>密林にセルケトが出現したという噂は、あっという間に広まった。
>そのセルケト討伐に駆り出されるケネスとヴァニラの要望で、2人が帰るまでの間、他のハンターの密林への立ち入りは禁止となった。
>ケネスとヴァニラの詳細はまた後ほど。
>そのことは集会所の掲示板に書き込まれ、いつも以上にハンターたちの注目を受けていた。
>
>この日は、シンとハイネが初クエストから帰ってきた次の日。
>2人は昨日の疲れをとるために、今日はクエストに出なかった。
>シン
>『でもハイネってスゲーよ な』
>クエストには出なかったが、やっぱり2人はいっしょにいた。
>ハイネは『ん?』と返す。シン
>『だって今みんなが、セル ケトセルケトって騒いで るじゃん。あんだけ騒ぐ ってことはセルケトって てはそれだけ強いってこ とだろ。ハイネはそいつ と戦って生き残ったんだ から』
>いや、実際には『生き残った』のではなく『逃げきった』が正しい。
>ハイネとしては、その間違いの方がよかったので、否定はしなかった。
>しかし、あそこでセルケトが襲ってこなかったのは本当に運がよかったのだ。
>そうでなければ、サクが言っていた帰らぬ1/3の一人になっていたのは確実だ。ハイネ
>『ま、まぁな…』
>具体的なことは話さない。話せない。
>ハイネ
>『そういやスティングさん たち、そのセルケトを狩 りに行ってるんだろ』
>昨日、イクがそう言っていた。
>ハイネ
>『やっぱスゲーわ、あの人 たち。なんか、実力を見 なくても、その強さがわ かるって感じだったじゃ ん』
>確かにそうだ。
>あの人たちは強い。
>理屈はわからないがシンもそう思っていたのは確かなのだ。
>2人は集会所に来た。
>そして図書室に向かった。ここはギルドカードを持つ者しか入れない図書室。つまり、ハンター専用の資料室なのだ。
>そんなところに来て何をするのか?
>それはすでにわかってもらえてると思う。
>シン
>『セルケトの資料っと、ど こだ?』
>棚に並べられている膨大な量の資料を指でおいながら探していく。
>目的はセルケトの情報だ。ハイネ
>『お、あったぞ。シン』
>ハイネは分厚い本を棚から引っ張り出した。
>1000ページはかるく越えているだろうその本に、まるまるセルケトのことが書かれているのだ。
>
>ここでその資料に載っているセルケトの詳細を書かせてもらおう。
>名称:針蟲セルケト
>部類:甲虫種
>特徴:鉄のように硬い殻と ハサミ
> :長く反り返った尻尾詳細
>→針蟲と呼ばれる甲虫種の一種。見た目はサソリの化け物で、好戦的な性格。
>褐色の甲殻は鉄のように硬く、並の武器では刃がたたない。
>また、別名として“竜を喰らう虫”と呼ばれ、その名のとおり、唯一飛竜種を補食する甲虫種でもある。
>さらに、東の砂漠の村のクロノスでは“聖獣”と呼ばれ崇められている。
>主に、密林奥地、砂漠、地底などに生息している。
>一番の特徴である反り返った尻尾には、2種類の毒が含まれており、一つは猛毒状態にする毒。もう一つはスタミナを一気に減少させる毒。
>そして一番の特性として、他のモンスターを喰らうことによってセルケト自身の能力をあげるのだ。
>つまり、一概にセルケトをレベル分けすることはできないのだ。
>最後に一つ。最近の情報で、まだ確信はないのだが、セルケトには亜種が存在するらしい。
>
>その1000ページを越える資料を簡単に訳させてもらった。
>ハイネ
>『スゲーな、おい。2種類 の毒って』
>シン
>『亜種もいるのかよ』
>亜種、突然変異で能力的に特化した色違いのモンスターのこと。
>その後、2人は昨日稼いだ金で少し買い物をしたり、武具の加工屋に行って今の武器の強化や新しい防具のレシピを見たりしていた。
>スティングたち
>『ハァハァ…』
>セルケトを狩りにきたスティングたちは、真っ暗な洞窟の中で少しの休息をとっていた。
