ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
わりかし適当な部分があります。ご了承ください。
原作では方法さえ知っていればジェムの量に悩みませんけど、
知らないと結構稼ぐのが面倒なシロモノです。
誤字報告ありがとうございます。ちょっとは減ってきた……んでしょうか。
たまたまかなあ……。
今回もよろしくお願いします。
朝5時30分。
ん~ちょっと眠いかな? ちょっと夜更かしになったのと、昨日は結構歩いたしね。
島の水が……ホントにオーリムの水って受け止めることになったけど、やることは一緒だ。
お父さんたちはもう作業に出てるかな。
朝ご飯だけ作っといてあげましょうか。
「う~ん……」
「上手くいかない感じかな?」
「この雷の球、どうも一つじゃ足りない感じなんですよね。「エレメントが足りない」っていうよりは構造の問題だと思うんですけど」
午前10時。アトリエにて義手のレシピを考え中。
キロさんもアドバイザーとして付いてくれてる。
ちなみに、あれからキロさんはクラウディアに起こされるまで爆睡してたらしい。
その際寝ぼけと空腹でクラウディアの右手が涎にまみれたそうだ。
お屋敷ではご飯を食べずにこっちでクラウディアにパンケーキを焼いてもらっていたけど。
7、8枚は食べてたよね? ホント、オーレン族の胃はどうなってるのかな。
アルさんはタオとの約束通り、朝から本を5冊ほど借りてきて読み進めてるみたい。
背表紙すらなんて書いてあるのかさっぱりなんだけど……たまにメモみたいなものを取りつつどんどんページを捲ってるあたり、全部読めてるんだろうなあ。
「じゃあ、もういくつか必要な感じかな?」
「そうですね。もう一つあれば大丈夫だと思います」
素材はこの雷球とスタルチウムでいいはずなんだけど、どうしても
関節の補助は出来るかもだけど、腕の補助なら
なら、もう一個あればいけるはず!
となると、別素材を投入して当たりの世界を引くか、今ある素材や道具をジェムに還元してボトルを補充するかのどっちかだね。
出来ればあの世界は残しておきたいし、頑張って補充するとしますか。
「だから、あのボトルをジェムで補充してもう一回入ってきます。あの世界は安全そうだし」
「ボトルの……世界、かい?」
本を読んでたアルさんが反応。
邪魔しちゃったかな? アルさんは知らないことだもんね。
「アルさんには説明してなかったですね。この雷球を手に入れた場所なんですけど……古式秘具で創ったボトルの世界の中で見つけたんです」
「……
「アル。
「うん……そうだね、考えすぎたよ」
「気持ちは分かるけれどね。それは別にして、アルには一度見てもらいたい。私じゃ
2人だけで話が進んじゃってるよ。
アルさんの世界のことがあるんだろうけど……トラベルボトルみたいなものがあったり?
「なんだか意味深な誘われ方だね、でも興味はあるかな。ライザ、その世界に僕も連れて行ってもらっていいかい?」
「もちろんそれは大丈夫です。お話しするつもりでしたし。ただボトルの補充をしなきゃいけなくて」
「補充?」
そう、補充です。これが面倒そうなんですよ。
「錬金術の魔力が込められた状態で初めて入れるようになるんですけど、単にあたしが魔力を込めるわけじゃなくて、ジェムっていう錬金術用の宝石で補充しないといけなくて」
「そのジェムが、今のボトルの世界分だと結構量が要りそうなんだったかな?」
「そうですね。あたしの手持ちだとかなりの量を還元しないと足りない気が」
物として貴重そうなもの、かつ品質が良いもの――要はエレメントを多く含んでるってこと。
そんな物ほど一つの材料や調合品でたくさんのジェムに還元できる。
でも、今のあたしが持ってるものじゃ1つあたりで多くて数百が関の山。
ある程度補充しやすい素材だと結構な数を消費しそうだ。
「成程……じゃあ、これなんかはどのくらい還元できるかな?」
そう言ったアルさんが手に持っているのは――黄金のインゴット。
「ゴルドテリオンですか? たしかにゴルディナイトはわりと還元量が多いですけど」
大きさに依るけど最大800個くらいだっけ? 手持ちの素材としてはずいぶんと補充できる部類。
普通の水とか花が50個くらいなのに比べたらすごい差よね。
「何本かあるんだから一本試してみようよ。ダメならもう一つ当てはあるしね」
そう言ってもらえるならありがたいね。時間もかけられないし。
「それじゃあ頂きますね。やっぱり、重いなあ」
「これを大砲の玉にすれば火力が上がるんじゃないのかな?」
「泡雲の大砲ですか? 重すぎて飛ばない気がしますし……貴重品過ぎません?」
「拾って回収」
「それは……ちょっと辛いですね……」
キロさんのアイデアを実行したら、威力は上がるけどこっちの腰にもダメージが来そうだ。
さて、いくつになるか。
レッツ還元! ……はぁ!?
