Crowned Clown   作:飛翔するシカバネ

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12月20日(木)

 

 

特捜隊は禍津稲羽市に中を進む。

 

12月5日のあの日。

少ない証拠から辿り着いた真実。

仲間たちをテレビの中に入れていたのは生田目だったが、最初の山野真由美と小西早紀の二人は違う犯人がいたことが判明した。

そしてその犯人がいつも近くにおり、自分たちに情報を与えていた足立透だった。

 

あの日、問い詰めた時、確かに足立は『全部生田目が入れたにきまってるだろ』と言った。

 

犯行の手口を知っているのは他でも無い犯人だけ。

そして直斗が感じていた違和感。

生田目が狙っていたのは最初の二人以外の仲間たちがいたこと。

それを警察は知らなかったはずなのに足立は決めつけていた。

 

それが決め手となり、足立は逃亡した。

テレビの中へと……

 

 

自分たちは準備を整え、テレビに潜った。

テレビの中にあった禍津稲羽市は今までのどの場所よりも広く、出くわす車道が強かった。

 

しかし、何日もテレビへと挑み、先へと進み、一番奥へと辿り着いた。

 

「いやーえらいえらい。よくここまで辿り着いたね」

 

足立は拍手をしながら出迎えた。

 

直斗は足立に対して罪状を確認する。

 

山野真由美をこの世界に放り込み、更に小西早紀を放り込んだ。

そして生田目をそそのかし、殺人行為を引き継がせた。

模倣殺人の容疑者もテレビに入れた。

菜々子も重体になり、どこか間違えればもっと人が死んでいた。

 

それに対して足立はあっけらかんとしている。

陽介や千枝の言葉に対しても適当にしている。

 

みんなの怒りに対しても、まるで自分のせいじゃ無いようにどこ吹く風だ。

 

 

この世界は表の人間が望んだ世界でそれを望んでいるみんなを導くのが自分の役目だと足立は言った。

 

「そんなの誰も望んでない!お前一人だけだ!」

 

「ありえないなんてありえない。僕は君たちを否定しても君たちには効かないし、僕も君らに何言われようが世の中けえけんしてないガキのセリフだ。僕が僕より下の年齢のやつの言うこと聞くなんて表向きには何人いても本心じゃ一人しかいない」

 

そう言って自分たちから少し離れて、瓦礫へと腰掛ける。

 

「それに君らも経験しただろ?シャドウでさ。彼らは何倍も生き生きしてた。今の自分より。お前ら本心が自分の心を押さえ込んで暴走したんだよ。可哀想だよな〜」

 

「お前のほうがよっぽど可哀想だぜ……」

 

「そうだね。君らならそういうよな。君らは群れてるからさ。強くなったって錯覚してさ。だからこっちもやってみたんだ。僕とやり合う前にこいつとやってみてよ。ほら、余興って必要だろ?」

 

そういうと自分たちと足立の間に霧が濃く出る。

そして霧が晴れるとそこには一人の青年が立っていた。

 

「いいだろそいつ。この世界に入った時に見つけてさ。どうやら以前は行った時に生まれてたみたいだけど、お前らが助けたせいで思いをぶつけられなかったのかフラフラしてたんだよ。君たちとも友達なんだろ?受け止めてやりなよ」

 

その青年は目が黄金となり、シャドウだとわかる。

しかし、その風貌は菜々子を助けるために命をかけていた前八十神高等学校生徒会長、高木明の姿だった。

 

 

 

 

 

 

『ここにも俺はいないのか。あーやりきれねえ。何も上手くいかねえ。足立さんの言うとおりこんな世界無くなればいいんだよ』

 

高木シャドウはやはり普段の高木からは思いもよらない言動をしている。

 

「これが高木会長のシャドウ……」

 

「でもこのシャドウ……普通のシャドウと違う。なんていうか成長してる……」

 

『そうだな!俺はこの世界で長いからよ。他の奴らの欲望に当てられて、俺自身も少し変質しているんだよ。根幹は俺の欲望だが、今いるのは俺と俺に対して欲望を持っている奴らの集合体だよ』

 

「どっちにしても普通のシャドウなら倒すだけだ!高木会長がいないから暴走する危険性も無え!叩くなら今だ!!!」

 

陽介が高木シャドウに向かっていく。

 

『いいよな、お前らはHEROに会えて。転校生!お前のおかげだ!普通に生きてそれで終わるはずだった仲間たちはお前のおかげで助かった。さすがだぜ!ぜひ、もう一年この街に残って生徒会長やってくれよ!俺には役不足だったからな!』

 

高木シャドウは切り付けられる。避けることもせず。

と言うよりまるでどこか俯瞰的に自分たちを見ている。

 

『俺もお前も一緒だろ?元は空っぽで仲間がいたからだろ?俺も空っぽなんだよ……いいよなお前は。お前を埋めてくれる奴がいっぱいいて。俺にはいなかったよ。どれだけ努力しても、どれだけ生きようとしても運命は俺を邪魔する。親父も母ちゃんもババアも兄貴も俺から消えていった!!!その後にあった唯一の友人も運命は俺を引き離した!』

 

高木シャドウは尚も叫ぶ。

 

『寂しいんだよ!孤独なんだよ。俺には何もない。この街に来て俺は希望を夢見ていたのに、現実なんて結局クソだったんだよ!!!』

 

高木シャドウに周りからシャドウが集まる。

 

『直斗もそうだろ!?結局は一方通行だった。俺の気持ちを忘れて、約束も忘れて。でも同じ孤独だったらよかった。また会って仲良くなって一緒に乗り越えられたら……それが子供の時に見てた相棒だろ?でもお前は救われてた。そこにいる空っぽのHEROにさ!!!』

 

シャドウはひとつになる。

雲に乗り、赤い服を着た男のような姿になる。

 

『我は影、真なる影にしてセイテンタイセイ。有象無象の須く皆の王なり』

 

足立は瓦礫でニヤニヤとコチラを見ている。

しかし、セイテンタイセイに力を貸す気はないようだ。

それはやはり、足立は自分たちを真似すると言っておきながら、気づいていないのだろう。

 

セイテンタイセイを倒して、俺たちは必ず足立を捕まえる。

 

そして真実を手に入れる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そして真実を手に入れる!!!』

 

テレビから映像が流れている。

まるでヒーローショーだ。

 

兄貴には少し悪いが、こんな状況になっているんだ。

俺のシャドウ(笑)がいたところでこの戦況はひっくり返らない。

このまま終わる流れだ。

 

そういえばHEROは誰と付き合っているのだろうか?

全員と付き合って順々に相手しているのか?

それとも本命が一人いるのか。

はたまた、どっかの鈍感主人公のように誰とも付き合わず、思わせぶりな行動だけして、生きているのだろうか。

 

 

今日で終わるとしてクリスマスでイベントだろう。

その前かその後か俺が呼ばれた時にでもイザナミに誘導して今年中に終わらせる。

 

俺の計画は……そうだな。

 

バレンタインにでもやるか。

 

 

 

 

 

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