デリ○ル呼んだら先生が来た   作:海之

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駆け足で行きますわ、普通に書いていると終わらない気がするので。


第三話 誘拐したらラーメン啜ってた

黒見セリカが拐われた。

 

セントラルネットワークに接続してセリカの位置情報を見つけて欲しい。

 

先生からそう依頼されたのは、あと数時間で夜が明けようという頃だった。

 

セントラルネットワーク─生徒のみならずキヴォトスのあらゆる個人情報が詰まった最重要機密─

 

いかに先生といえど簡単には閲覧できず、もし無許可アクセスがバレれば懲戒処分待ったナシの代物である。

まあ、最悪俺が泥を被れば良いだろう。生徒の身の安全には代えられない。

 

とはいえ、セントラルネットワークの情報は膨大だ。黒見セリカの位置情報を検索するのも骨が折れるし、あまり時間をかけたくない。

 

「少しズルをするか」

 

一人呟くとスマートフォン型端末をPCに接続する。

 

【ナナシの器】と呼ばれるその端末は、保険医として雇用されるにあたり、連邦生徒会長から渡された端末だ。シッテムの箱同様、何故動くのか、製造元もOSも不明のオーパーツ。手のひらサイズにも関わらずスーパーコンピュータ並の演算能力を持つスーパーガジェット。シッテムの箱のようにバリアを張ったりOSと世間話はできないが、それでも過ぎたる相棒だ。

 

「黒見セリカの本日の足跡と現在位置、或いは最後に確認できた位置情報を座標変換し地図に重ねて表示してくれ」

「承認」

 

機械的な─というには些か自然過ぎるが─少女の声と共に瞬く間に位置情報が割り出されていく。現在地とそこにたどり着くまでのルート、移動速度がアビドス近辺の地図に重ねて表示された。やはり拉致で間違いないか、速度的に車だな。

 

「流石仕事が速い。このままシッテムの箱にデータを転送してくれ」

「転送を開始………………完了しました」

「ありがとう」

「…………私の役割ですから」

 

ツレない相棒に苦笑しつつそのまま通話を開始する。先生はそのまま救出に動くようだ。俺もアビドスに行こう。今からなら救出作戦の終了には間に合うだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目を見るぞ。頭がクラクラしたりしないか?」

「だから大丈夫だってば…」

「気絶する程の衝撃を受けたんだ。本当ならレントゲンやらCTやら撮りたいところだ。キヴォトスの生徒は頑丈な分蓄積ダメージに鈍感なところがあるんでな」

「そうですよ〜セリカちゃん。ドクターの言う事を聞いてください」

「…わかったわよ」

 

セリカ救出作戦はあっさり成功したようだ、アビドスに着いた頃には作戦は終わり帰還中との話をアヤネに聞いたので、戻ってきたセリカに対して俺は保険医としての本分を全うする。

 

「心音を聴きたいから上着を脱いでくれシャツはそのままで良い」

「異常は………無さそうだな。この後作戦会議だけど、出来るだけ安静にしておくんだぞ」

「はい……」

 

とりあえず大事は無い。

 

そう伝えると明らかにホッとした様子を見せたホシノ達と共に作戦会議が始まった。

 

ホシノは、他学園のバスをジャックして生徒数を増やすと提案。

シロコは、銀行を襲撃して大金を稼ぐと提案。

ノノミは、スクールアイドルとして活動して借金を返すと提案。

 

まともな意見が一つもない。ノノミの提案だけが唯一法に触れていないが……。

 

「私はアイドルがいいと思う」

 

先生、消去法かもしれないが、あんたただ見たいだけだろ。わかる。

 

その後悪ノリを続けた結果、アヤネのお説教を食らった。放置して悪かった。今度はちゃんと止めるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして柴関ラーメンにて

 

「アヤネちゃん機嫌を直してください」

「別に怒ってません」

 

アヤネのご機嫌取りが行われていた。

それを尻目に塩分を気にしながらチビチビスープを飲んでいるとシロコが豪快に丼を傾けていくのが目に入った。若いっていいなとおっさん臭い事を考えていると、店に少女が入ってきた。紫の小さなハットをかぶった気弱そうな彼女はそれでもしっかりと声を上げる。

 

「あの、ここで一番安いものっていくらですか?」

「580円の柴関ラーメンね、看板メニューだし美味しいわよ」

 

安いメニューを尋ねる少女にセリカが笑顔で答えると、少女はお礼を言って店を出ていった。

 

ややあって数人の少女を伴って紫の娘は帰ってきた。

 

気になってしまい、つい聞き耳を立ててみるとどうやら彼女達は金欠で600円以下の食事を健気に分け合う腹積りらしかった。 

店によっては追い出される案件であるが、柴大将は快く了承した。そして、一杯は一杯と超大盛のラーメンを提供したのだった。粋な人だ。

 

そんな様子を見てアビドスの面々も興味を惹かれたのか声をかけ始める。赤みがかった長髪の少女が陸八魔アル、大きなリボンでまとめた白いサイドテーブルの少女が浅黄ムツキ、クールな目つきが印象的な黒白のポニーテールの少女が鬼方カヨコ、そして先ほどの紫の少女が伊草ハルカと名乗った。

 

なぜか聞き覚えのある名前だ。何かの資料で見たのだろうか?

 

謎の違和感を覚えながらしばし談笑していく中でアル達とホシノ達は仲良くなっていった。

 

食後、柴関ラーメンの入り口で先生やアビドスの子達、そしてアル達と別れ、バイクに乗ってシャーレへと戻った。

 

翌日の定期報告でアル達がアビドスを襲撃し撃退されたと聞いて、彼女らが便利屋68とか言う集団だと思い出した。道理で聞き覚えがある訳だ、各自地区の注意人物、非認可団体のリストで見た名前だった。

カタカタヘルメット団の代わりに新しい刺客として雇われたのか。ナナシで各地のカメラを追えば捕まえられるとは思うが、アルの屈託ない笑顔を思い出すとそこまでしなくても良いかと思えてきた。別に凶悪犯じゃなかったはずだし、根は良い子そうだったし。あと眠い。

 

 

 

 

 

 

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