「がぁぁ!!!!」
「落ち着け!落ち着くのじゃ雄二!!」
「そうだ坂本!!まだ希望はある!!諦めるな!!」
「離せぇぇ!!!今なら間に合う!!安らかに逝かせてくれぇぇ!!」
「……なにこれ?」
「遠坂さん……世の中にはふれちゃいけないものがあるんだよ。」
「何という……」
体育祭。それは青春を彩る一大イベント。いつも以上に露出が増え輝く女子はもちろん、普段はダルがっている男子も、中二病で斜に構えている男子も、ブサイクだからと交流を避けるフィジカルだけ男子も……あれ……?なんだかおかしいような……とにかく!性別問わずクラス皆が力を合わせ、共に楽しむ場所なのだ!!だというのに……
「HA☆NA☆SE☆!!!」
「いい加減に……!土屋!!!」
「……復活記念威力増量スタンガン(バチバチッ!)」
「もう…!!あぁぁ!!!(パタンッ)」
「うし、とりあえず体育館まで運ぼう。」
「確か教師種目じゃったかの?」
何で僕らはこんな某狩猟RPG擬きのことをしているんだろう……
一狩りいかれ意識を失ったモンスター、もとい坂本雄二を運びやすいように縄で縛りながら僕の目から何だかしょっぱいものが溢れそうになっていることに気がついた。
文月学園体育祭、午前終了。
順位 1位A組、6位(最下位)F組……
ーーーーーー
「……本当に申し訳無いと思っている。」
「とりあえず私とセイバーの中であなたの評価は5割落ちよ、ね?セイバー」
「凛、7割です。」
正気を取り戻した雄二だが現実は厳しい、そしてセイバーさんはもっと厳しい。
「まあ許してやれよ2人とも。確かに坂本の立場だったら発狂したくなるのもわか……ることはないが情状酌量の余地はある。」
「確かにね…」
衛宮君がそんなバカ(雄二)にも救いの手を差し伸べる。
甘すぎると思うけど、原因がないわけではない。ことの発端と言えばかなり前に遡って最初の種目女子100m、それも最初のレースに間で戻る事になる。
あそこで女の子の持つ最大の武器によって幾多もの男子がその理性と血管を粉砕されたのだが、問題はその規模である。何十という人数がテント、保健室にかつぎ込まれのだけどその時僕らは気づかなかった。そう、その大半が「よく見知った」連中ばかりだということに。
帰ってきて見ればFクラスメンバーの大半が様々な競技を棄権に次ぐ棄権で本来入るはずだったポイントをガンガンこぼしていたのだ。
何が言いたいかというと…女子に対する餓えが尋常ではないFクラスのメンバーはそれが与えられると一気にキャパオーバーを起こすということだ。
そんなこんなで僕らFクラスは午前中男子が多いという利点を全く生かせずに女子の人数差がモロ点差に響いている。雄二のゴールインは一気に近づいたと言っても過言ではない。
「対するAクラスは順調そのものじゃからのう。」
「離脱者も少ないし、皆きっちりやることをやってるからね。」
秀吉の言葉にうんうんと頷く遠坂さん。
本当にその通りでしっちゃかめっちゃかな僕らFクラスに対してAクラスは稼げそうな種目で稼ぐ、ダメそうなのはそれなりにまとめる、と横綱相撲の展開を広げていて快調に得点を稼いでいる。ここから追い付くのはかなり厳しい。
「ごめんなさい皆さん……私が足を引っ張っちゃって」
「いいえ、瑞希が最善を尽くしているのは分かります。そのあなたを責める理由はどこにもない。」
姫路さんも状況をしっかり把握しているからかショボンとしてしまっている。 ムムム……セイバーさんと同じで別に姫路さんが悪いなんて誰も思ってないし、そもそも姫路さん1人でどうにかなる話でもないんだけどなあ……
それでも責任感を感じてしまうのは彼女の性格なのだろう。
「けどポジティブに考えるなら皆が離脱したのが一番最初で良かったともいえる。もしも配点の高い種目の多い午後に離脱でもされたらそこで試合終了だからな。まだ間に合うはずだ。」
「けどどうしようか?」
「何がだ?」
「その配点の高い種目の一つ、召喚獣大会。女子の部は遠坂さんと姫路さんでほぼ勝ち確定だとしても男子の方が……雄二は使い物になりそうにないし。」
「ああ……」
こんな時でも前を見据えている衛宮君だけど、それだけじゃどうしようもない問題がある。
これから午前の締めとして教師種目(何をやるかは不明)が行われ、昼休みを挟みその次にはスポンサー向けと思われる特別種目、召喚獣バトルがある。各クラス男子、女子代表を2人ずつ出して争うことになっているのだけど問題はその人選だ。女子の方は遠坂さん、姫路さんの学年2,3位コンビだからなにも心配する必要はない、けど男子の方は困る。
