デリ○ル呼んだら先生が来た 作:海之
タイトルの性質上一話に下ネタが含まれます。
ブルアカ初心者のためキャラの解像度が低いです。ご了承ください。
思いつきで書いていくので更新は遅いです。申し訳ありません。
────デリ○ル呼んだら先生が来た────
─数時間前─
口喧嘩の延長線で銃撃戦を始める女子高生
少しでもバランスを崩せば泥沼の抗争に陥りかねない危うい勢力図
文字通り金次第で何でも手に入るブラックマーケット
そんな、ロスサントスと神室町掛け合わせてロアナプラをほんのり添えたような世界─キヴォトス─に落とされて数年
今の俺はシャーレの保険医をしている。
この世界に本来存在するはずの無い俺が、今の立場を得るのは並大抵の苦労ではなかった。
頼るものなど何もない。
金無し、先無し、戸籍無し
残飯を漁って、泥水を啜る日々
拳銃一発で死にかねない脆弱な身体を引きずって
それでも時には違法な仕事に手を染めなければならないこともあった。
生きて来られたのはキヴォトスに来る際に得られたいくつかの力と、あとは単に運が良かったからだろう。
そして先日
シャーレの保険医としてキヴォトスの最高権力者たる連邦生徒会長にスカウトされて、俺は晴れて職と戸籍を得ることに成功し、先生と組んでキヴォトス中の生徒達のお悩み解決に奔走する日々がスタートしたわけだ。
そんな日々の中で、俺は一つの真理に辿り着いた。
───キヴォトスは男が生きるには辛すぎる。
限界文明人だったホームレス時代は生きるのに必死で気づく余裕が無かったが、キヴォトス美少女多すぎる!!
右を見ても左を見ても魅力的な美少女ばかり、大きいのから小さいのまで、生意気なのから従順なのまで、幼気なのから大人っぽいのまで、幅広い性癖に対応する性癖のデパートことキヴォトスにおいて、生涯発情期の雄猿が生きるのは辛かった。
大人として、保険医として、生徒に欲情するとか最低どころの話では無いので、普段は耐え忍び、ある方法で発散するということを繰り返していたのだ。
パンパンと乾いた音が響く
次第にペースを上げて、コースを確認するように緩急をつけて。
息があがる。
汗が飛ぶ
それでも止まる訳にはいかない。
何かに急かされるように欲望をぶつける。
ギシリ、と一際大きな音がなった。
上下を固定されたサンドバックが軋む。
そこまでを1セットとして汗を拭い呼吸を整える。
俺が見つけた対策とは即ち、
トレーニングである。
ひたすらトレーニングである。
もはや荒行と言っていいレベルのトレーニングである。
色々イカれているキヴォトス人にすら引かれるレベルの過酷なトレーニングをこなし、精魂すり減らして泥のように眠る。
今回もそうやって一日が過ぎる。
「こんにちはドクター。今日も精が出ますね、宜しければご一緒しても?」
筈だった。
筈だった…のに。
ほぼ俺専用と化しているシャーレのトレーニングルームに入ってきたのはトレーニングウェアの美少女。スポーティな引き締まった身体に出るとこ出てるプロポーションがピチッとしたトレーニングウェアによって強調されている。
そんな瑞々しい肉体が汗と制汗剤が混じりあった彼女らしい香りを伴い、視覚と嗅覚のタッグを以てして、俺の脳を貫いた。
健康的なエロスの4D作品が迫りくる。これはいけない。
「やあ。勿論構わないよ。あとストレッチだけだがね」
「問題ありません、実はロードワークのついでに、過酷なトレーニングをこなすドクターに新しいプロテインを届けに来たんです」
ミレニアムサイエンススクールの2年生でトレーニング部に所属している彼女─乙花スミレ─はニコニコとプロテインを取り出して俺の荷物の上に置いた。
「ではストレッチのお手伝いをさせていただきます」
「いや、大丈夫だよ一人で「最新の科学に基づいたストレッチがありまして是非!」………オネガイシマス」
だめだ、トレーニングに関する事でこの脳筋が引くことなんか有り得なかったのだ。
あれよあれよと体勢が整えられる。
「ではゆっくりと押していきます。い~ち、に~」
身体をいたわるように関節と筋肉が伸ばされていく。
ふと柔らかいものが背中に触れた。背中に当たる熱い感触。潰れてなお確かな弾力が俺を襲う。
「スミレ…あの…スミレ」
「?……ッ!!!」
そっと声をかけるとスミレは気づいたようで、顔を真っ赤にして飛び退いた。
恥じらうのは勘弁してほしい。気づかないシチュより、恥じらう方がクるものがある。
その後スミレは真っ赤な顔のまま去っていった。
残された俺は数分の瞑想の後、そっと片付けを終えて、自宅に向かい、ポストに投函されたチラシを見つけ、決めた。
─デリ○ル………呼ぼう─
と。
そして今。
俺は仄かな期待と絶大な不安を抱えてデリ○ルを待っていたのに。
キヴォトスのデリ○ルって何が来るんだろうか?とか
犬か機械だろうか?とか
この際機械でも構わないし、犬ならモフらせてもらおう。とか
ブラックマーケットあたりを根城にしてる不良学生とかなら注意しないとな。とか
色々考えてたのに、
なんでよりによってお前なんだよ。
緊張した様子で、恥ずかしそうに、どこか期待しているようなそんな表情で、
そこにソイツは立っていた。
「な、んで…」
「…………呼ばれた…から?」
────デリ○ル呼んだら先生が来た────
先生─と呼ばれる存在がいる。
普通は教師全般のことを指すその言葉は、ここキヴォトスにおいては一個人を意味する言葉だ。
連邦生徒会長が組織した超法規機関─連邦捜査部S.C.H.A.L.E─の先生。
ヘイローを持たず、戦闘力も持たず、それでも生徒の味方でいることを諦めない大人。
己の切れるカードがあるなら、例えどんな代償があろうとも、それが生徒の為ならば迷わず切る。
そんな大人の鑑のような存在が、俺の部屋でお茶を啜っている。
「なんでデリ○ル呼んで先生来るんすか?」
単刀直入、さっさと本題に入った。まさか先生がデリ○ルで働いてるとは、たしかに先生は地味目だけど、セミロングの髪が艷やかで色っぽいし、中性的な見た目で顔良いし、着痩せするのか上着脱ぐとスゴイし、人気は出そうだけど。そういや時たま金欠だったっけ。だからってこんな、生徒が知ったら大問題だよ?
