【悲報】ワイ、トレセン生活終了のお知らせ【契約破棄しちゃった】 作:おおおユウゴ
某顔つき機関車「まぁ、じしんかじょうだとしゅうちゅうりょくなんて
たいがいさんまんになっちゃうからね」
やべーぞ、事故だ! やっちまったよ。仕方ない、歌うぞ! ♪じこがほら 〽おきるよ とーつーぜ~んさ~~ 〽うんがないときは しょうがない♬ なんとかしよう (^^♪じこがもし おきたら♬ おちこまないで♡ うまくやれるように がんばろうよ じこは〜おきるも〜の〜〜さー。事故だー、事故だー、事故はおきるも〜の〜さ〜〜♪
歌って踊ってごまかせるのは、デ○ズニーとバブル時代の日本だけだ。
俺は車から降りて、急いで救急車を呼ぼうとした。…………。いや、やっぱ止めた。せっかくだから俺は、このウマ娘の耐久性に賭けるぜ!
「あの、大丈夫ですか? 聞こえますか? ひいちゃってごめん、生きてる?」
完全サイコパスの畜生なセリフで、我ながら草。
しかし返事はない。
当たり前だよなぁ? だって気絶してるもん。そうに違いない。
俺はまず倒れたウマ娘の足を手でなでまわすようにして、怪我のないことを確かめた。よっし、足は折れてないな。
つぎに脈をとる。よし、ある。最後に呼吸をしているかどうか確認するために、彼女の鼻の下に手を当てた。……息してないやんけ!!
どうしよう、マジでどうしよう!? あ、そうだ、人工呼吸……いや、心臓マッサージだ。確か肋骨の隙間に両手の親指を差し込んで、左右の肺を押し潰すように圧迫すればいいんだったかな。
なんで脈があるのに、心臓マッサージする必要があるんですか?
仕方ねぇ人工呼吸だ。くっそ…………。俺のファースト・キス……。
やったぜ。
「う、ううん……」
あ、起きた。よかったー(レイプ目)。
「あのー、大丈夫ですか?」
「はい……」「ほんとにほんとに大じょぶ?」
「はい……」
「ほんとにほんとに本当?」
「しつこいですよ……」
「ほんとにすみませんでした」
「いえ……」
「ほんとにすみませんでした」
「もういいですって……」
「ほんとにすみませ……」
「もういいって言ってるでしょう!」
「はい……」
めっちゃ怒られちった。謝ったのに、いや、謝ったせいか。やっぱりここは悪役ムーブかましてボコられたほうが健全だったか? ……ねーよ。
「……ところで、あなたは誰なんですか?」
「えっと、俺は……いや、僕は、あなたをひき逃げしようとした車に乗っていた者です」
「……そうですか。じゃあ、警察に通報しますね……」
「ええっ! ちょい待って、轢き逃げしてないですよ!」
「轢きましたよね? 私のことを轢きましたよね? スマホをみながら運転して、轢きましたよね? そうしていま轢き逃げしようとしたって轢きましたよね?」
「頭ダイジョブか、病院いったほうがよくないか?! まってて救急車よぶわヤッパ」
ヤッバ、ヤッバ……。この娘、轢いたときのショックで脳の言語中枢がオジャンになってないか、ダイジョブかダイジョブか……?
「それに、私が無事なのは、あなたのおかげじゃないんですから。あなたはただ、被害者である私の命を救っただけ。いわば自分の尻拭いをしただけです」
「そうかもしれませんけど、それでも……! お願いします! どうか許してください! なんでもしますから! なんでもしますから!!」
「……なんでもするんですか?」
「はい!」
「じゃあ、契約しましょう」
彼女は俺のスーツ、その胸元のトレーナーバッチを見て、いう。
「は? いや、無理ですけど?」
残念ですが、この事故事案で、俺のクビ&トレーナー資格剥奪は決定的である。
「なんでもするんじゃなかったんですか?」
「いやまあ、そりゃあ、したくないとは言いませんよ? だけど、さすがに担当契約を結ぶのは……。そもそも、僕みたいな新人のトレーナーと契約を結んでも、メリットなんて何もありませんし。いままでとのチームとか、トレーナーとのつきあいはどうするの? はっきり言って、今の時期にトレーナー契約は無謀だよ。ありえない」
「ありますよ」
「へ?」
「あたし、契約破棄したんです」
「へー」
奇遇だな。俺も資格剥奪されるところなんだ。
こうして、俺たちは出会い、晴れて担当として契約をしたのだった。