スターの始めるプロデュース生活   作:焼肉定食

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人の顔を覚えるのは得意な方です

 

 

 

 

 大人にも子どもにも大人気のレジャースポットであるざぶざぶランド。

 東京ドーム◯✖️個分を誇るとても広い土地の中に、10を越えるウォータースライダー、流れるプールや波のプールなどといった様々な種類のプールがあり、1日かけても遊び尽くせないと評判だ。

 

 そんな場所に、今日俺はガキンチョ2人のお守りとしてやってきている。今は更衣室の前で分かれたアイツらのことを、ただただ仁王立ちの姿勢で待っている。

 

 

「……おせぇな」

 

 

 2人と分かれて早数十分、女子用更衣室の出口から続々と水着の女性たちが出てくる中、唯と周子の姿は全然見えない。

 続々と出てくる綺麗なお姉さんたちの水着姿を目に焼き付けながら、もう1人で準備運動でも始めてしまおうかと思ったその時、ようやく唯と周子がやってきた。

 

 

「やっほー」

「おまたせ〜」

 

 

 呑気に手をゆさゆさと揺らしながら、こっちに歩いてくる2人。まぁ、唯の場合、手ぇ以外の場所も揺れて……ゲフンゲフン。

 

 唯は様々な色をこれでもかと使ったカラフルな柄のビキニを着ていて、周子はいたってシンプルな黒いビキニを見に纏っている。

 そんな2人の水着姿を見た俺は、一度だけ大きく息を吐いて思わず本音がポロリと溢れた。

 

 

「オマエら本当に高校生かよ…?」

 

「……? どういうこと?」

「あたしは高校卒業してるけど」

 

 

 俺の言葉を聞いた唯はきょとんとした表情で首を傾げ、周子はあっけらかんとした様子で答えた。

 

 いや、単純に年齢を確認してる訳じゃなくて、コイツらガキのくせにスタイルが良すぎだろって思っちまったんだよ。

 まぁ、唯がおっぱいギャルなのは分かってたけど……水着も見てるし。意外に周子のヤツもたわわに育ってやがんな。アレか?普段は着痩せするタイプなのか?

 

 

「あ〜! さてはプロデューサーちゃん、唯たちの水着にメロメロかな〜?」

「お盛んですなぁ」

 

「……まぁ、正直エロいとは思った」

「えっ!?」

「意外にも素直だね。というか女の子に面と向かってエロいとか言うの、流石はプロデューサーさんって感じ」

 

 

 いや、だってエロいし。普通に。

 

 ん? お前年上にしか興味がなかったんじゃないかって? もちろんそうだよ。俺にとっての恋愛対象は年上のお姉様方だけだよ。

 でもな、それとこれとは別に、コイツらの水着を見てエロいなぁ〜とかは普通に思う。

 

 

 ……プロデューサー失格? いやいや、男なら誰だってそう思うだろ。エロいもん、水着。正直ここまでエロいとはちょっと予想外だ。

 

 ……え、さっきからエロいエロい言い過ぎ? いや、だってエロいし。諸君らもエロいと思うだろ?

 

 

「よし、じゃあ準備運動して、とっととプール行こうぜ」

「え〜、水着もっと褒めてよ〜」

「だから褒めてんだろ。エロいって」

「そ、そういうんじゃなくって!」

「あー、似合ってる似合ってる」

「うっわ適当〜」

 

 

 褒めて褒めて光線を目から放っている唯に素直な感想を述べると、顔を赤くして自分の体を隠すようにして俺を睨む。

 

 へっ、相変わらず見た目の派手さとは裏腹にウブなギャルだぜ。

 

 

「先に言っとくけどな、あんまナンパとかされんじゃねーぞ? 面倒事は避けてぇんだ」

「それ、あたしたちがどうにかできる問題?」

「だよね〜、そういうのって向こうから勝手に声かけてくるもんだし」

 

 

 屈伸、アキレス腱伸ばし、手首足首のストレッチなど、準備体操をしながら俺は2人に注意喚起をする。

 今日は平和に1日を終えたいんだ。コイツらがチャラ僧にナンパされてトラブルとかになったら対処が面倒だからな。今のうちに注意しとくに越したことはない。

 

 

