やってきたダンジョンは想像よりも小さかった。全部で3階層までしか無く、またボスも強くなかった。ただ、1つだけ珍しいものがあった。
「ミアナさん、これ何?」
「ネームインベスティゲート。プレイヤーの名前を調べられる機械だ」
ネームインベスティゲートからはこの世界にいるプレイヤーの名前を調べることができる。
「じゃあ、ちょうどミアナが2人いるんだしミリア調べてみる?」
アリアが言った。ドルトとカトルも頷き、俺は自分の名前を入力する。
「あ」
ミアナの声がした気がしたが、気のせいだろうか。聞こえたとしてもしゃっくりかなんかかな。
「……あれ?ミアナって3人いるよ?」
「1人しかつけれないんだよな。何で3人も」
それを俺に言われても分からない。偶々バグとかで3人入ってるんだろうか。
「バグかなんかだろ」
「うん。ゲームだからありえると思う」
ミアナもそう言う。やっぱりバグなんだろう。
「それもそうだな。よし、帰ろうぜ」
俺たちはカトルのその一声で帰路についた。気付かれなくて良かった。
「ねぇ、ストレッドって人、失踪から3年だってさ」
ある日、クエストを整理していたアリアが言った。そういえばそんなに経つか。
「3年前だと、ミアナもう始めてたよね」
「俺じゃなくてもドルトも5年前からやってるだろ」
ドルトがこっちにやってくる。戦利品を整理していたため武器などは持っていない。
「なんだ、ミアナ」
「ストレッドってプレイヤーの失踪から3年だってさ」
「ああ、あの最強のプレイヤーか」
ドルトも知っていた。かなり有名だったからな。
「どんな人だったの?」
「この世界で最も強いプレーヤーって呼ばれてた。ストって呼ばれてたな」
ドルトはストレッドのことを語る。3年前にこのゲームをやっていた人は恐らく誰もかもが知っているだろう。
「ただ、3年前に急にいなくなった。ネームインベスティゲートでも捜査したらしいんだが、ストレッドの名前は消えていたらしい」
「だったら、ゲームやめたんじゃない?」
「やめたんだったら過去プレイヤーの中に残る。それにも残ってなかったんだ」
そんなことが起こってたせいで失踪したと言われている。
ドルトはストレッドのことを次々と話していく。
「ストレッドにはパートナーがいて、確か……ミリアとかだったかな」
「ミリアとストレッドの組み合わせは本当によかったらしいな。近接戦と遠距離戦も両立できて」
俺がそう言うと、アリアは納得したような声を出した。ミリアも中々有名だったからな。そういえば、ミリアはどこに行ったんだろうか。
「おはよう、アリアさん」
そう思っていると、ミアナが来た。
「おはよう、ミアナちゃん。ミアナちゃんはストレッドとか知ってるの?」
「スト?ううん、知らない」
「そうだろうな。だってミアナちゃんは今年始めたばかりなんだろう?」
ドルトが言った。だが、俺は1つだけ引っかかった。
確かにミリアはストレッドがいたときにゲームを始めていない。だから知らないはずだ。だが、1つだけ引っかかる。なぜ「スト」と呼べたのだろう。知らないのならばストレッドの通称も知らないはずだ。
「ミアナ、1ついいか」
「?うん、いいけど」
俺はさっき思ったことをミアナに聞いた。
「なぜストって通称を知ってた」
「あっ」
やはり言葉に詰まるか。そしたら、1つの可能性に賭けてみよう。
俺の現在の名はミアナだ。それは間違いない。だが、俺の本名はミアナではない。だからミアナが複数いることになっている。
ストレッド。それが俺の本名だ。ちゃんと隠している理由もある。
3年前、俺が失踪した理由はそこにあった。3年前、この世界にいたプレイヤー、「ブレイカー」が世界を変えた。ブレイカー自身が最強になり、それ以外の強くなりそうなプレイヤーは排除する。そんな世界に。
それによって、俺も名前を剥奪。レベルも下げられ、遠くに追放された。
そのせいで名前はミアナに変わった。これに決めたのは俺だが、当時俺のパートナーだったミリアのことを忘れないように、少し変えた。
ミリアはどこにいるのか分からないが、おそらく──
