

「そっか、無事なんだね」

 

事実上、ただ一人で竜と直接対峙したアルさんから解説が入る。

あの状況で最も冷静に最も危険な立場を率先して引き受けてくれた。まさに大人の一言だ。

 

「この度はこのような事態を招いてしまった事、本当に申し訳ない。心から謝罪させてほしい」

 

ボオスたちの搬送を手伝ってくれてたルベルトさんがこっちに来て、あたしたちに頭を下げる。

 

「ルベルトさんのせいじゃないですよ。たまたま遭遇したのがあたしたちだっただけです。それに……そういった時のためにアルさんと護り手を付けてもらっていたわけですし」

 

「結果論ではありますが、今回の8人を街道に送った事で寧ろ被害を最小限に抑える事が出来たと考えます。彼や魔物慣れしていたライザ達が現場にいた事は何よりの幸運だったわけですから」

 

「そう言ってもらえるとありがたい……」

 

姉さんの言葉を受け、そう言ってルベルトさんはあたしの方に向き直る。

 

「ライザリン・シュタウト君」

 

「は、はい」

 

フルネームで呼ばれるとゾワゾワするよ。

 

「今回のような出来事が起きても、君達は冷静に対処して怪我人を無事にここまで連れてくる事を成し遂げた。素晴らしい成果だ……クラウを託すのに、君達以上の人物はそういないだろう」

 

つまりは……!

 

「この島にいる間、娘を……クラウをお願いできるだろうか。課題どうこうより君達の人柄からお願いしたいと思う」

 

「……っ! わかりました! 任せてください。やったねクラウディア!」

 

「本当にありがとうライザ! レント君もタオ君も!」

 

「なあに。俺たちはライザに付き合っただけみたいなもんだからな」

 

「これでライザのストッパーが増えるといいんだけどね」

 

そう喜びに沸くあたしたちだけど、アルさんは冷静だった。

 

「それにしても……あの竜。かなりの強さだと思いますが、明確に敵意があるわけではなさそうでした。流星の古城を拠点にしているとして、このタイミングで街道まで飛んできた理由の検討が必要かと。我々や行商人に害をなすようなら、という事も」

 

「そうだね。だがそれだけの事となると、流石に私達だけで決めるわけにはいかないか。島に持ち帰っての協議になりそうだが……荒れそうだな」

 

「荒れそう?」

 

なんだか姉さんはげんなり顔だ。

 

「掟を重視する古老達と、ボオス(息子)を傷つけられて更には行商の邪魔をする魔物へのモリッツさんの怒り――まず対立は避けられないさ。何せ長年目撃情報が無かった大型の竜の実在が確認されたんだ。上の連中が騒ぎ立てるのは火を見るよりも明らかだろう?」

 

あ~そうだよね。たしかに面倒ごとの匂いしかしない。

掟破りの常習犯なあたしたちもやり玉に挙げられるかな。

 

そういえば。

 

「アルさん。なんで竜に攻撃しなかったんですか? 防いでただけでしたよね?」

 

「アレに殺意があったか分からなかったから、こっちからの攻撃はしないでいたんだ。現に火力はあったけどそこまで攻撃的じゃなかった。それに、あの場で戦闘になったらライザ達にも被害が及ぶ危険性は十二分にあったからね」

 

戦える実力があったから取れた選択肢ではあるけれど、そこまで考えていてくれたんだ。

たしかにあの火球――ブレスっていうんだっけ? アレをまき散らされてたらマズかったよね?

 

「一先ずライザ達は島へ戻っていておくれ。クラウディアの歓迎もあるだろう?」

 

「アルさんは?」

 

「アンペルさん達に今回の一件を伝えておこうと思うよ。個人的にだけど、フィルフサの出現と無関係とは思えないからね

 

姉さんとルベルトさんに聞こえないよう、小声で伝えてくれる――タイミングが良すぎるもんね。

 

「……あたしも行きます。この件に関してはちゃんと知っておきたいから」

 

「もちろん俺たちもだぜ」

 

「そうだね。戦うとかは別にして知っておきたいとは思うから」

 

「私も今度から一緒にいられます! 同席して聞かせてもらえないですか?」

 

「……分かった、皆で行こうか。アガーテさん、僕らは少し後で島に戻ります。世界を旅しているお2人なら竜についても何かご存じかもしれません」

 

「ここに拠点を移されていたな。分かった、君なら心配ないと思うが気をつけてな」

 

「クラウをよろしくお願いするよ。それでは」

 

 

 

そうして島に戻っていくアガーテ姉さんとルベルトさんを見送り、あたしたちはアンペルさんたちの拠点兼、あたしたちの隠れ家に向かった。

 

その際、クラウディアが初めて戦ったんだけど――案の定魔物が凍り付いてた。

ついでにレントとタオの表情もね。

 

「エグいな」

 

「怒らせちゃダメよ? アトリエごと凍っちゃうかもだから」

 

実際氷室になりかけたしね……。




という事でクラウディアがパーティーに加入です。やっと年少組が揃いました。
実はライザより身長高いんですよね。知った時は驚きました。
(ライザが161センチ、クラウディアが163センチとの事)

この竜、書いてる時は某狩りゲーの看板さんに置き換えてやろうかと
思いましたが、あまりにゴツかったので止めました。世界観が合わない。
ワールドツアーされても困りますしね。

アンケートは前話と本話での開催です。
すでにかなり先まで予約投稿済みなのでどこから修正できるかは
ありますが、よろしくお願いします。

次で第三章は終わりになります。序盤から中盤に移るタイミングです。
次回も楽しんでいただければ嬉しいです。

句読点の数はどのくらいがいいでしょうか?(12話以降基準)

  • 多すぎる
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  • 少なすぎる
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