「いいか? ぶっちゃけオマエらレベルなら絶対今日中に一回二回は声かけられるからな?」

「いや〜、美しいのも罪だねぇ〜」

「ひゅー! 周子ちゃんモテ女!」

「真面目に聞け」

 

 

 危機感ねぇなぁ〜、コイツら。わざわざプールにまで来てナンパをしてるような奴らの性欲舐めんなよ? マジでやべぇからな。オマエらなんか格好の餌食だから。

 

 

「まぁ一発で諦めるならいいけどよ、俺と離れてる時にタチの悪そうな奴に声かけられたら無視しとけ。そんでもしつこかったら俺んとこに来い。そうすれば守ってやるから」

「わぁ〜、プロデューサーちゃんが男前なこと言ってる……」

「いつもは割とクズっぽい事言うのにね〜」

「おい、俺はいつでもナイスガイだろ」

 

 

 ていうかさりげにスゲェ言うじゃん周子。え、俺って普段はそんな風に見られてたの? あれか? お前の実家で結構暴れたからそういうイメージが付いちゃってるのか?

 

 

「まぁいいか、とにかくナンパには気をつけろって事だ。お前ら絶対にナンパされ……」

 

 

「あのー、お兄さんちょっといいですかー?」

「ん?」

 

 

 唯と周子に背を向けて、1人歩き出した俺の目の前に水着の女性がやってくる。俺の眼力(スカウター)で見た所、年齢は24か25、上から81-62-82……ふむ、大したものですね。

 

 

「あのぉ〜、お兄さんもしかして1人ですか? カッコいいから声かけちゃいました」

「いやいや、それ程でも」

「えっ、ていうか腹筋すごいですね〜! あっそうだ、この後もしよかったら私たちと一緒にどうですか?」

 

 

 おっと、参ったな。まさか俺の方が先にナンパされちまうんてなぁ。はっはっは、罪な男だぜまったく。

 いつもなら即答でご一緒させてもらうとこなんだが、今日の俺は2人のお目付役だ。涙を飲んでお断りしようと考えたその時、声をかけてきた女性の後ろからもう1人の女性が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 

 

「ちょっ、その人連れいるから。ほら後ろの女の子2人」

「えっ? あっ……す、すみませーん! 気がつかなくって。し、失礼しました〜」

 

 

 俺の後ろにいる唯と周子を見た女性は、気まずそうな表情で苦笑いを浮かべながら去っていってしまった。

 そして俺は後ろで今のやり取りを黙って見ていた2人へと振り返り、静かに微笑んだ。

 

 

「フッ……なんか、悪いな」

 

「イラっ」

「無性に引っ叩きたくなるね」

 

 

 いやいや、悪いねお二人さん。まさか俺の方が先にナンパされちまうなんてなぁ……俺ってば罪な男だぜ。

 

 

「恨むならこのクールフェイスと肉体美を恨んでくれよな」

「最初どのプール行く?」

「んー、唯は流れるプール行きたーい!」

「無視は良くないと思う」

 

 

 オイオイ、いくらメンタルがダイヤモンドの俺だからって無視されるのは傷つくぜ。せめて白い目で見てくるくらいにしてくれ。

 

 

「んじゃあ、プロデューサーさんはどこに行きたいの?」

「えー、あっちにあるマッサージスペースとか?」

「いやいや、まだ泳いでもないじゃん!?」

「いやー、泳ぐのって結構疲れるし」

「んもぅ! プロデューサーちゃんしっかりしてよね! 何のためにプール来たのさ!」

 

 

 それはひとえに、綺麗な水着のお姉さんたちを眺めにだな……なんて、嘘だよ嘘。ちゃんと2人のお目付役もするからさ。お姉さんなんてチラチラとしか見てないから。

 

 

「まぁまぁ唯ちゃん、プロデューサーさんもう若くないんだからさぁ、許してあげようよ」

「若くなくないが!? まだ22だが!?」

「そっか……ごめんねプロデューサーちゃん。唯、ついうっかりプロデューサーちゃんがまだまだ体力ある若々しい男の人だと思ってたから……疲れてるならマッサージ受けてきてもいいよ?」

「うっし、とっととプールいくぞお前ら。まずは俺の泳ぎ見せてやるから1番シンプルなヤツから行くぞ。着いて来な!」

 

 

 

 俺はやる気満々でシンプルな競泳用50mプールへと速足で向かう。その後ろで、2人がハイタッチをしているのにも気が付かずに。

 

 

「ん?」

「どうかした?」

「いや、なんか視線を感じたような……」

「はいはい、自意識過剰」

「お前な……まぁ別にいいか」

 

 

 いや、でも確かに視線が……まぁいいか。あんまり言ってもしつこいし2人を困らせるだけだしな。

 そんなことより、久しぶりに思いきり泳ぐとしますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜in 50mプール〜

 

 

 

 

 ザババババババッッッ!!!!

