孫悟天に憑依したので最強を目指す   作:なっき

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第八話

 

 

 

「全力の魔人ブウと戦いたい! だからエネルギーを与えようよ!」

 

 

 

 ダーブラとの戦闘後、今回の件の経緯を聞きそう提案したのだが、界王神様にキレられた。それはもうまさに神の怒りといった感じに……。

 なんとなく流れでいけるかと思ったが現実はそう甘くないらしい。

 ちなみにこれはZ戦士の皆様にも渋い顔をされた。セル戦の時に最終形態にさせてしまったベジータさんは特に。父さんだけは「おっ、流石オラの子だ!」と言ってくれた(その後ピッコロさんに引っ叩かれていたが)。

 

 ……くそ、こんなことならダーブラからもっとダメージを食らっておけばよかった。あっ、でもそもそも宇宙船の外だからエネルギーは吸収されないのか? ……いやでも戦っている時、ダメージを食らった瞬間に気を吸われてる感覚はあったな、ダメージをほとんど受けてないから本当に微々たる量だけど。バビディが何かしていたのだろうか?

 

 そんな風に戦いを振り返るが既に後の祭り。

 あれだけ魔人ブウと戦うつもりでいたのに、ダーブラと戦いたいあまりにこんなことになってしまった。最初はダーブラなんてウォーミングアップ程度のつもりでいたのに、全てが台無しだ。この状況になってしまっては、魔人ブウの玉にエネルギーが供給されることはもう無いだろう……。

 またドラゴンボールを集めて神龍に何とかしてもらおうかな……。

 

 そんなことを考えていると、界王神様が俺を含めた他の皆を注意深く観察していることに気付く。

 

「で? これからどうするんだ? 宇宙船の中に入り込んで攻めるのか? 時間の無駄だ、さっさと決めてくれ」

 

 中々動き出さない界王神様に苛立つベジータさんが問う。ベジータさんの問いに界王神様は逆に質問を投げかける。

 

「……一つ確認させてください。あなた達三人、悟空さん、ベジータさん、悟飯さんはそこのお二人、悟天さんとトランクスさんより強いと見てよいですか?」

 

 ……なんだその質問は?

 界王神様の意図が分からない。しかしその質問の答えは簡単だ。

 

「そりゃそうだよ! 兄ちゃん達は僕達とは比べ物にならないくらい強いよっ!」

「そうそう、まあいずれは抜いちゃうかもだけどね!」

 

 俺とトランクス君の答えに、三人は特に反論しなかったことから界王神様はこれをイエスと受け取ったようだ。界王神様は何やら決意を固めたようで、緊張した面持ちで自らの考えを述べていく。

 

「……当初、私は魔人ブウにエネルギーが供給される前にバビディを退治し、界王神界にて厳重に魔人ブウを管理するつもりでした。ですが、それは根本的な解決になっていない……。この先の遥か未来、ダーブラやバビディのような強大な力を持つ何者かが封印を解いてしまうかもしれないからです……」

 

 ……そもそもなんで魔人ブウなんて超ド級の爆弾を地球に放置してたんだよ、と突っ込むのは野暮だろうか? 確か魔人ブウが封印されたのは何百万年も前だったはず。色々と対策する時間はあったと思うが。

 いやきっと……きっと何か重要な事情があったに違いない! 

 よし、余計なことは考えずに話を聞こう。

 

「しかし、今この時代にはあなた達がいる。私も長い時間生きてきましたがあなた達のような強さを持つ人間は見たことがありません。まさに奇跡です。この先の未来、今のあなた方のような強さを持つ人間が現れる可能性は極めて低いでしょう。ですから、今しかないと確信しました……」

 

 

 

 魔人ブウを倒すのは。

 

 

 

「え! じゃあやっぱり魔人ブウにエネルギーを与えt」

「違いますっ!!」

 

 違うらしい。いや分かってたけど。だから睨まないで欲しい。

 力強く突っ込んだ界王神様は、コホンと咳ばらいをすると続ける。

 

