ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
明るい見た目のライザ世界ですが、わりと背景は……。
日数が進んで新しい問題の発生です。
ダイジェスト多めなので地の文が多くなりました。
が、この後はほぼダイジェストがありません。
ライザ達の1日は長い。
今回もよろしくお願いします。
クリント王国の――罪?
アンペルさんが一息ついてから話し出す。
「今日お前達が見たであろう城の戦場跡。それは国家間の戦争に因るものではない……フィルフサに侵攻された結果だ」
「なっ、あそこまでフィルフサが来てたっつうんですか!?」
「竜を呼んでまで対応していたのに、食い止められなかったなんて。じゃあ周囲の遺跡も?」
「そうだタオ。その際に破壊された物だろう」
あの城が、この辺りが、過去にフィルフサに蹂躙された?
なによ、それ。
「アルの予想通り、あの丘の南に門があるのだろう。そこから東の城と北の塔へ侵攻したものと思っている。峡谷の戦場跡もおそらくはフィルフサの仕業だろう」
「えっと……「門」って?」
「あれ? ライザは聞いてなかったかな。フィルフサは異世界の存在だからこちらに来る手段が必要だろう? それが「門」なのさ。前に拠点で話に上げたんだけど」
「すみません。僕も聞いてなかったです……」
他の2人も聞いてませんでした、な顔だ。
すっごい重要そうな話を聞き逃してたね、集中集中。
「私達の旅の真の目的は門を探し出して、もし稼働しているなら使えぬように封印する事だ。クリント王国の遺跡調査は門の手がかりを探す為に過ぎない」
「その「門」っていうのと「クリント王国の罪」にどう関係が?」
「本来の門というのはなクラウディア、恐らくだが……稀に自然発生していたあちら側への出入り口だったんだろう。だがやつらはそれを錬金術で真似た。無理矢理作った門で意図的に世界を繋げて、あちらから資源を根こそぎ持ちだし、そして繁栄した。それがクリント王国だ」
「異世界の持ち物を奪ったってえのか!?」
「そんな……向こう側の世界にも住んでいる人たちがいたんですよね?」
最悪の発想だ。
錬金術の悪用、他の世界にまで害を為すなんて……。
「だがこちらへ来たのは資源だけではなかった。ある時からこちらへ侵攻してきた存在がいた」
「それがフィルフサ、という事ですね。ある時というのは?」
「
原因は分かんないけど水が枯れちゃったんだ。
ただでさえクリント王国から散々な仕打ちにあっているのに、その後にフィルフサだなんて。
ただ、そう繋がるって事は。
「水が無くなったからフィルフサが来た……じゃあフィルフサは水が苦手なの?」
「その通りだライザ、苦手どころか極端に避ける。だからこそ水が無くなった土地は一大繁殖地となった。そして」
「偶々見つけた門を潜ってきた、という事ですか。道理で生物としての在り方が違うわけですね」
なにか。
なにかが繋がりそう――これって。そう、あれか。
「……じゃあまさか、島に伝わる「渇きの悪魔」って」
「そう、それよタオ! 悪魔はフィルフサの事! 渇きってのは「もたらす」んじゃなくて「その時期に来るから」なんだ……待ってよ。じゃあ今の季節って」
散々言われてる――麦の収穫時期の手前。
「そうだ、渇きの前の時節。そして完全に乾季が訪れればフィルフサが恐れる物はなくなる」
「クリント王国を衰退させた期間は一季節だけでの事とされている。私は「大侵攻」と呼んでいるが……ある乾季に大量のフィルフサが門から湧き、クリント王国と衝突したのだろう。その一度の大侵攻だけで、栄華を極めたクリント王国は一気に消耗。他国に攻められ滅んだと考えられる」
使い勝手のいい錬金術で繁栄した大昔の国。それがたった一季節で滅ぶ寸前になった。
どこを見ようがフィルフサの群れ。もう、その時の光景を想像したくない。
「それほどの事が……なんで書物にも残ってないんだろう?」
「逆なんだタオ。後ろめたい事だらけだから最後のその時まで機密としたのさ、自分達の恥の塊だからな。それを踏まえてもクーケン島に殆ど伝わっていないのは不思議だが」
知られちゃ都合の悪い事だから……記録から、歴史から消し去った。
「じゃあ島に伝わってる掟は……島を出るな、城に行くな、悪魔の野に行くなってえのは」
「フィルフサから……身を守るための「教え」、なのかもしれないね」
どこからか、その時の事を知ってた人が島に伝えたんだ。危険な存在がそばに居るって。
つまらない、意味の分からない、あたしたちを縛るだけと思ってた掟。
それがまさかフィルフサに備えるためのものだったなんて。
「……そんな。本格的な乾季まであとひと月くらいしかないじゃない! それまでにその門ってのを封印できなかったら!?」
「島は無事だろうが……対岸側はフィルフサに蹂躙されるだろう。前回の大侵攻の際はやつらが応戦したのだろうが、今回は止めるものが何もない。更地になるかもしれないな」
「そんな!」
信じられない。信じたくない。
あと、たったひと月で?
