スターの始めるプロデュース生活   作:焼肉定食

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 アニメU149最高でしたね……でもアレが終わってしまったら某の生きがいがががががが……!








おい、レッスンしろよ

 

 

 

 

「プロデューサーさーん、この間お願いした書類どうなってますか?」

「あぁ、それならもう片付けときましたよ」

「えっ! 本当ですか?」

「はい、引き出しの奥に眠ってます」

「片付けるってそっちですか……お願いしますよ? 今日までですからね?」

「へいへい」

 

 

 プロデューサーになってから1週間が過ぎたけど、今んとこあの日のスカウト以外はあまりプロデューサーっぽいことはしていない。やってること言えば事務員であるちひろさんのサポートで書類作成だったり整理だったりがほとんどだ。

 

 まぁソレも仕方ない。何故ならあの日以来唯は事務所を訪れていないからな。

 

 あっ、一応言っておくけど、別にやっぱりアイドルやーめたとか唯が言った訳じゃないぞ?単に保護者への説明とか諸々の手続きとかがあるってだけだ。まぁでも今日は確か……

 

 

「あっ、そういえば今日ですよね? 唯ちゃんが事務所に来るの」

「そうっすね。なんだかんだで1週間ぶりか」

「あぁ……ついにウチの事務所に所属するアイドルが……感慨深いです!」

「俺に感謝してくださいよ?」

「はいはい、感謝してまーす」

 

 

 此奴……まるで感謝の意が感じられんな。こういう生意気な一面を見せられると分からせたくなるぜ。

 

 

「何か変なこと考えてません…?」

「いえいえそんな。ただどうやってちひろさんを調教してやろうかと」

「ちょっ!? 充分変なことじゃないですか!」

「最終的にはちひろさんの方から、調教してほちぃって言ってくるようになるまでが計画ですよ」

「い・い・ま・せ・ん!」

 

 

「朝から一体何の話をしているお前ら」

 

 

 気がつくと、呆れた様子の貴子さんがいつの間にか俺の背後に立っていた。そして手に持った書類の束で俺の頭を叩く。

 

 

「貴子さん、書類は人の頭を叩くためにあるんじゃないですよ」

「あぁ、すまん。お前を人と認識していなかった。ただの書類置きだと」

「うわー、聞きました?ちひろさん。 どう思います今の発言」

「……知りませーん。人のこと調教するとか考えてるような変態さんのことなんて」

「反抗期か……?」

「いや、ドン引期だろう」

 

 

 と、まぁ俺はこんな感じでいつも仕事している。今日も今日とて無限に積み上がっている書類を可能な限り捌いていかにゃならんのだが、そろそろ唯が来る時間なんだよな。

 

 

 

「おはよーございまーす!」

 

 

「おっ、噂をすれば」

 

 

 事務所の入り口方面から、底抜けに明るい快活な声が響いてくる。その場にいる俺たち3人が視線をそっちに向けると、笑顔を浮かべる唯が手を振りながら部屋に入ってきた。

 

 

「プロデューサーちゃーん! 来たよ〜!」

「おーよく来たなぁ。道迷わなかったか?」

「この前一回来てんじゃん! ウケる〜☆」

 

 

 ケラケラと笑う唯を見てると自然にこっちまで表情が緩んでくる気がする。それはちひろさんも貴子さんも同じようで、静かに微笑みながら唯のことを出迎えている。

 

 

「ちひろさんも貴子さんもお久〜☆」

「はい、お久しぶりです!唯ちゃん」

「お久しぶりです、だ。大槻、キミもウチのアイドルになるならその時その状況に合わせた適切な言葉遣いを……」

「気をつけろよ〜唯。そのおばさん怒らせたらマジでこわーーー」

「ふんっ!」

 

 

 ドゴォッ!!

 

 

「お、怒らせると……お前も、こう、なるぞ……」ピクピク

「いやー今のはプロデューサーちゃんが悪いと思うけどなぁ〜」

 

 

 前が見えねぇ……

 

 ったくすぐに手が出るんだからこの人は。この事務所入ってから俺もう何回どつかれてんだ?

