>ギルバート
>『単刀直入に言う。クルー ゼが現れた』
>ケネス、ヴァニラ
>『』
>ギルバートの重く、ゆっくりとした言葉。
>ヴァニラは振り向いて、ケネスは表情を変えずに驚いていた。
>ラウ・ル・クルーゼ、以前の死神衆に属し、現在は盗賊団クモの一員であるとされる【黒の死神】と呼ばれる犯罪者ブラックリストハンターである。
>ギルバート
>『情報が入ったのは6日ほ ど前、お前たちにセルケ トの討伐を依頼した直後 だ』
>察してもらえてると思うが、セルケトと遭遇したのはハイネであり、クルーゼと遭遇したのはシンだ。
>ギルバート
>『カナリアを含めたお前た ちの仲間にはすでに話し てある』
>ケネスたちの仲間とは、以前、ギルバートがブラックリストハンターを召集していたのを覚えているだろうか?※PHASE_23参照
>ギルバート
>『正直、お前たちに話すの はどうかと思ったんだが な。しかし、お前たちに は知る権利と義務、そし て覚悟がある。だろ?』ケネス
>『…』
>ヴァニラ
>『…』
>ケネスとヴァニラは横目で互いを見る。
>ケネス
>『…具体的なこと、教えろ よ』
>ギルバートはフンと笑い、彼が知る限りのことを話し始める。
>
>
>その頃、ゼノンたち一向は嵐の中を突き進んでいた。嵐の原因である低気圧は、ティーズを中心とした地域を巻き込んでいる。
>現在、そのティーズに戻ろうとしている彼らは、嵐に突っ込んで行くようなものなのだ。
>シン
>『うぅ~、揺れるぅ~』
>ハイネ
>『うぇ…、気持ち悪ぃ…』シンとハイネはこんな感じだ。シンは快適(?)な空の旅(スリル)を満喫している。ハイネの顔が紫色になっているのは気にしない。
>ゼノン
>『吐くなら、外に頼むぞ』ココ
>『ゼノンさん、これはキツ いニャ。一回、地上に降 りた方がいいニャ』
>ゼノンはデカい気球の中を行ったり来たりして、気球の操作を行っている。ココはバルーンの真下、気球の一番高いところに座り、周囲の監視をしながらバルーンに熱を送る作業を行っている。
>巨大な気球は大きく揺れ、風の強さを物語る。
>ゼノンの気球は、乗る部分であるバスケットが三階層になっていて、想像されるとおりものすごくデカい。ゼノン
>『くっ、確かにマズいな』ゼノンは選択を迫られていた。
>
>
>ケネスとヴァニラは、廊下をやや早足で歩いていた。どうやらギルバートからクルーゼに関する情報は聞き終えたようだ。
>ヴァニラ
>『ケイ、どうするのよ?』ヴァニラはケネスのことを『ケイ』と呼ぶ。なぜかわからんが。
>基本的には、ケネスは『ケン』と呼ばれている。これは親しい者間で呼び合う愛称みたいなものだ。
>しかし、ただ1人、ヴァニラだけはケネスを『ケイ』と呼ぶ。発音は『ケー』。ケネス
>『…ヴァニラ、これ持って 先帰っててくれ。オレの 取り分はいらねぇからさ 』
>2人は立ち止まり、ケネスはそう言ってヴァニラにギルバートから受け取った30万zの札束を差し出す。
>ヴァニラ
>『やっぱり行くの?』
>ヴァニラはケネスの差し出す札束を受け取ってくれない。
>ケネス
>『ジジィ(ギルバート)が言 ってた通り、“覚悟”は 決めたからな』
>再度、ケネスはヴァニラに札束を差し出すが、やはりヴァニラは受け取ろうとはしない。
>ヴァニラ
>『じゃ、人数は多いに越し たことはないわよね?』ヴァニラはケネスを追い越して、先を行く。
>ケネス
>『おい、ヴァニラ』
>ヴァニラ
>『あの時、“覚悟”を決め たのはケイだけじゃない のよ』
>ケネスは札束を手にしたまま、突っ立っている。えらく情けない構図だ。
>ケネス
>『…サンキューな、ヴァニ ラ』
>ヴァニラ
>『な、何よ、今さら』
>ヴァニラはそっぽを向いて先を行く。
>この30万zどうしようかな?ケネスはそんなことを思いながら、先をいくヴァニラを追うように歩き出す。
>ギルバート
>『やはり行くか…。ケネス 、ヴァニラ』
>ケネスとヴァニラが去った後、ギルバートは自室にて考え込んでいた。
>クルーゼの件、やはりケネスたちには話さなければよかったのか、そのことについて悩んでいた。
>サク
>『話して正解だったと思い ます。あの子たちはすべ てを知るべきです』
>イク
>『そうだよ。それに話さな かったら話さなかったで 後々うるさいぜ、アイツ ら』