>3人は〈眼光〉というスキルを発動させ、この真っ暗な洞窟の中でも通常どおりに目を使えるようにしているのだ。
>〈眼光〉というスキル、もちろんケンくんが勝手に作ったスキルです。
>スティング
>『お前ら、大丈夫か?』
>ガンランスの槍を地面突き刺し、それにもたれているスティングが2人に聞く。アウル
>『うん。オレは後方で撃っ てるだけだから』
>ステラ
>『…平気』
>2人とも大丈夫だ、スティングはそう判断した。
>ステラ
>『、きた』
>ステラの一言にアウルとスティングが即座に反応し、三方向に散った。
>そこにセルケトが降ってくる。
>2秒遅れていたら、あの世だ。
>ま、スティングたちのレベルになれば、その2秒を完璧に見きれるようにならないといけないのだが。
>セルケトは飛ぶことはできないものの、ジャンプと素早い動きが特徴だ。
>スティング
>『まず足を潰す。動きを止 めるぞ。尾とハサミに気 をつけろ』
>アウル
>『ステラ、左、斬り込める ?』
>ステラ
>『イケる』
>セルケト討伐クエストの制限時間は、14日。つまり2週間だ。
>スティングたちが目安にしている期間は12日間。
>ハンターたちが自分の力量をアピールするために、受注したクエストのレベルと、クエストクリアした時間を評価する。
>つまり、どれだけ難しいクエストをどれだけ早くクリアしたか、ということだ。ハンターたちはクエストを成功させる傍ら、時間にも気を配っているのだ。
>
>シン
>『そうだ。なぁ、ハイネ。 オレたちの受注できるク エストが増えてるはずだ から見に行かないか?』シンたちが受けたクエスト【特産キノコを調達せよ】は、新人ハンターが一番最初に受けなければいけないクエストの一つなのだ。
>そしてこのクエストをクリアすれば、晴れて☆1のクエストを受注できるようになる。
>シンはその☆1のクエストのリストを見に行こうとハイネを誘ったのだ。
>ハイネ
>『そうだな。昨日はバタバ タしてて、ゆっくり見れ なかったし』
>ハイネも同意して、再び集会所に向かう。
>シン
>『サクさん、☆1のクエス トの一覧表見せてくれま せんか』
>すっかり顔見知りとなった受付のサクとイク。
>サク
>『サクでいいですよ』
>笑いながら☆1のクエストの一覧表を取り出す。
>まだ、大したクエストではないがシンもハイネもかぶり付くように見る。
>サクにとってはほほえましい光景だ。
>シン
>『そう言えばさ、昨日、ク エストの制限時間ギリギ リの時に、変なハンター に襲われたんだよ』
>シンの頭に、急にあの大鎌の男と救世主様のことが思いうかんだ。
>ハイネ
>『襲われた?なんで?』
>サク
>『どうしたんですか?』
>とりあえず質問。
>シン自身も、ハイネのセルケトの件ですっかり忘れていた。
>シン
>『なんかデッカい鎌を持っ たやつにさ…』
>サク
>『デッカい鎌』
>サクがシンの言葉をさえぎった。
>シン
>『え、何?どうしたの?』少し驚いたシン。
>サクはもっと驚いているようだが。
>サク
>『その男、焦げ茶色の防具 をしていて頭は頭巾で顔 は見えなかった、とか? 』
>見事に言い当てたサク。
>シンも『そう、そいつ』と一言。
>ハイネ
>『何、そいつ有名人?』
>そう有名人。
>サクは何も言ってないが、そんな空気だった。
>サク
>『…』
>危険人物的なノリか?
>シンとハイネはそう思っていた。
>まったくそのとおりだ。
>サクから言えば、そいつに遭遇したシンが生きていることが不思議なくらいだった。
>サク
>『その男の名はクルーゼ。 《死神衆》の一人だった ハンターです』
>《死神衆》、数年前に存在した死神を名乗る5人組の犯罪集団。現在は解散したと言われている。
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