スターの始めるプロデュース生活   作:焼肉定食

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アイドル候補、ゲットだぜ!

 

 

 

「アイドルのスカウト……か」

「そうだ、街で有望そうな子に声をかけてきてもらいたい」

 

 

 それってアレだよな。街で可愛い女の子に声をかけて、Youアイドルやっちゃいなよ? 的な感じて声をかければいいんだよな。

 

 ふっ、それなら俺でもできそうじゃねぇか!

 

 

 

「よっしゃ! それじゃあ行ってきます!」

「えっ、プロデューサーさん大丈夫ですか? いきなりスカウトだなんて……」

「え、要はナンパですよね?」

 

 

 可愛い女の子に声をかけて、ちょっと事務所来てみない?って誘うんだろ? そんなのナンパと変わらねぇじゃんか。 大学生の頃はよくやってたから得意技だぜ。

 

 

「……貴子さん、何だか私無性に不安になってきました」

「甘いな。私は社長がコイツに目をつけた時点からずっと不安だぞ」

「黙って聞いていれば人を問題児みたいに……」

「違うのか?」

「はんっ! じゃーとっとと成果出して見返してやるからココで待っとけよ!」

 

 

 とびきりの上玉をとっ捕まえてあの2人をギャフンと言わせてやる! 待ってろよまだ見ぬアイドル候補たち!

 

 

 

「……千川、念のためついて行ってくれるか?」

「えっ、それは構いませんけど」

「すまないな、頼むぞ。もしアイツが馬鹿やり出したら頭を引っ叩いていいからな」

「あはは……わかりました」

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 よーし、それじゃあ早速スカウトを開始するか。とりあえず人通りの多い場所へと向かって可愛い子を探すとしよう。

 

 

「よっしゃ! そうと決まれば早速!」

「プロデューサーさーん!」

「あれ、ちひろさん」

 

 

 声のした方へと振り向くと、ちひろさんが事務所の中から息を切らして走ってくる。

 

 おぉ……いい揺れだ。ちひろさんは体は小さいけどあっちの方は中々……ふむ、大したものですね。84くらいかな?

 

 

「あの……」

「はい?」

「視線、バレバレなんですけど」

「えっ?あー、あはは……いやーちひろさん中々いいモノをお持ちのようで」

「もぅ……ってそんな事より! これ、プロデューサーさんの名刺です」

 

 

 そう言ってちひろさんはポケットに入っていた名刺入れごと俺に渡してきた。中身を開けて確認すると、中には何枚もの俺の名前が書かれた名刺がぎっしりと詰まっていた。

 

 

「それ、名刺入れはプレゼントらしいです」

「プレゼント? 誰から?」

「貴子さんです。いらなければ捨てても構わんと言っていましたよ」

「……そうですか」

 

 

 ったく……あの人には敵わないな。ただでさえ職場を紹介してくれたっていう返しても返しきれない恩があるっていうのに。

 

 

「ありがとうございますちひろさん。俺、絶対に可愛い子連れてきますから! 事務所のために!」

「あっ! ちょっと待ってください! 私もご一緒しますから!」

「えっ、そんなに俺と一緒にいたいんですか!? やっぱ俺のこと……」

「もぅ! 変なこと言ってないで早く行きますよ!」

 

 

 こうして、俺とちひろさんによる将来のトップアイドル発掘が始まったのだった。

 

 当初の予定通り、とりあえずは人通りの多い場所へと向かってそこでひたすらに可愛い子を探すことになった。

 ちひろさん曰く、スカウトはとにかく足を動かすしかないとのことだ。そして街行く人たちをよく観察すること……ダイヤの原石は絶対に見逃してはならない。

 

 

 

「どうですか、プロデューサーさん?」

「はい……やっぱOLのお姉さんは素敵ですね」

「真面目にやってください」

 

 

 とは言われても、やっぱり自然と年上の女性たちに視線が吸い込まれちまうぜ。俺の年上贔屓を抜きにしても、スーツの女性ってめちゃくちゃ素敵だと思うのだが、諸君らはどう考えるだろうか。

 

 

「いいですかプロデューサーさん、スカウトは集中力が大事なんです。ジッと目を凝らして人々を観察して、その中に光る原石を見つけ出すんですよ。やみくもに声をかければいいってものでは………あれ? って、いない!?」

 

 

 

 

「お姉さん、お綺麗ですね。どうです? 今からお時間あれば少しお話でも」

「えっ、はい?」

「時にお姉さん、アイドルとか興味ありませんかね?」

「いや、無いですけど」

「おっとそれは困った……まぁそれならそれで、だったら俺だけのアイドルに……ぐぇ!」

 

 

 俺が綺麗なお姉さまを相手に熱心なスカウト活動していると、後ろから走ってきたちひろさんが思いきり脳天目がけてチョップをかましてきた。頭が割れそうな程の痛さに目の前がチカチカと白く光る。

 

 

「す、すみませーん! この人の言ったことは気にしないでくださーい! あはは…!」

「は、はぁ……」

「失礼しまーす!」

 

 

