バカと運命と召喚獣   作:faker00

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第六問 色々な想定外

『ウオオオ!!』

 

『くたばれ底辺のゴミ共が!!!』

 

『なんだとこの脳筋が!!』

 

『姫路と木下はどこじゃあ!!!』

 

『てめえらみたいな野蛮人に会わせるわけねーだろ!』

 

『ハア!?黙れよこのモテない男No.1が!』

 

『…貴様!』

 

『やめろ須川!それは否定できない!』

 

 

なんというか…醜い…

いやそれはしょうがないのかもしれない。バカで人の幸せを妬むことにだけ長けたFクラスと基本的に運動以外には無頓着なEクラス、学力において文月学園の底辺を争うこのクラスの対決になればそりゃ絵面が汚いのも納得だ。どちらのクラスも女子比率低いし。

けどいくらなんでも…ねえ?

 

「吉井だ!」

 

「バカの代名詞ね!こんなやつ倒してもあんまり戦果にはならないけどまあ良いわ!勝負よ!」

 

「むっ!?」

 

先陣をきって撹乱に回っていた僕に目をつけた二人組の男女が仕掛けてくる。

ちい!やはりFクラス、いくらEといっても格上の相手、それなりの操作技術だけじゃなかなか削れないか!

 

 

 

「Eクラス赤松優子、菊池涼、Fクラス吉井明久に勝負を申し込みます!試獣召喚!!」

 

「試獣召喚!」

 

 

お馴染みの幾何学模様と同時に相手二人の召喚獣が召喚される。

勝負を申し込まれ召喚獣が召喚されてしまえばそこから逃げるのは敵前逃亡で失格になってしまう。

要するにやるしかないのだ。

 

 

「試獣召喚!」

 

僕も応じて召喚獣を呼び出す。

いつもの学ランに装備は木刀。何だかんだで色々な装備が用意されている召喚獣の装備においてこの貧弱な装備は雄二の学ラン&メリケンと並んで見た目最弱コンビ …衛宮君を含めればトリオか。

毎回見るたびになぜここまで弱そうなのかと疑問に思う。

 

【数学 Eクラス 赤松優美&菊池涼 86点&73点】

 

【数学 Fクラス 吉井明久 22点】

 

「やっぱりバカね!この点差で2対1、とったも同然よ!」

 

「おう!」

 

 

よし!数学はこの間ヤマが当たったからかなり点数がとれて数人と戦った今でもまだ二桁残っている。これはいける!

お互いに いける! という矛盾した思いを抱きながら向かいあう。

 

 

「それじゃあさっさと決めるわよ!てやあ!」

 

「ほいっ」

 

「なっ!?」

 

「なにやってんだ赤松!この程度の奴…当たらない!?」

 

「あんたこそなにやってんのよ!」

 

「…」

 

確かに点数はそっちのほうが上だけどそう簡単にやられるほど僕もやわじゃない。確かに観察処分者はバカの代名詞と呼ばれたりしているけど良いことがないわけじゃない。教師の手伝いをするために実体に触れられるという周りとの差もあるし、その手伝いによって他の人よりも操作が上手くなるという利点もあるんだ! さて、ここは余裕を見せつけて更に相手を焦らせるか…

 

「僕だってなにも出来ないのにわざわざ前線に飛び込むわけないじゃないか。」

 

「「吉井がそんな高度な判断ができるだと!?」」

 

「いや流石にそれくらいはわかるよ!?」

 

 

なんてことだ。ヒビが入りかけていた二人の連携が復活してしまうなんて!

残念ながら僕の点数では大して破壊力はない。だからこそのらりくらりとかわして隙をつくヒット&アウェイ戦法(ゲームで覚えた)が主なスタイルになるんだけど…崩しかけたものをもう1回崩すのはそう簡単ではない。

少し対峙した感じ操作技術は僕の方が上なのは確かだけれどそれを差し引いてもあまり芳しい状況とは言えない。

 

「おい!あそこいけるぞ!」

 

「囲め囲め!」

 

ってそんなこと言ってる場合じゃない!周りを見てみれば五分五分で孤立しかかってるじゃないか!

