>シド
>『わたしが一流の運び屋を 紹介してあげるわ』
>そう言ってストレイキャッツを出たシン、ハイネ、シドの3人。
>
>アイルーA
>『ニャ~、またマスター消 えたニャ…』
>アイルーB
>『もういいニャ…』
>アイルーC
>『この時間はお客さん、少 ないからニャ…』
>このようなことを言っている日に限って、繁盛しているというのが面白いところだ。
>
>シドたちは、一流の運び屋という人物がいる場所まで歩いていた。少し小高い丘の上。
>シン
>『なぁ、シドさん。運び屋 って、ギルドの運び屋じ ゃダメなんですか?』
>ギルドの運び屋というのは、この前のソーマやフィンクスのことである。
>彼らはギルドに公認され、ギルドのクエストによって各地へ派遣されるハンターを送り届けるのが仕事なのだ。
>今回の場合、シド(依頼人)からの直接契約のクエストなので、ギルドの運び屋を使うことはできないのだ。シドはこのことを説明するも、シンとハイネはいまいち直接契約について理解できていないようだ。
>シド
>『さぁ、ついたわよ』
>住宅地から少しばかり離れたところに、お屋敷のような立派な家が建っていた。ハイネ
>『ここにいんの?その一流 の運び屋ってやつ』
>疑問に思うハイネを尻目に、シドはちょいちょいとシンとハイネを呼ぶ。
>シド
>『じ~さんいる~?』
>近くに寄ってみると、その家は、一階は何かの作業場、二階は住居スペースとなっているのが確認できた。『何じゃ、騒々しい』
>シドの呼び掛けに、一階の作業場らしき場所から、1人の老人が現れた。
>ゼノン
>『お前か、シド。ワシはお 前の店にツケなどないぞ 』
>作業用の服装に身を包んだ老人には、油がべったりとついていた。
>シド
>『違うわよ。今日は運び屋 としておじいちゃんを訪 ねたのよ』
>シンとハイネはシドの後ろできょとんとしている。
>ゼノン
>『運び屋?お前のクエスト か?』
>シド
>『違うわ。今回はこの2人 よ』
>シドがそう言って、シンとハイネを前に出す。
>2人は少しあわてながらも、その老人に無言の礼をかました。
>ゼノン
>『何じゃ?』
>老人もよくわからんという表情をしている。
>シド
>『紹介するわね。あっちの おじいちゃんはゼノン・ ゾルディック。さっき言 った一流の運び屋よ』
>まず、シンとハイネに老人を紹介する。
>老人の名はゼノン・ゾルディック。ギルドに属さない運び屋。色黒でがたいがデカく、お決まりの目のキズが特徴。見た目からもかなりの威厳と品格だ。
>シド
>『こっちの2人はシン・ア スカとハイネ・ヴェステ ィンフルス。今年度のル ーキーよ』
>今だに話を飲み込めず、頭をかいているゼノン。
>とりあえず、ゼノンは3人を作業場にいれた。
>シン
>『おお』
>ハイネ
>『スッゲー』
>そこは気球の修理工場。工場といってもゴミゴミしたような近代的なところではない。
>鉄のサビの匂いがしそうな、この老人ゼノンに合いそうな雰囲気の作業場だ。
>ゼノン
>『さて、もう一度詳しく聞 かせてもらおうか』
>シド、シン、ハイネが一列に座り、向かい側にゼノンが座る。
>周りを見回すと数匹のアイルーがせっせと働いている。
>シド
>『わたしがこの子たちにク エストを依頼したのよ。 直接契約のクエストでは ギルドの運び屋は動いて くれないでしょ。だから おじいちゃんに頼みに来 たの』
>分かりやすく話した(つもりの)シド。
>しかし、ゼノンはまだ頭をかいている。
>ゼノン
>『お前が依頼したって、こ やつらまだ半人前じゃろ うが。なぜそんなやつら に直接契約のクエストな ど』
>直接契約のクエストは、基本的にブラックリストハンター以外は受けない。なぜなら、ギルドに申し出ても無理と突き返されるような無茶なクエストばかりだからだ。正規のクエストが無理である以上、依頼人とハンターとの間で特別な契約が交わされる。無理難題のクエストを莫大な報酬金で請け負うというよな。
>今回はシドが2人のレベルにあったクエストにしてくれたのだが。
>シド
>『気まぐれよ、気まぐれ。 この子たち、わたしのお 気に入りだから』
>再び背筋に何かを感じたシン。ハイネはもう慣れてるという表情をしている。
>シド
>『それにおじいちゃんの子 たちも、今クエスト行っ てんでしょ?だったら暇 じゃない』
>ゼノン
>『ワシの子供じゃないわい 。ワケあって引き取って るだけじゃ』
>ゼノンが作業中のアイルーを1匹呼んで、小声で何か話し始めた。
>ゼノン
>『まぁ、よかろう。で、ど こへ行くんじゃ?』
>アイルーとの話しを終え、再びシドに向き直る。
>どうやら話しはまとまったようだ。
>シドはシンとハイネに目を向ける。
>シン
>『あ、え~と、砂漠です』シンがあわてて答える。
>ゼノン
>『砂漠か。日数は?』
>ハイネ
>『明日の終わりまで…です 』
>ゼノンはふむふむとうなづく。
>ゼノン
>『いいじゃろう。引き受け てやる』
>そう言って、ゼノンが立ち上がった。
>ゼノン
>『ヒメ、ワシが行ってる間 に小僧どもが帰ってくや もしれん。その時は頼む ぞ』
>アイルー=ヒメ
>『承知いたしました』
>先ほど、ゼノンと話していたヒメという名前のアイルーが応答する。
>一向は場所を、この作業場から、屋敷の隣の小屋へ移す。
>小屋に入ると、ゼノンの姿を見るやとんでくるアイルーが1匹。
>アイルー=ココ
>『ゼノンさん、気球ニャ? 』
>ゼノン
>『ああ、頼むぞココ』
>その小屋には、7機もの気球が存在した。
>そしてゼノンからあることを任せられたココという名のアイルーは、その一つに飛び乗る。
>ハイネ、シン
>『?』
>するとココが火を吹いた。みるみる気球のバルーンが膨らんでいく。
>ゼノン
>『ほら、早く乗れ』
>ゼノンに急かされシンとハイネは、その気球に搭乗する。
>そしてゼノンは開閉式の屋根を開ける。
>ゼノン
>『ヒメ、これから2、3日 家をあける。その間の管 理、頼むぞ』
>ヒメ
>『承知しています。お気を つけて』
>このヒメというアイルー、この屋敷の執事長のような存在だと思ってもらえばよい。
>シド
>『頑張ってね~』
>地上ではシドとヒメがずっと手を振って、見送ってくれていた。