陽射しの強い日だ。
窓ガラスから覗く日の光が絶え間なく降り注いでいた。
その光が古ぼけてどこか薄暗くも見えるこの教室の中で彼女達をより輝かせた。
「…」
声が出ない。
なにをしていたというわけではない。
ただその二人があまりにも綺麗すぎたから僕含めみんなの視線も魂も釘付けになって…「起きろ明久ー!!!」 「と思ったら目の前に不細工がー!」
美人二人のみで埋め尽くされていた僕の視界に雄二を暑苦しい顔面が侵略した。
畜生!至福の時間を潰しやがって!雄二め、この恨みは必ずや果たしてやる…!
「てめえよりはまし…なんといそれよりも今はムッツリーニだ!早く輸血パックの準備しないと今日こそ危ないぞ!」
「えっ?ムッツリーニ…?」
そういえば今日はムッツリーニの姿を見ていなかったのを思い出した。情報通の悪友のことだ。
よくよく考えて見れば美人の転校生がくるなんて一大イベント、『寡黙なる性職者』の二つ名を持つあの男が見過ごすはずがない。
「ムッツリーニ!?」
果たして彼はそこにいた。
教壇から正面およそ2m、畳の吸水量とここから見えるあの赤く染まる池の深さを見るに生き残るのは至難の業だろう。
ダッシュで駆け付ける。なんとしてでも友達の命を助けないと!!
「う…あき…ひさ…」
「喋らないで!今すぐ止血を…」
そう伝え今も鼻からひねった蛇口のごとく鮮血を吹き出すムッツリーニを介抱しようとするが手で制される。
その手には今まで数々の奇跡を写してきた神器(カメラ)が握られていた。
「ムッツリーニ…これは…」
「行け、明久…ここには俺史上最高の1枚が写っている…お前がこれを世の中に伝える…んだ…!」
「ムッ、ムッツリーニ…?」
返事はない。ただの屍のようだ。
「ムッツリーニーー!!!」
僕の親友の死に顔はそれはそれは晴れやかなものだったことを、彼の名誉の為にも僕は絶対に忘れない…!
ーーーーー
「えーと…なんだかアクシデントがあったみたいですけど自己紹介をさせていただきます。私の名前は遠坂凛(とおさかりん)、です。前に通っていた学校が不慮の自体があったのでこちらに転校してきました。みなさん、よろしくお願いしますね。」
血の池に沈んだムッツリーニに動揺することもなく自己紹介を終えニコッと微笑む転校生、遠坂さんの笑顔にウォー!!とクラス 中から絶叫に近い歓迎の声が上がる。それも無理もないことだろう。なぜなら…
「ニーソ、黒髪、ツインテ、…ツンデレは分からないけどさっきの須川くんの妄想が全て入ってるなんて…しかも性格も凄く良さそうだし。あんな女の子現実にいるんだね。 」
「ああ、俺も危うく意識持ってかれるとこだったぜ。なんだあの美人は。」
僕の意見に珍しく雄二が文句を言うことなく同意している。
それだけでもいかに遠坂さんが美人ということがわかるだろう。
「うう…卑怯です。あんなスタイルいったいどうなったらなれるんなすか…!」
「瑞希はまだ良いわよ…少なくとも胸は勝ってるんだから…私なんて自信あったスタイルまで完敗よ…」
…なんだろう、女性陣から尋常ではない敗北感と恨みのオーラを感じる。 今近づいたらただじゃすまない気がするし放っておこう。
「…」
「ん?どうしたの?秀吉?」
「…」
ばれないように視線を外すと秀吉が何か複雑な表情をしている。
機嫌が悪いとかそういうわけじゃなさそうだけど…
というよりも僕の声聞こえてないのかな?