話し方をストの時と同じにすれば恐らく気付く。
「君は誰だ」
そう言うと、ミアナはため息をついて言った。
「分かった……ミリア。私がミリア」
「やっぱりか。お前も気付いているのだろう、俺が誰か」
俺がそう聞くと、ミリアは確信を持った声で言った。
「スト。でしょ」
「あぁ。その通りだ」
ミリアは俺に抱き付いてくる。
これでミアナが3人いた理由が分かった。2人ともミアナを偶々名乗っていたのだ。
「ま、待てよ。お前がストなのか?」
ドルトが戸惑って聞いてくる。
「あぁ、そうだ。3年前最強と言われた男だ」
ミリアと俺はゲーム内で付き合ってたのもあり、ミリアは俺にずっとくっついている。
「話し方も変えていればバレないものだな」
「私のこと気付いてたの?」
ミリアは俺に聞いてきた。
「ネームインベスティゲートにミアナの名前を入れるときに声を出したからな」
「どうしてそれで分かったの」
アリアが聞く。俺はアリアの前に行って話した。
「この世界に同じ名前は存在しない。ミリアが偽っていることはネームインベスティゲートを使えば分かってしまう。俺とミリア、そして本当のミアナの3人が表示されればな」
アリアは納得したようだった。
しかし、ドルトはあまり信じていなさそうだった。
「待てよ、だったら俺と戦ってくれ。お前がストなのならば勝てるだろう」
「仕方ないな。早く終わらせるぞ」
もう名前がバレた以上、隠す必要はない。俺の本当の力を。
ドルトは俺に対して決闘を申し込んでくる。俺はそれを受諾し、決闘が始まる。
この世界には選ばれた者だけが得られるスキルがある。それが「魔術」。俺が使うことのできる最も最高峰の攻撃だ。
「デスタ」
攻撃魔術のデスタだ。魔方陣から一直線の光が出て、相手を即死させる。これに耐えたら大したものだ。これに耐えた相手は、今まででブレイカーしかいない。
「くっ!」
ドルトは耐えることができず、HPを全て削られる。やはり無理だったか。
「ストレッドさん、それは……」
「攻撃魔術、デスタだ」
「魔術は選ばれた者しか使えないの。私も回復魔術のスランしか使えない」
使えること自体が大したものなのだが。
「俺のことはストと呼んで構わない。今まででそうだったのだからな」
アリアはいつもの表情に戻って、「スト」と呼んだ。慣れたものなのだろう。
「おっ、もうみんないたのか。って、ミアナ?」
カトルがゲームにログインして俺たちのところにやってきた。
「こいつ、ストだ。ストレッド」
ドルトが状況を知らないカトルに説明する。
説明が終わると、ストは要約し始めた。
「要するに、ミアナが実はストレッドで、ミアナちゃんはミリアだったってことか?」
「そういうことだ。今まで通り接してくれて構わないが、こういう口調の方が話しやすいからこれでいいか」
俺がそう聞くと、3人は頷く。ミリアはもう慣れていただろうし、戻ったような感覚だろう。3年前のことだったが、ようやく戻ったような感じが俺もした。やっぱりこれが俺たちなんだ。
俺とミリアは2人で3年前からのことを話していた。ミリアは名前変更後にスキンも変えていたらしい。当然気付かなかったわけだ。
「ミリアは俺に気付いていたのか」
「うん。スキンがそのままだったから」
やはりスキンで気付かれたか。スキンも変えておけばよかった。
「ストは魔術も使えたよね。今できないことってある?」
ミリアが聞いてくる。言われてみれば考えたこともなかった。できないことか…… 俺は考えていたが、できないことは思い浮かばなかった。
「いや、ある程度はできているはずだ」
「そっか。さすがだね」
ミリアは俺にくっつく。
「スト、嬉しい?私と再会できて」
「あぁ。嬉しいぞ」
ミリアのことをハグすると、ミリアはかわいい声を出して俺にくっつく。満足そうだ。
「このあとってどうするの?」
「何人かで協力してブレイカーを倒しに行く。それが目的だ」
ミリアは少し不安そうだった。それもそうだ。一度負けた相手にまた挑もうとしているのだから。
「安心しろ。お前は俺を信じていただろう」
