>ここヴェステンフルス一族の聖地を“鳳凰の墓”と呼ぶ。
>
>ゼノン
>『小僧、もういいのか』
>気球でハイネたちの帰りを待っていたゼノンは、予想より早く帰ってきたハイネに問いかけた。
>ハイネ
>『はい、もう十分です』
>満面の笑み…とは言わないものの、満足したような笑顔でハイネが回答する。
>その後にシンとシンの頭にくっついたココが続く。
>現在ハイネたちは一族の墓参りからの帰ってきたところにある。
>ゼノン
>『では、行くぞ』
>ハイネは多少心残りがありそうな表情をしていたが、それが何なのかも解決する方法もわからない。
>もしかしてこれが“クモ”に対する怒りなのか。そう思うと自分が恐くなる。
>一向は、再び気球に乗り込み、砂漠の村クロノスへと向かう。
>
>シン
>『へぇ~、ここがクロノス 村』
>ココ
>『久しぶりニャ~』
>鳳凰の墓より気球で数分、砂漠の村クロノスへと到着した。
>このクロノス村は5つの村の中でも比較的新しいもので、あらゆる技術が集まる村として有名である。イメージとしては工場が集まる工業地帯という感じ。
>ハイネ
>『ハァ~』
>いつもと違ってテンション低めのハイネ。
>シンたちはクロノス出身であるハイネが『うわ~、久しぶりだな~』とか言うと思っていたのだが、珍しく暗い感じだ。まだ墓参りのことを引きずっているのか?
>飛空場(※飛行場)に気球を預け、クロノス村の散策を始める。と言っても、ゼノンもココももちろんハイネもこのクロノスには来た経験がある。初めてなのはシンだけだ。
>ゼノン
>『ここからは自由行動だ。 3時間後に飛空場の前に 集まれ』
>ゼノンは自由行動を宣言した。彼なりにハイネに気をつかった判断であった。
>その後、ゼノンはココとともに頼まれていた部品を購入しに行った。
>残ったシンとハイネ、ハイネに案内させることになったのは、この村の出身として自然な流れであろう。なぜか気乗りしていないようだが。
>シン
>『とりあえず、案内してく れよ。ハイネ』
>ハイネ
>『あ、うん…』
>やっぱり何かおかしい。
>シン
>『昼飯まだだし、何か食べ れるところへ…』
>ハイネ
>『え…』
>そんな露骨そうにイヤな顔しなくても。何かまずいこと言ったっけ?
>ハイネはイヤそうに、ホントイヤそうにシンをある一軒の食堂に案内した。
>工業地帯からは離れ、民家の中にたたずむその食堂は、『なつかしさ』を漂わす雰囲気のレトロなお店。のれんには『猫まんま』と書かれている。店の名前らしい。
>ハイネ
>『シン、このドアを開けた ら、自由時間がすべてつ ぶれることになるぞ。そ れでもいいのか?』
>なんだ?おどしのつもりか?
>シン
>『ん、別にいいけど』
>ハイネ
>『…』
>そんな分かりやすい顔すんなよ。
>どうやらハイネは、この食堂に行きたくはないのだが何らかの理由で行かなければならない、という立場にあるようだ。
>ハイネも腹をくくったようで、食堂の戸を開いた。
>『いらっしゃい』
>食堂に入れば当然のセリフが飛んできた。
>セリフを言ったのは女性。俗に“看板娘”と呼ばれる女の子である。
>看板娘の女の子
>『…ハイネ』
>戸を開けた青年(ハイネ)を一瞬、目を疑うように体をストップさせ、小さな声で問いかけた。
>ハイネ
>『た、ただいま…』
>おもいっきり目を反らして、ハイネも小さな声で呟いた。
>『はは~ん。面白いことになりそうな予感』とシンは心の中で悪魔の微笑みをしていた。
>食堂のおばちゃん
>『何やってんだい、サーシ ャ。早くお客さんを…っ て、ハイネェ』
>これまた食堂のおばちゃんも分かりやすい反応を。
>さて、ハイネ。どういうことかきっちりバッチリ説明願おうか。
>食堂のおばちゃん
>『ほれ、何固まってんだよ 。愛しの彼だろ』
>サーシャと呼ばれた看板娘の女の子を、おばちゃんはお盆でポンとたたく。
>少し戸惑っているようだが、食堂の戸を開けたオレンジの髪の青年をハイネと確認でき、不機嫌な目付きになった。