 

 

「大槻、今日は何をするかちゃんとコイツから聞かされてるか?」

「えーっとねぇ……確かレッスンだっけ? 運動着持ってこいって言われたから持ってきたよ!」

「そうか、おいさっさと起きろポンコツ。大槻をレッスンルームに連れていけ」

 

 

 ったく……人使いの荒い人だ。 そもそもアンタが思いっきりどつくから、こちとらぶっ倒れてたんだが。

 

 ん? ちょっと待てよ。レッスンルームってことはもしかして聖さんに会えるのでは!?

 

 

「よしっ! 早速レッスンルームに行くぞ唯」

「あり? 急にやる気満々だね、プロデューサーちゃん」

「多分、聖さんがいるからでしょうね」

「聖さん?」

「唯ちゃんがこれからレッスンをしてもらう女性ですよ」

「ふーん、どんな人?」

「素敵な人だ……しかも年上の」

 

 

 青木(あおき)(せい)さんとは、ウチがアイドル事務所を経営するにあたって正式に契約をしたレッスントレーナーで、さっぱりとした性格で強気で美しい女性だ。あと年上。

 噂だと四姉妹で、聖さん以外の3人も全員トレーナーをしているとかなんとか……いつかお会いしてみたいものだ。特に1番上のお姉様に。

 

 

「前もそうだったけどさ、やっぱりプロデューサーちゃんって年上の人が好きなの?」

「ふっ、無論だ」

「ふーん、じゃあ貴子さんも好きなの?」

「何言ってんだ、あの人は叔母さんだぞ……ってちょっとタンマ! 叩こうとすんなって! 今のはオバさんじゃなくて叔母さんだから! アンタは俺の叔母だろ!?」

「……ふん」

 

 

 油断も隙も無いな……隙あらば俺のことをしばこうとしてるじゃねぇか。そんなに叩かれるとバカになっちまうんだが?

 

 

「じゃあさ、プロデューサーちゃんとちひろさんは同い年?」

「いいえ、多分私の方が年上ですね。プロデューサーさんは22歳ですよね? 私は今年で25なので」

「えっ?」

「千川は別の会社で事務職として働いているのを私が引き抜いた形になる。このアホとはほとんど同期みたいなものだが同い年ではないな」

「そうなんだ〜」

 

 

「ちょっ! ちょっと待ってくださいよ!」

 

 

 俺の声を聞いた3人は一斉にこっちへと視線を向けてくる。貴子さんのまた何かアホなこと言うんじゃないだろうな? 的な視線には一言物申したいけどそれどころじゃない。

 何故なら、今とんでもない情報を聞いてしまった気がするからな。

 

 

 

「ちひろさんって年上だったんですか!?」

「は、はい。そうですけど」

「な、なんてこった……」

 

 

 完全に同期だから同い年だと思ってたぞ……そうだよ、よく考えたらちひろさんは俺が面接の時から既に働いてる感じだったから年上じゃないか。

 

 ……ちひろさん、25歳なのか。 そんなの、そんなのって……!

 

 

 

「俺の中でのちひろさんへの好感度が50上昇しましたよ」

「私のプロデューサーさんへの好感度は、今50くらいマイナスされましたけどね」ジト-

「お前、年上なら本当に何でもいいんだな」ジト-

「プロデューサーちゃん、サイテー」ジト-

 

 

 おぅふ……なんて冷たい視線だ。これだから男1人の職場は辛いぜ。こんな時社長がいてくれればきっと俺の味方になってくれるのに。

 とりあえずこの場から早々に立ち去って逃げることにしよう。

 

 

「そ、そんな事より! 早くレッスンに行くぞ唯!」

「あっ! そうだった! じゃあ行ってくるね〜!」

「頑張ってくださいね唯ちゃん。そちらの変態さんはそのまま外回りでもしてきてください」

「しっかりな大槻。そっちのアホはまたスカウトにでも行ってこい」

 

 

 泣きそう。

 

 

「ユイえも〜ん。2人が俺のことをイジメるよ〜」

「いやぁ〜、自業自得だと思うけどなぁ〜」

 

 

 とほほ……どうやら今この場に俺の味方はいないみたいだ。早くレッスンルームに行って、この傷ついた心は聖さんにでも癒してもらうことにしよう。

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 俺と唯が一回に降りてレッスンルームの中に入ると、部屋の中央では変な柄の……こ、個性的な柄をしたTシャツを着ている女性が腕組みをして立っていた。