「そうだけど、ブレイカーは……」
「そのためにレベルを上げているんだ。できるはずだ」
ブレイカーは俺たち2人で勝てないことは分かっている。魔術も追加で覚えなければならないだろう。レベルも足りない。あとは人数も必要か。
「人数だったら任せとけ」
後ろからドルトの声がした。俺はドルトの方を振り向いた。
「どういうことだ、ドルト」
「俺たちで話し合ったんだよ。ストに協力しようって」
なるほど。だが、かなり無理をすることになる。
「大丈夫なのか。無理することになるぞ」
「わかってるさ。それも承知の上でだ」
ドルトの目は生半可な気持ちではない。それは間違いなかった。
「分かった。レベルは上げておけ」
「おう!任せとけ」
ドルトは右手で拳をつくって空に向けて挙げた。まったく、熱意だけは人一倍だな。
「けど、これでも5人だよ?足りる?」
「大丈夫だ。十分に足りている」
俺はマップを開く。ブレイカーは自身の城を持っている。それはマップからだと分かりやすい場所になっている。
「ここだ」
俺が指さしたのは、テスラナ・モーテスラというフィールドのマップ名が書かれている場所だ。
「マップ名がどうかしたの?」
「ちょうどここにブレイカーの城がある。マップ上で、マップ名が書かれている真下に建てることで目立たないようにしている」
実際にその場所に行かないと見えてこない仕組みだ。
「すご、性格悪い……」
「そうだな。だが、一度行ったことがあれば分かる」
俺はミリアに俺の魔力を分け与えた。俺が想像している風景をミリアにも見えるようにしたのだ。
「でかい……これ、何階あるの?」
「さあな。単純計算で20階前後といったところか」
ぱっと見では20階前後あるように見える。俺の作った城よりも若干小さい規模だ。
「俺の城に行こう。ミリアは月隠れの光を呼んでこい」
「分かった。ストは」
「先に城に向かっている。カトルがいなくても気にするな」
俺はそう言って俺が建てた城に向かった。カトルがいなくてもいい、と言った理由はちゃんとある。
俺がこのゲームを始めたのは7年前。まだ高校生のときだった。その翌年に魔術が実装され、ゲーム内では魔術の取得が流行った。
しかし、魔術は選ばれた者だけが取得できるものだった。取得できた者は特別扱いを受ける。それがこの世界の常識だ。
魔術に優れたプレイヤーが4人いた。その4人は次第に《四大魔術師》と呼ばれた。当時所謂「魔王」となっていた俺の配下のような存在だ。
勿論四大魔術師のことは未だに覚えている。「サレンド」、「ディーダ」、「サヨリ」、そして「カトル」の4人だった。四大魔術師は俺を「我が主」と呼んでいたが、3年前俺が追放してから情報は入ってこなくなった。どうも今の「魔王」と呼ばれるブレイカーが四大魔術師を切り捨てたらしい。
せっかくブレイカーを倒しに行くのならば四大魔術師にも手伝って貰うため、これから探しに行くのだ。その中にカトルがいるため、カトルについてはもう呼んである。だからいなくても気にするな、ということだ。
「もう来ていたか、カトル」
「うん。四大魔術師として会うのは3年ぶりかな」
俺はカトルと握手を交わす。
「他の人はまだ来ていないのか」
「ディーダとサヨリはもう来る頃だね。サレンドはしばらくかかるらしい」
「そうか。分かった」
俺は城の玉座に座る。久しぶりにここに座ったが、座り心地はやはりいい。さすが玉座だ。
そうしていると、ドアをノックする音が聞こえた。ディーダとサヨリか。
「入れ」
俺がそう言うと、大きな扉がゆっくりと開く。
そしてディーダとサヨリが入ってくる。入って来るなり俺の前に膝をついて座った。
「お久しぶりです、我が主」
ディーダが頭を下げる。
「サヨリです。お久しぶりです、我が主」
「あぁ。久しいな」
俺は2人の前に立った。
「ブレイカーを倒しに行きたい。手伝ってくれるか」
「はい。もちろんでございます」
「私も、手伝わせていただきます」
2人は俺に手伝ってくれることになった。
ディーダは3年前と何も変わっていないようだったが、サヨリは3年前よりも格段と美人になっていた。四大魔術師唯一の女だ。
