「それで、念のために聞くけど本当に貴方達じゃないのよね?士郎。」
「そんなことするわけないだろ…俺にそんな度胸があるなら今頃生きちゃいないよ。」
「まあそうでしょうね。士郎がそんなことをする、もしくは容認する人間なら私達が今の関係に収まることも、貴方の家にあんなにたくさんの人が集まったりするわけもないか。」
「私は最初から信じていましたよ、士郎。」
「あら?一瞬「まさか士郎が!?」なーんて驚いてた人のいう言葉とは思えないわね。セイバー」
「凛!ち、違うのですよ士郎!ただ士郎も男の子ですからそういうものに興味を持ってもおかしくないかと…」
「セイバー…それを一般的に疑ってるって言うんだぞ… 」
つい先程の出来事がまるで嘘のように静かになったな…
僕達5人+セイバーさん、遠坂さんになった部屋を眺めてほっと一息つく。
あのあと二人の圧倒的威圧感?で女子軍団は僕達になにもすることなく立ち去った。
今は縄とか手錠をほどいてもらってようやく自由になったんだけれど…
「どうかしたのですか、明久?浮かない顔をしていますが。」
「いや…なんで姫路さんと美波は僕の話すら聞いてくれなかったのかなって…」
美波は1年の頃から、姫路さんは本格的に関わるようになったのは2年になってからか。色々な意味で少しは距離が詰まっているものだと思っていた。
けどさっきのあの反応。 そんなものは全て僕の勘違いだったのかも知れないと突きつけられた気分だ。
「放っておけば良いのよ。あの子達は甘えてるだけだから。全く…翔子もそんな感じだし困ったものねほんとに。」
「甘えてる…?」
「そこについては貴方が知る必要はないわ。」
姫路さんや美波が甘えてる…何だろう…すごく気になる。
けどそれ以上に気になるのは。
「ところで遠坂、お前もう猫被るのやめたのか?さっきので完全に知れわたったぞ。お前の本性。」
「あーもう良いわよ。よくよく考えて見れば綾子や柳洞君とかと接してる内に素が出ちゃいそうだし。なにより上品ぶってああいう虫酸の走るシーンをやり過ごすなんて私のプライドが許さないのよ。だからもう良いかなって。」
「全く、相変わらず勇ましいというかさっぱりしてるというか。」
「「「「(やっぱり猫被ってたのか…!)」」」」
僕らの心は今1つになったと思う。
どーんと部屋のど真ん中に鎮座する遠坂さんは自由に羽を伸ばしきっていて今まで押し込めてきた分を発散しているように見えた。
もう完全に別人、今まで見てきた優等生、遠坂凛とはなんだったのか。というレベルだ。
この素を見せている遠坂さんはそれはそれで良いと思うけど。なんだかとても堂々としてるし。
「…それにちょっとは限界を感じはじめてはいたのよ?この学校の方針がそうなのか試召戦争を初めとして競争意識がバチバチしてるし、ほらっ私勝負と大好きでしょ?なかなか抑えるのもしんどかったのよ~」
アハハ~と笑う遠坂さん、この笑顔が本当の遠坂さんの笑顔なのだろう。
うん…悪くない。
「まあ今は私のことは良いのよ、その内皆慣れてくるだろうから。それよりも問題は貴方達のことよ。こんな言いがかりをつけてくる相手に心当たりは?」
「うーん…あんまり…ムッツリーニがいるから疑われるのは分かるんだけどわざわざ嵌めようとしてくるような人はおもいつかないかな…」
「同感だな。」
「なぜかワシは被害者扱いされたのじゃが…」
「…不本意極まりない。」
真剣な表情に戻った遠坂さんが皆に向けて訪ねるが答えは芳しくない。
それにしてもムッツリーニの否定は本当にいつみても今更だ。
「…」
「どうしたの?衛宮君」
皆それぞれ心当たりがない、という結論に達したはずが衛宮君だけじーっと何か考え込んでいる。これはもしや…何かあるのか?
