バカと運命と召喚獣   作:faker00

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第七問 二つの真実

真っ暗な闇の中。普通意識を失うと次に起きるまでは何もわからないし、何も感じない、まさしく「無」の状態になるはずなのにどうやら鉄人の教育的指導(全力パンチ)はそれすら許してくれないようだ。

 

僕、吉井明久は一人だった。

 

 

 

 

ここがどこなのかは分からない。けど僕が今までいた世界とは別なのは分かる。

気絶しているのは確かなんだけど… なんどか姫路さんの料理で飛ばされた三途の川ともまた別のようだし。

 

「まいったなあ…まさか鉄人のパンチが意識を異世界に跳ばすほど強烈だなんて。」

 

トライアスロンをやると誰でもああなるのだろうか。

もしもそうならトライアスロンの世界チャンピオンはどこまで強いんだろう。

 

「…ってこんなこと考えてもつまらないよ!さっさと戻る方法を考えないと!」

 

何故か頭を覆うトライアスロンという言葉を振り切る。

早く帰らないと。最終的にどうなったのかは分からないけど急ぐ必要がある。

 

 

「けど…こんな真っ暗闇じゃどっちへ行けば良いのか…【ーー久!】なに!?」

 

どこかから…僕を呼ぶ声が聞こえた気がする!

 

「ええとあっちか…!【明久!】やっぱり僕のことを呼んでる!急がなきゃ!」

 

 

声が聞こえる方へと走る。 ひたすら、ただ一心に。

そうして声が頭をガンガンさせるほど大きく響くようになった頃。

 

「(スポッ)え?」

 

ええと…状況を整理しよう。視界は0、走ってた、突然右足の踏み場がなくなり左足もコンマ数秒で同じ状況に。ここから導かれる答えは…落ちた。

 

 

「ちょっ!?なんでこんなところに落とし穴~!?」

 

果てしなく深い闇。僕、吉井明久は一人で落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「落とし穴~!?」

 

「起きろ明久!!!(バチン!)」

 

「グヘッ!?カハッカハッ…なにするんだバカ雄二!…あれ?」

 

「やっと起きたか。」

 

「…無事帰還」

 

「寝言通り本当に異世界に行ってたならね。」

 

 

気が付くと僕は部屋の布団に寝かされていた。

 

 

「あれ!?一体どうなってるの…覗きは!?鉄人は!?」

 

「落ち着け明久。ちょっと想定外もあってな。俺からも説明するがまずはこいつの話を聞け。」

 

「こいつ…?」

 

正直何がなんだか分からないけどここは聞くしかないみたいだ。

とにかくパニックになる頭を落ち着かせて雄二の指差す方向を…ってあれは?

 

 

「木下…さん?」

 

女子の制服に身を包んだ秀吉の双子の姉、木下優子さんがいた。

 

 

「…明久、お主もワシが分からんか…」

 

「えっ…?」

 

おかしいな…木下さんは僕の事を普段吉井君、って名字で呼んでるはず…それに一人称がワシってそんなお爺ちゃんみたいな…ワシだって!?

 

「そ、そんな…まさか…」

 

ごくりと唾を飲み込む。 いくらなんでもそんなことは…

 

 

「ひ、秀吉?」

 

「(コクッ)」

 

顔を真っ赤にして頷くどこからどうみても学園の誇る美少女パーフェクト・ガール、木下優子さんと思われたその人物は僕らのアイドルこと木下秀吉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局凛、セイバー含め誰も気付いてくれなかったのじゃ…」

 

「ご、ごめんなさい秀吉君…あまりにもその制服がしっくりきてたから…」

 

「申し訳ない…木下のその姿は女性としか思えない艶やかさと華やかさを兼ね備えていたので…」

 

「全然嬉しくないのじゃ…」

 

隅っこで拗ねてしまった秀吉をセイバーさんと遠坂さんが二人で慰めている。

無理もない。僕らのなかじゃ秀吉が美少女なのは常識の中の常識だけど、それでも男の制服を着る秀吉を気遣ってかこの二人、そして衛宮君は秀吉を男として扱い接していた。

 

