ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
採取しながら、少し今までの振り返りですね。
今回もよろしくお願いします。
「スライススライス~っと」
「便利だよね、この道具も。ナイフだと大変だよ」
アルさんお手製の道具でノライモを薄く切っていく。
これを上に乗せといて焼くといい感じにパリパリになるんだよね。
他は
そこにクラウディアが作ってくれたヤギミルク製のソースを投入。耐熱皿に移して上にノライモを乗せて蓋して窯で焼く。
わりと具材はなんでもいいんだよね、あたしが使うことが多い魚介でももちろんいける。
うん、お手軽!
ただ、この辺の料理ってやっぱり冬場向けだと思うのよね……。
「簡単なのに島じゃ聞かないレシピなんだよね。なんで考え付かないんだろうって思っちゃうよ」
「お料理ってそんなものだと思うよ? 家庭料理っていうのかな、その家では当たり前でも一般的には知られていないとか。そのレシピが多くの人に味わわれて、万人向けになって初めて一つのレシピとして周知されるんだね」
現にあたしも最近まで全然知らなかったんだしね、そんなもんか。
そういう意味では錬金術も一緒だと思うんだ。
この世界に錬金術は確実に存在していて活用されてるのに、この島じゃ異端とされる分野。
その辺りの歩み寄りっていうか……まあ好奇心猫をも云々とは言うけどさ、みんなが興味を持てるといろんな物事が見えてくる気がするんだよね。
「そろそろいいかな? 窯から出すね」
「そうだね。パンは……アルさんはどのくらい食べるかな? タオにはしっかり食べさせないとね。キロさんは、まあ……うん」
男の子だから1、2年したらあたしの背もあっさり追い抜かれちゃったりするのかな。
背が伸びて、声変わりして……男って一気に変わるわよねえ。
その辺、アルさんは背や体格は変わってるけど雰囲気が変わんないのよねえ。声のせい?
レントも雰囲気自体は大して変わってないけど、実はこの先変わったりする? ザムエルさん的な方向に。
キロさんは……とりあえず山を作っておこう。
「島じゃイモってあまり食べる事ないけど、結構万能なんだね」
「島はノライモの栽培に向かないのかもしれないわね。うちも作ってないし、アンペルさんとこの畑のノライモの方が美味しいし」
タオもこっちに来てちょっと早めのお昼ご飯だ。
あたしとクラウディアはパンケーキ食べた後だから控えめ、タオにはガッツリ、アルさんは普通に、キロさんは……この人の身体の中はどうなってるんだろうね?
キャセロールを元の鍋からそのままおかわりして、パンの消費も恐ろしい事になってる。
精霊の扱いにはそれだけ栄養がいる……いや、オーリムの食事事情を考えるとそれはないわよね?
食べ溜めなのかな? 養うのがアルさんじゃなかったら家計が傾いてそうだ。
「ノライモが育ちにくいというよりは、クーケンフルーツの栽培に特化した土壌なんだろうね。どんな気候でも追肥しなくても育つよう品種改良したクーケンフルーツなら飢饉も起こりにくいだろうから」
「ヴァッサ麦はどうなんでしょう?」
「ヴァッサ麦も周辺からの流通は聞かないから……実はクーケン島独自の麦なのかもしれないよ? クーケンフルーツみたいに品種改良を重ねた結果なんじゃないかな」
他所では「水麦」って呼ばれてるんだっけ。
フツーに「麦」って呼ばれないのを考えると、ちょっとは特殊なのかもしれないね。
作られ始めたのはここ100年くらいの話。
それに関わってるのは……実はシュタウト家だったりする? まさかね。
「あっちが浄化出来たら育つか試してみよう。せっかく他の野菜が生育できる環境になっても、いつまでも食べ物が虫やクミネの実じゃ味気ないからね」
「味気ないっていうか……あたしたちじゃ食べ物扱いですらないですよ?」
浄化が出来ても食べられる野菜があるわけじゃないもんね。
クーケンフルーツは怪しそうだけど麦とかノライモなら育ちそうだ。
キロさんがごちそう様をして――アルさんと食器を片付けてもらえるらしい。ご厚意に甘えよう。
「それでタオはなんか収穫あったの?」
「うん。以前読んでた本と絡めて考えると色々見えてきたものがあるよ」
結構多めにしたつもりだけど、しっかり完食したタオが水を飲みつつ説明する。
「前に、書いてある内容は「儀式」に関わるものっぽいって話をした事があるよね? 実際には儀式じゃなくて、この島の――多分「説明書」だったんだよ」
「説明書?」
なんだそりゃ。
「そう、説明書。水の浄化機構とか、かな? ライザは懐中時計の仕組みを知らないでしょ? そういった絡繰りの仕組みや使い方が書いてある物だよ。具体的な部分がまだなんだけど」
「時計ってとってもたくさんの部品で出来ているんだよね? 見るだけでも大変そうだよ」
説明書、ねぇ。水はまあ、人工島だってんなら確保が大変だよね。この島には山もないし。
ただ――島で生活していくうえでそんなに絡繰りが面倒を見なきゃいけない事ってあるのかな?