 ちひろさんに引きずられてその場から連行される。めちゃくちゃに頭が痛いので文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、そんな感情はちひろさんの顔を見た瞬間に吹き飛んだ。

 

 

「プロデューサーさん? 私の話聞いてました?」

「……誠にごめんなさい」

「あれではスカウトではなくただのナンパです! そういうのは個人的に休みの日にでもやってください!」

「い、いやいや! でも俺は割と真面目にやったつもりですよ! さっきのだってちひろさんが邪魔をしなければ、あそこから一発逆転の手が……!」

「もう一回どつきますよ」

「大変申し訳ございませんでした」

「はぁ……何だかプロデューサーさんの扱い方が分かってきた気がします」

 

 

 くそ……どうやら俺のスカウトはちひろさんのお気に召さなかったらしい。でもアレがダメならどうすれば……俺はあのやり方しかできないんだが。

 

 

「ちひろさん、スカウトのコツとかってあるんすか?」

「さっきそれを伝えようとしていたんですけどね。誰かさんが勝手に飛び出していったから言いそびれましたけど」

「えっ」

「はぁ……まぁいいです。コツですか、そうですね。集中して、群衆をよく観察して……あとはもう直感ですね」

「直感?」

「はい、優秀なスカウトマンはそういうセンサーみたいなのが優れているものです。この業界ではティンと来たなどと言うみたいですけど」

 

 

 なるほど……直感ね。直感に身を委ねてイイ女を見つけ出すってことか。

 

 

「要するにチンピクセンサーってことですね」

「はい? ち、ちん……ぴく? なんですかソレは」

「男になら誰にでも備わっている機能ですよ。まぁ安心してください、俺のチンピクセンサーは百発百中なんで」

「はぁ……どうせ碌でもないような気がしますけど、もうソレでいいですよ」

 

 

 すぅ……はぁ。

 

 

 大きく息を吸い込んで、深呼吸。全身の神経を下半身に集中させるんだ。

 

 目を閉じて、感じろ。視覚に頼るのではなく、雄の本能に、己が下半身に従え。

 

 この群衆の中から、極上の雌の気配を感じ取れ! 己が息子を信じろ!

 

 

 唸れ! 俺のチンピクセンサァァァァ!!

 

 

 

 ピクッ

 

 

「ハッ! そこだ!」クワッ

「え! まさかそんな、目を使わずとも見つけたっていうんですか!?」

 

 

 ふっ、俺のチンピクセンサーを甘く見てもらっちゃ困るぜちひろさん!

 

 俺はセンサーに導かれるままに、群衆を掻き分けて1人の女性の背後から声をかける。腰の辺りまで伸びた艶のある黒髪、背後から見ただけでも分かる肉付きの良さ、間違いない、極上の素材だ!

 

 

「そこのキミ! ちょっと時間いいか!?」

「あ? んだよ、アンタ」

「なにっ!?」

 

 

 振り向いた女の子は敵意のこもった瞳で俺を睨みつける。

 

 そのキリッとした瞳、整った目鼻立ち、メイク無しでも輝いてるその顔。そして何より……胸からぶら下げた2つの巨大な塊! つーかおっぱいデカっ!?

 

 一発目からこんな上玉を引き当てるとは、流石は俺のチンピクセンサーだ。

 

 

 

「ふっ、自分で自分が恐ろしい」

「な、何言ってんだアンタ……」

「あぁ悪い悪い。それより今ちょっと時間いいかな」

「んだよナンパか? ぶっ飛ばされねぇうちにどっか行きやがれってんだ」

「待て、これはナンパじゃない!」

「じゃあなんの用だよ」

「キミが可愛いから声かけたんだ!」

「かわっ…!? って、ふざけんな! それのどこがナンパじゃねーんだ!」

 

 

 女の子は真っ赤な顔で慌てふためく。そして俺に背中を向けたかと思えば、逃げ去るようにその場から立ち去ろうとしてしまう。

 

 

「ま、待ってくれ! キミには才能がある! 俺のセンサーもそう言ってる!」

「ざ、ざけんな! 何の才能だってんだ! てか離しやがれ!」

「そのおっぱいは才能以外の何ものでもないだろ!! ソレを活かしてトップアイドルに……ぐぼっ!」

「ただの変態じゃねーか!!」

 

 

 女の子の拳が俺の顔にめり込む。メキメキと骨が軋む音が鳴ると同時に、視界が歪んで足がふらふらと揺れる。

 

 こ、コイツ……いいパンチしてるじゃねーか…!

 

 

 

「拓海の姉御ー! 何か揉め事っすか!?」

「ち、ちげぇよ! 何でもねぇ! とっとと行くぞ!」

「へ、へい! ってかそこに転がってるスーツの男は……」

「ただの野生の変態だ、ほっとけ!」

 

 

 そう言って女の子は舎弟のような子と一緒にその場から立ち去ってしまった。

 

 しくじったか……せっかく見つけたダイヤの原石だってのに。 一体俺のスカウト術のどこが悪かったってんだ…?