秀吉にとって数少ない心の支えが折れたのは言うまでもない。…それにしても体育座りでいじける秀吉可愛い。

 

 

「あー…申し訳ないんだが頼む秀吉、そろそろ説明してくれ。俺だって全部を掴みきれてる訳じゃないんだ、なるべく詳細な情報が欲しい。」

 

「…分かったのじゃ。」

 

 

雄二がポイッと秀吉の男子用制服を投げ渡し、秀吉は着替えるためか物陰に引っ込んでしまった。

ああ…勿体ない…

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは説明を…明久?なぜ泣いておるのじゃ?」

 

「(グスッ)なんでも…ない!」

 

今の秀吉も可愛い。それで良いじゃないか!

男子用制服の秀吉だって魅力に溢れている。それだけは忘れちゃいけないと思うんだ。

 

 

 

「それでは続けるぞい。ワシは雄二の指示で姉上と入れ替わり女子軍に紛れ込んでおったのじゃ。」

 

「マジで!?」

 

「うるさい明久。少し黙れ。」

 

 

姿が見えないとは思っていたけどそんなことをしてたのか…

 

「そしてここからはワシしか知らんことなのじゃが…」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

Side by 秀吉

 

 

「吉井が動き出したらしいわよ!」

 

「あの変態…!見付けたらただじゃすまさないんだから!」

 

「木下さんと工藤さんも頼むわよ!」

 

「へ?あ、ええ。勿論よ。」

 

「まっかせといて~♪」

 

居づらい…居づら過ぎるのじゃ!この空間!

というよりもなぜバレぬ!? 雄二が「バレたら全責任を俺に押し付けて逃げて来て良い」と言うから来たというのに、かれこれ30分バレる気配すらないぞい!?

…どうすれば男らしさを身に付けられるのじゃろうか

 

「どうしたの優子?元気なくない?」

 

「そんなことないわよ愛子。私はいつも通り。」

 

「ふう~ん。そっか!けど相変わらず吉井君達は面白いことやってるよね~僕、正直楽しみだよ。」

 

 

隣にいるAクラス工藤愛子が話しかけてくる。

姉上は人を寄せ付けないオーラがあるからあまり積極的に話しかけてくる相手はそういないのじゃがやはり霧島とこの人は違うのう…意外と鋭いところがあるから用心してかからんと…

 

「そんなことないわよ。ほんとになにやってるんだか…もしもあの愚弟が絡んでたらどうしてやろうかしら。」

 

「アハハ!可哀想に…弟君は巻き込まれる側の人間だと思うけど?」

 

「関係ないわ。それならキッパリと断れば良いの。秀吉のやることで私の評判まで下がるから嫌なのよ…」

 

自分を扱き下ろすのはあまり気分が良いものではないのう…

 

 

「そっかそっか。流石は優子…って君達!ここは僕と優子の分担だよ!」

 

工藤が廊下を抜けようとした女子生徒二人に声をかける。

ここはワシ…姉上と工藤の守備範囲になっている。この二人の点数だと他の人は大抵邪魔になってしまうので明久達が侵攻を開始してからは誰もここにはこなかったのじゃが…

 

「あっ!ごめんなさい!汗を掻いたからお風呂に入ろうと思って…」

 

「あのね、今覗き魔がきてるの分かってるの?」

 

「分かっていますよ~けど貴女達二人なら大丈夫でしょうし、後ろには霧島さんと大島先生が控えているじゃないですか…それでは!」

 

 

そう言うと止める間もなく二人は走り去って行った。

 

 

「愛子…あの二人は?」

 

「Dクラスの清水美春と玉野美紀かな…あの二人、吉井君や坂本君とは別のベクトルで問題児だからボクもあんまり好きじゃないんだ。」

 

 

そう言う工藤の表情は微妙なものだった。

いつも明るく誰にでもフレンドリーな彼女にしては珍しい。

 

 

「へえ…まあ良いわ。あの二人の言う通り私達が負けるはずがないんだから。」

 

気になることは気になるのじゃが今は姉上の演技が最優先じゃからのう。ワシは姉上の自信満々な態度をつくって見せた。

 

「…」

 

 

 

『ロー…アイアス!』

 

『行くぞ皆!』

 

 

そこから暫くするとにわかに辺りが騒がしくなってきた。

そろそろ昭久を筆頭とする男子勢が来たということじゃろうか?