「全然分からないのは……これら全ての動力源なんだ」
「暖炉とかの燃料って事かな?」
「そうだね。少なく見積もっても300年くらいは動いていたはずなんだけど、それだけの期間島の機能を維持していた燃料に全然アテがないんだ。どこかで勝手に燃料補給できる仕組みがあるのか、元の燃料の量が膨大なのかは分からないんだけど。水が噴水から出ていないって事は……もう尽きちゃっているのかもしれないね。これに関する記述が見つけられてなくてさ」
まず思いつくのは「賢者の石」だよね。
こっちの賢者の石が何で出来てるか知らないけど、アンペルさんの予想通りならフィルフサ由来の可能性も……。
次に思い付くのは塔にあったような巨大な聖石……アレって運べんのかな?
ま、水を返すために動力源の話も考えなきゃなんだけど。まずは鍵の修復よね。
「ライザの方はどうなんだい?」
「身体に干渉できるんだろうエリキシル剤的な薬と、物を侵す事が出来る強力な毒。これを組み合わせて……物に干渉する事が出来るエリキシル剤もどきを作ってみるつもりよ」
「エリキシル剤って……この前の貴重な花を使わないといけないんでしょ? しかも毒って」
「あくまで
「ちなみに?」
「毒袋……まあフィルフサのモツよ。あのままじゃ使いにくいから何かしら使いやすい形に調合し直さないとなあ」
そう。あたしの手持ちで最も強力な毒って多分アレなのよね……よくあたしも回収したよね?
自然を汚染するって性質の素になってんのからして、フィルフサの内臓はバリバリの毒だ。
まず見た目からしてグロくて使いたくないんだけど、そうも言ってられない。
臓物のままじゃ使いづらいから何かに染みこませて、さらに濃縮すればいい、かなあ。
「半固形物を、より固めて使いやすく……ねえライザ」
「なにかなクラウディア?」
「小麦粉と混ぜたら使いやすくならない?」
こむ、ぎこ?
えっ、そんなこと……いや、案外出来たりする?
「料理だとバターをソースとして固めるのに小麦粉を使うんだよ? さっき使ったベシャメルソースがそうだね。お菓子としても卵を練るのに小麦粉を使うんだし……」
ちょっと想定外の使い方ではあるけど、わりと不可能じゃない気がする。
調合というより単なる混ぜこねになるけど試す価値はありそうね。
「いけるかもしれないわね、早速やってみるよ。ありがとねクラウディア!」
「上手くできるといいね!」
「絵面が
紙芝居みたいなヒーッヒッヒッヒッ! って? うっさいわよ。
というわけで、早速やってみたわけなんだけど。
「出来ちゃった……」
毒の塊――ポイズンキューブ。
調合というよりホントに混ぜただけだ。ちょっとは魔力を乗せたけど。
これもキロさんの戦士の証の如く、瘴気っぽいモノを放ってるヤバいシロモノと化しちゃった。
とりあえず保存容器に放り込んどこう……。
「薄力粉だから吸着しやすかったのかもね。でも何で綺麗に立方体になるんだろう? 不思議だ」
「流石にこれは食べたくないね……不味そう。全粒粉だったらマシだったかな?」
これを見てその発想が出来るキロさんは、あっちでよほど飢えていたんでしょうね。
さて毒の塊自体は出来たけど、これに鍵を突っ込むだとか聖石関連を放り込んでもダメよね。
欲しいのは毒が関わってる部分……要素だけであって、元のモツやら小麦粉やらは邪魔になる。
毒の要素だけ取り出す――抽出って言うんだっけ? それをしないとだ。
抽出、ねえ。搾る、吸い上げる……蒸留、はできるのかな?
