>ハイネ
>『ホント余裕だな、このク エスト。これで2000zく れるってんだから、シド も太っ腹だよな~』
>シン
>『まったくだ』
>クエスト開始数時間で、すでに8つのサボテンの花を入手した。
>日は完全に“朝日”と呼ばれるものになり、シンとハイネは気温の異常な上昇を肌で感じていた。
>現在2人はクーラードリンクの必要のないエリアを歩いている。
>シン
>『にしても暑い…』
>照りつける太陽の光にダイレクトアタックされ、今にもライフポイントがゼロになりそうな勢いだ。
>シンはポッケ出身なので、砂漠の極端な暑さに弱いということもあるのだが。それにしても夜と昼の寒暖の差が激しい。
>ハイネ
>『朝の気温でそんなこと言 ってたら、昼には干物に なっちまうぞ?』
>さすがはクロノス出身。やっとそれらしい一言がこぼれた。
>ハイネ
>『ちょっと休憩でもすっか ?』
>シンの様子を見て、ハイネが提案した。
>シンにとって慣れない土地で5時間以上も歩きっぱなしだったのだから、疲れがたまっても仕方がない。雪山の時はハイネもへばっていたし。
>シン
>『おう。すまんな』
>2人は岩の影になっている場所に腰を下ろし、携帯食料と水を頬張る。
>その間にも、肌でわかるほど気温が上昇する。
>シン
>『ふぅ~』
>額の汗をぬぐう。
>日陰にいて、ただじっとしているだけなのに汗が止まらない。
>空を見上げると黒い影がたくさん飛んでいる。
>飛竜種や翼竜種だ。
>ハイネ
>『もう行けそうか?』
>ハイネは元気に立ち上がる。
>シン
>『大丈夫、行ける行ける』シンはそう言って、ハイネが差し出した手をとって立ち上がった。
>サボテンの花はすでに8つ入手している。残りは3つだ。
>2人は多少ながら暑さが比較的低い岩場をうろついていた。
>しかし、砂地のエリアとは違い、見通しが悪い上、隠れられる場所もある。現に昨夜、この辺りのエリアでゲネポスに襲われた。
>ハイネ
>『背後には気ぃつけとけよ 。突然ゲネポスに噛まれ て麻痺って、チーンって なることも少なくないん だからな』
>シン
>『マジで』
>そんなことを話していると、2人の前に羽を持つヤツが天空より降臨した。
>ハイネ
>『ゲネポスじゃなかったな 』
>シン
>『ホント、どこにでもいる な』
>その正体はランゴスタだ。すでに見慣れたその黄色いボディ。密林や雪山で何度も目撃した。
>ランゴスタはハイネたちをロックオンしたらしく、腹の針をつきだし攻撃姿勢をとっている。
>シン
>『ランゴスタ1匹ぐらい、 オレで十分だろ』
>シンが双剣に手をかける。まだランゴスタは双剣の攻撃範囲外にいる。
>シンはカウンターで決めるつもりだ。
>しばし動きを止めていたランゴスタは、熱風の風が吹くと同時に急降下する。
>シン
>『───』
>動きを見切り、斬り込む。毒針に気をつけ、2つの剣がランゴスタの腹を斬り裂く。
>連撃によって、ランゴスタはバラバラに砕け散った。シン
>『……』
>しかし、その時シンも倒れた。
>後ろで見ていたハイネがあわてて駆け寄る。
>ハイネ
>『シン、どした?』
>抱き起こしたシンは、少し振るえていた。麻痺の症状だ。
>ランゴスタを斬り裂いた時、砕けたランゴスタの毒針がうまく防具の関節に入り込み、シンの左肩に突き刺さったようだ。
>ハイネ
>『運悪いな、シン。ちょっ と我慢しろよ』
>ハイネは笑って、シンの肩に刺さったランゴスタの毒針を抜く。
>キズはそんなに深くないし、症状から見ても体内に入った麻痺毒は微量だろうと推測できる。
>しかし、倒したランゴスタの毒針が刺さるなんて運が悪い。
>ハイネ
>『ちょっと休んでろ。麻痺 は時間がたてば自然に回 復する』
>ハイネがシンを抱えて岩の陰へ場所を移す。
>とその時、何を察して来たのか、ゲネポスの一箇小隊が現れた。
>ハイネ
>『ちぃ…、空気読めよな。 こんな時に…』
>ハイネは岩を背にシンを下ろし、大剣のつかを取る。ゲネポスの数は6頭。
>シンを守りながらではちょっとキツい。それに背後は岩壁。逃げ道はない。