 

 

「はっはっはー! 見ろお前ら! この俺の泳ぎを! これでも俺を体力の無いおっさん扱いできるかな!?」

 

 

 ふっ……誰も俺のスピードにはついちゃこれねぇのさ。その昔、西中のマグロと呼ばれていた俺の泳ぎにビビりやがれ!

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

「あははっ! プロデューサーちゃんちょー速いんですけど、ウケるー☆」

「魚雷みたいになってるやん」

 

 

 ふっ、かましてやったぜ。次行くぞ次!

 

 

 

 

 

 

〜in 波のプール〜

 

 

 

「ひゃー! 結構波おっきいねー!」

「油断してたら遠くまで流されちゃいそうだねぇ〜」

「まぁ、俺レベルになるとここから一歩も動かずに耐えられるけどな」

 

 

 ふっ、こんな人工の波如き、社会の荒波に比べればなんてことな……ぶぼぁッ゛!?

 

 

「あはははははッ! ぷ、プロデューサーちゃんどこまで流されてんのー!? ちょーウケるんだけどー☆」

「ゆ、唯ちゃん笑いすぎやて……ぷっ、ふふっ! あ、あかんツボった……っ」

 

 

 

 ……次行くぞ。

 

 

 

 

 

〜in 流れるプール〜

 

 

 

「やっぱさ、流れるプールが最高だよな。こうやってただ水に浮いて流れてるとさ、俺なんてちっぽけな人間なんだよなって思うんだよな」

「流れるプールで悟ってる人始めて見たわ」

「あははっ! なんだかんだでプロデューサーちゃん、プールめちゃ楽しんでるじゃん」

 

 

 そりゃそうだ。どうせ来たんだったら楽しまないと損ってもんだろ。

 

 ……でも久しぶりに思いっきり泳いだからか、なんかすっげぇ疲れてきたぜ。

 プールからあがった後の疲労感ってエグくないか? めちゃくちゃ眠くなるよな。 えっ、ていうか俺今日この後運転しなきゃいけないのか……ダルいわー。もうこのまま流されてたら勝手に家の前についてたりしないかなーなんて。

 

 

「なぁ、このまま家に流れついたりしたら最高だよな……って、あれ?」

 

 

 水面から体を起こして辺りを見渡すと、さっきまで俺の周りでぷかぷかやってた唯と周子が見当たらない。

 

 ……やべ、流されすぎたか。

 

 

「まぁ大丈夫か。アイツら目立つしすぐ見つかるだろ」

 

 

 唯はパツキンだし、周子に至っては銀髪だもんな。そんな頭した奴らすぐ見つかるだろ?

 

 俺はとりあえず流れるプールから上がり、濡れた髪の毛を掻きながらプールサイドをゆっくりと歩く。

 多分俺が流されすぎただけだろうし、流れに逆らった方に歩いていけばすぐ見つかると思う。ん? なんか今の俺探偵っぽいな。

 

 

「なーんちゃって、あはは」

 

 

「───あ、あのっ」

「ん?」

 

 

 突如、背後から声をかけられる。全く気配を感じなかったのに、かなり近くから声がして思わず体がビクッと跳ねてしまう。

 

 そして振り返ると、そこにはフリルのついたピンク色の水着を見に纏った少女が立っていた。左手首の辺りにリボンを巻いた青い瞳の少女は、ただひたすらにジッと俺の顔を見上げていた。

 

 何か用ですか? どちら様ですか? そんな言葉が口から溢れかけたが、ピタリと止まる。

 

 

 ───あれ、この子どっかで会ったことが。

 

 

 