搾るくらいならモツをそのまま使った方が手っ取り早いし。気分は最悪だろうけど。
蒸留は……性質が分かんないうちはいくら何でも危ない気がするね。鼻から吸いそうだ。
と、なると。
「吸い上げ……樹木みたいな?」
「どうしたのかな?」
「ここから使いやすい形に毒を取り出すのにどうするのが一番いいかなと。錬金術的にもある程度は濾過みたいな事もしないと余計なものが多そうなんで、樹木に吸わせて取り出すイメージなのかなーと思いまして。そういえばオーリムの木って枯れてるわけじゃないんですよね?」
「そうだね。毒で汚染されて腐ったような感じにはなっているけど、完全に枯れてはいないよ。アルの浄化で元に戻っているわけだし。植物の生命力ってすごいから」
元は同じフィルフサ成分だし、実際に吸わせるわけじゃなくて樹木は触媒と考えればいけるかな。
あとは……このポイズンキューブの毒に耐えられるだけの樹木がこっちにあるかどうか。
あの入り江ならフィルフサもうろついてたわけだし、影響を受けた樹木があったりするかもしんないわね。
「ん~よし! ちょっと採取に行ってきます」
「何を採ってくるんだい? 場所が近いなら手伝うけど」
「とりあえず入り江です。フィルフサに汚染された植物がないかと思って。この毒に耐えられる目安になるかなと」
「息抜きも兼ねて僕も行こうかな……入口破られてないよね? アイツら出てくる事ないよね?」
「あの辺のフィルフサは今のタオなら1人で倒せるでしょうに……」
そもそもあの分厚い石壁をどう突破しろと? 本来の封印より封印してるよね、多分。
「私も手伝うよ。対岸ならレント君もいるかな?」
「なら4人で行きましょっか。アルさんたちの時間を貰うまでもなさそうだし」
何気に大人メンバー無しで揃って出かけるのって久々じゃない? 最初の火山以来?
クラウディアが来るまで3人でずっと行動してたのに、最近では久々ってのはなんだか意外よね。
あれからひと月も経ってないけど、各々やる事が出来たからかな。
「どうしよう……私達ハブられてるよ? アル」
「まあまあ、僕らも子離れをしないと。タオ、蔵書は引き続き読ませてもらっていいかな?」
「大丈夫です。僕がライザたちと出かける事だけ伝えてもらっていいですか?」
「分かったよ」
親というほどの歳の差でも……13歳差だからね。
キロさんはそもそも比較する事が間違ってるわよね、種族違うし。
そういえば、キロさんとリラさんって結構歳の差があったりするのかな。
アルさんは身体年齢なら7歳差でしかないんだし、お兄さんポジ……なはず。
でもあたしより6つ上のロミィさんは……そっかぁ、ほぼ同世代。
アルさんにとって役に立つ女になる、ね。遊びじゃないとも言ってたし。
あたしも目指すところは近いものがある。なら……そういう未来もありえたりするのかな。
「いくら強くなったっても、毒触んのに慣れるわけじゃねえよな」
対岸に着いてレントを誘って水没坑道へ。
そのまま通るだけってのもなんだから、道中採取できそうな物の採取もしていってる。
レントの
この坑道、どういうわけか毒物が多い。
タオが言うにはロテスヴァッサ鉱水が人に対して毒っぽいものだから、鉱山みたいなここも毒っぽい物が多いんじゃないかって事だけど。
ま、何にせよこういったものの取り扱いに慣れてるのはあたしだけだ。みんなには気をつけてもらおう。この腐葉土とかも、汚染の原因はフィルフサだったりするのかな?
