ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
作者の精神が歯車初回調合時のライザ状態です。
そして、久々にあの文字が登場します。
今回もよろしくお願いします。
「これは……まあまた」
「マジでリラさんたちの世界に似てやがんな。水も緑もあるけどよ」
「違和感は空が赤いせいだね。それでもって」
「ホントにフィルフサがいるね。見た目は同じだけど……予め強化をかけようか? 何だかエレメントが独特で、ここでは活性不足みたいだから性能は落ちちゃうかもだよ」
「……そう、だね。大変だけどクラウディアはお願いね」
オーリムに似て非なる世界って事ね。
このエリアにいるのはハリネズミとサソリ人間か。機動力があるタイプだ。
強くなってるけど性質は変わってないらしいし、ここに居るフィルフサは戦った事があるやつ。
サソリ人間は魔法耐性で雷弱点、ハリネズミは柔くて雷耐性――あたしとレントなら両方弱点が突ける。いきなり複数体と戦うのはありえないから、一匹ずつ誘き出しましょうか。
まずは。
「ハリネズミから行こっか。いつも通りあたしとレントが前衛、クラウディアとタオが後衛。2人は……魔法は効きづらいだろうけどどのくらい通るか確認したいから、回避優先で攻撃してみて。レントは防御の程度の確認。あたしは遊撃で戦えるかを確認するよ」
「了解だ。2人ともヤベえと思ったら迷わず俺を盾にしてくれ」
「なんだか情けないけど、お願いするよ」
「よろしくね、レント君。回復は任せてね……ライザも気を付けて」
指示は飛ばして隊列も組んだ。さあ、どうなる事やらね。
「じゃあ……行くわよ! コーリングスター!!」
ボッ! ボッ! ボッ!
ドゥ! ドゥ! ドゥ!
シーカーで加減なし! これも魔法だけどどんなもん……っ!?
ちゃんと当たったよね? こっち向いたし! これ
「怯みもしない!? でも当初の目的はよし! レントは2人を頼むわね!」
「おう!」
こいつ……足はっや! 坑道にいたやつとおんなじだよね!?
とりあえず回避に専念!
「ほっ! よっ! ……うひぃ!?」
「割と器用に避けるね? 危なっかしいけど」
「ライザは唯一アルから直接訓練されているらしいからな。その賜物だろう」
ガウッ!
ネズミっていうかオオカミ!? 実物見た事ないけどさ!
ふんぬ! ふんぬぅ! ふおっ!?
「ライザ! コッチ来い! 俺が動きを止める!」
「りょお、かいっ!」
確かにこれじゃ攻撃どころじゃない。まず動きを止めてもらおう!
スライディーン!!
「よし……来やがれ!」
グオゥ!
ガキン! って剣にぶつかった音がしたけど――ノックバック、なし!
さっすがレント!
「メガワイバーンの突進くらいはあるか!? 身体の大きさからは考えらんねえぜ」
「抑え込める!?」
「おう、大丈夫だ! お前らで殴ってみろ!」
一人鍛え方が違うのは伊達じゃなかったらしい――努力は裏切らないのかしらねえ!
あたしの打撃で一番なのは……コレ!
「クレセントスウィープ! ふん!!」
バキャッ!
グォウ!
「僕も一旦は魔法試しかな? 黒鳥の羽!」
「プレリュードからいくよ!」
タオとクラウディアは予定通り魔法攻撃。
だけど……。
「……全く効いてる気がしないね! やっぱり物理かな、
「それでこそタオ君だよ! 私のもダメか……強化に専念するね! フェアリーズギフト!」
ガツッッ!!
ギイィ!?
タオの全力物理でやっとダメージが入ったくさいわね。加えて素早さデバフだっけ?
クラウディアは変な部分でテンションが上がってる……まあ士気が高いならいいや。
あたしじゃ筋力不足か。なら次はアイテムの確認!
「アイテム投げるから後ろに下がって! 燃えろ、誘引火瓶!!」
ボウッ!!
ギャウ! グルルルルルルッ!
前にオーリムで使ったやつより高品質。殴るよかマシっぽい!