なんとかダメージを与えてそのすきに離脱しないと僕の点数ではどうにもならない数に囲まれる…!

 

 

 

「全く…そろそろ私も出ないといけませんね。」

 

そんな時だ。その場にいる全ての相手を絶望においやるようなとても綺麗で、冷たい声で彼女が動き出したのは。

 

 

『むっ!?あれ誰だ?』

 

『転校生じゃない?佐々木君と同じで集団転校の。』

 

『それにしても随分美人だな…』

 

 

 

「Fクラスの皆さん退いてください。後は私が。」

 

遠坂さんが悠然と味方の最後方から歩いてくる。

その姿はまさに優雅。

初めての試召戦争だから実際の戦闘に慣れてもらうためにも敢えて後ろに退いてもらっていたんだけれどもう大丈夫ということだろうか?

 

 

気品を感じさせる足取りで進む遠坂さんだがそこに3人のEクラスのメンバーが立ち塞がる。

 

『ええい!言ってもFクラスだ!』

 

『ビビることはない!どうせバカだ!』

 

『そうだそうだ!』

 

 

「バカ…ですって?」

 

その瞬間全ての戦闘は中断し空気が凍り付いた。

 

 

『ちょっ…!』

 

『なんだこいつ!ヤバイぞ!』

 

 

あれ…なんだろう…遠坂さんの後ろに般若が見える…それもすっごい口喧嘩が強くて相手をギッタギタにするまで手を緩めないような徹底な一面をもっていて尚且つ普段はその素顔を完璧に隠しきっているような…ついでになんだか貼り付いたような笑顔の遠坂さんの頭に片方とれかけの猫耳が見えるような気がするけどなんだあれは…

 

「へえ…人を見抜く能力もなくその所属だけで判断するとは随分と残念な方たちなことですこと。ああ、それも当然ですね。自分達は部活があるからしょうがない、無理なんだと言い訳をつけて下位クラスにいることを肯定するような人の集まりですからね、Eクラスは。」

 

『『なんだと!?』』

 

「あら?何か間違っていますか?だからこそ下にあるFクラスをただそれだけで見下せるのだと思いますが…?そういうレッテルを相手に貼ることでしか自分を保てないのは本当に寂しいことです。」

 

『『…』』

 

 

うわっ…なんだこの鬼のような毒舌マシンガントークは…頭がよい人はこういう回転も早いと言うけれどこれは悪知恵に関しては右に出るものはいないと思っていた雄二にも匹敵するんじゃないだろうか。

しかも遠坂さんのあの美しい外見からくるとなればその破壊力は計り知れない。 もう敵味方関係なくフリーズしちゃってるし。

 

 

「もう何も言い返せないのですか?それじゃあさっさと始めましょうか。」

 

『『『はい…試獣召喚』』』

 

 

もう意気消沈してる3人だが遠坂さんに促されて召喚獣を出す。

自分から仕掛けた以上しょうがないんだろうけどなんだかなあ…と同情したがその同情は遠坂さんの召喚で更に深まることになる。

 

「行きますよ。試獣召喚。」

 

 

ポンッという音ともに遠坂さんの召喚獣が姿を現す。

召喚獣はその召喚者の分身、だから点数によって装備が違うし、その人の性格が反映されたような格好になることが多い。

分かりやすい例を挙げれば女子だけれど男前なかっこよさをもつ美波の召喚獣が騎士だったり雄二のが野性味溢れる感じといった具合だ。

だから遠坂さんの召喚獣は一体どんな感じのが出てくるのか気になってたんだけど…

 

『『『何故に猫耳そして魔法少女』』』

 

 

ワーオ、こりゃ凄いや。今この場の全員の感情がリンクしたよ。

 

遠坂さんの召喚獣は確かに期待通り可愛かった。それは間違いない。だけどベクトルが全然違う…!