「私は相談があるって呼ばれて……ってデリ○ル!?」
「え?」
「え?」
話を纏めるとこうだ。
俺はデリ○ルのチラシを元に連絡を取った。
先生は何者かの相談を聞くというシャーレの業務でここに来た。
つまるところ、悪質なイタズラということらしい。
理由はある程度察せる。
先生というより連邦生徒会への嫌がらせだろう。
先生の所属するシャーレは、超法規機関といえども連邦生徒会の傘下、そして連邦生徒会は敵も多い組織。この一件で先生の心に陰がさせば、あるいは先生の信用に傷が付けば、先生を登用した連邦生徒会長に嫌がらせが出来るといったところか。
「先生、自分を大切にしてください。夜のシャーレに待機してる当番の生徒を連れてくるなり、明日に回すなりあったでしょ。夜中に丸腰で出歩くなんて」
「反省してます」
ションボリ小さくなった先生にデリ○ル呼んだ自分を棚に上げて説教かます。
なんかもうそういう気分じゃなくなったな……。
「今度から気を付け……って君こそデリ○ルってどういうこと?」
「あ、いやそれは……」
だめだ。忘れてくれなかった。異性の同僚にデリ○ル呼んでたこと知られるの最悪過ぎる。
明日から顔合わせる度に“コイツデリ○ル呼んでたんだよな。仕方ないよね男の人だもんね”って思われるのキツイって。
なんか言い訳を………言い訳を………言い訳?無理じゃんね。言い訳できないよね?だってデリ○ルとして呼んだ相手に詰められてるもの。
「はい…ムラムラしたので呼びました」
「ふ~ん…」
もうぶちまけよう。先生なら言い触らすまい。後は俺だけ謎の気まずさに耐え続ければいいのだ。そうなのだ。そうに決まってる。多分おそらくきっと。
「普段から溜め込んで、ねぇ…。ま、仕方ないよね。みんな魅力的だもんね…。ましてや男の人だもんね…。うん、それでも生徒に手を出さなかったのは偉い」
「全肯定お姉さんムーブやめろ。ガチ恋するぞ」
「ヒェ……目が怖い」
先生は自分を抱き締めるようにして小さく震えた。あ、やべ意外とアリかもしれない。
「とりあえずシャーレに帰りましょう。送りますよ」
「え?あ、うんそうだね」
それならさっさと行っちゃおうってことで背中にシャーレのマークが刺繍され、腕に赤十字が入った白衣風ジャケットを羽織る。一応シャーレ医療班(一人だけ)の制服である。
後は出るだけといったところで先生が呼び止める。
「やっぱり溜まるモノなの?」
「なんすか急に」
突然どうしたこの先生。興味とかお有り何ですか?やめてドキドキしちゃうから。
「もし辛いなら…………その……手伝う…よ?」
「お前は何を言ってるんだ」
突然の核弾頭に困惑する俺を差し置いて先生は続けた。
「何処かで変に爆発しても大変だし、いつもの助けられてるし、君のこと嫌いじゃないから」
「………………………………スゥーーーーーーーーー」
何だこれ夢か?何が起こってるんだ?
俺の聞き間違えじゃなければ、先生は今俺の処理を手伝うと言ったのか?
中性的美人がそんなこと、好きなシチュだけども。
「遠慮しときます。先生が相手じゃ手伝いじゃ済まなそうなんで、まだ死にたくないし」
「死にたくないって何!?」
そんなのバレたら生徒に殺される。こちとらヘイロー持たない一般人ぞ?特に最凶囚人とか筆頭に何人かは躊躇なさそうだもの。勘弁して。
性欲よりも命の危機。命あっての3大欲求である。
「とにかく、先生はもっと自分を大切にしてくださいってことです。さ、シャーレ行きましょう」
「うん」
先生とシャーレへ向かう。俺の家は緊急事態に備えてシャーレの近くだ。すぐに着いた。入口で当番の生徒に先生を引き渡して任務完了。背を向けようとしたところで先生が口を開いた。
「ホントに大変だったら力になるからね」
「そうなったら検討に検討を重ねさせていただきます」
優し過ぎるのも考えものだな。先生とは長い付き合いになるんだし、そういうところは気を付けないと。
ほんの小さな歪み一つがこの世界を破滅させる。
ブルーアーカイブとはそういう物語だと、私は良く知っている。
ちなみに先生の申し出を承諾するルートもあります。