ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師   作:もふもふたぬきねこ

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第五章開始です。

遂に異界までやってきました。
そしてここで半分ではなく……3分の1くらいです。随分長い話になったもんです。

今回は話を切る部分の関係で短めです。
次の話を途中で切るのはなんだったもので。

誤字報告ありがとうございます。前話多すぎですね、何をしているのか。
一回更新を止めて総点検をした方がいいのかもしれない。

今回もよろしくお願いします。


第五章 涸らされた大地 ~あたしたちの為すべき事~
33. 67日目②  異界「オーリム」


「ここが私の故郷。お前達にとっての異界――オーリムだ」

 

ここが……。

赤く暗い空の色、木々は枯れていて同じく赤紫色に染まっちゃってる。

枯れた木にわずかに残った枯れ葉が舞っている。

これ、地面は汚染されちゃってる? 畑の病を想像させる色だ。

 

「異界と言っても……これまで私達が入った異界と大分趣が異なるようだが。リラ、ここはどういう場所だ?」

 

「進みながら説明しよう。お前達、この辺りはフィルフサがそこら中にいる。警戒しながら進め」

 

たしかに遠目にフィルフサが見える。本当にここから来たんだ。

 

 

 

「まずはライザ達への説明をしよう。ここも……元はお前達の世界の様に水を湛え、緑が広がり、空は青い豊かな世界だった。フィルフサも元々オーリムの生物だが生息域が違ってな。私達の生活圏に干渉する事はなかったんだ」

 

「じゃあこの辺りにも人が?」

 

特に建物らしきものは見えない。見た目はともかく森の中って感じだ。

 

「ああ。とはいえ、ここは少々特殊だがな。アンペルの質問に答える形になるが――ここは私達オーレン族の聖域と呼べる場所で、本来なら水と自然に溢れ精霊の力が特に濃いんだ。少し離れた場所なら知っていたが、この場所に直通する門が存在したとは知らなかった」

 

「成程な。道理で雰囲気が異なるわけだ」

 

「オーレン族、それがリラさんの種族ですか」

 

「勇猛で誠実と呼ばれていたものだ。その中でもまだ氏族がある。まあ、お前達でいう人種みたいなものだ」

 

ここもあたしたちの世界と同じような景色が広がっていたんだ。

それがどうしてこんなことに……。

 

「話を戻すぞ。そんな世界だったわけだが、ある日から見知らぬ連中――クリント王国の奴らが現れるようになった。奴らはこちらの資源、まあ魔石が多かったのか。それらを持ち去るようになった」

 

「……許せねえ」

 

そうか。リラさんがクリント王国のことを「やつら」、この異世界を「あちら」って呼んでたのはそういうことだったんだ。当事者の関係者だったから。

平和に暮らしていた人たちの生活をこんな形にまで歪めてしまうなんて……。

 

「だがこの辺りは水源地でどこを掘っても水が出る。加えて貴重な魔石……といっても正確には砂か。それを探すのが困難な状態にあった。それを面倒と感じたのか、奴らはこの地一帯の全ての水を奪った。どういう方法かはわからないがな。その後フィルフサが生息域を広げ始めて、それに伴いどういうわけか世界が汚染され始めた」

 

……そ、んな。

水を? 生きるためにもっとも大事な水を?

 

「……そうか。水があったからフィルフサとの生息域が分かたれていた。その水が無くなってナワバリの制限がなくなったんだ」

 

「そう言う事だタオ。そして以前話した大侵攻が起こり、オーレン族とも戦争のような状態になって散り散りになってしまった。一体どの程度生き残っているのかもう見当もつかん」

 

それも……錬金術のせいってこと?

 

そんな、あたしたちの世界の錬金術がこんな世界にしてしまったの?

