Crowned Clown   作:飛翔するシカバネ

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10月21日(金)

 

 

特捜隊のメンバーが屋上で話し合っている。

 

手に持つ脅迫状から、兄貴はやはり脅迫状を出したらしい。

しかし、話題は文化祭の話で盛り上がっている。

 

「お前ら屋上は立ち入り禁止だぞ!」

 

 

声を張り上げ、注意する。

それに驚き、花村陽介はモロキンが来たかと反射的に驚いていた。

 

 

「なんてな、危ないことしてるんじゃないなら問題ないさ」

 

「高木会長〜脅かさんでくださいよ」

 

「だから会長じゃないって。ていうかなんとも珍しいメンバーだな。女子高生女将にジュネス王子、不良にアイドルに探偵に、地味に男子人気がある肉好き……どういう組み合わせだ?」

 

「ちょ、会長。肉付きってなんですか……っていうかその前なんて!?」

 

「そういや俺らって傍目から見るとなんだこれなメンバーだよな」

 

「友達だ」

 

「別に友達かどうかなんて聞いてねーよ。ただ、なんというか話題性のあるやつが多いな〜と思っただけだよ」

 

俺はそう言ってカラカラと笑う。

 

「そういえば会長はなんで学校に?」

 

「投稿免除って言ったってテスト免除なわけではないからな。普通にテスト受けにだよ。満点か柱にけど、あの感じならまたトップだろ」

 

「さすが、だな」

 

 

周りは感心している。

 

「あと来週の土日が文化祭だろ。もう引退してるから気分転換に見て回ろうとしたら、後輩に泣きつかれちまって、ちょっと手伝うことになっちまったんだ。それの打ち合わせも兼ねて……って感じだな」

 

「はー大変っすね〜」

 

巽完二は他人事のような反応している。

 

「完二くんは元気ありそうだから次期生徒会長に推薦したげようか?不良からの更生で話題性あるだろうよ」

 

「ちょっ、いいっすよ!!そんな柄じゃねえし」

 

「巽さんに羽は良い子って言ってたし、今年の生徒会は真面目だけど、活発さが少なくて、盛り上がりに欠けるとか言ってたからな。別に成績も悪くないし、問題ないだろ。ピアスとか外して黒髪に戻せば普通にいけると思うぞ」

 

「ぷっ……完二くんが黒髪なのって………」

 

天城雪子が吹き出している。

ぶっちゃけ失礼だが、実際そうだとは思った。

 

「あーもうなんなんすか!?っていうかババアと知り合いかよ!」

 

「ここ数年で引っ越してきたとはいえ長いからな。あとこの頃気分転換で街を出歩くことが増えて、知り合いも増えた」

 

付け足すように町にある豆腐屋の豆腐がうまいと溢す。

 

「私の家じゃん」

 

「あ、そうなのか?まじうまいからこれからも元気にやってくれ」

 

「伝えときます〜」

 

「いやあ、町に出る時は気分転換で散歩してるし、学校来なくなって噂とかも聞かないからそういう話めっきり疎くなってしまったんだよな〜」

 

そう言って情報をほとんどしらにというのを匂わせる。

 

「まあ、俺が手伝ってるから今年は去年と違いもうちょい盛り上がるぞ。俺の人脈も使ってフル活躍するから」

 

「お、楽しみ〜」

 

「だから花村、お前らのクラス早く出すように言っとけよ。ポスター告知したいのに決まってないんだからな」

 

「へへっすみませーん。あ、でもいいこと思いついたんだよな〜」

 

「絶対碌でもないことでしょ」

 

「他にも例年通りミスコンとか女装コンテストとかやるから楽しみにしとけよ〜」

 

「へー」

 

「そ、そうっすね……はははー」

 

「おい、花村?」

 

あからさまな笑いをこぼす花村陽介とそれを見逃さない里中千枝。

胸ぐらを掴み、問い詰める。

 

「アンタもしかして……」

 

「すまん!出来心だったんだー!!!!女子高生女将にアイドルに探偵……こうなったらな応募するしかねーって。後推薦でも可ってあったからー!」

 