「アル君が片付けた2体のフィルフサは斥候だろう。アレらの目的が何なのかは分からないが、その2体はこちらの調査に入ってきたと考えられる。その2体以外……街道で目撃された正体不明の魔物もフィルフサとして考えると、既に何体かはこちらに来ているとみた方がいい」
もうフィルフサ側はこっちを攻めるための計画を立てている?
あたしみたいに――とりあえずじゃなくて、確実に目的を達成するために?
「私達が知る限り大侵攻には段階があってな。お前達の見た斥候が1番目で、次に乾季を確認する「空読み」と呼ばれるフィルフサが来る。そこで乾季を察知されたら、という事だ」
「その「空読み」の見た目はご存じで?」
「2足歩行、人より大きな体高に長い尻尾、細長い身体にハサミを持っている。さながら二足歩行のサソリだ。斥候のような大型ではないが動きは素早い」
まだ見た事ないけど、見た事があったらすでに手遅れかもしれない。
幸か不幸か、どっちにしても遭いたくない。
だけど……黙って見てられない。じっとしてらんない。
「そのフィルフサが来てる悪魔の野の辺り。そこを見ないと分からないって事だよね?」
「ライザ、今はまだ行かせないぞ。さっきも言ったがあそこの魔物はかなり強い。今日戦ったという竜がどの程度か分からないが、今までに戦ってきた雑魚共とはわけが違う。命を粗末にするな」
そんな事言われても……。
「そうだな、ライザは更に錬金術の腕を磨くといい。レント、タオ、クラウディア。お前達も各々の個性を磨けばあの辺りの魔物にも対応出来る様になるだろう。勿論、お前達が関わるつもりがあるのであれば、だがな」
「あたりまえだよ! こんなの見て見ぬふりとかするわけないよ!」
「だな。力になるって約束して、鍛えてもらって。ホントの事知ったら尻尾巻いて逃げるなんざありえねえっすよ」
人任せにするつもりなんてない。なんせあたしたちも関わる事だ。
なら出来る限りの事はしないと。
「今日一緒に戦って思いましたが――この子達は強くなる。お2人の力になってくれますよ」
「僕は戦いたくないんだけどなあ……」
「ふふっ、タオ君って本当に戦っている時とそうじゃない時で別人だね。「操術・絡繰り!」だっけ?」
「やめておくれよ。今の僕が本当の僕なんだから」
「イヤイヤ言いつつタオは根性あるからな。この数日の鍛錬は全部付き合ってきたじゃねえか」
「ほう? ならタオ、お前も私の扱きに参加させよう」
「本当にやめてくださいよぉ!」
強くなんなさいな、タオ。
タオの魔法はあたしのと違って、単純な威力よりも特殊な効果がメイン。
飛ばした魔力がエレメントを乱しておかしくさせる――デバフってやつね。
強い敵ほど有効になりそうだし。
そういえば今日火山に行けたんだから、彗星岩をどっかで採取できるはず。
そうすればみんなの武器もスタルチウムで強化できそうだね。
採取を通してあたしも鍛えよう。
……ただの冒険の為じゃなくて、みんなを守るために。
「さて、お互い報告はこんな所か。久々のケーキ、堪能させてもらったぞ」
あれ!? ホールケーキ、4分の1くらいはあったよね?
「私達は一旦拠点からの調査に戻る。お前達も鍛錬を続けろ。レントとタオ、時間がある時はこちらに来い」
「分かりました!」
「うえぇ~キツそうだあ」
「それでもイヤって言わないのは立派だよ。私はお菓子の材料探しも兼ねて、ライザみたいに採取してみようかな?」
「あたしも火山と古城で採取したいって思ってるから一緒に行こっか! それも訓練になるしね」
「今のライザ達ならメイプルデルタにも行けるかな。あそこは食材になりそうな物が多いから4人揃っている時にでも行ってみるといいよ」
メイプルデルタ――北の宿場町への中継点で、あの時の青イタチの本来の縄張り。
そこでも調合に使える素材が新しく手に入りそうだし、行ってみなきゃね!