「あの───」

「………あ! 前に街でぶつかった子!?」

「ッ! 覚えていてくれたんですね……嬉しい」

 

 

 あー、そうだそうだ。前に周子と京都に行く前に街中でぶつかっちまった子だ。あの時はこの子がカバンの中身をぶちまけて、それを俺が拾ったんだったな。

 

 

「というか、君の方こそよく覚えてたな。ほんの数分間顔を合わせただけだってのに」

「ふふっ、忘れるわけありませんよ。 ずっと見ているので

「え、最後の方なんて言った?」

「何でもありませんよぉ」

 

 

 やだ、俺ってば難聴系主人公みたいなこと言っちゃった? オレもしかして、何かやっちゃいました?

 

 

「1人……じゃ、ないよな? 誰かと来てるんだよな?」

「はい、まゆの……大事な人です」

「ほほ〜、なるほど」

 

 

 大人しそうな雰囲気して、意外にやるこたぁやってんのね。大事な人……つまりは彼氏とプールデートたぁ、青春じゃねーか。

 

 まぁ、この子可愛いし普通に彼氏くらいいるわな。むしろあの見た目で彼氏いねぇ唯とか周子がおかしいんだよ。まぁプロデューサーの身としてはそっちの方がありがてぇけどよ。

 

 

「大事な人と来てるんならさ、早くそっちに戻った方がいいんじゃないか? こんなところにいないでさ」

「……そうですね、とても残念ですけれど、そろそろ時間ですね」

「ざ、残念? 何が…?」

「ふふっ、こっちの話です」

 

 

 ……? イマイチ掴みどころの無い子だな。 彼氏のとこ戻るのに残念も何もないだろう。

 

 

「あの、お名前を聞いてもいいですか?」

「えっ、俺の? えーっと……八坂っていうんだ」

「八坂さん……八坂さん……うふふ」

 

 

 俺の名字を小さな声で呟きながら微笑む少女。名前は言いたくなかったから教えなかったけれど、聞かれる様子もないのでまぁヨシ!

 

 というか、さっきからこの子とのんびり会話してるけど俺何か忘れてるような……

 

 

「あっ! 俺人探してるんだった! 悪い、俺もうそろそろ行くよ」

「……金髪の女の子と銀髪の女の子ですよね? でしたら向こうで見かけましたよ」

「おぉそうか! やっぱアイツらの髪の毛目立つな! ありがとう、じゃあ俺行くよ!」

 

 

 やっぱ俺の読み通りだったな! アイツら今度から金銀コンビとして売り出してもいいかも……なーんてな。

 

 

 俺は女の子の横を通り過ぎる瞬間に、自分でも全く無意識のうちに、その女の子の頭をポンと撫でてその場を去った。

 

 

 ……あれ、ていうか何であの子は俺が唯と周子と一緒に来たって知ってるんだ?

 まぁ、どっかで俺たちが一緒にいるのを見かけたとかそんなとこか。アイツら目立つしな。

 

 

 さてと、じゃあちゃっちゃと2人と合流しに行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

「八坂っていうんだ」

 

 

 八坂さん、彼は確かにそう口にした。あの日、運命に出逢ったあの時から、ずっと聴きたかったお名前。ようやく聞けた。

 

 

 八坂さん……八坂さん……ふふっ、なんて素敵な響きなのだろう。下のお名前も聞きたかったけれど、今日はコレを聞くことができただけでもう充分。恥ずかしいから、距離を縮めるのはゆっくりとでいい。

 

 

 あぁ……八坂さん、今日も素敵です。()()()通り凛々しいお顔立ちに、爽やかさの中に可愛らしさも感じる笑顔。

 そして、男らしさを感じるゴツゴツと筋張った体つき。あの逞しい体で抱きしめられたら……きゃっ♥ まゆったらはしたない……。

 

 せっかく会えたのに、こうしてお話しするだけなんてもどかしい。このまま、2人でプールで遊べたらどんなに良かっただろうか。

 

 

 

「あっ! 俺人探してるんだった! 悪い、俺もうそろそろ行くよ」

 

 

 ────あぁ、胸にズキンと走る鋭い痛み。もうお別れなんですね、まゆ悲しいです。

 