「衛宮、今はどんな些細なことでも良いから情報が欲しい。別にこれからの方針を決めた訳じゃないがなにもせずに放っておく、なんて選択肢はないからな。 このままじゃ訳のわからん汚名を着せられて今後の学生生活を送ることになっちまう。」
雄二もそれに気づいたのか衛宮君を促す。
その通りだ。ただでさえ「学年最強のバカ」「女装趣味の変態」など様々な足枷を負っているのにこれ以上増やすのは本当に致命的になりかねない。
なんとかしないと…
「それはそうなんだが…」
躊躇った後に観念したように衛宮君が話はじめる。
「これが直接関係あるとは思えないが近頃変わったことと言えばこれしかない。土屋に相談しようと思っていたこともこれなんだが…昨日家に俺と明久のホ○ホ○しい写真が送られてきて…これだ。」
カバンをがさごそとして1枚の写真を取り出す。
皆の目の前に晒されたのは僕の元に届いたのと全く同じ写真。
「うわ…なにこれ気色悪い。ライダーとイリヤが言ってたのはこれのことね。そりゃ士郎のこと不潔とかなんとか言うわけだわ。」
遠坂さんはゴミを見るような目
「士郎…私は貴方には普通の道を歩んでほしかった。」
セイバーさんは…息子がヤンキーに育ってしまい悲しそうな顔をしてるお母さんの目
「ちょっと待て!これ明らかに脚色されてるのわかるだろ!?それにこれはそんな場面じゃない!!」
そんな女性陣の冷めた目線に必死に抗議する衛宮君。
どうしよう…同じ写真を持ってるなんて言いづらい。
「それに加えてこんな手紙までついてきててしかも俺宛じゃなかったんだ…いたずらだろうとは思うけど気持ち悪いから土屋にこれの差出人を見つけてもらって話をしようと思ったんだ。ほらっ」
現実逃避で何度もグシャグシャにしたのかボロボロの手紙をムッツリーニに渡す。
「…なになに…衛星宮に近づくな、彼にはアキちゃんって大事な人が…オエッ」
後ろを向いて盛大に催した。
「大丈夫ですか土屋!」
「…すまない。ちょっと吐き気が…」
「ワシがトイレまで連れていこう。ムッツリーニ、歩けるかの?」
「…大丈夫」
足元がふらついているムッツリーニを秀吉が肩を貸して連れていく。
一体どんな文が書かれていたのか考えたくもない…既に怪しい単語が散見されて頭が拒否反応を起こしているのが正直なところだけど。
「だからなるべく見せたくなかったん「いや」…坂本?」
衛宮君が頭を抱えるが雄二がその言葉を遮る。
その表情はなにか覚悟を決めたような表情。
「もしかすると衛宮のこの決死の告白は意外と核心をついているかもしれない。俺もムッツリーニに相談があるっていっただろ?それなんだが…」
雄二も自分のカバンまで歩いていってそのなかを漁ると1枚の写真を取り出しそれを僕らの真ん中に置く。
その写真は…!
「衛宮と同じ。俺にもなぜか明久との見たくもない汚らわしいように脚色された写真が送られてきた。丁寧に手紙つきで。何故か宛先は翔子になっててそのお陰で昨日今日ともう精神の限界だった。」
「うわ…これまた強烈ね…」
「手紙のほうは…坂本君に近づくな、彼にはアキちゃんという守るべき相手がいて…ウッ…すいません、少し席を外します。」
これまた同じ写真を持ってるなんて言いづらいにも程がある。
KOされたセイバーさんを見送りながら僕の全身は真っ青に違いない。
「…偶然じゃ無さそうね…いくらなんでもこんなことが同時に起こるわけないもの。何事も断定するのはしっかりと分析、判断がいるけどこれはもう真っ黒って言えるわ。」
「ああ、そうみたいだな。今回の覗き騒動との関連はまだ不透明だがどう考えても不自然すぎる。何かしらの繋がりがあると見ても問題ないだろ。」
「けどこれじゃあ手がかりが少なすぎる。もっと情報がないと…」
僕以外の3人が着々と議論を進めていく。
僕だけ完全に蚊帳の外、いや、もうその方が良いような気すらしてきた。
「そう言えば明久。」
「な、何かな!?」
しかしそんな希望は雄二の一言で無惨にも一瞬で消え去ることになる。
「お前も何かムッツリーニに相談があるって言ってたよな?話せ、一字一句間違いなく正直にだ。」
そうなるよね。
「ええっと!それは次のムッツリ商会の納会の話を…!」
「嘘をつくな。商会の話は今回全て須川に一任されている。他の奴は当日まで口出ししないのがルールのはずだ。」
「ムッツリ商会…?」
「…それは!」
…ダメだ!今のテンパってる僕の頭じゃ雄二を誤魔化せる言い訳なんて思い付かない…!