 

 

「うわあ!やっぱり凄いね吉井君達!まさかホントに突破してくるなんて!」

 

「執念深いというかなんというか…私達の出番もあるのかしら。」

 

「う~ん…それはどうかな?何せ前線には西村先生と姫路さんがいるし…」

 

「それは厳しいかもね。」

 

そう言えば姫路の姿が見えないと思ってはいたのじゃがまさか鉄人と組んでおったとは。いくらなんでも無理があるのじゃ。

 

 

「とりあえず私達も出とく?このままじゃあまりにも退屈だし。」

 

「そうかもね。それじゃあ行こうか…秀吉君」

 

「りょうか…何ですって?」

 

ワシの背筋に寒いものが走るのを感じたのじゃ。

 

「惚けなくて良いよ。君、優子じゃなくて秀吉君でしょ?やっぱり似てるし上手いね~ボクも今まですっかり騙されてたよ。」

 

 

 

バレた!?いや、ちょっと気付いてもらえて嬉しいのは確かにあるのじゃがそう言う場合では…!

工藤の目はいつもと違い真剣そのもの。

 

これは誤魔化せぬか…

 

 

「いつからじゃ?」

 

「最初から疑ってはいたんだよ?さっき突然うちの部屋に優子の大好物が大量に送られてきたから。今頃部屋で顔を真っ赤にしながら読んでるんじゃないかな?」

 

…もうちょっとなんとかならなかったのじゃろうか?

 

 

「ではどうする?ここでワシを補習送りにするかの。」

 

距離をとって構える。ワシの点数ではどうにもならないじゃろうが何もせずに諦めるのは違うのじゃ!

 

 

「え? ああ、そんなことしないよ。それよりもちょっと協力して欲しいんだ。」

 

「なんじゃと?」

 

両手をあげて戦う意志がないことを示す工藤。

何が目的かは分からぬがそれですむにこしたことはない。

 

「そう。吉井君達をここから無事に戻したいんだ。」

 

「は?」

 

思わず固まってしまう。

今何と言った?ここで明久達を無事に返すメリットが女子にあるとは思えないのじゃが…

 

 

「分からないって顔してるね。結論から言うと今回の覗き騒ぎ、犯人は君たちじゃないと思ってるんだ。」

 

そう言うと壊れたカメラを取り出す。

 

「これが僕が見つけたカメラ。仮にムッツリーニ君ならこんな簡単に見つかるような設置の仕方はしないと思う。それにこれは彼の使ってるのじゃない。」

 

「…」

 

「それで今無謀にも吉井君が中心になって特攻してきてる、ってことは何かあるんだよね?そこまでは分からないけど。」

 

「その通りじゃ…」

 

 

いつものおちゃらけた面が全くない彼女の予想は正しい。

それだからこそ他に何も言えないのじゃ。

 

「坂本君もバカじゃない。多分勝てない、ってことは分かってて送り込んでると思うんだ。かといって戦死は避けたいって戦い方だし。あのムッツリーニ君のカメラに何かあると見たよ。」

 

ムッツリーニのカメラのフラッシュがチカチカと点滅しているのがここからでもよくわかる。

 

「けどこのままじゃ間違いなく彼らは逃げ切れない。そうさせないために教師はわざわざここの科目を保健体育にしたんだから。」

 

「…まさか!」

 

雄二が作戦前に「手を打って上手くいったのは良いんだが…」と言っていたのはこれのことじゃったか!