そして、この大広間の中に水色の円柱のようなものが現れる。ディーダとカトルが攻撃魔法の準備をする。
現れたのはサレンドだった。転移魔法で来たのだ。
「転移魔法で来たこと、お詫びいたします、ストレッド様」
「大丈夫だ。転移魔法で来るのが普通だ」
サレンドは武器屋だ。仕事が終わってから来たのだろう。
「あとの3人にはもう言ってあるのだが、ブレイカーを倒しに行く。手伝ってほしい」
「無論、手伝わせていただきます。ストレッド様」
サレンドも承諾してくれた。
これで四大魔術師は全員そろった。月隠れの光のドルトとアリア、四台魔術師、そして俺とミリアで8人。人数で考えれば妥当な人数だった。
「ストレッド様、1つよろしいでしょうか」
ディーダが俺に聞いてきた。
「なんだ」
「ブレイカーは今、大変強大な力を持っております。今の我々ですと、とても倒せる状況ではないかと」
確かにそうだ。今やブレイカーはこの世界で最も強大な権力に武力を持っている。魔力は四大魔術師の方が上だとしても、それ以外では勝っているものはおそらく皆無だろう。
「余計なことかもしれませんが、私たちの配下も加えていただけないかと。多少の戦力にはなるかと思います」
「お前たちに配下がいるのか」
俺がそう聞くと、サヨリが俺の近くに来て言った。
「配下が6人ほどいます。魔術を学びたいという者を集めております」
サヨリの話を聞く限りはかなり戦力になると思える。ならば使た方がよいだろう。
だが、戦力にならない者を連れて行っても足手まといになるだけだ。見極めた方がよさそうだ。
「配下をここの練習場に呼べ。戦力になるか見極める」
「はっ」
ディーダは転移魔法で呼びに行った。俺は暇していそうなサレンドを呼び、1つの仕事を頼んだ。
「サレンド、こっちにこい」
「はっ、なんでしょう」
「練習場でお前たちの配下を見極める。ディーダと一緒に講義を担当しろ」
「承知しました」
サレンドは転移した。久しぶりに大広間に人がいなくなった。まだ月隠れの光も着かないし、しばらくは俺1人であることだろう。
ブレイカーの討伐自体はまだ遠い日になることだろう。ただ、準備は最低限でもしておかないとブレイカーに勝つことができない。
「んー?」
声が聞こえた。さっきまで誰もいなかったはずだが
「スト~、連れてきたよ」
「ミリアか。ありがとう」
ミリアの後ろには月隠れの光の2人がいた。城をきょろきょろと見ていて、物珍しそうにしていた。
「アリア、ドルト。ここで泊まることもできるからな。そのときはここを出て左に曲がったところの部屋を使え」
「あ、おう。にしても、この城広いな」
ドルトがあたりを見ながら言った。
「ありがとう。少しは探検しても構わない」
「じゃあしてくるね」
「俺もしてくるわ」
アリアとドルトは城の中を探検しに行った。今城の中にいるのはサヨリくらいか。サヨリも練習場とかにいるだろうし怪しまれることもないだろう。
「スト、疲れちゃった」
「そうか。頭を下げろ」
ミリアは頭を下げた。俺はその頭をなでる。ミリアは昔からなでられるのが好きだったから十分慣れた。
「んふー」
「気持ちいいか」
「ん。きもちい」
ミリアは満足げに俺になでられていた。
その日の夜、早速異常事態が起こった。
ドルトとアリアがログアウトし、サレンドとディーダが配下の講義をしていた。すると、外の偵察に行っていたカトルが転移してきた。カトルらしくない、焦っている様子だった。
「スト、大変だ」
「何があった」
俺が聞くと、カトルは焦っているのを落ち着かせて言った。
「外に不審なプレイヤーが2人飛んでいるんだ。この城を見ているようだった」
「そうか。今空いている人総出で警備にあたる。ディーダとサレンド、配下以外を全員呼んで来い」
カトルは全員を呼びに行った。
全員が集まってから、俺はさっき聞いたことを全員に伝えた。
「今から全員で警備にあたる。サヨリは城の入り口側、ミリアは西側、カトルは東側を担当しろ」
『はい』