「魔人ブウは圧倒的に強いです。当初はエネルギーが不十分な状態でも復活してしまえば太刀打ちできる者はおらずこの世は終わりだと思っていました。……しかし、エネルギーの供給がほとんど無い今この状況で復活した不完全な魔人ブウならここにいる全員で掛かれば倒せると考えました」

 

 ……なるほど。

 確かに界王神様の言っていることはもっともなことであり、未来の平和を考えるなら確実な方法だと思う。……まあ、そもそも完全復活したとしても倒せるとは思うが。そう言えば原作でも魔人ブウの完全復活を阻止する別のやり方もあったとか言ってた気がするけどこれのことなのか?

 

「なるほどなー、じゃあどうするんだ? これから宇宙船に乗り込んで魔人ブウを不完全な状態で復活させるのか?」

「……そうですね、まずは確実にバビディを始末します。そして魔人ブウの復活は……界王神星で行いましょう。魔人ブウとの戦いにこの地球が耐えられるか分からないですからね、それにこの星には多くの人がいますからね……」

 

 ……おお。なんか界王神様、凄いできる神様みたいに見えてきた。地球を守る為、自らが住まう星を戦いの舞台に提供する辺りもすごい神様っぽい。キビトさんは何やら騒いでいるようだが、界王神様はそれすらも冷静に宥めている。

 

 ……俺としては界王神様が何かやらかして魔人ブウが完全復活するほうがありがたいが。

 

 なんて罰当たりなことを考えながら宇宙船に乗り込むための準備を進める。

 

 ……まあ不完全な状態でも魔人ブウと戦える可能性があるならラッキーというものだ。

 

 

 

 

 

「それでは皆さん、準備はいいですね?」

 

 界王神様の問いに皆が黙って頷く形で応える。

 ちなみにクリリンさんは自分は役に立たなさそうだとして離脱した。例の如く、俺とトランクス君も帰るよう言われたが断固拒否した。

 

「……最後に一つ確認です。バビディは悪の心を持つ者を操ることができます。なるべく邪心を抱かないように。ダーブラもそれでバビディに操られていたのです」

 

 界王神様のこの忠告に父さんと兄さんが「……邪心」と同時に呟きながらチラリとベジータさんの方に視線を送る。

 

「……親子揃ってこっちを見るな。……ふんっ、心配するな。あんな野郎の術にはまるほど俺は落ちていない」

 

 二人の視線に気付いたベジータさんは怒ることも無く冷静にそう返している。父さんは「はっはっは、冗談だ、今のベジータなら大丈夫って分かってるさ!」と返しているが、兄ちゃんはちょっと本気っぽかったな……。

 

 ……しかし本当に変わったんだな、ベジータさん。

 破壊王子が見れなさそうなのはちょっと残念だけど。……まあ、もう必要ないんだろうな。

 

 そんなわけで俺達は宇宙船に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 ……誰もいないな。

 

 宇宙船に入り込んだのは良かったが、船内は静寂に包まれていた。人の気配が全くしなかった。ダーブラが倒されて逃げてしまったのだろうか。ヤコンとか見てみたかったので少し残念。

 

「……誰もいませんね」

「…………油断はしないでください」

 

 そう言う界王神様。誰もいないこの状況を不審に感じているようだ。確かにあまりに不自然な気はする。そもそも逃げ出すと言っても宇宙船は地下に埋まってるんだから不可能な気もするし。いやでも、バビディは魔術で場所を移動できるから可能か……。ということはバビディも逃げたのだろうか?