元々はFクラスの中では点が安定して取れている衛宮君、そして雄二が参加する予定だったんだけど雄二はこの通り意気消沈していていくら正気に戻ったとはいえ使い物にはなりそうにない。いくら女子が頑張ったところで男子が一回戦負けとかなったらなにも意味がないから何とかしなきゃいけないんだけど……
「うーんと……よし明久、出ようか。」
「衛宮君、勝たなきゃいけないのわかってるかな?」
いくら多少はましになったと言ってもせいぜい学年最下位からFクラスの中で中の下くらいになったくらいだ。これは無謀と言わざるを得ない。
「けどなー……」
ちょいちょいと手招きする衛宮君。なんだか珍しく深刻な表情をしてるけど……
「実際問題坂本以外誰だろうとほとんど変わらん。真面目にやってる木下には悪いけどな。それなら少しでも操作でフォローしてくれるお前の方が助かる。」
「あー……なるほど。納得。」
周りに聞こえないようにボソッと耳打ち、これが須川君とかならどうでも良いんだろうけど秀吉に対するささやかな心遣いというところだろうか。
それにしても納得せざるを得ない。よくよく考えてみればFクラスの強みは誰が抜けたところで大差ない戦力の薄さだったのをすっかり忘れていた。そのおかけで転入生組と姫路さん、雄二以外を身を挺して守る聖壁(生贄)作戦を躊躇いなく実行出来ているというのに。
「了解。それじゃあ僕が出るよ、よろしくね衛宮君。」
「ああ、頼むぞ明久。」
ーーーーー
「それではこれより文月学園体育祭、特別種目教師対抗バトルを始めます。司会は私高橋がつとめさせていただくのでよろしくお願いします。」
何でだろう。確かに空調が行き届いてるのもあるんだろうけど高橋先生が喋ると本当にいつも通り、そんな空気になる。
さっきまでの体育祭の熱気はどこいった!?といういつも通りに落ち着いた空気の中いつも通り高橋先生の説明は淡々と、滞りなく進みいつの間にか終わりを迎えていた。
「種目に関してはその都度発表させて頂きます……ではまず第一回戦から。」
そう言うと同時にステージに置かれた大型スクリーンの中で映像のルーレットが回転を始める。
そもそもどんな種目があるかわからないからなんとも言えないけど……
「どんなのがあると思う?」
「まあ教師がやることだからな、女の教師もいるわけだし比較的頭を使ったものになるか……あのババアのことだから何するか分かったもんじゃないが。」
「同感だね。」
普通に考えればこれで間違いない。 各クラスの担任が競うわけでそれほど大きなハンデ戦になるような競技種目になるとは考え辛い。
どっちにしろ鉄人なら対応可能だろうから大した心配はないのだけど。本当にこういうときには頼りになる先生だ。
……そう考えているうちにルーレットは減速していきそして……
「第一回戦、ビーチフラッグです。」
なんでさ!?
映像の中でレースクイーンの格好をしていた秀吉もなんでさだけどこれはグッジョブ!!
「やっぱり学園長って馬鹿なじゃないかな。」
「今更だな。だからこの間も言ったろ?あいつの思考能力はアメーバクラスだ。単細胞と多細胞には越えようにも越えられない壁がある。」
「それにしても偏りが過ぎる。これでは競技としての公平性を欠いています。」
「まあまあセイバー落ちついて、そのおかげで私達が有利になってる面も少なからずあるんですから少しは目を瞑りましょう。」
「……!凛、あなたという人は……」
「セイバー、あくまでこれはイベントであり道楽なんだから。アクシデントも受け入れ笑って楽しむのがしきたりってもんよ。」
「……自分が負けたら人一倍根に持つくせに」
「何か言った?衛宮君?」
「なんでもありません!」
「じゃがそれにしてもひどい偏りようじゃったのう……」
「……シャッターチャンスは多かった。」
「あれだと女の先生は勝てないと思います……」
歓声と悲鳴が上がるなか行われている競技種目も終盤に近づき今はもうベスト4による準決勝を残すのみとなったところでの僕らの感想はこんなところである。
色々と高度な展開が予想されたこの教師種目だが思わぬ方向へと向かっていった。それが何かというと……
「まさか初っ端からここまでひたすら体力勝負とはな。」
一回戦のビーチフラッグからここまで全競技水泳、長距離その他諸々本当に体育会系のガチバトルになっていた。
もちろん女性教師陣は悉く早々と退散を余儀なくされた。唯一高橋先生だけは、2回戦を突破したが1500m走で無念の敗退となりベスト4にはもちろん男性教師のみだ。
なんとか状況を打開しようと偽のプロポーズ手紙を送り、送り主(偽)の福村君をゴールに縛り付けるという対策をとり船越先生(45歳独身)の奮起を促したりもしたがそれでも無理なものは無理だった。今頃は2人は今頃別の意味でゴールに一番乗りして愛の世界だろう。