全員で城の警備に当たった。ブレイカーの手下かもしれない以上、放っておくわけにはいかない。最悪は魔法による制裁も考えないとか。
俺が城の裏側に着いても、不審な人は見つからなかった。うまく隠れているのだろうか。ならば……
「インビジブル」
俺は透明化魔法を使ってその場から姿を消した。こうすれば姿を現すかもしれない。
それから10分、裏にある森の1つの木が不自然に揺れた。風による揺れではない。葉だけでなく、枝の部分まで大きく揺れた。誰かいる。
予想通り、森のところからこちらに人影が向かってきた。あれが不審な人物だろうか。
「ランドル」
俺は拘束魔法のランドルを使って向かってきた人影のうち1人を拘束した。
「うぐっ」
「サヤ!」
俺は止まった1人も拘束する。
「どこから!」
「ここだ」
俺は姿を現した。
「ここで何をしているんだ」
「この城がブレイカーの城か偵察しに来たのよ!」
「さては、ブレイカーの手下……!」
あらぬ誤解をかけられてしまった。ならば誤解を解くしかない。
「俺はストレッドだ。3年前の魔王だ」
俺は拘束していた2人のプレイヤーを大広間まで通す。その間に、テレパシーで警備に出ていた3人を呼び集めた。
大広間で全員を集めてから話をつづけた。
「君たちはどこかのギルド所属か」
「違う。個人で調べに来たわ」
個人でブレイカーの城かもしれないところにくるとは、命知らずなものだ。
「怪しいものではないな」
「もちろん。というか、ストレッドって本当なの?」
もう1人が聞いてくる。すると、それを聞いていたカトルが2人の前に立った。
「俺を知らないかな。四大魔術師」
「私もだ。知らないか」
2人が行ってくれたおかげで多少は信じてもらえたらしい。疑いも少しずつ解けてきた。
「ブレイカーの討伐を目指しているのか」
「はい」
「たった2人でか」
そう聞くと、静かにうなずいた。無謀なことだと、ここにいる誰もが知っていた。
「無謀だ。ブレイカーに2人で勝てるはずがない」
「わからないじゃないですか。勝てないなんて」
「ならば俺と戦え。俺が二番目だからな」
そう言うと、2人は立ち上がった。
「わかりました、やります」
「よろしい。ゼクサ」
誰もが使える決闘の申し込み魔術だ。
「ゼクサ」
「ゼクサ」
2人も申し込みを受諾した。
俺は城の外に場所を移動し、決闘を始める。
「魔法も使うからな。俺を倒してみよ」
2人は俺に突撃してくる。これではデスタ一回で終わってしまう。が、少しは手加減はしない。ブレイカーも手加減などしないはずだ。
「デスタ」
俺がそう放ったときには、もう2人は地面に倒れていた。
「これで終わりだな」
俺が近づくと、1人が起き上がって俺に剣を突き刺す。
完全に油断していた。まだ決闘終了のサインはなかったのに。
「油断したわね」
「ほう……」
俺は自分の心臓にあたる、コアに魔術を与えた。補助魔術甲類、コア蘇生だ。
「油断していたのはどちらか、ハッキリとしてやろう」
俺はコア蘇生によって復活し、とどめを刺す。
「これで終わりだ」
今度こそ、決闘終了のサインが出る。これでようやく決闘が終わった。
2人は大広間に戻ると、俺の前に2人で立った。
「ストレッドさん!」
俺の名を呼ぶ。
『仲間に入れてください!』
何を言い出すかと思えば、そんなことだった。
「君たちには力がある。相手を油断させる、そんな力を生かせ」
俺が2人の手を握った。
「君たちの名を教えよ」
「サヤです」
「ミサよ」
2人の性格は正反対だが、使えそうな人材だ。
「よろしく頼むぞ」
俺は2人の手の甲にキスをした。
「~~っ!」
恥ずかしそうに甲高い声を上げた。なにが恥ずかしかったのかは分からないが。
「な、何してるの、スト!」
ミリアが声を大にする。
「何がだ。ただ契約の証にしただけだろう」
俺がそう言うと、ミリアは「う……」と赤くした。一体何なのだろう。
それはさておき、もう今日やることは終わったのだ。ログアウトしたほうが自分のためだ。
「用が済んだ者はログアウトして構わない。また明日来い」
俺がそう言うと、俺を含めた4人ほどがログアウトした。