タオのおかげで動きは鈍くなってるし、本命にお願いしましょうか。
「レント、いける!?」
「おう! お前ら、俺の後ろに居ろよ!」
レントがハリネズミに向かって突進する……足速くなったわねえ。
「まずは基本アーツ! せいっ! おりゃっ!! バックフリップ!!!」
ギャウ! ギィ! グオッ!?
さすがにレントの攻撃は通るらしい。物理特化は伊達じゃない。
「俺が押し込むからライザたちは援護してくれ! ブラッドスラスト!」
「了解! シエルライトからのぉ
「ダメージが通らないならデバフ優先かな……闇夜の
あれえ? その技、2連撃じゃなかったっけ? 4連撃になってる……。
「私も続くよ、セイクリッドコード! 力強く一気に!」
クラウディアのも防御ダウンだっけ? タオのはなんか……あいつ呪われてない?
まあいいや! 追撃だ!
「いくよ! ライザァースペシャル! スイープ!! スマッシュ!!!」
ガツッ! ゴッ! バキャァ!
グァウ! ……グオッ!
「うおっ!? あぶないあぶない……」
「前に出過ぎんな! ……この辺で一発入れる! こいつを食らいな、ドゥームインパルス!!」
ガァッ!? グオォォォ……
レントの回転連撃を食らって、ハリネズミはやっと消滅した。
うひ~。
「うぅん、勝ててよかったぁ~」
「こりゃ半端ねえな。忠告貰った通りっつうか、聞いてなかったらヤバかったぜ」
「はぁ……早い時点でバフ、デバフは必須だね。もっと付与率を上げないとだなあ」
「私は……回復と強化に特化した方がいいのかな? ダメージが入っている気がしないよ……」
フィルフサの中で最弱のハリネズミでもこの有り様。甲虫なんて相手にしたらどうなる事やら。
課題は盛りだくさんだ。
「取り敢えず皆お疲れ様。時間は掛かったけどダメージはほぼ無いね」
教官の二人が近付いてきた。これだけで安心感が段違いだ。
「レントは良い判断だった。お前はタンクだ、盾役をしっかり担え。ライザはバフアイテムがあっただろう? 最初に使うべきだった。相手の戦力が分からないなら最高の状態で挑め。タオはもっと積極的に攻めていい。お前のデバフは役立つ。クラウディアは武器の都合で現状火力不足だ。今日の所はサポートに徹してもいいだろう」
「ウィッス!」
「了解です」
「わかりました!」
「そうですね……今日は後方で援護を優先します」
総評――なんとかなったけど直すとこだらけ。下手すりゃ大ケガものだった。
正直、舐めてた。ハリネズミならどうにかなると思っててこの有り様だ。
戦うのって難しいなあ。
クラウディアのフルートは……早いうちに作ってあげないとね。
「戦う事自体は出来るみたいだけど……赤ハリネズミ一体程度にこの時間じゃアレの元に辿り着くのに丸一日以上かかっちゃうね。体力も士気も尽きちゃうかな」
「この辺りはそれなりの数が居るから一匹ずつ誘き寄せるのも手間だしな。避けつつ進んで数の少ない場所を狙うか?」
「いや、この辺は纏めて処理しちゃおう。帰りが面倒だし」
この先も結構いるらしい。しかも多分もっと強力なのが――道のりは長いわね。
で、キロさん。なんかとんでもない事言わなかった?
「いいのか?」
「もう指輪の事を考えなくていいし、使ったのはこっちに来た日以来だしね。使用許可は頂いているから……大丈夫だと思うけどしっかり下がっていてね? ――ペシャンコになると思うから」
えっ、なにするの? ペシャンコ?
入り江の時みたいにキロさんがトコトコと前に出る。
ここにはそんなにフィルフサがいないみたいだけど……。
「さてと、雷耐性持ちもいるだろうけど――絶縁破壊したらどうなるかな?」
多分異世界用語なんだろうけど、相当物騒な事を言ってるんだろうなあ。
オーリムから戻って以来久々に見た大型魔法陣。今回は……紫色?
「
キィィィィィィン
グォングォングォングォングォングォングォングォングォングォングォングォン!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ…………
バチバチッチッチバチバチッチッチッチ!!