>ハイネ
>『ホント、シンってば運悪 すぎ』
>ゲネポスが横に展開する。両者、少しの沈黙を挟んで、ゲネポスの1頭がハイネに踏み込んだ時………
>ガードの体勢をとっていたハイネの前に、女が降ってきて、ゲネポスの首を切断した。
>ハイネ
>『』
>その女は静かに地に足をつけた。
>女
>『お~と、失礼』
>太刀と思われる武器を肩にのせ、ハイネに向き直る。ハイネ
>『…』
>頭の中で情報整理中…。
>シンが倒れて、ゲネポスに追い詰められて、絶体絶命の時に女が降ってきて、『お~と、失礼』。
>情報整理終了。
>以上をふまえて、一言。
>ハイネ
>『誰?』
>女
>『まぁまぁ、細かいことは 気にせずに、ね?』
>頭防具はつけていないので、その顔はよく見ることができた。
>赤毛のポニーテールで、肩にのせている武器は白銀の刀身と蒼白のつかの太刀。防具は赤色。
>ハイネは、この女は頭防具をしていないと思ったようだが、実際は“ピアス”という形で防具は装着されています。
>ハイネ
>『え~と…』
>ハイネは頭上を見上げる。背後に立ちはだかる岩壁の高さは目測で4、50m。『どこから降ってきたんだよ、この女』と思うハイネ。
>女は太刀をさやに戻して、シンを覗き込む。
>女
>『どうしたの、その子?ゲ ネポスにやられちゃった ?』
>背後でゲネポスが唸り声をあげているのに、この女は完全無視。
>ハイネはとりあえず、正直に回答する。
>ハイネ
>『ゲネポスじゃなくて、ラ ンゴスタに…』
>その時、痺れをきらせたゲネポスが女の背後から襲いかかった。
>女
>『邪魔』
>女はとっさにポーチの中に手を突っ込み、あるものを襲ってきたゲネポスに投げつけた。
>“投げナイフ”だ。
>一度の振りで2頭のゲネポスの頭に投げナイフが命中。その直後、そのゲネポスの頭が爆発した。
>ハイネ
>『』
>女が投げた投げナイフは、“起爆ナイフ”という命中直後に爆発する特殊なアイテムだった。
>残り3頭のゲネポスは一歩さがる。
>女は右手の指の間に起爆ナイフをはさんでゲネポスに向き直る。
>女
>『さぁ、帰った帰った』
>ゲネポスは女の言葉に従うように、背を向け去っていく。
>女
>『よしよし、あの3匹は利 口だね』
>何か満足したような口調で女は起爆ナイフをポーチにしまい、かわって別のものを取り出した。
>ハイネ
>『あの~』
>女
>『その子、ランゴスタに刺 されたんだよね。じゃ、 これ飲んで』
>女が取り出したのは麻痺毒の解毒薬だ。
>女は座り込んでいるシンにそれを飲ませてやる。
>その時にハイネは気づいた。その女の腕についてる黒いバックル。
>それは“黒曜金”といってブラックリストハンターの証である。
>ハイネ
>『あなた、ブラックリスト ハンターですか?』
>女
>『まぁね』
>女はシンに解毒薬を飲ませ、『もう大丈夫』と言って立ち上がった。そしてなぜか“秘薬”を2人分くれたのだ。
>ハイネ
>『い、いいんですか?』
>女
>『いいのいいの、気にしな いで。そこの坊やが目を 覚ましたら、飲ませてあ げてね。ハンターは助け 合いが大切なのよ』
>女はウインクしてそう言った。
>シンはまだ意識がボーっとしているようだ。
>ハイネ
>『あなた、一体…』
>??
>『お嬢おぉーー』
>ハイネの言葉をかき消して、頭上から大きな声がした。女とハイネは上を見上げる。
>すると、そこからアイルーが降ってきてハイネの顔面に激突。
>ハイネ
>『んがっ』
>アイルー
>『あ、すまんニャ』
>アイルーはハイネの頭に乗っかったままで話を進める。
>女
>『シャルル、見つかった? 』
>アイルー=シャルル
>『ニャ、あっちニャ』
>シャルルと呼ばれるアイルーは、ハイネの頭の上で持っていた棒(武器)を『あっち』という方角に向けた。その方角はまぎれもなく、“奥地”への向きだった。女
>『じゃ、もう行くね。気を つけてね~』
>シャルルがハイネの頭から飛び降り、女はそれを追うように去っていった。