ランポス
>『ぎゃう』
>ハイネの前に横たわる2頭のランポス。
>ハイネ
>『ちっちっち。甘ぇよ』
>ハイネはさらに2頭のランポスを討伐したようだ。
>こんなこというのはどうかと思うが、明らかにシンより腕はいい。
>ハイネ
>『皮と鱗か…』
>剥ぎ取りで入手した素材は[ランポスの皮][ランポスの鱗]だ。
>ハイネは大きく大剣を振り下ろし、付着したランポスの血を振り払う。
>ハイネ
>『キノコだよ…、キノコ。 ねぇかな~』
>一応、特産キノコがわんさか生えている場所は知っている。
>例の洞窟だ。
>でも、行く気はまったくない。
>あの洞窟に戻るくらいなら、賭けに負けた方がマシ。とりあえずハイネは、最初にいた海岸線に出ることにした。
>
>シン
>『残り時間はどのくらいっ かな~』
>シンが林の中をぶつぶつ呟きながら、トテトテと歩いていた。
>一応、ハンターなら、太陽や星の位置で時間がわからないといけないのだが。
>もちろん、ハイネはわかりますよ。
>でも、時間内にクエストクリアできる自信はあったので、大して気にはしなかった。問題は賭けに勝てるかどうかだ。
>シン
>『林の中ばっかりも飽きて きたな。湖んとこまで行 ってみっか』
>なんとシンとハイネの行き先が一致した。
>場所的には、ハイネの方が近い。
>
>ハイネ
>『ホント、海みたいだよな ~。ここ』
>波打つ海岸を見てハイネが呟いた。湖なので、海岸というのはおかしいが。
>やはりハイネの方が先に着いていた。
>ハイネ
>『よっこいしょ』
>ハイネは背負っていた大剣を砂地に突き刺し、自身も砂浜に座り込む。
>ちょっと休憩。
>水面に、今にも沈みそうな太陽が映っている。
>ハイネ
>『んん~、絶景絶景』
>ハイネはこの後のねぐら探しのことを考えていた。
>密林で一夜を過ごす以上、寝込みを襲われないための場所を探す必要がある。
>暗くなってからでは遅い。これもハンターの常識。
>シンは…たぶん知らんだろうな…。
>
>シン
>『ん~、暗くなってきたな 。どこで寝よっか?』
>やっぱり知らんかった。
>
>基本は木の上だ。
>ランポスなどの脚力が強い鳥竜種のジャンプでも届かないぐらいの高い木。
>5mもあればベストだ。
>ま、ハイネはすでに目星をつけた木が2、3本あるので心配はしていなかった。いや、一応心配はしていた。
>シンのことについて。
>ハイネ
>『あいつ、ちゃんと寝る場 所確保してるかな?』
>確保できてませんよ。
>今、頑張って探してるところです。
>
>シン
>『やっべ~、どこで寝よう ?』
>夜の狩りが危険なのは、さすがのシンでも知っている。
>セルケトのような、昼間は洞窟に潜んでいるモンスターも、外へ出てくる時間帯だからだ。
>シン
>『寝てる時にランポスとか に襲われちゃ、シャレに なんねぇしな』
>まだ海岸線にたどり着かないシンだった。
>
>ハイネは海岸線の近くにあった木がベストだと考え、今日の宿に選んだ。
>そしてその木の幹に座り込み、早めの夕食をとっていた。
>昼間とった食べれるキノコや、食用の植物など。
>ランポスの肉は臭みがあって食えたモンじゃない。
>そうして食事を終えたハイネは、大剣を下に残して、木によじ登り、適当な枝を見つけて、体を移した。
>ハイネ
>『後10時間っとこか…』
>クエスト開始から14時間が経過。
>ハイネは星の位置を読んで時間を推測した。ほぼあっている。
>すでに辺りは暗くなっていた。
>どこか遠くから、モンスターの鳴き声のようなものが聞こえてくる。
>ハイネは、せめてセルケトの夢だけは見ないように心から願って眠りについた。
>シン
>『…』
>結局、良いねぐらを見つけられなかったシンは、崖を背にして休息をとっていた。
>安全な場所とは言えないので、熟睡はできない。
>シン
>『うう~』
>1人でクエストに行きたいと自分から言い出しておいて、1人では何もできないようだ。
>
>現在の時刻0:00
>
>この地域の日の出は早い。5時には太陽が出始める。逆に、日の入りは遅い。
>20、21時でもまだ明るい。
>つまり、夜という期間がとても短いのだ。
>ハンターにとっては、それが大きなメリットになる。先ほどにも言ったとおり、夜のフィールドは大変危険だ。
>逆を言えば、太陽が出ている間は、夜ほどの危険はない。
>それだけ、狩りを行う時間がとれるということだ。
>
>翌朝、5時になる前に辺りの景色が色づき始めていた。
>ハイネ
>『んんん~』
>差し込んできた太陽の光が、まぶたを貫通して眼球に突き刺さる。
>太い枝の上で、あくびと背伸びを合わせてする。
>枝の上で落ちずに眠る、というのもハンターの技術の一つだ。
>ハイネ
>『おはようございます』
>ハイネは5mの高さから飛び降り、大剣をかついで、残り10個の特産キノコと朝飯を探しに早速出発する。
>
>シン
>『…』
>目の下が黒くなっているぞ、シン。
>よく眠れなかったのな。
>目を半開きにしたシンが、倒れている。
>シン
>『ああ…、明るい。ここは 、どこだ?』
>天国って言ってあげれば、信じてくれそう。
>眠いのに眠れない時間、それはシンにとって、今まで生きてきた人生よりも長い時間のように思えた。
>シン
>『んん』
>目をこすりながら立ち上がる。
>太陽が出れば、自然とやる気も出てくる。
>シンは『よし!』と意気込みを入れて、さっきまでの死んだ魚のような目から、ハンターの目へと切り替えた。
>まずは、昨日途中まで向かっていた海岸線を目指すことにした。
>
>ハイネ
>『お、あれは』
>ハイネの目の前に、小柄なブタがいる。
>モスだ。
>モスはキノコが群生しているところを徘徊する習性がある。
>もちろんハンターとしての知識。ハイネは知っているが、シンは知らない(だろう)。
>ハイネ
>『そうか。モスに着いて行 きゃ、キノコを採りまく れるってことか』
>そう。モスの後を追ってキノコを見つけて採る。
>そうしたら、モスはまた別の場所に向かう。
>それを繰り返していれば無限に採ることができる。
>
>シン
>『やっと林を抜けたな』
>目の前に湖が広がる。
>吹きわたる風が気持ちいい。
>思わず背伸び&深呼吸をする。
>ここでまた眠気が襲ってくる。まぶたが鉄のように重くなる。
>シン
>『…』
>シンが必死で睡魔と激戦を繰り広げているその時…
>シン
>『』
>背後からとてつもない何かを感じた。
>あわてて振り返る。
>そこには、闇を具現化したような光景が広がっていた。
>焦げ茶色の防具をまとった男が、大鎌を振り上げていた。
>シン
>『』
>一番最初にシンの脳裏を横切ったもの、それは『何だ?』という疑問ではなく、ただ一言『死』だった。