バカと運命と召喚獣   作:faker00

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第六問 撃墜とある変化

「E,Fクラスは僕に続いて食堂を突っ切る正面のルート!C,Dクラスはエレベーターから回るルートで!どちらも女子が待ちかまえていると思うけど各自突破!地下1階の理想郷で会おう!」

 

『『『『『おう!』』』』』

 

部隊を2つに分けて僕と離れる方はDクラス代表の平賀君に任せて食堂へと続く階段を駆け降りる。

 

【良いか明久?まずはどこを引き入れるか、だ。最初に同意するやつが現れれば後は俺も俺もとついてくる。そんなもんだ。だが逆に最初が出てこず渋り後も続かない、という訳でまずはなんとしてもDクラスを落とせ。】

 

【D?運動部が多くて男子比率が高くて飢えてそうなEの方が良いと思うけど…?】

 

【さすがにそれだけじゃ表向きだけでも犯罪行為スレスレの行為に手を染めはしない。そんなのはFクラスだけだ。とにかくやってみろ、上手くいくとしたらそこしかない。】

 

【…分かった。】

 

どこからそんな情報を仕入れたのかは知らないけど、雄二の言った通り男女のパワーバランスが悪く険悪なムードが漂っていたDクラスは簡単に乗ってきた。

この最初の一歩がこの作戦を実行に移す肝だったみたいだけど計画通り進んでよかった。

 

 

目指す女子浴場はこの文月ホテルの地下1階にある。

男子の宿泊スペースは3階、女子は2階、教師は1階、にあるから文字通り全てを薙ぎ倒さなければならない。

すぐに目的の犯人が見つかれば良いのだけどそう簡単に行くとは思えないし。

 

 

『吉井!見えたぞ!食堂だ!!』

 

「みんな!召喚準備を!ここからは一人一人の戦いになる!…健闘を!」

 

『…おう!』

 

「ムッツリーニ、準備は良い? 」

 

「…任せろ…あと明久、これを…」

 

「…なにこれ?」

 

「…トランシーバー…向こうの衛宮が限界になったら連絡が来るはず。そうなったら俺と明久だけでも移動する。」

 

「いくらムッツリーニでも分身は出来ないもんね…了解!」

 

首にカメラを数え切れないほどぶら下げているムッツリーニが僕に小型のトランシーバーを手渡す。

結局のところこの勝負はムッツリーニが犯人の撮影に成功出きるかどうかが全てだ。 だからある程度のタイミングで分かれた片側の方にも行かなければならない。

だけど同時に教師によってカメラが没収されかねないムッツリーニの戦死だけはどうしても避ける必要がある。

そのためのトランシーバーなのだろう。

 

 

 

 

 

 

『来たわね!この変態ども!!返り討ちにしてやるわ!』

 

『服を着たやつには興味はない!!!そこをどけえ!!!』

 

「…幸運を…」

 

「そっちもね!じゃあまた後で」

 

「(コクッ)」

 

一番最初に飛び込んだFクラスの精鋭(倫理的にはクズ)はもう戦闘を開始したらしい。

こうなるとムッツリーニともしばらくお別れだ。彼は撮影、僕はあえて目立つことで戦場を陽動し広げるという大事な役割がある。

ここからは限界ギリギリの勝負だ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっ!皆吉井よ!囲んで!こいつを倒せば全てが終わるわ!』

 

『『了解!』』

 

「こい!覗き魔の本気舐めるなよ!」

 

『『『試獣召喚!』』』

 

「試獣召喚!」

 

【世界史 Eクラス浅村唯&Eクラス中田桐子&Cクラス中村零 75点&83点&126点】

 

【世界史 Fクラス 吉井明久 98点】

 

 

『…!学年最悪のバカにしてはやるわね!』

 

『それでも大したことないわ!』

 

『一気にいくわよ!』

 

いつもの幾何学模様とともにデフォルメされた召喚獣が足元から現れその点数が表示される。

世界史はセイバーさんに地道に中世ヨーロッパの辺りを教えてもらっていたおかげで、Eクラスくらいなら十分にどうにかできる点数がとれている。

少しCクラスの中村さんが点数が高めだがこの程度の差ならなんとかなるはずだ。

 

「そう上手くいくかな?今日の僕は一味違うところを見せてあげるよ。」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

Side by 雄二

 

【坂本!Eクラス交戦開始だ!】

 

【Fクラスの連中が押され始めてるぞ!】

 

【ああ分かった!分かったから大声を出すな!整理が追い付かん。】

 

明久達が飛び込んでだいたい15分頃か。色々なところに送り込んでいた伝令から本部となっている俺達の部屋に戦況の変化がひっきりなしに入ってくる。

今のところ想定外の事態、ということは起こっていないが…

 

【ちょっと苦しいわね…現状五分五分だけど、この先進むことを考えると消耗が激しいわ。】

 

【…その通りだな。まあ今回は別に倒す必要はない。ムッツリーニが写真を撮ることが出来ればそれでOKだ。それを考えるとまだまだ挽回可能だとは思うが…】

 