 

「…」

 

遠坂さんも恥ずかしいのか下を向いて顔を赤らめている。

因みにそんな羞恥心を煽る召喚獣の格好は魔法少女だ。それもフリッフリのアザとさ全開の。

とりあえず真っ赤。ノースリーブな上着や絶対領域をガードしきらない程度に伸びたニーソ(もちろん赤)とやたらとムラム…扇情的なのも気になる。

だが何より目を引くのはその頭からピョコンと飛び出た…猫耳。

正直もうたまらない。

痛いことは痛い格好だがそれでも様になっているのが唯一の救いだろうか。

 

『もしかしてあの美人オタクか…』

 

『うわあ、あの外見なのに残念。』

 

 

無粋な詮索にも遠坂さんは何も言わない。というよりも…震えてる?

遠坂さんをもう少しよく見ようとしたところ急激にそこだけ気温が下がるような気配を感じる。あ、やばい。この空気を僕は知ってる。

これは…粛清と言う名の虐殺の気配!

 

「君たち逃げ…!」

 

「ガンド!!!!」

 

 

『『『は?』』』

 

【数学 Fクラス 遠坂凛 256点 vs Eクラス 西岡卓也&福留勇気&新庄進一 DEAD&DEAD&DEAD】

 

なんだ今のは!?

遠坂さんが顔を真っ赤にしながらなにか叫んだと思ったら召喚獣の持ってる杖から弾丸見たいのがたくさん出てきて対戦者全員がふっとばされたぞ!?しかも全員一撃で即死って一体…

最初出したときは320点くらいはあった点数が減っているのを見ると今回の調整で追加された180点以上の成績を出した人が使える点数を使用して発動する特殊技ってやつなんだろうけどこんな威力だなんて…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦死者は補修~~!!!』

 

『うげえ!鉄人だ!!!』

 

あまりの惨状に誰もが言葉を失うなか鉄人こと西村先生がトライアスロンで鍛えた脚力でどこかから突然姿を現す。

そして憐れにも戦うことも許されずに戦死した3人を一気に担ぎ上げる。

 

『ま、待ってくれ鉄人!あんなの聞いてないぞ!?』

 

『そうだ!いくらなんでも横暴だ!』

 

『俺達戦ってすらいないんだ!!』

 

『うるさい!点数が0になったことにはかわりないだろうが!俺がそう簡単には戦死しないようにみっちり鍛え上げてやる!』

 

『『『鬼の補修は嫌だあ!!!』』』

 

 

 

…僕は絶対に戦死したりしない。

暴れ泣き叫ぶ高校男子3人を軽々と運ぶ鉄人を見て心に誓った。

 

 

 

 

 

 

「うふふ…他に相手をしてくださるかたはいないのかしら?私はまだまだ…暴れ足りないのですけど。」

 

『『ひいっ…!』』

 

それを見届けてから遠坂さんはまたニコッとした笑顔に戻りくるっと周りを見渡すが誰も相手になろうとはしない。

そりゃそうだ。さっきは3人がかりで何かする間もなく消されたんだ。余程の勇気がなければ立ち向かうなんてできやしない。それに今はこう…死神みたいな殺気を充満させてるし。

むしろ撤退の為に足を動かすことができただけでも称賛に値すると僕は思う。

 

 

「誰もいないのですが?それでは通らせて頂きますね。吉井君!」

 

「はい!」

 

なんだ?まさか誰も来ないから僕でうざばらししようっていうんじゃないだろうな!?