 

 

「待っていたぞ、大槻。それとプロデューサー」

「あれ? 唯のこと知ってるの?」

「当たり前だ。事前に資料を貰っているからな」

 

 

 唯の基本的なデータは既にトレーナーさんに渡している。身長や体重、それに体のサイズなどの基本的な情報はな。そういったデータを見てレッスンのことを色々と考えたりしてくれるって言うんでスゴい人だ。

 

 

「お疲れ様です。(せい)さん」

「あぁ、キミも励んでいるか? 新米プロデューサー」

「勿論ですよ。それより聖さん、今夜時間ってありますか? よければ俺とお食事でも」

「そ、それは以前に一度断っただろう!」

 

 

 そういえばそんな事もあったな。あれは確か今から数日前、初めてトレーナーである聖さんと顔合わせした時に食事に誘ったんだけど普通に断られたんだよな。

 

 

「ふっ……だけど俺はそれくらいじゃへこたれませんよ。聖さんみたいな綺麗で美しい女性を一度断られたくらいで諦めるなんてできませんから!」

「う、美しい!? ま、前にも言ったが揶揄うのはやめろ! あまりそういう事は言われたことがないんだ……!」

「揶揄ってなんかいませんよ! 俺は至って本気です!」

「くっ……あ、相変わらずだなキミは。調子が狂う…!」

 

 

 顔を赤くした聖さんは慌てふためいた様子を見せる。こんなに美人なのに褒められ慣れていないのは本当のようで、前も少し褒めたらすぐに照れてしまっていた。そんな所も可愛くて素敵だが。

 

 ……俺の勘が告げている。これはもう少し押せば食事くらいならいけるんじゃないか!?

 

 

「聖さん、さっきの話なんですけどーーー」

「はいはい、そういうのは唯のいない場所でやってね〜」

「ちょっ! 唯! 邪魔をするな! ええい!HA☆NA☆SE!」

 

 

 俺たちの間に割って入った唯にワイシャツを掴まれて聖さんから引き剥がされる。前も思ったけど唯お嬢は意外に力がお強い。

 

 あぁ〜! 俺の聖さんが遠くなっていくよ……! まぁ、俺のではないけど。

 

 

 

「もう! プロデューサーちゃん真面目にやってよ!すーぐ年上の女の人ナンパするんだから!」

「待て唯。俺は真面目だ。真面目に聖さんと仲良くなろうとだな」

「貴子さんに言うよ?」ジッ

「よーし、さっさとレッスン始めよーぜ! ほら唯、早くレッスン着に着替えて来い!」

 

 

 こ、コイツ…! 貴子さんを出すのは禁止だろう! んなこと言われたら俺はもう何もできなくなるじゃねーか。 俺にとって貴子さんを呼ぶって言われるのはなぁ、どこぞの海賊漫画の考古学者がバスターコールを宣告されるのと同じくらいの恐怖なんだよ!

 

 

「こ、こほんっ……さて大槻、向こうに更衣室があるから着替えてくるんだ」

「はーい!」

 

 

 唯は着替えの入ったカバンを大事そうに抱えて、レッスンルームの傍にある更衣室へと入っていった。……と思ったのだが、ひょっこりと顔だけを出してニヤニヤと悪戯っ子のような笑みを浮かべてこっちを覗いている。

 

 

「プロデューサーちゃん、覗いちゃダメだかんねー?」ニヤニヤ

「安心しろ。貴様のような小娘に興味など無いわ」

「イラっ……ふーん、いいもん! じゃあ見たいって言っても見せてあげないかんね!」

「見たいって言ったら見せてくれるのか!?」

「おい、小娘に興味はないんじゃなかったのか?」

 

 

 唯はべーっと舌を出して更衣室の扉を閉める。そして俺が聖さんの方へと向き直ると、何故か彼女は静かに笑っていた。

 

 

「どうかしたんすか?」

「いやなに、正直キミがアイドルを連れてきて、その上でその子のプロデュースをするなんてどうなるかと思っていたが……それなりに仲良くやっているようじゃないか」

「仲良いんすかね……?」

 

 

 基本的にはそんな事ないけど、さっきみたいに言い争いになることもあるんだが、果たして俺は唯と仲良くやれているんだろうか?