キロさんが詠唱を始めて、前みたいに魔法陣が勢いよく回転し始める、と。
……周りの物が、どこかに引き寄せられて?
「これは……あっちの魔法陣に吸い寄せられてる!?」
「おいおい、向こうの方からフィルフサがわらわら出て来てるぜ!?」
魔法陣の中心に、周辺に居たっぽいフィルフサが吸い込まれるようにどんどん集められていく。
「こんなに居たんだね……あれ、空のアレは?」
「スカートが……小さな、積乱雲? すごい魔力の渦……」
「相変わらず規模が規格外だな」
「
ビュゥオオオオォォォォォ……
軽く見積もって……50匹くらい? ハリネズミ、サソリ、甲虫。見た事ない色のやつもいる。
竜巻にでも巻き込まれてるのか、魔法陣の中心にギュウギュウに集められたフィルフサの頭上に、クラウディアが言ったみたいに積乱雲……ううん、これって!?
「雷の塊!?」
真っ黒な雲が晴れたと思ったら、中からバチバチ言ってる紫色の魔力の球体が。
「
降ってきた。
「
カッ!
バチバチバチバチバチバチバチバチッ!!
グギュウォオ゛オオゥゥゥゥゥ!!
フィルフサの塊に着弾したと同時に、盛大にスパークした。あと多分断末魔。
ついでにグチャァッ! っていう……なかなか日常では聞かない音がした。
「「「「…………」」」」
神炎の断罪みたいに、何もかも消滅してるって事は無かったけど。
雷に焼かれつつ何かに押しつぶされたような、フィルフサだったナニカが穴の底に残ってた。
結構ショッキングな光景ね。そうも言ってられないけど。
「ふう。これで二区画分くらいのフィルフサは潰したかな? 遅れは取り戻せそうだね」
「いやいやいやいや!」
わかってたよ? わかってたけどさ! もうちょっと常識の中にいてくれません?
「リハビリ中のアンペルは別として、時間の長短はあるが私とアルもこのくらいのフィルフサなら単独で処理可能だ。流石にこれだけ大規模を一度に相手する事はキロにしかできないがな」
「この魔法は単なる雷じゃないからちょっと面倒なんだよね。まあライザ達も頑張ってみてよ」
「頑張ってどうにかなる範疇を超えてる気しかしないんですけど?」
「まだまだってのを思い知らされるな。鼻が伸びそうにねえや」
「もう知ってたけど、魔法って極めるととんでもないんだね……」
「これだけの魔法が行使できるキロさんですら女王相手は大変っていうんだから……もっと頑張らないと」
つまりはリラさんも、ここにいないアルさんも余裕ですっと――物騒極まりない。
リラさんは単純な火力で、アルさんはワンタッチ分解かな。錬金術って一体。
「これはどういう魔法だったんですか?」
「見たまんま雷の魔法なんだけど……普通雷っていうのは流れるものであって固められるものじゃないんだよ。だからそれをアンペルの魔法みたいに時空を歪めて無理やり固めて、それを叩きつけた感じ。結果が潰したみたいになるから「重力の吐息」って呼んでるよ」
「私の精霊と相性悪いんだけどね」って言ってるけど……さらっと時空歪めてるし、威力も充分過ぎると思うのはあたしだけじゃないと思いたい。「私の精霊」ってなんの話かな?
「ここのフィルフサの強さは分かったな? アンペル達の進み具合にもよるが明日は2人も合流出来るだろう。まともな訓練は明日班を分けて詰め込みで行う。今日はもう数戦、今度はサソリを一体相手にした後、女王を目の当たりにしてもらう。遠目だがな」
「またスティンガーじゃ芸が無いし、シャープシザーズあたりでやろうか。緑色のやつね」
さらりと難易度上げられた……。
戦闘を上手く描写出来る方が本当にうらやましい。
キロの魔法の元ネタはVPプレイヤーみんなのトラウマ、邪竜さんの大魔法です。
元の詠唱からこの程度へ改造するだけでも結構時間がかかっていたりします。
次は……遂にご対面。そして伝統の必殺技です。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。