バカと運命と召喚獣   作:faker00

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第四問 開幕!

 爽やかをを通り越して暑苦しいくらいの快晴いつもと同じはずの学校は全く別の空間になっている。グランドを埋め尽くすのは人、人、人。誰もがワクワクしながらその非日常の空気を楽しみながら高揚感に近い感情に身を任せている。運動が好きな人はシンプルに闘志を燃やし、そうでない人もただ純粋に楽しもうという空気に満ちている。普段の授業からこんな感じなら学校に対するモチベーションも上がるだろうに、なんて事は言わない。だって今日は……

 

「いいかお前ら?体育祭というイベントは男子が唯一勉強やら顔の良さだの何だのを抜いて女子にアピールすることが出来る機会だ。それは分かっているな?」

 

「「「「「おう!!!」」」」」

 

「ならやることは一つだ!!己が肉体を存分に操り、その手に栄光を掴みとれぇ!!!」

 

「「「「「然り!然り!」」」」」

 

「F組ー……」

 

「「「「「ファイトー!!!」」」」」

 

 体育祭なんだから!

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

「相変わらず乗せるのが上手いのね坂本君。」

 

「あいつ等は女子という言葉には脊髄反射で飛びつくからな、そこらの犬よりもよっぽど御しやすい。」

 

「……ところでセイバーの前に血と人集りが出来てるけどあれはなに?」

 

「……大方体操着のセイバーを見て興奮した奴らがムッツリーニ筆頭に沈んだんだろう。セイバーは普段恥ずかしいどうこういってジャージ羽織ってるからあの西洋的な容姿に合わさる破壊力にノックアウト続出するのはそう予想出来なかったことじゃない。」

 

「もう猿ね猿。」

 

「笑ってる余裕はないと思うが?あいつ等のことだ。今度はお前の方にもくるだろ」

 

「ゲッ……ムリムリ。絶対無理。」

 

「……大丈夫だよ雄二、もうカメラ一個死んだから暫くはムッツリーニは動けないし須川君達もセイバーさんを愛でる会から他のクラスの男子の視線からセイバーさんを守る会にジョブチェンジしたからこっちには来ないよ。」

 

「おう、生きてたか明久。」

 

「なんとかね。ムッツリーニに輸血パックを2つ貰っておいたおかげで間に合ったよ。」

 

 噴き出る鼻血を予測して輸血を始めたのに最初追いつかなかった時は死を覚悟したけど。

 Fクラスの戦力はたった1人の女子によって始まる前から5分の1程減らされていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……ひどい目にあいました…」

 

「よくがんばったなセイバー。」

 

 よしよしとなだめる衛宮君とゲッソリとしているセイバーさん。どうやら僕がが生きているカメラを持って離脱するという重大任務を全うしている間にも一悶着あったようだ。

 因みに現在保健室にいるムッツリーニ、そして僕、雄二以外の男子は全員遠坂さんの前で正座だ。だけどそんな状況だというのに皆の表情は明るい。Mに目覚め始めているというのも大きな要因だろうが何よりも手が飛んでこないというのが一番の理由だろう。物理的ダメージさえなければ「怒ってる遠坂さんも可愛い」など萌え要素を探すのは充分に可能だ。むしろご褒美とも言える…あれ、こうなるとことあるごとに鉄拳制裁で対応してきた姫路さんと美波も言うほど間違ってなかったんじゃ……?

 

 

 

 

 

 

 

「あー……いいかいFクラスの諸君。そろそろ開会式を始めたいんだけどね。」

 

 マイクを通して響き渡る聞いたことのある声と聞いたことのない喋り方に違和感を覚えながら声の方向を見る。

 学園長か…頭を抱えてるのはいつものことだけどなんだあの中途半端な丁寧語は?遂に頭に何か沸いてしまったのではないだろうか。

 

「俺もそう思いたいがそれはないだろうな。大方今日来てるスポンサーとやらに変な姿は見せられないとかそんな理由だろ。あとお前声デカ過ぎな。」

 

「そういえばそんな人が来るとか何とかいってたね…」

 

 羞恥からか顔を真っ赤にして列に加わる遠坂さんを愛でることに意識の九分九厘を割きながら聞き流す。

 遠坂さんに比べれば雄二に意識を微粒子レベルでもおいているだけでも感謝してほしいくらいだ。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ説明を始めるよ。この体育祭は基本的には学年内での対抗戦になってるよ。別に後輩や先輩を応援するのは構わないけど自分達の勝負に反映されることはないからそこは承知しておくんだね。」

 

 ふむ、ここまではまあどこの学校にもある当たり前の体育祭のルールだ。ちょっと言葉の節々にあるとげに皆気分を害しているみたいだけど。ほんとにいつも思うけどなんでこの人が教育者なんてやっているんだろうか?

