4月11日(月)
ガソリンスタンド内で缶コーヒーを飲む。
苦手だったはずのブラックは今では手を離せない必需品となった。
コーヒーを飲んでいると外に車が一台止まる。
中からは髭の生やした生真面目そうな男性が運転席から出てきた。
後部座席からは小さい女の子が生真面目そうな男性をお父さんと呼んでいる。
そして助手席からは無口でクールそうな青年が出てくる。
クールそうな青年はガソリンスタンドの制服を着たアルバイトと会話をしている。
「あれが…………ねえ……?」
アルバイトは青年と手を繋ぐ。
青年はその表紙に足元がふらつき、ぐらりと頭を揺らしている。
そしてその瞬間にアルバイトから何か白い気配が移った。
その後ガソリンを入れ終わったのか生真面目な男性に声をかけられ、車に乗り込み、車を出していった。
「見たいものは見れたかな?」
アルバイトは外でクールな青年と話していた口調とは違う口調で俺に話しかけてくる。
「まあ、大体は」
コーヒーを口にする。
苦い。
「全く君はイレギュラーだな。私が施した処理も跳ね除けたことも、彼がこの八十稲葉にやってくるのも的中させた」
「アンタがくれた力だよ。どうにも相性が良い」
空になった缶をゴミ箱に捨てる。
「君のせいでいくらか力が奪われたからね。相性の良い力を一つ渡したかったのにいくつも奪われた」
「奪って無い。人聞きの悪い……勝手に移ってきただけだ。こっちも迷惑してるんだ。この街の行く末に何が待っているか知って、ね」
「全く歯がゆいものだよ。たった一人の人間に力を奪われるなんてね。今の私には幾千の呪言も本来の力は出ない。君を殺すこともできないし、君に根付いたその力が殺せば戻る確証も無い……全く憎らしい……」
「カミサマに激しく思われるとは嬉しい限りで……じゃあ、俺は帰りますんで」
「ああ、もう君とは出会わない。この街に誰か来無い限りは。そして君の言葉通りならそれは無い」
「俺も会おうとも思わないさ。アンタのこともこの世界に希望なんてものが無くなるまでは、誰にも喋る気は無いからな。できることならもう二度と会いたくは無いものだよ」
「嬉しいね。君に神と知られ、そこまでの悪意と嫌悪感を向けられるのは……ね?」
その言葉を後ろから聞きながらガソリンスタンドを出る。
そして不意にガソリンスタンドの中を見る。
そこには誰もいない。
それに対して何も思うことなく、自宅へと向かう。
ようやく再会できる。
何年も待った。
そのために力をつけて、この場所で大人しく待ってた。
ようやく会える。
さっきの嫌な出来事なんてもう遠い彼方だ。
ようやく伝えられる。
彼女に、この想いを。