Crowned Clown   作:飛翔するシカバネ

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10ヶ月と6日前

 

 

 

4月15日(金)

 

俺は高木 明。

 

しかしそれは両親が離婚したことで、母方の苗字になっただけ。

 

元は足立 明だった。

 

13年前の5歳の時に両親が離婚した。

自分は母と一緒に。当時15歳だった兄貴は父と一緒に行った。

 

家は普通に問題があった一般家庭だった。

 

父は仕事で家庭を顧みず、母も家事や近所のストレスで情緒が安定しなかった。

お互いに相手とは違う相手を求めていた。

それらが原因で二人別れて離れ離れになった。

 

 

俺は幼い頃は病弱でいつも死にかけていた。

あんな両親は助けもせずに自分勝手に生きていた。

そんな中両親や学校での出来事を愚痴りながら、それでも俺に対しては面倒とは言いつつも何も言わず、世話をし続けた。

その陰でずっと生きてきた。

 

兄貴に対しての恩はそれだ。

 

こんな世界だおなってもいいし、せっかく生まれ変わったとしてもどうでもよかった。

でもおせっかいで生かされて、少しは生きてみようかと思えた。

 

そのお陰で世界を生きている。

そのお陰で今の俺ができる理由になってる。

 

このペルソナ4Gの世界で。

 

 

 

 

 

家に帰り、部屋に入る。

相変わらず、こちらに警戒心を持つ小西早紀を横目に壁に触れる。

山野真由美は別の部屋にいるようでいない。

 

触れた場所が赤いヒビが入り、巨大なテレビが出てくる。

 

「何?」

 

「暇だと思ってな。マヨナカテレビの中継機だ」

 

これがあれば、この場所から外のテレビのあるところを見れる。

あくまでテレビのあるところだけだからテレビがなければ見れない。

 

そしてこれはマヨナカテレビの中で起こっていることを映し出す。

今まさに起こっていることを。

 

 

テレビの中では後輩の二人と謎の着ぐるみが小西早紀の声を聞いている。

後輩二人は花村陽介と鳴上悠だ。

 

『ウザいと思ってた』

 

「また私の声……私の………本音」

 

「抑圧されて暴走した心だな。誇張もされてるから、完全な本音ってわけじゃ無いけどな」

 

映像を見ていく。

 

『全部無くなればいい……』

 

 

「実際はどうなんだ?今長期休暇で休んでいる感じだけど」

 

「正直今でもウザいと思ってる。ジュネスも家も。………花ちゃんも」

 

「まあ、ウザいよな」

 

「会長本当に会長?街のためにも学校でできるボランティアとか文化祭の日程増やしたりしてたじゃん」

 

「評判良かったろ?少しウザいくらいが、受けるもんだし。表向きは男遊びしてそうで、裏では面倒見の良い姉御肌とかも受けるけど、結局裏が見えないから表だけで判断されるしな」

 

「会話の度にいじらないでください」

 

「それはすまん。我慢してくれ」

 

「控えないんですね」

 

 

『一人は嫌だもんな?みんなに囲まれていたいもんな?』

 

花村陽介のシャドウはそう挑発している。

 

「人気者になりたいって……花ちゃん」

 

「どうだ?人の裏側見た感想は?」

 

「私は人には好かれなくてもいい。大切な人だけ守れれば……」

 

「全くもって同意見だが、マジで個人の意見だな。ただ似たものカップルだな。お互い話し合わず、抱え込んで自滅して……」

 

「もっと話せば良かったのかな?」

 

「そうだな。それで商店街とジュネスで協力して地元物産展とか作れば良かったんじゃないか?ジュネス王子と由緒正しい酒店の娘で繋ぐ架け橋とか?盛り上がるネタだろうよ」

 

「言い方凄い嫌。でも、相談していれば全部丸くなったかもしれない……のよね?」

 

「あそこで終わってたらそうだったが、まだ未来があるから頑張りな?そうすればウザいにしてもマシになるんじゃないか?お前はまだ終わってないんだし」

 

「………」

 

映像は既にシャドウが暴走し、花村陽介が倒れ込んでいる。

 

「自分の中の心を拒絶して、切り離したんだ。切り離された方は元気で抜けていったら、そりゃ空きができるから気絶するよな〜」

 

「私は気絶しなかったよ?」

 

「心が未熟なうちは多いってだけだ。高校3年なんてだいたい大人だし、大人になれば心は一応成熟する。そうすれば完全に気を失うこともない。他にも体力や気力がある人はそれでも気絶しないぞ」

 

「私や山野さん以外にもあったの?」

 

「そういうわけではないが………まあなんとなくわかるだけだ」

 

 

映像ではシャドウを倒し、自分を受け入れている。

 

「凄い……花ちゃん」

 

「大人でもできないことをやってのけてるんだからそこは凄いな。何もない奴とは大違いだぜ」

 

「何もないの?」

 

「俺じゃねーよ。そこのHEROだよ」

 

「鳴上くん?」

 

「この世界に入れば抑圧された感情が一つくらいはあるもんさ。それがマヨナカテレビで出てこない。それどころか最初からペルソナを持っている。そんな特別扱いはすくねーぜ」

 

「そうなんだ。これ自分を受け入れて、成長しちゃったら新しく彼女作っちゃうのかな?」

 

「お、気になるのか。ちなみに俺は知らん。俺は花村陽介じゃないからな」

 

「私何も知らなかった。花ちゃんも一人の人間なのに。頑張ってあんなに元気いっぱいで悩みなんて無いみたいに……そんなこと全然無いのに。私謝りたい。それでもう一回話し合いたい」

 

「良い心がけだな。でも、まだ出れないから勉強や体づくりでもしてたらどうだ?この世界だと快適空間だから戻ったらきついかもしれねえぞ」

 

「うん、勉強する。もっとしっかりする」

 

「もしも今シャドウがいればペルソナになっていたかもな〜残念残念」

 

「私はペルソナはできないの?」

 

「出てきた時に屈服させて、受け入れなきゃならんらしい。結局受け入れられなければそのままだし………でも、自分を受け入れている訳だから成長はしてんだろ」

 

そう言って立ち上がり、一度帰る。

その後食品類を運び入れる。

 

「どうしたの?」

 

「なるべく様子見はくるが、いきなり来れんくかもしれないからな。なるべく運べる時に貯めとこうと思ってな」

 

「そう……」

 

「テレビはリモコン置いといてやる。登録してあるところだけだが、HEROが活躍しているところは確定でいけるけど、それ以外はテレビのところだけだからな。それで好きに見てくれや」

 

そう言ってリモコンを渡し部屋を出た。

 

 

 

 

 

原作外の光景を見るのは面白い。

 

自分が生きている実感がする。

 

それ以外は虚無のこの世界で。

 

俺は時が経つのを待った。

 

 

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