「これは多いのかい? 少ないのかい?」
「とんでもなく多いです! なにこの量!?」
「魔力を帯びた黄金どころか、宝石まで作れちゃうんだね……」
プリンを作ってたクラウディアもこっちに参加。ひと段落付いたのかな?
重さを量らないと分からないけど、ゴルディナイトの10倍くらい?
ざっくり1万弱。錬金術的にも相当に意味のあるシロモノってことよね。
ええっと……マジか。
「……約、9800? 今のあたしの手持ち全部より全然多いんですけど?」
「この宝石が市場価値のあるものじゃないことをお願いしたいな……」
「へえ? リンケージ調合の錬金術的にも価値ある代物なんだね」
「作った甲斐があったよ。1回ずつやるのは面倒くさいからね」
なんだかムフンって感じのキロさん。やり遂げた感が出てる。
アンペルさん曰く、売り物としての価値はないらしいから大丈夫だよ、クラウディア。
今まで試したものでの最高記録は、高品質な旅人の水珠の1000個ちょっと。
水珠を作るのはわりと楽な部類だから今まではこれで補充してた。水運びが大変だけどね。
一度でこれだけあったらボトルの補充もリビルドもかなり楽になる。
やっぱりいい素材の物を作らなきゃいけないんだなあ。頑張らなきゃ。
「なら2つライザに渡しておくよ。キロさん、構わないね?」
「ん。こっちでもセプトリエンが手に入るといいんだけどね」
「それじゃあ、ありがたく。ありがとうございます」
「よかったねライザ!」
「こっちは必要無かったね。よかったよ」
アルさんが何か手に握ってる。
そういえば、もう一つ当てがあるって言ってたっけ。
「なにを還元されるつもりだったんですか?」
「コレだよ。本当にあちらでの使い方に近い方法になるから、ちょっと悩んだけど」
広げた手の平にあるのは……いつかの赤い石。
「あの時の……賢者の石みたいなもの、ですか」
「これはライザの調合が一切関わっていないけど、どうなんだろうね?」
「素材自体の価値も影響してるなら……フィルフサの魔石? の還元量に近いんじゃないですか?」
ゴルドテリオンの還元量がぶっとんでるから、アルさんの錬成やら光属性の影響やらがどのくらいジェムの量に反映されてるかはサッパリだ。ゴルディナイトだけでも量は多い方だしね。
興味はあるけど……さすがに貴重すぎる素材だから試せないね。
今の所こっちに大小の2つしかないんだし、仮に貰ったとしてもちょっと抵抗アリだ。
この赤い石とゴルドテリオン、クリミネアの3つはオーリムの素材を使うから希少だもんね。
ジェム還元には使いたくないから出来る限りは水珠か、別の調合を試そう。
「それじゃあ、アルさんとキロさんも拠点に来てもらうってことで良いですか?」
「そうだね、なんだか興味ある誘われ方をした事だし。アンペルさんにゴルドテリオンを見せる約束もあるから持って行こうか。昨日はお見せ出来なかったしね」
「私はあっちが拠点のはずなんだけど……こっちにいる時間の方が長い?」
「キロさんも新しい体験を色々されているんですから――お菓子やベッドとか。こちらにはもっと色んな、美味しい食べ物や楽しいことがあるんですよ? 拠点に行く前にこれを食べていかれませんか? タオ君とアルさんのアドバイスから作ってみたんです」
クラウディアがお盆に乗せてるのは、この前のプリンの改良品かな?