それじゃあ
「ひ!で!よ!し!」
「…!な、なんじゃ明久!?騒々しいぞ!」
「いや、いくら呼んでも聞こえてないみたいだったから。」
おかしい…普段の秀吉にはあり得ない注意力不足と慌てぶりだ。
近距離からかなり大きめの声で呼び掛けたことでようやく僕の存在に気付いたのか秀吉がこちらを向く。その姿はいつもとは随分違っていた。
「あの遠坂さんと昔なにかあったの?」
「いや、そういうわけではないのじゃが…」
外れみたいだけどやっぱりおかしい。現にポーカーフェイスの達人の秀吉が顔を真っ赤にして焦りっぷりが全面に出ている。
「(なんだが姉上と同じような匂いがするのじゃ…)」
「なにか言った?」
「なんでもないのじゃ!!ほれ!今度は金髪の人の自己紹介じゃ!明久としては聞いておくべきではないかの!」
こんなベタなかわしかた、いつもなら絶対にしない。けど他の転入生のことも気になるのは間違いない。今は置いておこう。
「次は私ですか…?了解しました。皆さん、私の名前はアルトリア・ペンドラゴン。ブリ…いえ、イギリスからの留学生です。こちらの凛と士郎と同じ学校から来ました。これからよろしくお願いします。」
キリッとした表情にはとても風格がある。イギリスからの留学生かあ・・・それにしても日本語すごい上手いな。けど一番はやっぱり・・・
『金髪最高!!!』
『かわええ!!!!』
『奴隷にしてくださいいいいい!!!』
この娘も遠坂さんに負けず劣らず可愛い!!!!一体どうなってるんだ!?こんなむさ苦しいFクラスに美少女が二人も入ってくるなんて!これは「衛宮士郎です。二人とおな」『野郎の意見は聞いてねえ!!』「なんでさ!?」明日槍でも降るんじゃないだろうか。おっと、知らないうちに男の方の自己紹介も終わったみたいだ、授業の準備をしよう。
「明久…なんといお主…」
秀吉が何か失望したかのような目で僕を見ていたような気がするけど嘘だと信じよう。
「それでだ。今回あの遠坂やアルトリアと一緒の学校から一気に来たから色々と変化が起こっている。」
「どういうこと?」
時は経ち今は昼休み。いつものメンバーでちゃぶ台を囲みながらいつものように昼食をとっていると何やら真剣な様子で雄二が話始めた。
「俺達は1月半前にA組に試召戦争で負けたことによって3ヶ月の間俺達から挑むことはできなくなった。流石にそれはわかっているな?」
「うん。」
「とうぜんじゃな。」
「…(コクッ)」
「はい…」
「まあさすがにね…」
嫌な記憶。僕達Fクラスはこの学校の最優秀クラスであるAクラスに挑み、あと少しというところで敗退した。
それによるペナルティーで僕達は3ヶ月の間他のクラスに試召戦争を挑むことができない。
僕がいくらバカと言ってもわかるどうしようもない事実。
「それがな、一気に転校生が入ったことで戦力バランスも変化しているだろうから一度白紙に戻すって発表があったんだ。」
「ええと…それって…」
「それじゃあ3ヶ月待たずにまた試召戦争を挑めるってことですか!?」
「その通りだ姫路。」
「「「本当に!?」」」
想定外の朗報に死地から復活したムッツリーニ含め全員が驚きの声をあげる。
なんてニュースだ!ということは今すぐにでも僕達の悲願であるAクラス撃破に挑戦することが出来るってことじゃないか!
「まあまて明久。」
そんな僕の考えを読んでいるかのように冷静に雄二が制する。
まるで僕がこうなるのをわかってたみたいだ。
「お前のことだ、どうせすぐにでもまたAクラスに再戦~とか言うつもりだったんだろ?」
「そうだけどさ…」
「そんな上手くいくようなら俺もすぐにしたいさ、けどだめなんだ。良いか?転入生は3人じゃない。もっとたくさん、10人以上いてそいつらも学力に合わせたクラスに入っている。そのなかでAクラスにも二人新しい戦力が入った。確か…美綴と柳洞とか言ったか?その二人なんだが流石に翔子程とはいかないが木下や工藤に匹敵するような点数を編入試験で叩き出したようだ。これがどういうことかわかるか?」
ええと…木下さんと工藤さんというと秀才揃いのAクラスの中でも更に上位と言うわけで…
「Aクラスが以前にもまして強くなった、ってことね坂本?」
深刻に呟いた美波にその通りだと雄二は肯定する。
むむむ…それは困ったな…ただでさえAクラスを倒すのは至難の業なのに更に強くなっちゃうなんて