「鉄人が勝ってるのは予定通りだから良いんだけどさ。」
「そりゃな。あれは人間やめてる。」
もちろん我らが鉄人は圧勝に次ぐ圧勝で余裕のベスト4入りだ。
ここまで圧倒的すぎて至る所から「誰が止めるんだよこれ……」という声が聞こえてきている。
「因みに他は誰が残ってるんだっけ?俺途中トイレで見逃してたんだけど。」
「え?えーと……鉄人、体育の大島先生、サッカー部のコーチで臨時教員の野村先生、後は……葛木先生?倫理だって。」
「終わった。」
「ん?なにかいった?」
「い、いや……なんでもない!何でもないんだ……」
「衛宮君、キャスターは?」
「いる。凄い熱狂してる。葛木先生もたぶん喜ばせようとしてるんだろうな……」
「士郎、救急車は119でよろしかったでしょうか?」
「セイバー何気にひどいのな!?」
「ですが不慮の事態は起こり得る。」
「いくらなんでもそれは……あるだろうなあ」
「大丈夫ぶよ、セイバー。110と間違えないように。下手なことすると学校が吹き飛ぶわ。」
「……??」
パンフレットを捲りながら答えると葛木、という言葉に反応するように転入組3人ひそひそ話を開始する。
あまり聞こえないが時折物騒な単語がちらほら聞こえてくるのが不安感を煽ってくる。なんだか寒気がして来た。
「それでは準決勝、決勝の種目、組み合わせを発表します。」
さっきまで全力疾走していたにも関わらず汗一つかいていない高橋先生がまたも粛々と進行する。この先生は本当に何をどうすれば動揺するのかすらも分からない。
「……発表です。準決勝はルール無用、降参or失神KOの格闘対決、決勝戦は+召喚獣のガチンコ対決です。組み合わせは西村先生対大島先生、葛木先生対野村先生です。」
そして学園長の頭は本当に何をどうすればこんな競技を選ぶという結論に至るのかわからない。
ーーーーー
「よろしくお願いします。大島先生。」
「こちらこそ、スポーツテストで体育教師である自分が西村先生に負かされたあの悔しさ、ここで晴らさせてもらいます。」
片や暑苦しい通り越してなんだかバックに夕日が見えてきそうなある意味では爽やかな2人
「……宜しくお願いします。」
「怪我だけはないようにしたいですね。流石にそんなことで教師としての評判を下げられてはいつになっても採用試験にうかれそうもない。」
「心配無用。一撃で終わらせます。」
「は?」
「きゃあぁぁぁ!!!宗一郎様ファイトー!!!!」
片や本当にこれから闘うのか?というローテンションな2人+若奥様1人(おばさんと呼ぶのは禁則事項だと衛宮君が言ってた。)
対照的な一戦が同時に幕を開けようとしていた。
どうもです!
ごめんなさい!バカテストは思いつかず…ちょっとブックオフでも行って参考になりそうなの探してきます。
さてさて既に発狂しかけの雄二。今後は……
そしてついにやってくるか最強対決鉄人vsYAMA育ち 本格戦闘の行方やああかに!
そして皆さんに先に感謝報告。間違いなく今話を更新して一時間もすればUAが30000を越えるでしょう。熱心な読者様ならお気づきになる方がいらっしゃるかもしれませんがこの数字は本当に初期に掲げた目標の一つで最後まで残っていたものです。ここまでこれたことに本当に感謝。個人的には簡潔でここまでいくかも怪しいと思ってたので(笑)これからも応援宜しくお願いします!
そして短期的な報告と長期報告
まず短期、そろそろ長編ストレスなのでまたもや次かその次短編挟みます!今回こそは皆様のアイデアのを書く予定!(出来ればメインキャラの絡みを……小声)
士郎アーチャーはまだ書けない……
そして長期、この作品、一度1学期で区切るかもしれません。
理由としては今後の展望考えると長すぎてエタり兼ねないんでどっかで区切りしばらく休んでから年末辺りまでに構想練っといてそこから正月ー冬休みのうちにがっつり更新したほうが完結を見据えた場合は良いのでは?と自分の中で思い始めたため。因みにエンドは今のところ2ルート用意してあるのでそこだけで何話つかうことやら……。
もちろん1学期編もまだまだ続きます!色々やりたいことがある。これについても意見あると嬉しいです。結構悩んでるので。読者様の声が聞きたい、実際皆さんがどう思ってるのか僕には掴みようがないので。(定期的に読んでくれてる人がどの程度いるかもわからないですしね)
ですが基本的に大本にある考えとしてはなるべく薄めたカルピスみたいな作品にはしたくない。
今回は長くなりましたね。
感想、評価、お気に入り登録じゃんじゃん待ってます!
それではまた!