 

 

「なにをそんなに恐がっているのですか…?貴方がこの班の先頭なのですから先に行ってもらわないといけないのだけど…」

 

直立不動の姿勢に構えるが遠坂さんはキョトンとした表情を浮かべている。その表情には先程までの殺気は毛ほどもない。

それどころか今のは全て幻だったんじゃないかと思うほどにいつも通りの笑顔だ。

 

 

「あっうん。そうだね遠坂さん。」

 

「ああそうだ吉井君。一つだけ忠告が。」

 

「えっ、まだ何か…!」

 

 

前を歩き始めたところを呼び止められる。

そう、首根っこをひっつかまれて。

 

「今あったことは全て他言無用です。 良いですね?私の召喚獣のことも、何もかも。」

 

「イエスマム!天にまします我らが神に誓います!」

 

「よろしい。分かってくれたようでなによりです。それでは行きましょう。ここは簡単に突破できそうですし。」

 

 

怖すぎる。あの爽やかな笑顔から一体何をどうすればあの威圧感を出せるのか。

まあ良いか。ここまで首尾は上々、見た感じこちらの損害は0相手も降伏してくれた…ん?ちょっと待てよ?こっちの損害が0だって!?

 

 

「ちょっと待って!遠坂さん!」

 

「まだなにかあるのですか?」

 

「今ここにEクラスの人は何人いる?」

 

「えっと…だいたい12、3人位でしょうか。」

 

 

となるとさっきの3人をいれても15、6人ということになる…まさか!

 

「やばい!急ごう遠坂さん!」

 

「ちょっ!いきなりどうしたの吉井君!」

 

「もしかしたらこれ罠かもしれない!」

 

「っ!どういうこと!?」

 

いきなり走り出した僕にびっくりしながらも着いてきて遠坂さんが尋ねる。

 

「この通路が一番EクラスとFクラスの間を近い距離で結べて尚且つ人が多く配置できる場所なんだ!だから相手も主力を当然配置してるものだと思っていたけどそれは違ったんだ!」

 

「なんでそんなことがわかるの!?」

 

「単純な話さ!遠坂さんが下がっていた以上さっきまでの戦闘は単純に格上との闘いだったんだ!それなのにこっちに被害がないってことはここに割いてる戦力の比が全く違うってことなんだよ!」

 

遠坂さんがいる以上トータルで見ればFクラスが優勢になる点数差だ。

だけどそれはあくまで『遠坂さんが戦闘に参加していれば』の話だ。

だけど事実遠坂さんは後ろで静観していた。要するにそこまでは単純な成績順のFクラス対Eクラスだったということ。

 

「だけどこの戦争は途中で補充試験で抜けることが出来るんでしょ!?それならその試験で元々の人数が減ったってことは…」

 

それは全うな疑問だ。けどそれは遠坂さんが経験不足だから出てくる疑問にすぎない。

 

「それは君のおかげだよ!遠坂さん!遠坂さんが出てきたおかげで一気に戦闘が終結したけど本当ならまだ小競り合いの段階だったんだ・・・僕たちFクラスの戦力じゃこの短時間じゃどう考えても犠牲なしで10人近く削れるはずがない…!」

 

僕らの点数の低さは半端じゃない。どう考えても不可能だ。

 

「それじゃあ…」

 

「こっちの情報が漏れてるなら姫路さんの方にはまずいかない・・・セイバーさんと衛宮君達が危ない!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

『おーい!伝令だ!』

 

「福本君!?」

 

後ろから同じFクラスの福本君が走ってくる。

伝令となると雄二が何かしら伝えることがあると判断する何かがあったということだ。一体何が…

 

 

「C班敗走!セイバーさんは残り点数一桁で補充送り!しんがりを努めている衛宮ももう限界だ!救援頼む!」

 

 

 

 

 

 




こんばんは!

さてさて上手く運んでいると思ったがそんなに都合よくはいかない。だいたい文月学園のクラス人数は50
そのなかのわずか15では主力とは言えませんよね。まあ乱戦になって被害が出始めればもとの人数なんてわからないですけど。

凛による瞬殺&Fクラスのバカレベルの高さで異変に気付いた明久、しかしそこに舞い込むC班敗走の知らせ。さてさてどうなることやら・・・

次回vsEクラス編最終回!

評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃん待ってます!
今回結構駆け足なんでここ説明ないとわからん。とかいうのも受け付けますよ~

それではまた!
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