デリ○ル呼んだら先生が来た 作:海之
何故か深夜に筆が乗ってしまった。
アビドス高等学校防衛戦は先生の指揮と支援物資により危なげなく勝利した。
自己紹介と学校の状況確認を済ませると、ピンクロングの少女こと対策委員会会長小鳥遊ホシノの提案でヘルメット団の拠点を強襲。これを見事に壊滅させた。
先生の到着からあっという間の出来事だったが、一段落する頃にはすっかり夜になってしまったので今日はアビドス高校に泊まることになった。
充てがわれた部屋で先生と今後について話す。
「それで?荷物は届けたし、件の暴力組織の方もとりあえずはなんとかした。これで当初の目的は完了したけど、帰るか?」
「もう、わかってて訊いてるでしょ」
先生が頬を膨らませながら言う。だろうとは思っていた。この人がこんな中途半端で生徒を放り出すわけ無いのだ。
「私はあの子達の力になりたい」
あまりにもまっすぐな目を向けられる。
少し苦手だ。
「わかった。それなら俺は明日朝一でシャーレに戻る」
「なんで!?」
「先生がアビドスに掛りっきりの間、シャーレの事務仕事は誰がするんだ?シャーレ所属の生徒に手伝ってもらうにしても俺か先生の承認がいるものは多いし、先生じゃなきゃいけないものでかつ至急の案件だけを仕分けするのも簡単じゃないんだぞ」
そう言うと先生はそっと顔を反らした。そして小声で、ごめんと呟いた。
「まぁ先生のフォローも俺の仕事の内だ。それにちょっと気になることもある」
「気になること?」
「返済金額についてだ」
俺の言葉に先生は首を傾げる。
「アビドスの借金の利息はかなり高金利だ」
「それは闇金だから高金利で」
「勿論だ。が、そもそも金融業ってのは利息で儲けるものだ。だからぎりぎり払える金利で生かさず殺さず末永くやっていく。そして払えなくなればあらゆる方法で元金を搾り取る」
先生の相槌を聞きつつ続ける。
「ただし、アビドスの場合は利息が払えなくても元金を取り戻せない」
「あくまでアビドス高等学校の借金であってあの子達の借金じゃないからだね」
「そうだ、元金を回収するにしてもアビドスの土地を手に入れた所で9億には到底届かない。つまり利息を取り続ける以外で闇金に利益はない。そして闇金は金にならないことはしない」
「アビドスから利息を取り続けないといけないけど、利息が高くてほとんどの生徒がいなくなった。それでも金利を下げない場合、いずれ二束三文の土地だけが残ってしまい大損する。お金を儲けるつもりだとしたら、矛盾してない?」
先生の言う通り、闇金のセオリーに見せてなんとなく矛盾している。まるで金は二の次のような、アビドスの土地が目的のような。
「まぁ証拠もないし、ただの妄想だといいんだが」
「ドクターの勘は馬鹿にならないからね」
真剣な顔で先生は言う。ただの偶然の産物だと思うが。
「だから連中を探る。企業の名前は昔の伝手で探すよ」
「昔の伝手?」
「野良人間だった頃の仕事仲間とかな」
カイザーがそのままの名前で闇金やっているのは知ってるし。昔からあるなら支店までだいぶ絞れそうだし。
「闇金の場所まで分かれば後は金の流れを探る。丁度そういうのが得意そうな生徒を知ってるし」
「ヴェリタスに頼むの?ミレニアムと仲良しだよねドクター。良く通ってるみたいだし」
「あそこには最新技術があるからな。医療人として常にアップデートしないと」
「ふ〜ん、お気に入りの娘がいるとか?だめだよ、大人として」
「アホかこの女」
ミレニアムに通っているのは正当な理由だ。やめろそのジト目。
「セミナーの会長さんとこの前密会してたって」
「ただの世間話兼問診だ。他意はない」
「どんな事話したの?」
「忘れたよ、そんな昔の事」
「ごめんごめん」
少し苛立った様子を察してか先生は悪戯っぽく微笑む。なんやかんやで許してしまう。魔性の女か、この先生。酔うと生ける据え膳になるくせに。
「というわけで明日帰るけど、何か分かったらお互いに連絡を取り合おう。何もなくても一日の終わりに定期連絡を頼む」
「了解」
そして翌朝。
シャーレに戻って事務仕事を片付けつつ、ブラックマーケットにあるカイザーの子会社と隠れ蓑にできそうな大型の闇金業者を含めてリストアップする。
そして、ヴェリタスに頼んで調べてもらったが、不発。数社の内カイザーは完全オフライン管理だったそうな。いくらヴェリタスでもオンライン上に無いものはそうそう引っ張り出せない。流石に無理に調べて貰うのはやめといた。危ないし。
ちなみに定期連絡の時、先生に「散々それっぽく語って不発だったの?w」と煽られた。覚えとけよ。
もう二年ほど経つのか、エタっている間に……