アンペルさんたちは拠点に戻って、あたしたちも片付けを手伝って解散した。
ちょっと晩ごはんがキツかったのはここだけの話だ。
しっかし長い1日になったなあ。
……ボオス、また無茶な事やらかさないといいんだけど。
竜を倒して、お菓子作って、あとひと月でフィルフサが来るかも、なんて話が出てから1週間。
もちろん不安はあるよ? けど、じっとしてても前に進まない。出来る事をやろうってね。
そんな気持ちもあって結構黙々と採取とか調合とかしてた気がする。
火山の素材でハンマーを作って、採取できた彗星岩からスタルチウムを。そこからアルさん協力の下、あたしたち3人の武器もクラウディアと同じ感じに強化した。
順番的に次はクリミネアって素材になるんだろうけど、コレ何から作るんだろう……。
さらに以前なんでか作れたペンダントを参考に、指輪やネックレスも調合してみた。
まさかのザムエルさんの解説だったけど、「狩りを生業とする俺達が、強化装備付けるなんざ当り前じゃねえか!」らしい。
いまいちこの辺の装備にどんな効果があんのかわかんないけど、とりあえずつけてみようか。
それともちろんアイテムも。火山や古城の素材の都合で毒っぽいのが多いのがちょっと不満だ。
簡単な薬とかも作ってアルさんの工房に置かせてもらうようにもなった。軟膏は好評だね。
もちろん利益を取ったりなんてしてないよ? ただでさえホントなら借金まみれなのに。
杖に訓練に釜にアトリエに普段の食費にあたしの調合に……いけない、キリがない。
ちなみにアルさんの提案で作ったアイテムも有ったりする。でも
レントは相変わらず鍛錬してる。ホントに鍛錬しかしてない気がするわね、前からだけど。
タオも加えてリラさん直々の場合も結構あるんだとか。
タオがげっそりしてたけど、それでも逃げださないあたり根性あるよね。
クラウディアはさらにお菓子のレパートリーも増えて、びっくりな事にアイテムとして使えるお菓子まで作っていた。ドライビスクだ。
コアクリスタルが反応した時はなんの冗談かと思ったよ。保存食用だったから甘くないのが残念。
ケーキは結構難しいらしくって、クリームを顔に付けたクラウディアを何度か見たよ。
今は行商で色々食べてるロミィさんや、ヤギミルク提供元のバジーリアさんたちに試食してもらってるところ。クッキーなんかは工房に来た人たちの試食用に置いてある感じだね。
ロミィさんが言うには「軽いつまみにはいいんじゃない?」との事。悪くはないみたい。
工房から甘い匂いがしてくるから、気付く人は気付くらしい。
アルさんは宣言通り調理器具を作ってくれた――いつの間に? 錬成じゃないらしいけど。
銅製のボールとかはともかく泡だて器、クランクビーターって言ってたかな? ハンドルを回すだけであっという間にシャンティークリームが出来上がるのは超便利だ。
4人がそろった時に、話に聞いたメイプルデルタにも行ってきた。
いきなり木々が紅葉してるエリアだったから幻想的な光景だったなあ。
メイプルってのは「カエデ」っていうシロップの元になる樹らしくって、この樹の他にも色んな新しい素材が採れて大収穫だ。タオにとっては虫が多くて悪夢みたいだったけど。
アルさんからも一つお使いを頼まれて、それも出来るだけ採ってきた。「ゴルディナイト」ね。
ちなみに青イタチこと「ブルーフィン」はそこらへんにいた。
あたしたちも普通に戦えるようになったあたり、成長を実感できる。
ただ……あの時のやつって、まさかフィルフサにやられてたとかないよね?