遠坂の判断力には頭が下がる。

まとめた資料を一瞥しただけで今後の展開を読みやがった。

ポジティブな返答をしたが実際は遠坂の言う通り、若干だが苦しい。

まあ相手が学年全体でこちらはせいぜい3分の2だ。これは致し方ないと言える。

 

【坂本…私達も出た方が良いのでは?世界史のフィールドが展開されている食堂のフィールド、あそこなら私と凛の二人で突破まではいかなくとも大穴を開けるくらいはできると思うのですが。】

 

【いいや、ダメだセイバー。お前と遠坂は今回の問題には関わっていない、その体を貫いてもらう。それがこんなバカみたいなやり方をその後自分がどうなるかも分かったうえで呑んだ明久の意志だ。】

 

【…それはそうなのですが…】

 

俺も自分の立場から考えると涙が出るほど嬉しいセイバーの申し出だが、それを受け入れる訳にはいかない。

 

後方支援という形でも直接介入してしまえば二人ともなんらかの処分は免れない。そうなってしまえば意味がないんだ。そう言って俺が出した端から見れば不可能にも見える条件を達成するために奔走した明久の意思は尊重すると今回は決めた。

 

だから二人にはここで大人しくしてもらわなければならない。

それが分かっているからセイバーも引き下がったんだと思う。

 

【けどあまり長引くとジリ貧になるのは目に見えてるわよ?何か手を打たないと吉井君も無駄死になると思うけど。】

 

【ムッツリーニがどれだけやれるかに掛かってる。いくらあいつでも同時に8つもカメラを操るなんてそうそうしないからな。それにだ。一応だが手は打ってある。地下一階に、だけどな。】

 

【…ふうーん。ならそれを信じるしかないわね。さ、こっちに来なさいセイバー。私達にはなにもできないんだから大人しくテレビでも見てましょう。そわそわしてるよりもそっちの方がよっぽど坂本達のためなんだから。】

 

 

そもそも地下までたどり着けるかが一番の問題だがそこはもう信じるしかない。

後を知るのは天のみだ。

 

 

【坂本!伝令だ!エレベーター組が挟まれた!衛宮があれを使って応戦してる!】

 

【…!分かった!】

 

なんて事を考えると不安な要素ばかりが出てくる。

舌打ちしながらトランシーバーを取り出す。衛宮が使うということはそっちの部隊はかなり苦しい状況であることは容易に想像できることだ…間に合うか…!

ノイズが響くがボタンの色は通信中のそれに切り替わらない。 くそ…早く出やがれバカ野郎…!

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

『てやああ!!』

 

「…こんの!」

 

『ちょこまかと…あんたたちは!』

 

『吉井早く行け!』

 

『お前が理想への希望だ!』

 

「…!みんな!ありがとう!」

 

 

囲まれるもFクラスのみんなのサポートで何とか抜け出す。

それなりにあったとはいえ多勢に無勢の陽動を何度も繰り返した結果僕の残り点数はかなり際どいところまできている。

 

このままだと粘りきれない…!

 

食堂を抜け廊下を急ぐ、もう少し行けば階段がありそこを下れば別動隊との合流ポイントだ。

ムッツリーニが終わらせるまではそこにはいけないけど。

 

【…明久!聞こえるか!】

 

「…!雄二!?けどどこに…ってこれか。」

 

その時トランシーバーから雄二の声が聞こえてきた。

いつの間にスイッチが入ったのか分からないがこれは助かる。

 

「なに!?いま忙しいんだけど!」

 

【んなもん分かってる!…そろそろ別動隊が苦しい!いけるか?】

 

「…!」

 

僕らと分かれた片側がピンチ、もしも壊滅なんてことになれば僕らは地下一階にたどり着くことなくこの戦いは終了するだろう。

そうなってしまえば全てが無意味になる…!

 

「ムッツリーニ!聞こえる?!後どれくらいかかりそう!?」

 

チャンネルを捻りムッツリーニへのコンタクトを試みる。

頼むから出てくれ…!

 

 

【…こちら土屋…全員撮影完了。…今からそちらへ向かう。】

 

「了解!」

 

願いが叶ったか、ムッツリーニはその数十秒後には人混みの中からまさに忍者のごとく現れた。

 

「…待たせた。」

 

「大丈夫!とにかく急ごう!」

 

ムッツリーニ、そして上手く抜け出た友軍と廊下をかける。

これでも足には自信がある。絶対に間に合わせる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「衛宮君!」

 

「…!明久と土屋か!助かる!」

 

合流ポイントの1階エレベーター前は混戦になっていた。

出た瞬間を待ち構えられたということか、かなり苦しい状況になっている。

 

衛宮君は大量の女子に囲まれながらもいつものアイアスを展開して残っている戦力をまとめ上げて踏ん張っていた。

 

 

「みんな!あそこの塊を一点集中で穴を開けて!なるべく多く助けないと!」

 

『おっしゃあ!!』

 

『待ってろお前ら!』

 

 

運動部が多く熱い人間が多いEクラス、目的のためなら表も裏もやりきるFクラス。

こういう時とても頼りになる。

 

 

「ムッツリーニ」

 

「…さっきより随分少ない…5分で終わらせる」

 

 

となると5分粘れば良いということか。

やはり首謀者の僕は大人気なのかすぐに女子が群がってくる。

こんな場面じゃなきゃ喜ぶところなのかも知れないけどいまは別だ!