>サクとイクが、ギルバートは間違っていないということを保証してくれる。
>ギルバート自身は胸の奥にややつっかえるものがある気はするが、これでよかったのだと安堵する。
>
>
>シン
>『ここどこ?』
>ハイネ
>『さぁ?』
>猛烈な雨と風の影響で、ゼノンは緊急着陸を余儀なくされていた。
>着陸したこの場所は、黒い茨が折り重なる明らかに『危険』を警告している谷だった。
>実際、ここは密林奥地。下位ハンターがクエストを行う通常の密林のさらに奥に広がる危険地帯だ。上位ハンター以上でなければ立ち入ることはできないとギルドの掟で定められているほどにヤバいところ。密林奥地は通常の密林の100倍以上の広域を誇る。これは、すべての地域に一致する。“奥地”と呼ばれるエリアは通常のエリアの100倍以上の面積があり、そこでの食物連鎖は普通とは異なっている。
>と、長々と説明してもアレなんで、とりあえず『ヤバいところ』とご理解ください。
>シン
>『ゼノンさん、ここって危 険なんじゃ…』
>ここが“密林奥地”ということを知ってか知らずか、シンは核心をついた質問を。
>ゼノン
>『空にいる方がよっぽど危 険だ』
>まぁ、確かに荒れ狂う空を飛行し続けるのは危険だろうけど。でも、ここもそうとう危険ですよ。ほら、あっちからもこっちからも何かの遠吠えが聞こえるもん。心なしか、だんだん近づいているような気がせんでもない…。
>ハイネ
>『にしても、気持ち悪いっ スねぇ~』
>トゲトゲの茨が、負のイメージを増長させている。
>ゼノン
>『ココ、新しいジョイント を持ってきてくれ』
>ココ
>『はいはいニャ~』
>シン
>『いや、違うって。ここは こうだろ』
>ハイネ
>『あ、そうか』
>とりあえず、シンとハイネはゼノンとココを手伝って、気球の調整に協力していた。
>崖を背にして、暴風から身を守る。ここならある程度は防げる。
>ココ
>『』
>ココがピクンと反応し、高い場所によじ登って辺りを見回す。
>ゼノン
>『…』
>ゼノンも何かの気配を感じとったようだ。
>ハイネ
>『ココ、どうかしたのか? 』
>ココ
>『何か来るニャ』
>ココの呟きから数秒、暗雲立ち込める黒の空が一瞬明るくなる。同時に今まで吹いていた風とは、逆向きの風が吹く。
>ココ
>『ニャ~、ゲリョスニャ』閃光と逆風とともに飛来したのは、毒怪鳥ゲリョスだった。
>ハイネ
>『毒怪鳥』
>ゲリョスは気球の前に降り立つ。
>ココが、ゲリョスと皆の間に立って戦闘体勢をとる。その後ろに武器を構えたシンとハイネが配備される。ココ
>『無理に戦うことはないニ ャ。こいつは“奥地”の ゲリョスニャ。強さは桁 違いニャ』
>だいたい普通のゲリョスと戦っても、2人は勝てないだろう。奥地のゲリョスなんて論外だ。
>ハイネ
>『なんとかなるさ、多分』シン
>『ま、1VS1より、1VS3 の方がいいでしょ。足手 まといにはならないから 』
>ゲリョスは辺りを見回しながら、しっかりこっちにも気を配っている。やはり戦闘慣れしている。
>ココ
>『先手必勝で行くニャ』
>ココの合図と同時に、後ろの2人も踏み込む。
>それを見たゲリョスも戦闘モードへ。
>まずは咆哮を一発。
>シン、ハイネ
>『くっ』
>その咆哮に気圧されてしまったシンとハイネは、一瞬動きが止まる。
>ココが突っ込み、そのハンマーがゲリョスにヒットしようとした時…
>ココ、ゲリョス
>『』
>2人匹の間に矢が一本、頭上より飛んできた。
>これにはココばかりか、ゲリョスもひるんだ。
>
>『よくやった、アウル』
>
>続く一言。
>同時に、ゲリョスの左右から人影が。
>ガンランスと双剣の2人は左右からゲリョスを斬りかかる。
>ゲリョスはとっさの判断でその攻撃を回避。逃げるようにこの場を飛び去る。
>アウル
>『逃がすかよ』
>崖の上に立つ弓使いのハンターが、飛び去るゲリョスに追撃を加える。
>ゲリョスは空中で、その矢を毒ブレスで相殺し、そのまま夜の闇に消えた。
>スティング
>『アウル、もういい』
>シンたちの前に現れた2人のハンターと、崖の上のハンター。どっかで見たような…。
>ハイネ
>『スティングさん』
>そう。以前、シンとハイネが初めてのクエストに発つ際、いっしょになった3人組のハンター、スティング、ステラ、アウルだ。