 しかしその予想は見事に裏切られる。

 

 

 

「…………し、死んでいる?」

 

 

 

 驚いた界王神様の言う通り、最下層にたどり着いたその先でバビディが死んでいるのが見つかった。まるで力を使い切ったかのようにその肉体は皺皺に萎んでいる。流石にバビディが死んでいることは予想外であり驚いた。

 バビディの死体の傍にはしっかりと魔人ブウが封じ込まれた玉があった。供給されているエネルギーを示す測定器を見るもやはりまだ一割も溜まっていなかった。

 界王神様がバビディの元まで行き詳しく調べるもやはり死んでいることは間違いないとのこと。

 

「……きっと、我々に殺されるくらいならと自殺を選んだのでしょう」

 

 キビトがそう言うも界王神様は納得していない。界王神様が怪しむのは当然だ。流石にこれは不審な点が多すぎる。

 誰もいない宇宙船。不自然な状態で死んでいるバビディ。残された魔人ブウの玉。

 

 ……絶対何かあるだろこれ。

 

「……ふん、関係ない。とっととこの玉を界王神星とやらに移動させてぶっ壊しちまえばいい。一瞬で終わる話だ。万が一魔人ブウが復活しても倒してしまえばいいだけだ」

 

 ベジータさんがそう言うも界王神様は顔を伏せ深く考えている。起こりうる最悪のパターンを考えているのだろう。やがて界王神様は顔を上げる。

 

「……ベジータさんの言う通り、バビディが何か企んでいたのだとしてもあなた方がいれば関係ないのかもしれません。……ですがやはり気になります。バビディが何の考えも無しに自殺するとは思えません。バビディは魔術に関しては天才的な才能を持っています。魔術という点では間違いなく宇宙一です。何を企んでいるのか予想できません。……そう言えば地球には魔術に詳しい方がいるのでしたっけ?」

「ん? ああ占いババのことか?」

「……ああそうです、その方に調べてもらいましょう。何も問題無ければ計画通りに進めればいい」

 

 界王神様、随分慎重だな。それだけ魔人ブウに対してトラウマがあるということなのだろう。そりゃ俺も怒られるわけだ。というか最初からこれくらい慎重だったら良かったのに。

 

「……あの、ドラゴンボールを使ってバビディの企みを調べるというのはどうでしょうか?」

「ドラゴンボール? それはなんですか?」

「なんでも願いを叶えてくれる不思議なボールがあるんです。7つのボールを揃えるといいんですよ」

「な、なんとそのようなものが……。そうですね、是非それを使いましょう」

 

 兄ちゃんの提案でドラゴンボールでの予防線も張る。……これだけ慎重にやられたらバビディが何か企んでいたとしても魔人ブウが完全復活する可能性はゼロだろう。

 ……まあいいか、その代わり父さん達に戦ってもらおう。

 

「では色々と調べたいので、決戦の時はおって連絡するようにします。その時はすみませんがご協力をお願いします。なるべく早くするつもりですが、最低でも数日はかけてじっくり調べるつもりです」

 

 界王神様のこの言葉に父さんが驚いたように反応する。

 

「……え、じゃあオラは参加できねえのか。現世にいられるのは一日だけだもんな……。魔人ブウってのにちょっと興味あったのになー」

「大丈夫ですよ、界王神星は肉体さえあれば死者も生者も拒みません」

「おっ、そうなんか! ならオラもいくぞ!」

 

 と言うわけで魔人ブウとの決戦はお預けとなってしまった。

 まさかこんなつまらない展開になるとは……。

 がっかりする俺だったが、この後のベジータさんの言葉で俺は一気に元気を取り戻す。

 

 

 

「……ようやく終わったか。……カカロット、色々邪魔が入ったがこれから俺と勝負してもらおうか? お前と戦えるこの日を楽しみにしていたんだ」

 

 

 

 ベジータさんは挑戦的な目で父さんを見つめる。 

 父さんはそんなベジータさんに対し、ワクワクしたような表情を浮かべる。

 

 

 

「ああ、勿論だ! オラも戦いたくてうずうずしてるんだ!」

 

 

 

 ……前言撤回! 神展開じゃないか!

 

 




感想ありがとうございます。
誤字報告もありがとうございます。
後、すみません第七話の冒頭、バビディのセリフ抜けてました。追加しときました。
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