一方でこの辺の経緯を通して悩む事になった事もある。
それは。
「島でのお菓子って、どのくらいの価格にすればいいのかなぁ?」
だった。クラウディアがうんうん唸ってる。
「大体で決めちゃダメなの?」
「それじゃあ勉強にならないし、お客様から過剰に利益を頂くなんてもってのほかだよ。お店を開くって言っても私が素人なのは変わりないから。だけど……クーケン島の物価が独特過ぎて」
「島での値段っつー事か? 大体のもんは10コールもあればそろうと思うけどよ」
「王都で売っているものと比較してみないとだよね。クーケンフルーツは島なら15コールもあれば買えるけど、王都ではどうなんだい?」
「クーケンフルーツ……リュコの実は最低でも5、600コールはするかな。高品質なら優に倍くらい付いていても買う人はたくさんいるよ?」
「マジ!?」
たっか!! 最低でも40倍くらい? そりゃあルベルトさんが食いつくわけだ。
島でしか作れないらしい特産品。あたしたちに取っちゃただの野菜でしかないけど、王都に運ぶ手間とか色々考えるとそこまで跳ね上がるわけだ。生産地不明扱いらしいしね。
これだと単純に比べるってのは難しそうだ。
「それに……土地代はアルさんが要らないって言って下さっているからゼロ。道具代や設備費もゼロ。材料費はライザの調合やレント君たちも一緒に対岸から自分たちで採ってきているからかなり抑えられていて、人件費も素人の私がやるんだから有ってないようなもの――原価がほとんどないんだよ。逆にゼロにしてもらっている部分を返そうとしたら……大変なお値段になっちゃうね」
あたしたちもクラウディアからお金を取る気なんてさらさらない。
つまり、島の中で買う材料以外はほとんどお金がかからない事になるわけだ。
麦はうちから格安で融通するつもりだし、ヤギミルクもバジ―リアさんがあたしのよしみって事で安くしてくれてる。
一番お金がかかるだろう箇所はオーナーたる道具屋さん持ち――才能ってずるい。
となると。
「あたしたちじゃ決めるのは難しそうだし、試食してくれてるロミィさん辺りに相談するのがいいんじゃない? 一番適正に付けてくれる気がするよ」
「フレッサさんとかもどうだ?」
「フレッサさんは基本的に島周辺の素材の販売だからね。たまに掘り出し物なんて変わったものも売ってるけど、ロミィさんの方がお菓子の価値はわかるんじゃないかな」
あーたしかに。女の人の方がその辺の良さが分かりそうだ。
「……そうだね、一度フォーゲルさんに相談してみるよ。島の子たちのお小遣いで買えるくらいがいいのかな」
という事で、相変わらずプロの手を借りる事にしたのである。商売って大変だあ。
その一方でアンペルさんたちとアルさんが一緒に西を調査したところ、岩壁のずっと向こうに入り江と遺跡がある事を確認できたらしい。まさかそんなものが近くにあるなんて。
あたしたちが準備できたら乗り込む事になってるから、頑張らないとね!
ちなみに、あたしたちが竜を倒しちゃった事は……やっぱり揉めたらしいけどお咎めはなかった。
竜がうっとおしい事は島にとっても事実だったし、その討伐に踏み込んだのはボオスと護り手。
水持ちの一族と島の治安を担当する人たちを相手に文句を言う事は、古老たちにとってもそれなりにはばかられる事だったらしい。まあ不満たらたらだったみたいだけど。
そして一番の決め手は――とどめを刺したのがアルさん、つまり
元々の掟を曲げて、居住を認めた上にその掟を曲げに曲げて来ている人を相手に掟の重要性を叱責したところで、その責が自分たちに返って来る状況だったのだ。
この島でアルさんの影響を受けていない人はいないし、いまさら追い出すだの言えるような老人はいなかったって事ね。
ボオスの命を救った事もあって全面的に味方のモリッツさん。行商人の代表としてルベルトさん。その場に実際にいた護り手代表のアガーテ姉さんがアルさん側にいる以上わかりきってた。
加えて、アルさんが今回の件について勝手な行動だったと――
結局、あたしたちがこの話に首を突っ込むことはなかった――突っ込ませてもらえなかった。
実際アルさんがとどめを刺したのはホントだけど、多分致命傷はあたしの魔法だったのに。
あたしがやり玉に挙がっていたら、あたしはともかくお父さんとお母さんへの迷惑は避けられなかったんだろうな。
ありがたいと思う一方、全部をお任せした申し訳なさと、やっぱり子どもでしかない悔しさと、なによりあの人に頭を下げさせた大人たちに色々こみ上げたよ。
でも……我慢する。アルさんが収めてくれた結果をあたしたちが壊す事は絶対できないから。
そんな感じで過ごした1週間だったけど、アルさんが気になる話を聞かせてくれた。
「不漁、ですか?」
「うん。以前ライザには餌を作ってもらったという事だけど、それで対応できる状態じゃなさそうなんだ」
「アルさんがそう言われるという事は、もう何か調べられたんですか?」
アルさんは当てずっぽうで言う人じゃない。クラウディアの言う通りなんかあったって事ね。
「少し潜って水中を確認してみたよ」
「「潜った!?」」
魔物がいたらどうするんですか! エリプス湖に魔物はあんまりいないらしいけどさ!