2人のアドバイスっていうと――カラメルとフランベだっけ。
お酒を入れて、それをフランベして、ついでに表面のエルツ糖をカラメルにした感じだね。
「おお~、食べる!」
「是非とも。楽しみだね」
「もちろんあたしもだよ。頂いていいかな?」
「私からお願いするよ。ぜひ感想を聞かせてね!」
まずは一口。
前に食べた時より濃厚な感じかな? でも滑らかな口当たり。裏漉しの違いかな?
お酒が入ってるおかげかヤギミルクっぽさと卵感は薄いね。万人向けってこういうことか。
表面のカラメルと一緒に食べると濃厚な甘さに焦しエルツ糖のアクセントがいい感じだ。
「うん、僕はこちらの方が好みかな。島の外の人でも受け入れやすいと思うよ」
「ん。飽きなくていくらでも食べられる味」
「すっごくおいしいよクラウディア!」
「うん、ありがとう! 他の方々にも食べてもらってみるね!」
これでお店に出す確定の一品が完成かな。
形が見えてきたね。あたしも、頑張らなきゃ。
「3人から甘味の匂いがするのは気のせいかね?」
「気のせいじゃないかな?」
あたしとアルさん、キロさんの3人でアンペルさんたちの拠点に到着。
リラさんは入り江の遺跡の見回りに行ってるらしい。どうなってるか分かんないしね。
クラウディアはそのまま工房に残って、引き続きお菓子のレシピを考えるとのこと。
コアクリスタルに入れられるような食べ物も作れちゃうんだから、期待大だ。
それにしても……やっぱりプリンの残り香がわかるんですか?
いよいよオーレン族疑惑があやしくなってきた。この場はスルーだけど。
「レシピの方は少し待ってもらえるか? 中々に書き出しながらも新たに思い出すものでな」
「よろしくね、アンペルさん。今日はトラベルボトルを使いに来たんだ」
「本当に随分と珍しい古式秘具を見つけたものだ。私ですら見るのは初めてだというのに」
「そこまで珍しい物なんですね。ライザから話を聞いた時は驚きましたが」
「大きさはどうあれ、一つの世界を作れる道具がそうそうあっては堪らないさ。私の知識では法則不明だが、解明できれば望む素材を大量に入手できる代物だ」
「本当に訳が分からない。そもそもこれは錬金術なの?」
「キロ嬢の考えは私も思う事がある。我々の知っている錬金術と古代の錬金術は最早別物ではないかとな」
わざわざ「古式」なんて付けるくらいだし、あたしたちが使う錬金術とは別物なのかもしれない。
今までの古式秘具はコアクリスタル、門、渦巻く青と輝く白、そしてこのトラベルボトル。
うん、おかしいね。
比較的数があるらしいコアクリスタルの時点で、もうおかしい。
「アル君の錬金術は、そういった事はないのかね?」
「……近いものはありますね。その原理が壁画として残っているとか、解明されているケースはあります。賢者の石の錬成がその一つですね」
「あれも……昔の錬金術なんですね」
なにかと、昔のシロモノの方が発想が飛んでる気がする。
「元々あった発想からの発展形より、無から有とする時の方が色々と突飛な事を考えるからね。探求心と言えば聞こえはいいけど。人の欲っていうのは恐ろしいものだよ」
「間違いない」
「……耳の痛い話だ」
アンペルさんは、今の錬金術の暗い部分も知ってるから余計思う所があるのかな。
あたしにとっても他人事じゃないことだし、気を付けなきゃ。
「まあこの話はこの辺りで。ああアンペルさん、以前話していた物を持ってきました」
アルさんがゴルドテリオンを鞄から取り出して、アンペルさんの前にゴトリと置いた。
ゴルドテリオンの見た目みたいにアンペルさんの目が輝いた。
「ほう! 本当に金の様だな。これがゴルディナイトから調合されたものだとは……これまで見てきた金属類の中でも特に神秘的な気配を感じる。差し詰めインゴットの「エルドロコード」といったところか」
「えるどろこーど?」
初めて聞いた単語が出てきたよ。
「希少な繊維を使った織物でな、神秘の力を宿している非常に丈夫な布と思えばいい。それで仕立てたドレスなど王都の屋敷一つは買える価格だぞ」
「ドレス一着でですか!?」
どんな贅沢品だ。世の中知らない価値観に溢れてるわ。
「またすごい反物があったものですね」
「そもそも……そのドレス? ってどのくらいの値打ちがあるの?」
「差が大きいですけど、屋敷一つというなら100年は食べ物に悩まなくていいと思いますよ」
「ドレスヤバイ……アル、作ろう」
「困窮してないから。無くても今しばらくは大丈夫だから安心してもらっていいよ」
キロさんは金銭感覚がないものね。アルさんは甲斐性があり過ぎます。
ピンキリになっちゃうけど――安い物でも300コールは多分するかな。
高いものなら1000コール、王都にお屋敷なんて100万コール以上はする?