>肝心のハイネは照れているのか、目を反らしたまま動こうとしない。
>サーシャはハイネに近づいて、ハイネの頭の上に手を置いた。
>サーシャ
>『ちょっと来て。「おかえ り」はそれからよ』
>サーシャはハイネの頭(髪)わしづかみにして,店の奥へと引きずっていった。
>ハイネ
>『いたいいたい、サーシャ 』
>食堂のおばちゃん
>『おやおや、こりゃ長くな りそうだね』
>シン
>『…』
>説明を願ってみたものの、なんの解釈もないまま、ハイネは拉致られてしまった。
>食堂のおばちゃん
>『すまないねぇ。アンタ、 ハイネの連れだろ。わび と言っちゃなんだけど、 飯サービスさせてもらう よ』
>おばちゃんはシンをカウンター席に座らせ、メニュー表を提示する。
>シンが頼んだものをおばちゃんは手早く仕上げ、シンの前に並べる。
>食堂のおばちゃん
>『アンタ、名前は何ていう んだい?』
>シン
>『シンです。シン・アスカ 』
>飯を食べるシンの前でおばちゃんがたずねる。
>シン
>『ハイネとはギルドで一緒 になって』
>食堂のおばちゃん
>『ほぉ、そうかい。アイツ もとうとうハンターにな っちまったか。サーシャ が怒るのも無理ないね』シン
>『あの、サーシャさんとハ イネって…?』
>今まで思っていた疑問をぶつけた。
>食堂のおばちゃん
>『まぁ、いろいろとあって ね。話すと長くなるよ』話はどれだけ長くなってもかまわない。なんせ後3時間暇なんだし。シンは料理を食べながらおばちゃんの話を聞いた。
>いくつか驚いた点はあったが、こういうことらしい。
>おばちゃんの名前はエマというらしい。
>そして驚いた点というのが、この食堂『猫まんま』はシドの実家だということ。シドの経営するアイルーの巣窟ストレイキャッツ(これを読んでくださる読者の方々には、何から盗作かご存知のことと思います)は、この猫まんまの姉妹店なのだ。シドとエマは姉弟という関係。
>サーシャはシドやエマから見て姪という関係。サーシャの両親はハンターであったが10年くらい前に殉職。そのサーシャを引き取ったのがエマだ。
>そして3年前、あの忌まわしい事件が起きた。盗賊団“クモ”によるヴェステンフルス一族の殲滅だ。そして、その唯一の生き残りであるハイネをシドは救い、この猫まんまに連れてきたのだ。
>それがハイネとサーシャの出会いだった。
>同じ屋根の下で生活するようになった男と女がくっつくのは、リア充的に時間の問題だった。同じ境遇のハイネとサーシャは、誰よりも互いの気持ちをわかりたえた。
>ただ2人にも気持ちのズレはあった。
>サーシャは自分の両親を奪ったハンターというのが何よりも嫌いだった。
>逆にハイネは、誇り高き鳳凰の一族の生き残りとして自分がハンターになるのは宿命づけられたものだと思っていた。
>それから2年後、つまり今から1年前。シドがティーズへ移住することになった。ハンターを目指すハイネは、当然シドに着いていくつもりだった。ただそうした場合、サーシャとは別れることになる。
>どちらかを取るなら、どちらかは捨てなければならない。ハイネは選択を迫られた。サーシャと別れることも、ハンターを諦めることも、当時のハイネにとってはあり得ない選択だった。そんな中、ハイネは苦渋の結果、ハンターになることを選んだ。サーシャのことを諦めたわけではない…つもりだった。しかし、サーシャ自身はどう思ったか。その後、ハイネとシドはエマのみ別れを告げ、サーシャには何も言わずにこのクロノスを去った。
>あれから1年。現在ハイネはハンターとなり、このクロノスに帰ってきた。
>シン
>『おもいっきり自分勝手で すね、ハイネ』
>エマ
>『そうだね。まぁ、アイツ も考えた上でのことだっ たんだろけどさ』
>
>店の奥のある部屋に連れ込まれたハイネ。サーシャはつかんでいたハイネを突飛ばし、ハイネと向き合う。ハイネ
>『…サーシャ?』