 

 「問題はここからさね。競技形態をちょっといつもとは変えてるからね。一般的な自分の身体を使う体育祭競技に加えて今回はプレ競技的な意味合いの強かった召喚獣競技を正式に点数に加えるのと、ちょっと華やかさを演出するために昼に行うミスコンも点数に加えるからね、クラスの為を思うなら全力でやったほうが良いよ。そして保護者の皆様と教師に参加してもらうOB種目も今回は点数に加算する…」

 

 ここで場にざわめきが起こる。と言うよりも僕も含め驚いていない人がいない。情報を掴んでいた雄二ですら、ここまでやるか?、という表情をしているし。

けど冷静に考えればOB競技に関しては僕らにとって追い風になるはずだ。常識以外はパーフェクトな姉さんも今日は応援にくると言っていたから僕が頼めば間違いなく参加してくれるだろうし、なにより担任はトライアスロンを趣味とする怪物鉄人だ。

 正直なところ負ける気がしない。ただ数人顔が蒼くなっている人がいるのが気になる。特に雄二と衛宮君。なんでこの世の終わりみたいな表情をしているのか。

 

「文月学園は常に最新鋭、新しい試みをするのがモットーだからね。生徒諸君もぜひ、挑戦と探求の心を忘れずに今日をすごしてほしいと思うよ。それじゃあ私からは以上。高橋先生、後は任せるよ…ああ、そうだった、今回は優秀なチーム、そして個人にはちょっとしたご褒美があるからね。欲しかったら頑張りな。」

 

 去り際の言葉は僕等に向けたものなのか、それともスポンサーに向けたものなのか、どちらともとれる言葉に違和感を抱いた人は少なくないはず…何だけど後半に全てもってかれた。

 個人賞という言葉に皆……特に運動部の多いFクラス辺りが沸き立つ。

 本当に今回はいったいどれだけやる気なのだろうかとビックリする。学園長の本気、ただでさえ色々とハチャメチャな僕らの体育祭は一体どこへ行くのだろう?そう思わせるには充分すぎるスタートだった。

 

 「それでは全員所定の位置に戻ってください。オープニング種目になる女子100mに出場する生徒の皆さんは入場門の方へ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

「初っ端から花形種目の一つだね。」

 

「俺が前いた学校では最後の方に持ってきてたぞ?こういうのは。」

 

「まあこの学校は良くも悪くも多彩だからな。盛り上がる種目を先に持ってきてもジリ貧にならないっていうのは確かに魅力かもしれないな。」

 

 開始早々暇になってしまった僕等は席に戻って雑談タイムになっている。体育祭はこうして待つ時間も楽しみと言うけど本当にそうだと思う。どことなく皆ワクワクしてるし……俺無理だしー、手を抜くわー、と言う全くフェイクになっていないブラフ合戦は最早微笑ましくも見える。

 

「うちのクラスの皆はいつ頃出てくるの?」

 

「ちょっと待てよ……持ちタイムが学校最下位クラスの姫路は第1レースで…おた桜もここか。意外だな。後の3人はかなり遅いな…セイバーと遠坂は最終レースで島田は一個前だ。」

 

「やたらやる気あるよね、うちの学校のプログラム作り。持ちタイムでレースの順番決めてそのレースごとに配点がちがうんだよね?」

 

「珍しくちゃんと勉強してきたみたいだな。そうだ、そして最終レースの1位にはボーナスポイントが追加される。出来ることなら遠坂に首位をとってほしいんだが…」

 

 まるで世界選手権か何かみたいに作り込まれたプログラムを見ながら雄二が探してくれる。競技の時間は勿論生徒一人一人の詳細なデータまで乗っているから下手な雑誌よりも面白い。

 先ずは幸先よくスタートを切りたいところだし雄二の言うとおり遠坂さんに期待したいけど…

 

「いや、多分一番は無理だ。」 

 

 一番彼女の事をよく知っている筈の衛宮君はそれを無理だとバッサリ切り捨てた。

 

「なんだと?」

 

 これには雄二も眉を潜める。遠坂さんが何をするにも超ハイスペックなのは今更語ることもない事実だ。それに本人も運動には自信があると言っていたし期待はしても良いと思うのだけど…

 

「確かに遠坂は普通に一般的女子のレベルは超えてるぞ。間違いなく。それにセイバーも、けどあいつもオールラウンダーであって一点特化には叶わないこともある。」

 

 ……要するに万能だからこそ出来ないこともあるってことなのかな?