 

ここがなんの科目かは知らないけど5分ならどうにでもなる。

僕は気合いを入れて踏ん張り再び召喚獣を呼び出した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

「いやあ…そりゃあこうなるよね…」

 

「ま、Aクラスの連中が多かったら今頃壊滅してるよな。」

 

「ムッツリーニ?D,Eクラスの人の写真は取り終わってるとかない?」

 

「…残念だが後7人いる。」

 

「そりゃやるしかないよね…」

 

「覚悟を決めるか。」

 

 

決死の思いで地下一階にたどり着いた僕ら。

こちらののこりはおよそ15名やそこらと言ったところだろうか。

 

しかしそんな僕らを待ち受けていたのはAクラスの多数を擁する女子主力部隊だった。

 

 

「吉井君、覚悟は出来てますよね…?」

 

「あんたってやつは!」

 

「吉井…俺はお前のことは馬鹿でも少なくとも真っ直ぐなやつだと評価していたんだがな。」

 

 

ハッハッハ…姫路さんに美波に鉄人というスリートップか…目から汗が溢れそうだ。

 

 

「美波…姫路さん…いや、今回ばかりは仕方ないか。なにせ僕は覗きの首謀者なんだからね。」

 

「そうよ!あんたなんて一度ギッタギタにしてやらなきゃ…!」

 

「そうです!美波ちゃんの言う通りです!吉井君は…!吉井君…?」

 

 

何でかな?何故か姫路さんの言葉が詰まる。さっきまで僕の事を敵としてしか認識していなかったその目は泳ぎ、なんだか…困って迷っているように落ち着きが無くなってきた。

 

「(吉井君は確かにエッチなところもありますし、すぐに色んな女の子に目が行っちゃうこともあります…今回も覗きを先導するなんて酷いこと…だからお仕置きしないと…けど吉井君のあの目は…)」

 

「瑞希?何をぶつぶつ言ってるの?」

 

「い、いえ!?なんでもないです!試獣召喚!」

 

「試獣召喚!」

 

「試獣召喚」

 

 

【保険体育 教師西村宗一&Fクラス姫路瑞希&Fクラス島田美波 686点&356点&65点】

 

 

もうダメだ…通算得点1000オーバーなんて一体どうすれば… 保健体育?

 

「まだ…諦めるわけにはいかないんだ!!」

 

「ほう、この点数差でも向かってくる勇気だけは認めるべきなのかもしれんな…それを何故勉強に向けられんのだ…」

 

鉄人が頭を抱えているが僕にはほんの少しだけど希望の光が見えている。保健体育ならムッツリーニがいる!僅かでも時間を作れればもしや…!

 

 

「…加速」

 

『え!?』

 

僕の予想通り隣で出来ていた女子のバリケードからムッツリーニが400点以上のみが使える…今はリスクありで180か。…特殊能力を使って一気に飛び出る。これならいけるかもしれない!

 

「むっ!待て土屋!」

 

「行かせませんよ鉄人!」

 

ムッツリーニを追おうとした鉄人の前に立つ。

いくらムッツリーニが凄いと言っても鉄人は苦しい。少しでも時間を稼がないと…!

 

 

「…吉井!良い度胸だ!俺の鉄拳教育を受けるが良い!」

 

鉄人の召喚獣が目にも止まらぬスピードで僕の召喚獣を殴り飛ばす。

この重いの!腹から…フィードバックか…!

 

「…!しまった!やりすぎたか…!」

 

「吉井君!」

 

「ほっときなさい。このバカにはこれくらいがちょうど良いのよ。」

 

 

消え行く意識の中僕は確かに見た。

 

『くっそ!!』

 

囲まれながら必死に粘る衛宮君

 

『ごめんね!ムッツリーニ君…!今は負けるわけにはいかないの!』

 

『…工藤愛子…!』

 

僕らの希望を一心に背負ったムッツリーニが敗北する姿

 

『あー…戦死者は…』

 

『それなんですが西村先生、彼らのことは私に任せてもらえませんか?学年主任の高橋先生に許可をもらっています。特に吉井君は早く保健室に運ばないと…』

 

『本来なら例外は認められないが…今回は俺の落ち度だ。任せたぞ木下』

 

『ありがとうございます…吉井君?大丈夫?』

 

ゆっくりと歩いてくる木下さんの姿を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうもです!

シリアスパートが苦手ということに気付いた作者です。はやく日常回に戻りたい…
鉄人の教育的指導で見事散った明久。

そして珍しく愛子に敗退するムッツリーニ。

一体どうなってるんですかねえ。

予告しておきますと合宿編はあと1話か2話で終了します。
あと更新がちょろっと遅くなるかと。部活が…

評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃん待ってます!
投票こいやあ(>_<)

それではまた!
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