タオの言う通り――水さえあればせめてフィルフサだけでも防げたのに。

 

日常生活で最も重要な物資の水を、全て奪うなんて。

 

「クリント王国の奴らはすぐ来なくなったが、残ったフィルフサと私達が各地で戦い続ける形になってな。そんな中で私は重傷を負い、偶然見つけた門からお前達の世界に逃れた。その後アンペルと出会い世界を旅して門を探しては封じる――そんな事を続けている」

 

……ん?

 

「あれ? 今までのお話ってリラさんのご先祖様のお話じゃないんですか?」

 

「いや、私の実体験だが?」

 

「いやでも、クリント王国って」

 

「それだけ彼女達の種族は長命という事だ。私達の常識では測れんぞライザ」

 

「正確な歳など私も知らんが、お前達の数十倍は生きているだろう。そういうアンペルもあちらの世界の常識では測れん見た目だろうに」

 

「バラすな。見た目が良ければ心も相応に保てるものだからな」

 

おおう。

年上なのは分かるけど、リラさんはせいぜいアルさんくらいかって思ってたよ。

それだけ過ごしてきても美人のままなんだなあ。

 

でもって、アンペルさんは本当に何歳なの?

……あたしたち4人は驚いてるけど、アルさんはそんなに反応してないなあ。

 

「アル君はあまり驚いていないな?」

 

「あ? ええ、まあ」

 

「アルの世界にも長命な者がいたのか?」

 

「まあ、そういう事になりますね」

 

「えっと、ちなみにどのくらいなんですか?」

 

「500以上かな?」

 

「「「「500!?」」」」

 

気が遠くなりそう。

聞いた感じ、魔法がないのと錬金術が違う以外はそんなに変わらなさそうなんだけど。

あーでも、アルさんの道具がアルさんの世界ベースならそういうのには長けているのかな。

リラさんの例もあるし、わかんないもんね。

 

「興味深いな。機会があるならば行ってみたいものだ」

 

「あはは……まず手段を探さないとですけどね。未だ来た経緯すら分かっていないんですし」

 

「そうだな、アルの場合はそれを見つけなければ。私の話はこんなところだな……見てみろ、見覚えがあるだろう?」

 

「……っ、あの時のフィルフサ!」

 

色が違う。前のは青線だったかな? 今回のは赤いけど森で見た斥候とおんなじ形だ。

他のフィルフサは避けられたけど、コイツは道を塞ぐように居座ってる。

 

「僕が最初に始末した個体の方だね」

 

「ボオスを追い回したが先に進めなかったってか?」

 

「あの時のフィルフサも本当に普通にいるんだね……」

 

「倒さなきゃ、だね」

 

「お前達4人でやってみろ。この世界を歩くならばこいつ程度と戦えなければやってられん。甲虫(カブトムシ)型の中ではまだ弱いからな。とはいえ、時間はかけるな」

 

「また正座したくないですしね。色で違う感じですか?」

 

「ライザ達が遭遇したのはコレではなかったか。赤、水色、青、黄の順に強くなる」

 

じゃあアルさんに助けられた時の奴は上から2番目か。

……あれ? 蹴りで角を折って、手刀で魔石を砕いて、錬成分解の3発で終わってたよね?

フィルフサよりずっとヤバい人が身近に居たよ。あの時のアルさんマジギレだったけどさあ!

じゃあリベンジだ!

 

「初っ端から全力だ! ウォーシャウト、うおおおぉぉぉっ!」

 

「ああもう……それやると考え無しになるって自分でも言ってたのに」

 

「短時間で攻めるなら正解じゃないかな。タオ君も強化を! フェアリーズギフト!」

 

「強化魔法で一気にいきましょうか。シエルライト(理の光)! お願いね、コアクリスタル!」

 

あたしたちの声に反応してこっちに近寄ってきた。

――別のやつだけど、あの時の借りを返させてもらうわよ!

