デリ○ル呼んだら先生が来た   作:海之

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思いつき二話目です。
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第一話 先生呼んだら遭難した

 

ミレニアムのエンジニア部といえばキヴォトスでも指折りの技術者集団だ。

 

最先端の宇宙戦艦から単純な工業製品、果ては銃まで、己のロマンに則って完璧に仕上げてみせる。

 

さて、俺がそんなエンジニア部の部室にやってきたのは先生が受けた“とある相談事”のバックアップのためだ。

 

どうもその相談事というのが、物資が底をついて不良集団に学校が占拠されてしまいそうなので助けてほしい、という事だったらしく先生はすぐさま出発してしまったのだ。 

一応諸々の手続きを済ませていたのだが、受け取りとトラックの運転手を担当するため俺だけが残ったのだ。それも仕事の内だから否やは無いが。

 

俺は連邦生徒会経由で手配した物資を受け取った後、自分専用の装備品を用意するためエンジニア部を訪れていた。

 

 

「ドクター、今ある弾薬を全部持ってきたよ」

 

広すぎる部室(というより工房かガレージ)のソファで待っていると、薄紫の長髪に白衣を羽織った少女がテーブルにケースを置いた。

エンジニア部の部長、白石ウタハだ。突然の訪問にも快く対応してくれた。本人は気付いていないが、彼女のクールな美貌に工業油の汚れが着いている。それでも美貌に翳りはないし、むしろそれが最高のスパイスというか。何なら指摘した時の反応がまた可愛らしいというか。

 

それはさて置き、テーブルに置かれた弾薬ケースから弾を取り出し確認する。

 

「ありがとう。自分でも作れるけど精密さならエンジニア部に頼むのが一番でね」

「技術者としては嬉しい言葉だね」

 

ウタハと談笑しつつあるモノを手の中で玩ぶ。持ってはいても先生が使うことのないもの、大人として先生と俺で異なる持ち物。

 

「今どきリボルバーってのは非合理的だろうか」

「ドクターのは合理を追求した末に非合理的な武器が最も合理的という解答を得た例外だからね」

 

ウタハの視線が手の中のモノに注がれる。

俺の手専用形状の木製グリップが付いた黒の大型リボルバー。

超大口径の高威力の弾丸を撃つために分厚く重いフレームと長方形に見える程にフロントヘビーなバレルが組み合わさった鉄の塊。キヴォトスでもイカれたトレーニングを積まなければ撃てない重さ。

 

「しっかり頭部に当てれば並の生徒なら昏倒する特殊弾。まともに配備すればコストがかかり過ぎる、という弱点があるけどな」

「コストと効果を比較するなら一般的な弾丸を1マガジン分撃ち込めば、ほぼ同等の結果を得られるけれど、コスト面や入手難度を考慮するとわざわざ配備する必要がないね」

 

ただ、とウタハは続ける。 

 

リボルバーにはロマンがある。

 

と、それが俺達が共有する認識の一つだった。

 

あ、勿論リボルバーなのはロマン以外にも理由がある。

弾の装薬量を増やせるという点と、俺が長期的に撃ち合うのに絶望的に向いてないという点、そして医療班として活動するために長物を持ち歩く余裕がないという点を加味すると、持ち運び易い銃器で、超高威力の弾丸を数発使って、それでも勝負がつかないなら何発あっても無理、したがってリボルバーという訳だ。

 

閑話休題

 

「それじゃあ、先生はアビドスに?」

「二日くらい前に出発したよ。流石にもう着いてるだろうし、後は俺がトラック運転して行けば一先ず依頼は完了だな。多分伸びるだろうけど。あの先生が、困っている生徒前にして物資だけ渡して、はいサヨナラ、は考えにくいしな」

 

間違いないとウタハは笑う。

 

その後、少し世間話をして別れた。この前のウタハの勘違いが可愛いかった、という話をしたら頬を染めて取り乱していた。可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

──アビドスってところの生徒を助けに行ってくる。

 

先生が置き手紙一つで出ていったのが数日前。必要物資を揃えて俺がシャーレを出たのが今朝早く。

 

「なんで俺の方が速ぇんだよ…」

「はい?」

 

アビドス廃校対策委員会の部室にて、眼鏡美少女の奥空アヤネさんに独り言だよ〜、と返しつつ、本来先に着いていた筈のあの人を思い出す。

 

先生、まだですか?

貴方がいないとシャーレとして明確に動けないんですけど?

物資だけあるのに渡せないおかげでお互い気まずい思いしながらお茶啜る羽目になってるんですけど?

 

「ただいま〜アヤネちゃん、と……こちらの方は?」

「ただいま。ってこの人は?」

 

入ってきた少女達の誰何にアヤネが応える。

 

「おかえりなさい。ノノミ先輩。セリカちゃん。あ、こちらはシャーレのドクターさんです。先生が合流されたら詳しく説明されるとのことです。ドクター、こちらは二年生のノノミ先輩です」

「十六夜ノノミです。よろしくお願いします。ドクターさん」

「黒見セリカです。シャーレの方が来たってことはその」

「よろしく。詳しいことは同僚、あ〜、シャーレの先生が来たら話すよ」

 

お淑やかそうな娘が十六夜ノノミさん。ケモ耳に黒ツインテールの娘が黒見セリカさん。二人共タイプは違えど美少女で間違いない。どっちも安心する可愛らしさだ。

 

四人でお茶を啜り、先生を待つことにした。いや、隣りで寝てる娘を含めると五人か、先生が来たらまとめて話そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったら数十分後。

 

ケモ耳美少女に担がれて、限界遭難者こと我らが先生が入ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

何でも数日間アビドスを彷徨い続け、ようやくケモ耳美少女こと砂狼シロコさんに助けられたらしい。しかもその際、女子高生の飲みかけの飲み物を口をつけて飲む、担いでくれと頼む、汗の匂いをいい匂いと言う等したもよう。

 

俺だったらそのまま砂漠に捨てられているレベルの悪行である。

 

この前は衝動的にフィギュア買って金欠になってたし、今回は思い立ったが吉日とばかりにアビドス来て遭難死しかけるし。

 

この計画性の無さを見るに、この人放っといたらちゃんと生活できるのか割りと本気で不安になってきた。

 

 

ユウカか誰かが貰ってやれよ。その方が安心できるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみにドクターは基本的な運転技術は戦闘技術を持っています。

キヴォトス人とまともにやり合うと死ぬけど。
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