「私は入ってないの?」

 

「いや、入れたけど」

 

「何入れとんのじゃ、オラー!!!」

 

そう言って絞められている。

それを聞き、笑いながら答える俺。

 

「まあ、学生なら少しくらい黒歴史作った方が楽しいもんだよ。それに女装コンテストも他薦アリだし、やり返せばいいだろ。見た目で言うなら直斗が何だかんだ似合うだろうし、お遊び程度に頑張れよ〜じゃあ、俺はまだ用事あるからじゃあな〜」

 

そう言って屋上を後にする。

ここで天城雪子あたりが気づいてくれればいいが、できなくとも良いとしていこう。

一応屋上に携帯ワンセグを置いてあるから移動は出来ずとも、話は聞こえる。

すでに繋がりっぱなしのそれをイヤホンをつけて聴く。

 

「おい、里中!お前マジで応募するつもりか!」

 

「先にあんたらがやってきたんでしょ!」

 

「ねー先輩は私の水着姿見たい〜?」

 

「出て欲しい」

 

「困ったことになりましたね………」

 

「問題ないんじゃねえか?というかでろ!いいから!」

 

特捜隊のメンバーが思い思いのセリフを吐く。

しかし、天城雪子だけ黙っている。

 

「雪子もそう思うでしょって……どうしたの?そんなに怒ってる?」

 

「あ、違くてね。さっき高木会長がおかしなこと言ってて……」

 

「ん?なんか変なこと言ってたか?どうだった?」

 

「女装コンテストは出るなら直斗が優勝」

 

「そういえば言ってたっすね。でも、直斗は女だから出るのはミスコンじゃ……?」

 

「もしかしてさ、高木会長……直斗くんが女の子だってことまだ知らないんじゃ……」

 

「は?んなわけないだろ。あんなに学内で噂になってんだし、生徒会長なら事情ぐらい……」

 

「でもあの人って〜今は会長じゃないんでしょ?それに学校もほぼ来ないから噂にも疎くなったって言ってたし」

 

「あー確かに。それに高木会長って直斗に昔会ってたって言ったっけ?その時から男装してるなら何年も勘違いしてるんじゃないか?実際どーよ、直斗?」

 

「あり得る話だと思います。と言うかみんなの推察通りだと……あの頃は二人で探偵ごっこもして、男女混合で遊んで、性別に気づかなかったことも多かったです。隠していたのもありますし、それに学年も違うから間違いにずっと気づかなかった、ということでしょう」

 

「まあ、それなら話せばすぐにわかるんじゃないか?別に隠してもないんだからすぐに広まるだろうし」

 

「そ、そうなんですが……」

 

「どうした?」

 

「その……恥ずかしくて………女性であると言う事実は変わりませんからそれはいいんですが、その、子供の時のことを思い出して改めて話すことを考えると……」

 

「あー確かに子供の時に秘密にしてたことを今更ってのは少し厳しいか」

 

「分かっちゃいるんすけど、それこそ言われたことって結構強く記憶に残るもんすもんね。それがシャドウになった訳で。自分を受け入れはしましたけど、当時言ってきた女子に今からいいにいけ!って無理す。と言うか今なら泣かれて、速攻停学になりかねないっす」

 

「まータイミングがあればいつでも伝えるタイミングあるでしょ。どちらにしてもミスコンでどっちにしろバレるんだし。気楽に考えなよって!」

 

「はい………」

 

 

 

通話を切る。

 

だいたい予想通りになったな。

予想外としては直斗の反応だが。

 

恥ずかしい、か……

嬉しいような、悲しいような。

 

すでに当初の計画は頓挫したから、今となってはしょうがない話だが……

真っ向で勝負できるならしたかったものだ。

 

 

さて、ここから先は忙しいぞ。

 

何せ文化祭の準備を手伝いつつ、ミスコンには一切手をつけず、その上で()()()に出なければならない。

念の為に作っていた人脈が役に立つとは思わなかった。

 

やはり持つべきはコミュなんだな。

 

 

 

 

 

 

 

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