「それだけでも厄介だってのに他のクラスにもそのクラスの上位レベルの人材が補強された。要するにクラス間の戦力差は単純に考えると開いたと考えるのが妥当だろう。つまるところ、俺達は以前よりも不利な状況での戦いを余儀なくされる、ということだ。この状況で無闇に仕掛けるのが得策でないのはわかるだろ」
「それは…」
その通りだ。ただでさえFクラスはシンプルにいうとバカ、の集まりだ。本来なら学年次席のレベルをもつ姫路さんがいると言ってもそう簡単にAクラスに勝てるわけがない。なにしろ相手にも霧島さんという姫路さんを凌ぐ学力の持ち主がいるのだ。
真っ向から挑めば蹴散らされるのは僕でもわかる。
「というわけだから少しは様子見しなきゃならないだろうな。こっちと少しは戦力上げないと話にならん。」
よっこいせ、と雄二は両手を後ろで組み倒れこむ。
このポーズは完全に諦めているときのものだ。
「まあ、あの遠坂、アルトリア、衛宮っていうのがせめてBクラスレベルの学力があるなら考えようもあるんだが…「それなら期待に応えましょうか?」なんだと?」
「あ、遠坂さんにアルトリアさん!それに…」
「衛宮君ですよ、明久君」
「あー、そうだったね。」
「なんか俺悲惨なレベルで嫌われてるみたいだな・・」
「そんな、気のせいです士郎。」
「気にしないで。バカなのよこいつら。」
「そうですよ衛宮君。Fクラスの誰も衛宮君達を嫌ってなんかいませんよ。」
雄二の悲観的な呟きにきれいな声で横槍が入る。
その言葉を聞いて振り向くと転入生3人が揃っていた。
姫路さん…最後の言葉は肯定できない…須川くん達は間違いなくこの衛宮君に対して好感情を抱いてはいないだろうから。
「ちょっとまて遠坂、期待に応えましょうか…だと?」
「その通りですよ。坂本君、いえFクラス代表と呼びましょうか?」
「坂本で良い。だがどういうことだ。お前達も編入試験を受けたんだろう?それでここにいるということは成績が最下位クラスだったということになると思うんだが…」
雄二の疑問は全うだ。
雄二の希望はBクラスレベルの学力だ。それに対して転入直後でこのFクラスにいる遠坂さん達がそのレベルの学力を持っているとは到底思えない。
その疑問を持っているのは僕だけでなく他の皆も頭に ? を浮かべている。
しかし遠坂さんはその質問にニヤッと小悪魔的な笑みを浮かべると。
「私、そこまで学力低くないですよ?点数に直すと4200点というところでしょうか。」
「「「な、なにー(なんですってー)!!!」」」
遠坂さんの衝撃の告白に雄二のみならず全員がびっくりした。
4200点だって!?そんなのAクラスでもめったにお目にかかれないような点数じゃないか!
「瑞希…瑞希は前回何点だったっけ?」
「ええと…確か4400点だったかと…」
「姫路と同レベルということか…」
「貴女が姫路瑞希さんですか?よろしくお願いします。」
驚く僕らを尻目に遠坂さんは姫路さんに挨拶し握手を求める。
「あっ、はい!こちらこそよろしくお願いします!」
それに応える姫路さん。なんというか華があるなあこの組み合わせ。
ただ一瞬遠坂さんの目が妖しく光ったように見えたのは気のせいかな?
「だとしたらなぜFクラスにいる?それなら文句なしでAクラスだろう?」
何か考え込みながら雄二が遠坂さんに訪ねる。
それもそうだ。姫路さんみたいに途中退席ならそれもそれで点はつかないだろうし、かといってそんな法外な点数を叩き出してFクラスに送り込まれる訳がないのだ。
「ああ、それでしたら…私から直接お願いしたのです。だって・・・」
「越える山は高ければ高い方が良い。当たり前のことですよね。」
そういってウインクした彼女の顔は今までたくさんの女性を見てきたがそれでも見たことがないくらい輝いていた。
割りと評判良さそうなのでとりあえず続きを!
とりあえず遠坂さんは猫被ってます。というか文月学園の制服きてるセイバー、遠坂さん・・・似合う。(確信)
誰か書いてくれないかなーチラチラ
冗談はおいておいて大体どんな感じで勧めていくかそろそろ察するかたもいらっしゃるかもですね!
とりあえずちょっと私用で1週間くらい更新あきます。部活ある学生は時間がとんでいく・・・
それでは感想、お気に入り待ってます!特に感想は作者のモチベーションあげます!笑 それでは!