まあ……あのアルさんの作ったポンプでもルベルトさんの見立てで1万コールはするし、禁止事項らしいけど金の延べ棒でも数十万コールなんだっけ?
それとあたしのアトリエにもここにもある大釜もね――ダメだ、あたしの感覚もおかしくなる。
「元々私の得意分野はそちらでな。エルドロコードの調合は出来なかったが、ある程度は強力なソーサリーローズの調合経験はある。そちらも書き出す予定だから楽しみにしているといい」
「ありがとう、アンペルさん!」
「布の錬成はあまり経験がないなあ。兄さんはよくやってたけど」
「赤いコートの修繕かな。そういえばあの紋章は?」
「そのうち教えるよ」
アルさんたちが何か話してたみたい。赤いコート? とっても目立ちそうだね。
さて、そろそろボトルの補充をしましょうか。
「じゃあ、あたしたちはボトルの中に行ってきますね」
「ああ。まあアル君とキロ嬢もいるから何の心配もいらんと思うが、気を付けてな」
アンペルさんは隣のリビングでの書き出し作業に戻っていった。
アルさんから話を聞いてるせいか、あたしはどうにも金属系の調合が多いよね。
最初の頃にクロースを調合したくらいだし、そっちの勉強もしないとだ。
「それでボトルの補充ってどうやるの?」
「ボトルの上からジェムを投入する感じですね。ただ量が量なのでちょっと大変そう」
「ジェムの方は僕が持つよ。ライザには重かったしね」
「ありがとうアルさん。袋の口とボトルはこっちで掴んでますね」
ボトル用のジェム還元はこっちでやった方がよさそうだ。建築資材の時みたいにね。
それじゃあ、あたしの手持ちも合わせてとりあえず13000個、いってみましょうか!
うおりゃあ!
ザザーッ!
明らかにボトルの大きさより多いジェムを入れているけど――溢れないのは気にしちゃいけない。
ジェムは捻じ込まなくてもいいんだよなあ。
「色付いてきたけど……ライザ、色が前と変わっちゃってるみたい」
「えっ?」
袋の口を見ててボトルを見てなかったよ。前のボトルは緑色だったよね?
キロさんの声でボトルを見てみると今度は……黄色っぽい。砂の色?
分かんないことが多いなあ、このトラベルボトルっていうのは。
「なにかおかしかったのかい?」
「ジェムでの完全補充は初めてなんですけど……そのまま補充されてるわけじゃなくって色が変わってるみたいなんです。これは世界も変わっちゃってるかなぁ」
「むう、残念。アルにあの景色を見せたかった」
「まあまあ。いつかその世界が見れる事もあるんじゃないかな」
量的に7000くらいは入れたかな?
それなりに光るようになってきたね。それでもやっぱり必要量が多い気がするけど。
今の袋の中身だけでなんとか足りそうだね。
「……結局ギリギリだった」
「随分とたくさん入るものだね。このボトルって」
「砂の色のまま、だね。戻らなかったか」
残りを考えると12000くらい使ったかな? やっぱり結構な量が必要だったよ。
「ボトルの世界の素になってるのは、私の使ったフェアリーピースなんだよね?」
「そのはずですけど……ジェム自体にもそんな効力があるのかなあ?」
「それも今後要検証だね。それで、この中に入れるのかい?」
「そうですね。この状態でボトルに触ってもらって、調合に使うような魔力を込めれば入れます」
「遅くなるとお昼ご飯の時間回っちゃうから行こう」
ボトルの世界にキロさんのお腹の音が響いちゃうからね。
じゃあ。
「行きますっ!」
という事で2回目のボトルの世界に続きます。
プレイしてた時はパスワード頼りでしたね、ほとんどアイテムを入れてなかったです。
お店の開店までもう少し?
ライザ達はどんなボトルの世界にたどり着くのか。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。