 

「そう、ムッツリーニ君なら西村先生がいてもここを突破出きるかもしれない、けど後にはボクや代表、それに大島先生が控えてる。そこでムッツリーニ君は戦死、覗きの証拠であるカメラは没収っていう筋書き」

 

「…」

 

そうなればさすがのムッツリーニでも勝ち目は…ない

 

「けど犯人じゃない人を捕まえても意味ないし、それどころか真犯人がうやむやになっちゃうからね。それは避けたいし…というわけで協力して欲しいんだけど・・・・・・・頼める? 」

 

「…そんなことで良いのか?」

 

「大丈夫!ムッツリーニ君だもん!」

 

ムッツリーニよ…いけると思ってしまうワシを許して欲しいのじゃ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「加速…!」

 

ムッツリーニが高速でこちらへと向かってくる。

そのスピードは正に忍び。普通にやればまず止められない、しかしそれと相対する工藤は余裕の笑み。

 

「よろしく優子!」

 

工藤が合図を送ってくる。

ワシだとバレると面倒なので姉上の名で。

 

「…!こっちよ土屋!(ペラッ)」

 

「…!なんだと!(ブシャア!)」

 

スカートの裾をつまみ上げると一瞬にしてムッツリーニが血の海に沈んでいく。 ムッツリーニよ…それで良いのか?

 

「ごめんね…!負けるわけにはいかないんだ!」

 

 

そのすきに工藤の召喚獣がムッツリーニの召喚獣を撃破する。

それと同時に明久が鉄人の拳に飛ばされるのも見えた。

 

さあ、後は予定通りにもう一度優等生の姉上を演じるだけ。

 

 

「西村先生、彼らは私に任せてもらえませんか?」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

「と言うことなのじゃ」

 

「「「なるほど。」」」

 

保健体育最強のムッツリーニがなぜ簡単に撃破されたのか?その理由はにシンプルかつ理に叶っていた。

 

 

「…俺は…一体…」

 

ムッツリーニが絶望に沈んでいるがこれは自業自得としか言いようがない。

 

 

「それじゃあ愛子のおかげで土屋君のカメラも守られて吉井君も補修送りにならず帰ってこれたってことか。」

 

「うむ。一応作戦は成功と言うことになるかの。」

 

「工藤のやつにはでかい借りができちまったなこりゃ。」

 

 

そう言いながら雄二の声は明るい。危うく失敗寸前だった作戦がギリギリで上手くいったのだ。あんなことを言っているが内心工藤さんに感謝しきりだろう。

 

 

「ムッツリーニ?結果はどうだ?」

 

「…結果は…」

 

立ち直ったムッツリーニに雄二が尋ねるとみんなが息をのむ。

ついにこの悪夢の元凶がわかる…!

 

 

「…該当…なし。」

 

「へ?」

 

 

ムッツリーニの返答に僕は頭が真っ白になった。

該当なし、だって?要するに犯人はわからないってこと?

そんなバカな!

 

「どういうことさムッツリーニ!それじゃあ今までのこと何もかも!「よし、これで決まりだな。」え?」

 

興奮してムッツリーニに詰めよってしまうが周りの皆は頷きあっている。え…なんで??

 

 

「明久、さっきの秀吉の話聞いてたか?作戦の最中に奥に引っ込んだやつが二人いる。残りはそいつらだけなんだから自動的に犯人はそいつらになるだろ。」

 

「…!もしかして!」

 

 

「ああそうだ…!Dクラス、清水美春、玉野美紀。こいつらが全ての元凶だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうもです!

更新できた…

疲労困憊の作者です。

ええ、木下秀吉です。今回はこれで十分ですかね?笑 そして愛子のムッツリーニに対するある意味での信頼ですね。

これ絶対次回じゃ終わらない…
日常回書きたい…!というわけで早いですが短編のアイデア募集も開始します!士郎、切継の歪み~はまだ書けませんm(__)m

ない場合はFate色全開の

文月学園弓道部創設へ、生徒会、学園長との激闘!

「僕と部活と穂群原の英傑達」

でいきます! あ、それがみたいというかたいたらそれはそれで感想欄でもご利用下さい。

皆さん…作者に評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃんお願いします!(どうやら週間ランキング入りしたまま週末迎えそうなので感謝)
次日刊入れたらもっと多くの人にみてもらえるかななんて期待も。

それではまた!
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