「ここでボオスとランバーは影の女王に遭ったんだよね? 僕らはまだ見た事が無いけど、もし遭遇してたらびっくりしただろうなぁ」
「私たちが知っているフィルフサの数倍の大きさはあるんだよね? フィルフサを見るのも初めてだったのに、ボオス君は冷静だったんだね」
「斥候に初めて遭った時は、あたし腰抜けたんだもんなあ。あの時動けなかったのあたしだけだったんだっけ……」
アレは情けなかった。叫んだだけだったもんね。
「仕方ねえよ、俺だって何で動けた~なんて分かんねえし。必死だっただけじゃねえか?」
「僕もあの時は自分の非力さを恨んだよ。ライザを引きずる事も出来そうになかったしね。落ち着いていたら背負うくらいは出来たのかなあ」
たかが1か月前の出来事なのにずいぶん前の事みたいよね。
ホントに世界が変わったっていうか――世界を知らなかったっていうか。
あたしたちが何も知らなかったとしても大侵攻だとか竜の出現だとかは起きたんでしょうし、アルさんやアンペルさんたちは動いてたんだろうし。
さすがにここまでの大展開は期待してなかったんだけど……日常の隣にこんな世界があるんだから世の中分からないものだ。
「そういえばランバーはどうしたの?」
「過呼吸気味だったから寝かせてある。高台の上まで走るのすら厳しいのはどうしたもんか」
「それは……うん」
「私も最初は歩いてでも大変だったけど、そのうちランバー君も出来るようになるよ!」
残念ながらランバーの体力作りが緩くなる事はなさそうだ。頑張れ、ランバー。
坑道を抜けて遺跡に繋がる入り江に。
ちょこちょこ来てるとこだけど4人だけで来るのは初めてよね。
エリプス湖の近くにもこんなに水を湛えた所があるとは思わなかったよ。
「門を塞いだからか、この辺りのフィルフサも減ったよね」
「でもゼロにはなっていないんだよね……結構な数がこっちにやってきてたって事なのかな」
「リラさんが見て回ってるから大丈夫たあ思うが、こっちで増えてるって事ねえよな?」
「フィルフサってどうやって増えているのかな? 虫っぽいなら……卵? 女王がいるくらいだし」
タオの顔が引きつった。虫っぽいんであって虫じゃないわよ? イタチも卵生でしょうが。
キロさん曰く、フィルフサの強みは数。
つまりは一気に増える方法があるわけよね。女王無しでも増えたりする?
「考えた事なかったわね。フィルフサの幼体? ってのも見た事ないし」
「まあ幼体がぷにやイタチみたいにかわいらしい存在ってこたあねえだろうぜ」
「だよね」
さて、この辺にいる魔物はぷになら黒ぷにクラス。
シーカーを貰ったあたしの敵じゃない、というかシーカーはヤバすぎるし。
3人も強くなった……というより戦い慣れてきたのかな? ムダが無くなったというか。
クラウディアがだいぶ好戦的になっちゃったのをルベルトさんにどう説明しよう?
「お、これは……」
遺跡内の部屋の隅。明らかに汚染された樹木の一部――ザ・紫色。
毒ってなんで紫色なのかしらね? クミネの実の印象が強すぎるのかな。
鉱水に触れてるわけじゃないから、多分だけどフィルフサの影響だね。
だけど樹木としての形は残ってる。何の木か分かんないからやっぱりオーリムのなのかな。
これならポイズンキューブから毒素を吸えるかもしれないね。
「コレを探してくれる? 危ないモノだから見つけたら触らずに知らせてくれたらいいよ」
「りょーかい。んじゃ、まずは安全を確保しますかね」
「落ち着いて探してられないからね。そうしちゃおう」
「出入口は塞いでおくね!」
さらっと出入口を氷で塞いでるクラウディア……なんだかアルさんじみてきたわね。
ここまで上手に氷のエレメントを使えるならフェンリルと仲良くなれそうだ。
居るのはサソリにハリネズミに騎士鎧。人だった時にこの騎士が警護に就いていたのかな。
さて、大した時間もかからず安全確保が出来た一帯でみんなに手伝ってもらって素材採取だ。
実際に使えるかどうかはやってみないと分からないけど、色んな素材を集めてやってみないとね。
そもそも抽出した毒で鍵の修理が出来るとは思ってないから、さらにそこからレシピ変化が必要だろうなあ。とりあえず聖石関連で変化させられるか試してみないと。