 

 ジンジンと痛むこめかみに指を当てながら敗戦の理由を分析していると、後ろから遅れてやってきたちひろさんが心配そうな顔で俺を覗き込んだ。

 

 

「プロデューサーさん! 大丈夫ですか!?」

「あぁ、ちひろさん。こんくらいなんて事ないっすよ」

「そうですか……それより今の子は上手くスカウトできたんですか?」

「あぁ、失敗です。せっかくのダイヤの原石だったってのに」

「確かに可愛い子でしたね。プロデューサーさんの、ちんぴく? センサーとやらも捨てたもんじゃないですね!」

 

 

 うん、何か今の無知シチュみたいで興奮するな。

 

 

「この様子なら私がいなくても平気そうですね。私は自分の仕事もあるのでそろそろ帰りますけど、あとはよろしくお願いします!」

「えっ、ちひろさんもう帰っちゃうんですか? せっかくのランデブーなのに」

「はいはい、ランデブーはアイドルの原石を見つけてその子とでもしておいてください」

「……まぁ、しゃーないか。次俺が事務所に戻る時はアイドルの原石を横に連れて帰るんで、期待して待っててくださいよ」

「ふふっ、楽しみにしてますからね」

 

 

 そう言って笑うと、ちひろさんは踵を返して事務所の方へと歩き出した。

 さて、大見え張ったからには今日のうちに1人でもスカウトを成功させたいとこだけど……まぁ最悪の場合ちひろさんをアイドルにすれば解決するだろ。あの人可愛いし。

 

 

「よしっ! そうと決まればもう一回チンピクセンサーを起動させて……」

 

 

 すぅ……はぁ。

 

 大きく息を吸い込んで以下略……

 

 

 さぁ、俺のセンサーよ、極上の雌を探し当ててくれ!

 

 

 ピクッ

 

 

「誰かー! その人捕まえてー!!」

 

 

 ハッ! 感じるぜ! この脳をとかすような可愛い声はきっととんでもない美少女の声だ! この声のする方へと視線を向ければアイドルの原石になる美少女が……!

 

 

「キミ! 今時間よければちょっと俺と話をーーー!」

「どけー!クソ野郎!」

「は?」

 

 

 俺が目を開いて声のした方へと視線を向けるとそこにいるハズの美少女はいなくて、代わりに髭がボーボーのサングラスをかけた巨漢のおっさんが、物凄い形相を浮かべながらこっちに向かって走ってきている光景が視界に映った。

 

 

 な、なんてこった……まさか俺のチンピクセンサーの不敗神話がこんな形で破られることになるなんて……こんな、こんな事って……!

 

 

「お願い! その人捕まえて! 唯のポーチを盗んだひったくりなの!」

「なに?」

 

 

 さっき聞いた脳を溶かすような可愛い声が辺りに響き渡る。一瞬だけ視界を巨漢男の後ろへと向けると、あまりハッキリと顔は見えなかったが女の子が走ってきているのが見えた。

 

 なるほどな……なんとなく状況は読めた。

 

 

「止まれ髭だるま。 大人しく止まらねぇとその無駄に蓄えた脂肪をステーキにしてーーー」

「どけやガキがぁぁぁ!!」

「危ない!」

 

 

 女の子悲鳴に近い叫び声と同時に、巨漢男は拳を振り上げて俺に突っ込んでくる。

 そして俺目がけて勢いよく振り下ろした拳を、俺は体を横に捻って躱すと男のみぞおち目がけて思いきり蹴りをお見舞いしてやった。

 

 

「まだ俺が喋ってる途中でしょうがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「がふぅっ!!」

「ふぅ……おーい誰か警察呼んでくれ、そんでコイツを突き出しといてくれ」

 

 

 蹴りをモロに受けた巨漢男はその場に崩れ落ちる。すると俺の声を聞いた周りの野次馬の1人が警察に通報してくれたらしく、偶々近くをパトロールしていた警察がすぐに駆けつけてきて巨漢男を確保した。

 

 後のことは警察に任せておいて、俺は地面に落ちたポーチを拾い上げると、後から走って追いついてきて息を切らしている女の子にソレを返してやる。

 

 

「ほら、コレだろ。キミのポーチ」

「あ、ありがとー! てかお兄さんちょー強いね! 唯びっくりしちゃった!」

「ははっ、まぁそれほどでも………」

「ん? どうかした?」

 

 

 ポーチを受け渡そうとしたその時、改めて持ち主の女の子に視線を向けると、俺は思わず息を呑んだ。

 

 綺麗な金色の髪に、パッチリとした大きく青い瞳。 さらに衣服の上からでも分かるほどにスタイルの良い体に整った顔立ち。

 

 

「……? 唯の顔になんかついてる?」

 

 

 ……ティンと来たぜ。 チンがピクっとな。

 

 

 俺のチンピクセンサーはやっぱり捨てたもんじゃないなと思うと、俺は自然と口角が上がってしまうのだった。

 

 

 

 






《森原貴子:モリハラタカコ》

年齢:39歳
身長:158cm
体重:46kg
好きなもの:整理整頓・早寝早起き
嫌いなもの:汚い場所


 よろしく感想などよろしくお願いします。
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