「(スッ)吉井君。」
「な、なにかな遠坂さん…(フォンッ、ドタ!)痛っ!ってえええ!?」
「吉井君、私まどろっこしい男の子って嫌いなの。正直に話した方が建設的だと思いますけど?」
正に一瞬。いつの間にか僕は素敵な笑顔の遠坂さんにマウント取られていましたとさ。
「その、なんだ…」
「うーん…流石に私も同情するかも…」
「明久…辛かったんだな…」
「見ないで!そんなに優しい目をして僕を見ないで!!」
いっそのこと殺してください。
今床に並べられているもの
僕のメイドパンチラ写真
僕のメイド写真(下はトランクスのみ、スカートはなし)
僕と雄二のホ○ホ○しい写真
僕と衛宮君のホ○ホ○しい写真
「貴方の秘密を握っています、これ以上近くの異性に…」の手紙
「アキちゃんの本命は…」の手紙
「「「一人だけ量多すぎだろ(よね)」」」
僕もそう思う。
「吉井君だけメイド写真があるのは今は置いておくとして…士郎と坂本君に送られてきた写真と全く同じのが送られてきてるってことはどうやらこれは同一犯のようね。それもかなり頭のおかしい。あの手紙もよく見てみれば脅迫文よ、あれ。」
「そうだな。やっぱりこれおかしいだろ絶対。」
「一体誰がこんなことを…」
「メイド写真も僕にとっては重大な問題なんだけど…」
遠坂さんが冷静に分析するが恐らくそれで合っていると僕もそう思う。
今回の一連の騒動、不自然なんてもんじゃない。
大袈裟に言えば3人が同じ写真をネタに脅迫されたのだ。
誰か僕らに強い恨みを持っていて、その上更に妄想の男色ネタで脅迫なんてことを考える頭の吹っ飛び具合と、更にそれを実行に写してしまう大胆な行動力。こんな人、頭がおかしい以上に相応しい表現はない。
「しかしこれだけ頭がとんでるやつとなると目星が付きそうなもんなんだけどなあ」
「本当に心当たりないの?今この情報を元にして」
「転校してきて大体一月たったけどそんなやつは…」
「流石にBLの知り合いは…」
そんな人例え知ってたとしても友達になりたくないし関わりたくもない。
「…待たせた。」
「ただいま戻りました…」
「ムッツリーニ!セイバーさん!もう大丈夫なの!?」
「…問題ない。」
「限界まで吐いておったからのう。もう出すものもないじゃろ。」
「私もです…」
また話がどん詰まりになりそうになったところで先程呪いの手紙(BL妄想全開)によって戦闘不能に陥っていたムッツリーニが介抱に付き添っていた秀吉、としてセイバーさんが一緒に戻ってきた。
二人の顔は心なしか白い。
「…この写真は…、…!」
「どうしたのムッツリーニ!?」
「…少し黙っていろ…!」
まだちょっとふらついていたように見えたムッツリーニだが床に並べられた写真を見るなりいきなり目を鋭くして観察しはじめた。
あれ。まさかムッツリーニが犯人なんてことないよね?
「…明久、失礼にも程がある…それよりも重要なことがわかった。」
「本当に!?」
心を読まれたこともそうだけど今はそれよりも重要なこととやらのほうが気になる。
「…これを見ろ(ペラッ)」
「ん?これは…?」
写真(in女湯)
「む、ムッツリーニ?」
「土屋君?向こうでお話があるのですが…」
「ええ、私も。女の敵はここで排除しなければ。」
あ、やばい。セイバーさんと遠坂さんからさっき以上の威圧感が出てる。
「(ブンブン)…違う!…これはさっきの集団が証拠として持ってきたもの…!」
身の危険を感じながらムッツリーニが全力で弁明している。多分それは真実だ。何故なら…
「待って!セイバーさん、遠坂さん!ムッツリーニならこんな適当な角度で取ったりしないよ!もっと綺麗に、魂の籠った写真をとる!だからムッツリーニの言ってることは本当だ!」
「(ブンブン)…!」
「その擁護の仕方もどうかと思うのですが…」
この写真には、決定的に誇りが欠けている…!
「はあ…やっぱりバカ…まあ良いわ、それで土屋君?重要なことって一体何なのかしら?」
遠坂さんが疲れた顔をしながらムッツリーニに問いかける。
「…この写真とその明久のメイド写真とBL写真…全て同じカメラで取られている…!」
「それってどういう…?」
周りを見ると僕以外は全員驚いた表情を浮かべている。
一体どういうことなんだろう?
「まだわからないか明久?」
そんな様子にいつもように雄二が呆れたようにため息をつく。
「要するにだな、この脅迫事件は勿論のこと、更に俺たちを覗きの犯人に仕立て上げたやつも、全部同一犯ってことだよ!」
どうもです!
明久の心に消えない傷跡を残しながらも3人の悪夢と今回の事件が遂に繋がりましたね。 大人しくしていた雄二ですが放っておく気はないと宣言していますし果たしてここからどう動く…?
次回、遂に反撃開始!?こうご期待!……なんですがこの合宿編が長引きそうなので次回かその次にちょっと短編挟もうかなと。理由は完全オリジナルのほうが書きやすくノるからです。
という訳で今回もまたこのFateキャラとのバカテスメンバーの絡みが見たい!とか希望募集します! 提案があれば何れかしら採用すると思います!ちなみに~僕と雄二と迷える子羊~もカレンが見たいというとある読者さんの提案によるものです。多分明日にはかきはじめるのでリミットは今日~あしたの朝くらいですかね~多くの意見お待ちしております。
それではまた!感想、評価、お気に入り登録じゃんじゃんお待ちしております!