「見つけたよライザ。こっちに来てもらっていいかな?」
「ん、ありがとクラウディア」
それなりに数はあるっぽい。まあ毒に汚染されてなければただの植物だものね。
他の何かの調合に使えるかもしれないし数は持っときましょうか。
しかし、まあ。
「それにしても……」
「どうしたの、ライザ?」
ポツリと口にした事がクラウディアには聞こえちゃってた。
「ううん。鍵を修理して、石碑の下に潜る……のかな? そこであたしたちは何を見るのかなって思ってさ。そんな場所があるって事は、単に土を積んだだけの島じゃないって事でしょ? でも島の維持が出来るような絡繰りなんて想像できなくって。そもそも、何のための絡繰りなのかも」
「私も人工島なんて聞いた事ないし、それが錬金術で維持されているなんて……どういう仕組みなのか思いつきもしないよ。アンペルさんたちでも知らないようなものかもね」
時代を考えると古式秘具なんでしょうけど……随分でっかい古式秘具があったものよね。
別の世界と繋がるような門とか水をごっそり奪えるような物すら作れる古代の錬金術だから、どんなものが作れても不思議ではないんだけど。
「多分だけど相当大きな施設があると思う。それこそ今島に住んでる人が全員入っちゃうくらいの広さはあるかな。ひょっとしてだけど――そこにもう一つ町があったりするのかもしれないよ? あーっと、あっちにそれなりの数があったよ」
「それは……とんでもないものに出くわしそうね。ありがと」
タオん家の蔵書にそれっぽい事が書いてあったのかな?
町の下に町があるなんて想像もした事ないけど。
さ、見つけてもらった物の回収をしていきましょうか。
「しっかし……なんだよな。慣れちまうとせっかくの島の外の探索だってのにありがたみが薄れちまってる気がするぜ」
「最初はライザが島の外に出るのに四苦八苦してて、それからクラウディアを仲間にするために色々やって、ボオスたちを追いかけるのに大騒ぎして……それが今じゃ何の気兼ねもなく島の外に出て、フィルフサを倒して、なんてやってるんだもんね。僕も古代文字をある程度読めるようになってるし」
「私も行商にだけ来て、販路を決めて、お父さんが他の取引をし終えたらそれで終わりって思ってたよ。ホントにみんなに出会えてよかったよ! こんな日々を過ごせるなんて」
クラウディアもあたしたちみたいに――ある意味変わらない日常を送ってたんだし、フルートの話もあるし、ここまで好戦的じゃなかったはずだし……。
ホントルベルトさんにどう説明しようね? 今のうちに言い訳考えとこう。
「おっし、これで必要分は回収できたと思うよ。ありがとね、みんな」
「おう。それじゃみんなは先に戻っててくれ。今は伝令も必要ねえだろうし、見回りがてらちょっとここいらで鍛錬していくぜ。今日は……ランバーはムリだろうな」
もうなんというか、鍛錬ジャンキーになってるわね。
まあ今のレントなら大ケガする事はないでしょうけど。
「気をつけなさいよ? じゃああたしたちは戻りましょっか。早速この腐木が使い物になるか試さないとだし」
「私も開業準備しないと。アルさんがショーケースを作ってくれるんだって。王都でも中々見られないよ!」
「クラウディア、何個かお菓子を買わせてもらっていいかな? うちの分と、アルさんにも持っていってあげたいんだ」
「お金は大丈夫だよ? 商売前の、資格を持っているわけでもない素人の作だから。代わりに感想をくれると嬉しいな」
あたしもホントは商売しないといけないんだけどね……この余裕の差ですよ。
結局錬金術を始めてあたしはいくら稼げたんだろう? 100コールもある?
どこぞでやってるらしい錬金術のパイの販売とかを始めないといけないかもしれない。
キャセロールは煮炊きした鍋をそのまま窯にいれて焼くアメリカ料理です。
シチューというよりはデカいグラタンですね。
夏場にこんなものを食べさせているのは作者の趣味です。
次は調合編です。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。