 八坂さんが一緒に来ている女の子ならさっき見かけました。まゆがここで嘘をつけば、もう少し一緒にいられるかもしれない。けれど、八坂さんにはそんな酷いことできません。

 

 

「……金髪の女の子と銀髪の女の子ですよね? でしたら向こうで見かけましたよ」

 

 

 そう、さっきまで八坂さんと一緒にいた2人の女の子。

 1人は笑顔の素敵な金髪の女の子。そして、お胸がまゆよりもずっと大きかったです……むぅ。もう1人の女の子は銀色の髪が目立つ飄々とした雰囲気の女の子。この子もお胸がまゆよりも……むぅ。

 

 八坂さんもやっぱり男性ですし、ああいった体つきの女の子がお好きなんでしょうか?

 

 

 ────あぁ、もしあの2人が、あのお胸で八坂さんを誘惑していたとしたら……そんなの、絶対にダメです。そんかことになったら、まゆは……まゆは……ッ!

 

 

 

「おぉそうか! やっぱアイツらの髪の毛目立つな! ありがとう、じゃあ俺行くよ!」

 

 

 ポン

 

 

「……ほぇ?」

 

 

 八坂さんがまゆの横を通り過ぎると同時に、頭の上に感じた温かい感触。ゴツゴツとして大きな彼の手のひらが、まゆの頭を優しく撫でたと気づくまでに、そう時間はかかりませんでした。

 

 

 

「〜〜〜〜っっ!!!!」

 

 

 こ、こんなの……まゆ、知りません……っ。

 

 彼に、運命の人に触れられた途端、体の内側奥底からナニかが爆発したみたいに溢れ出してくる。ソレが体中を駆け巡り、まゆの体は幸せオーラで一杯になってしまって、まともに立っていることすらできません。

 

 

 あぁ……これが、愛なんですね。

 

 

「ふっ、ふふふっ……ふふふふふふふふ」

 

 

 自分で自分の頭を触る。さっき触れた彼の体温が、まだほんのりと残っている気がする。

 

 ────あれ、これってもう実質、手を繋いでいるも同然なんじゃ。

 

 

 

 

「ふふふふふふふふっ♥ 八坂さんっ、八坂さんっ♥ まゆ、そんなことされたら、自分が抑えられなくなっちゃいますよぉ…♥ うふふふっっっ♥♥♥」

 

 

 

「ママー、あの人どうしたの?」

「見ちゃいけません」

 

 

 あぁ、八坂さん……やっぱり、こうやって短い時間会うだけじゃ我慢できません。 近いうちに絶対……まゆ、アナタの隣に…♥ うふふふっ♥♥♥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

「うぉっ! な、なんか急に寒気が……」

 

 

 全身に感じるブルッとした感覚。もしかして水に浸かりすぎて体が冷えたか…?

 

 

「あっ、プロデューサーちゃんいたいた!」

「おー無事だったか。唯、周子」

 

 

 俺が謎の悪寒に体を蝕まれていたその時、向こうの方から唯と周子が歩いてくるのが視界に映った。

 俺のいない間に変なヤツに絡まれたりしてないか心配したけど、特にそういった心配はいらなかったみたいだな。

 

 

「もぅ! ちょっと目を離したらどっか行っちゃうんだから! 迷子を探す唯たちの身にもなってよね!」

「お前は俺のオカンか」

「唯が気づかなかったらもっと離れ離れになってたかもしんないんだからね! 周子ちゃんなんて、プロデューサーちゃんがいなくなったことにも気が付かなかったんだから」

「えぇ……お前俺に興味無さすぎだろ。ちょっと傷つくわー」

「あはは、ごめんごめん」

 

 

 胸の前に手を突き出し、まるで心のこもっていない謝罪をする周子。まぁ、俺も別に本当に傷ついてる訳じゃないからいいけどな。

 

 

「悪かったって、じゃあ次は唯の行きたいとこに行くか」

「えっ、いいの!?」

「おう。周子もそれでいいよな?」

「いいよー、唯ちゃんどこ行きたいん?」

「えーっとねぇ……」

 

 

「アレ! アレやりたい!」

 

 

 そう言って、唯がビシッと指を差すその向こうには、とてつもなく大きいウォータースライダーが鎮座している。

 

 

 ……ついに、俺に最大の試練が訪れたのだった。

 

 

 





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