 

 

「ふっ、あんなふうに軽口を言い合ったり、本音をぶつけ合えるというのは心を開いている証拠だ」

「そうなんすかねぇ……」

「あぁ……あと、仲が良いに越したことはないが……まぁ、アレだ。一応言っておくが手を出したりするんじゃないぞ」

「……勿論っすよ」

 

 

 手を出す、ってのはつまり唯とにゃんにゃんするとかそういう事だろう。まぁ確かにアイツは可愛いし、高校生にしてはスタイルもかなりのもんだ。男なら何かの拍子に手を出してしまいたくなる可能性は否定しきれない。

 

 だけど……

 

 

「聖さん、それはアレですか。『私以外の女に手を出すんじゃないぞっ!』的なヤツですか? やきもちなんですか!?」

「な、なぜそうなるっ!? キミは馬鹿なのか!? そうか馬鹿なんだろう!」

「安心してください。俺の好みは年上の大人の女性ですから。そう! 聖さんのような……!」

 

 

 安心してください。手なんて出しませんとも。 俺はあんなお子様よりも、年上の女性の方が大好きなんだからな! 手を出すとすれば聖さんのような素敵なレディーだ!

 

 

「わ、分かったからあまり近づくな…! きゃっ!」

「っ! 危ない!」

 

 

 一歩後ろに下がった聖さんが足をもつれさせて後頭部から床に向かって落ちていく。俺は反射的に聖さんの頭と腰の辺りを下から支えて受け止める。まるで社交ダンスとかフィギュアスケートの男女混合でよく見る様なポーズだ。

 

 

「だ、大丈夫すか!」

「あ、あぁ……すまない、助かった。って! 早く離れろ! こんなとこ大槻に見られでもしたら!」

「ちょっ! この体勢でそんなに暴れんでくださいよ!」

「うわっ!」

「うぉ!」

 

 

 俺の腕の中でバタバタと暴れ回る聖さん。流石の俺もそんな体勢で暴れられちゃあ支えきれるハズもなく、俺たちはそのままドミノ倒しの様に2人まとめてレッスンルームの床に倒れこんだ。

 

 ってて……思いっきり床に膝打ちつけたぞ。こりゃ打ち身確定だな……って、聖さんは?

 

 

 

「………お、おい」

「あっ」

 

 

 俺は自分の下に視線を向けると、そこには床に仰向けに倒れた聖さんが真っ赤な顔をして俺を睨みつけていた。

 

 ……おいおい、これじゃまるで俺が押し倒したみたいじゃねーですか。

 

 

 

「ち、違いますよ聖さん! 流石の俺も無理やりこんなことしないですからね! 事故なんです!」

「わ、わかっている。キミが助けてくれたことくらいはな……わかっているから早く退いてくれないかーーー」

 

 

 

「うぇーい! 着替え完了〜〜☆」

 

 

「「あっ」」

 

「えっ?」

 

 

 

 俺がすぐに聖さんの上から退こうとしたまさにその瞬間、更衣室の扉が勢いよく開いて中からレッスン着姿の唯がポーズを決めながら戻ってきた。

 そしてジッと俺たちのことを見つめること約10秒。完全にドン引きしたような白い目を浮かべながら唯はようやく口を開いた。

 

 

 

「ゆ、唯……もうちょっと中にいた方がいい?」

「ち、違うぞ大槻! これはだな!」

「ご、ごゆっくりー……」

 

 

 

「弁明をさせてくれぇぇぇ!!! 私の話を聞けぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 唯がゆっくりと更衣室に引き返した次の瞬間、レッスンルームの中に聖さんの悲痛な叫び声が響いたのだった。

 

 

 

 

 

「おい、レッスンしろよ」

 

 

 それと同時に、いつの間にか様子を見に来ていた貴子さんのツッコミは、聖さんの叫び声に掻き消されて誰にも届くことはなかった。

 

 

 





(千川ちひろ:センカワチヒロ)

年齢:25歳
身長:154cm
体重:ひ・み・つ
3サイズ:82-58-84
出身:東京
好きなもの:貯金・アイドル
嫌いなもの:無駄遣い



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