「ライザ達が考えてる通り危険があったし……実際その可能性が高いと思うんだ」
という事は。
「多分、外洋から魔物が入り込んで魚を食べているって事。水面に食べられた跡が浮いていて、潜って見てみたら……というところさ。それと湖の水の流れが不安定みたいでね? 明確じゃないけど一方向じゃなくて乱流の様になっていたんだ」
「この湖の中で水の流れが変わった……ですか?」
出入り口が一か所しかないエリプス湖で、水流が変わるなんてどんな状態なんだか。
というか。
「エリプス湖って、そんな浅い湖じゃないですよね?」
「ははは、何も無しじゃ僕だって息が続かないよ。だから……この前ライザと作った物があったでしょ?
「この前作った……まさかあの飴玉!?」
ハチミツをベースに泡立つ水とぷに玉で調合し、アルさんが錬成した青い飴玉。
あたしも食べたけど、甘くてどこかシュワシュワした飴でしかなかったんだけど?
正直これもお菓子でいいんじゃない? って思ってた程度のもんだったよ。
「アレ、時間制限はあるけど水の中で呼吸できるようになるよ。名付けるなら「エアドロップ」ってところかな? 水圧があるから深さに限界はあるけどね。やっぱりこっちの錬金術は凄い」
「さり気にとんでもないもの作ってますよね? あたし加担してましたよね? というか主犯?」
知らないうちにレシピ開発をする事になっていたとは。
「販売したら大変な価格が付きそう……」
「とてもじゃないけど売れないねえこれは。海洋資源が根こそぎ無くなるだろうから」
これはいけない。知らない間にヤバめの物をあたしも作り出しちゃってる。
作ったとしても、世に出していいのかよく考えないと。
「ええと。それで、何か解決する方法はありそうなんですか?」
「水流の変化は分からないけど、魔物については追い払いようがないからね。発破材で追い出す事も出来るかもだけど湖への影響も甚大そうだ。だからまあ、なんとか倒す事を漁師の皆さんに提案しようと思っているよ。漁獲量以前に襲われる可能性があるから」
まあそうなるよね。
舟の上じゃあたしたちに出来る事は減っちゃうし、護衛の真似事も難しそうだ。
単なる魚の魔物なら大勢で捕獲できればなんとか……。
アレ? でもなんか最近変なところで魚を見た記憶が?
「魔物の誘導はアンペルさんにも相談しようと思ってるよ。良い考えをお持ちかもしれないから」
「その時はあたしも行きますね。直接話を聞いた方がその場で質問も出来ますし」
「分かったよ。それならこの後一緒に行こうか」
「分かりました!」
「それじゃあ留守を預かりますね。出発前にお一ついかがですか?」
クラウディアが作ってくれた新アイテム、カクテルレープってお菓子。
色んな果物の詰め合わせだ。島ではなかなか食べられない一品だけど行商人から買い集めてるんだって。ボリューム感のある一品だね。
クラウディアのお菓子を食べて留守をお願いして、あたしたちは対岸へ渡った。
タイミングよくアンペルさんたちは拠点に居てくれた。レントとタオもいたよ、訓練かな?
「2人から何となく甘い香りがするのが気になるが……ふうむ。魔物の誘導に使えるアイテムか」
「ええ。召喚の例は極端ですけど、何か良い物をご存じないかと思いまして」
アルさんがそう言うと、おもむろに……レシピ、かな? それを持ってきてくれた。
「海の魔物なら恐らくサメの
魚に鼻ってあるんだ?
どんなアイテムだろう? ええっと。
「これは……「誘魔香」? こんなものがあるんですか?」
「本来は決めた場所に設置し魔物を集めて一網打尽にするための物だがな。サメを誘う効果はあるだろう」
「ありがとうございます。ライザ、早速試してもらっていいかな?」
「分かりました! アトリエに戻ったらやってみますね」
まずは作ってみないと始まらない。
島のみんなの生活のためにも――チャレンジだ!
ライザが作った飴玉ですが、これは本来2で登場するアイテムです。
無印世界観ですが、話の都合で使わせてもらう事にしました。ご了承ください。
このエピソードですが、ゴリッゴリのオリジナル展開が含まれます。
なんじゃこりゃあと思われる方も多いと思いますが、
この後もこういった事が何度もありますので、ご理解よろしくお願いします。
次も楽しんでいただければ嬉しいです。