 

「それじゃあ誰が勝つと思うんだ?」

 

「ああ、遠坂が叶わなかったやつが1人いる。確かCクラスの…」

 

「オーっす!久しぶりだな衛宮!」

 

「こんにちは、衛宮君。」

 

「蒔の字、うるさい。」

 

 なんだか凄い元気な黒豹に衛宮君が絡まれた。

 

「……っ!耳元で大声出すな!蒔寺!それに氷室と三枝もおはよう。」

 

 むむむ…親しげに挨拶を交わしてるけど全く3人とも見覚えがない。

 もしかしてこの人達…

 

「転校生の人?」

 

「ああ、このうるさいのがさっき言おうとしたスプリントの化け物蒔寺、眼鏡のほうが氷室でおっとりしてるのが三枝だ。みんなCクラス」

 

「そうなんだ。よろしくね。」

 

「おう!」

 

「宜しくね吉井君」

 

「……君が吉井某か…」

 

なんだか氷室さんの視線が痛い。おかしいな、面識はないはずなんだけど…

 

「学校最強のバカにして覗き行為の実行犯、超絶破廉恥という評判だったが…人は見かけによらないものだな。」

 

「もう僕の信用は限界なのかもしれない。」

 

「今更だな。」

 

 そろそろ転校も真剣に考えようかな…僕にはこの学校の中に居場所はないのかもしれない。

 

「そんな言い方してやるなよ、あれは無罪だったんだろ?」

 

「そうだよ、鐘ちゃん。」

 

「ん…少し興が乗りすぎた。済まない。」

 

 あんまり虐めてやるなよと庇ってくれる2人に諭されぺこりと頭を下げる氷室さん。本当にそれだけならいいんだけど。

 

「で、こんな事でなにしてんだ?陸上部のお前ら3人は全員出るんだろ?当然。」 

「あったり前だろ!遠坂に一泡吹かすには絶好の機会だからな!なっ、2人とも?」

 

「「私達には無理だ(よ)」」

 

 どうやら息は全くあっていないようだ。

 

「それで召集所へ向かう最中に衛宮を見かけて久しぶりに話し掛けようってなったのさ。」

 

「蒔の字、止める私達を無視したのは君だけだが。」

 

 …蒔寺さんの話は話半分に聞くことにしよう。真面目に聞いたら悪意のない嘘八百を吹き込まれそうな気がする。

 

「2人ともそろそろ…」

 

「お、そうだな。見てろよ衛宮~愛しの遠坂が完敗する姿を見せてやるぜー」

 

「ばっ!誰が愛しのだ!」

 

「失礼する」

 

そうして台風のようにやってきた3人組はまた去っていった。

いやあ…パワフルな組み合わせだった。うん、あれはあれでいいトリオなのかもしれない。

 

「あー…なんとも凄そうだな。うん。」

 

「だろ?あれで蒔寺は普通にやればインターハイ確実な逸材だからな…去年はフライング2回かまして記録なしだけど全部がドンピシャに噛み合えば12秒切れるかもしれん。」

 

確かに運動のできる人特有のオーラみたいのはあった。けどインターハイ確実って凄いな…そりゃ遠坂さんが勝てないって衛宮君が断言するわけだ。

 

「まあ一番じゃなくてもなるべく稼いでくれることを祈るだけだ…そろそろ始まるぞ。」

 

 時間がかかるから序盤の組はもう準備に入っている。

 緊張の表情を浮かべながらそわそわしてる桜ちゃんの横でそれ以上に緊張している様子の姫路さんに心の中で頑張れと応援する。さあ、いよいよ体育祭のスタートだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうもです!

台風で学校ないのでこんな時間から更新!

いよいよ始まった体育祭!雄二、そして明久の運命や如何に!(現在ムッツリーニは意識不明です。)

評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃん待ってます!

それではまた!
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