 

「うおああああああぁぁぁぁ!」

 

「せめて普通に喋れるくらいになってよレント! 黄昏の炎!」

 

「硬そうだから耐性を下げようか。フラジオレット!」

 

なんかレントがバーサーカー状態になってるよ。よほどさっきのアルさんが怖かったらしい。

以前タオが言ってた炎ってこれか。火属性のタオの本領発揮だね。

 

とはいえ、ボオスのこともあるしホントに時間はかけられない。

耐性を下げてもらったとはいえタフそうなのは変わらない。

レントを角で薙ぎ払おうとしてる……また新作行きますか!

 

「火傷するからみんな下がって! これでも食らいなさいな、「誘引火瓶」!」

 

ボォウゥ!!

 

いままでのどのアイテムよりも魔法っぽいコレに、最近形になった文字魔法。

瓶が燃えるんじゃなくてホントに空から炎を呼び寄せる。強化したから滝みたいだ。

わりと貴重品突っ込んでんだからちゃんと効いてよね!

 

()っつ!?」

 

「レントが元に戻ったよ!」

 

「動物は火に弱いもんね!」

 

「今なんかすげえひでえことをさらっと言われた気がするぜ……」

 

「ちゃんと注意したのに引かないレントが悪いのよ……片は付いたみたいね」

 

炎に巻かれて、いまもブスブスと燃えているフィルフサはもう動いていない。

()()っていうくらいだから虫とおんなじで火に弱いのかな?

 

「いつの間にやら随分と高度な調合を(こな)せる様になっているではないか。嬉しい限りだ」

 

「レントはまだ冷静さという物を学びきれていないらしい。メニュー追加だな」

 

「ひと月前までは戦いにもなっていなかったのに、大したものですよ」

 

合格点は貰えたみたいだ。レントはうな垂れているけど、まあしかたがないよね。

しっかしこんなものを調合できる素材を、ルベルトさんはどこから入手してるんだろう?

 

 

 

フィルフサが塞いでいた道の先、大きく組まれたたき火が見える。

その傍には。

 

 

「「「ボオス!!」」」

 

 

いた! 無事だったんだ! ケガもしてなさそう!

たき火に向かって胡坐をかいてたけど――あたしたちの声で立ち上がった。

 

「……お前ら、何故ここに……」

 

「なぜもなにもねえよ! お前を追ってきたに決まってんだろうが!」

 

「ボオスがいなくなったって聞いて……僕たち大慌てだったんだから!」

 

「余計な真似を……そうだ、ランバーを見かけなかったか!」

 

「ランバー君なら無事だよ。対岸の浜でアンペルさん達に保護されていたんだ。今頃は島にいるはずだ」

 

「そうか、無事でしたか……あの判断も間違いじゃなかったようだ」

 

こんな時ですらあいかわらず!

 

「間違いもなにも無いわよ! なんであんたらだけでこんな危ないことを!」

 

「島に危険があるかもしれん時に、最初に動くのはブルネン家の人間である俺なのは当然だろう。まあ……まさかこんな場所まで来る羽目になるとは思わなかったがな。お前達が首を突っ込んでいたのはこういう事だったか」

 

変わらないヤツ。でも――本当に無事でよかった。

 

「結構、心配したんだから……」

 

引っ叩きそこねた。まあ、いいか。

 

「……お前も、変わらんな。ライザ」

 

なんとなく穏やかな声。いつ以来だろう? こんな会話が出来たのは。

 

「ボオス君。ここにいるのは君だけなのかい?」

 

「いえ。奴らに追われていた所を助けてもらいました。今は少し見回ってくると」

 

「ここに……他にオーレン族が?」

 

 

 

 

 

 

「……ボオスの、お友達?」




フィルフサに関しては3で詳細が判明しているようですが
この作品では採用していません。
無印段階で判明していった情報にオリジナル設定を加えた形で
扱っていきますのでよろしくお願いします。

次は新キャラの登場、そして色んな情報の開示です。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。

あと少し先の話ですが、36話を投稿した後に
一度間をおかせていただこうと思います。(5日くらい?)
1話当たりの文字数が多くなりすぎて、編集が追い付かないもので……。
クオリティ維持のため、どうぞよろしくお願いいたします。
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