ファイナルハンターG   作:N_ローゼン

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アルスター2

>ウズラ

>『えさっきのやつ、ヴェ ステンフルスなのかよ』ツバメ

>『そうなのよ。あたしも初 めて聞いた時は驚いたわ 』

>クエストの途中で出会ったツバメとチドリ、門番をしていたスズメとウズラの4人は、まだ門のところで立ち話をしていた。話題はもちろんハイネの、つまりヴェステンフルスことだ。

>??

>『ちょっとアンタたち、し ゃべってばかりいないで 、ちゃんと仕事しなさい 』

>と、突然一人の女性が石橋を渡って、4人の前に現れた。

>この女性もアルスター特有の赤い髪をしている。おそらくアルスターの人間だろう。

>スズメ、ウズラ

>『すっすいません』

>4人は左右に2人ずつ別れて、頭をさげる。

>4人ともまだ若いとはいえ、これほど頭をさげさせるとは、この女もただ者ではなさそうだ。

>??

>『ところでアンタたち、今 ヴェステンフルスって言 ってたわよね?イザーク でも来てんの?』

>女性は頭をさげる4人に尋ねる。

>ウズラ

>『いえ、そういうわけじゃ …』

>きょとんとするその女性に、ツバメとチドリは事の要旨だけを簡単に説明する。 

>

>小鳥を指に留まらせたその着物姿の女は、そのままゆっくりとこっちを振り向いた。

>ハイネ

>『お初にお目にかかります 。ハイネ…ヴェステンフ ルスです』

>ハイネがその女に深々と頭をさげる。

>そう、この女こそ、アルスター一族の現族長、セキレイ・アルスターである。

>セキレイは、小鳥が留まっていた人差し指をピッとハイネの方へ向ける。すると、セキレイの指から飛び立った小鳥は頭をさげたハイネの頭の上に乗っかった。ハイネ

>『?』

>セキレイ

>『そんなにかしこまらなく たっていいって』

>セキレイはニカッと笑う。セキレイ・アルスター。アルスター一族特有の赤い髪を床につくほどまで伸ばし、あしらった着物の胸や足などを大胆にはだけさした、いうまでもない美人。少々、目のやり場に困る。

>セキレイ

>『まぁ、座りなよ』

>セキレイは自分の隣にハイネとシンを座らせるようにうながす。

>しかし、それには正直抵抗がある。

>なかなかフレンドリーに接してくれているセキレイだが、これでもアルスターの族長だ。例えるなら、総理大臣に、隣に座れと言われてるようなもの。

>しかし、断るわけにもいないだろう。セキレイのせっかくのご厚意だし、このままの体勢ではセキレイを見下ろす形になってしまう。ハイネはぎこちない動きで、セキレイの隣に腰をおろす。シンもそれに続く。

>そして、カナリアはその逆サイドに座る。

>確認しておくが、セキレイとカナリア、また先ほどの4人ツバメ、チドリ、スズメ、ウズラたちに、直接の兄弟(血縁)関係はない。アルスターでは、位の高い女性を“姉”と呼ぶ習慣があるのだ。主にその位の基準となるのが、HRである。ツバメ、チドリはHR3。スズメ、ウズラはHR4。カナリアはHR9のブラックリストハンター。

>同じくセキレイも、元HR9のブラックリストハンター。現在は引退したことになっているのだが、セキレイ自身は現役を名乗り続けている。

>セキレイ

>『私がセキレイ・アルスタ ーね。って、今さら自己 紹介するまでもないか。 で、そっちは?』

>セキレイがハイネの向こう側のシンに視線を送る。

>シン

>『えっと、シン・アスカと いいます』

>シンも事の重大さがなんとなく察知できたようだ。

>セキレイ

>『シン…アスカ?どっかで 聞いた名前ね』

>と、セキレイが小声で口走り、その直後、浮かび上がったその答えに身体を一瞬ストップさせる。何か衝撃の事実でも思い出したかのように。

>セキレイ

>『そう。ハイネにシンね』セキレイはそのまま立ち上がって、そのまま数歩前に出る。

>セキレイ

>『アーノルドの野郎からい ろいろ聞いてるわ。ずっ と会いたいと思ってたん だけど、こんな仕事柄、 なかなかそうもいかなく て。ごめんね』

>セキレイは前を向いたまま、ハイネにそれを述べた。夕日越しに見えるセキレイのその後ろ姿のシルエットは、本当にきれいであった。

>セキレイが口にしたアーノルドという人物は、現在のギルドクロノス支部ギルドマスターのアーノルド・イルミシェフことである。ハイネの存在が明るみになった時、何かと弁解してくれた恩師。また、ハイネの目指す【砂の狩人刀七人衆】の一人でもある。

>ハイネ

>『いえ、そんな。自分こそ こんなに遅くなってしま って、すみませんでした 』

>ハイネも立ち上がって、セキレイの背中に頭をさげる。

>カナリアも優しげな表情でハイネを眺めている。

>セキレイ

>『そういえば、カナリア、 アンタこの子たちと知り 合いなの?』

>夕日をバックに振り返ったセキレイが、縁側の隅の方に座っているカナリアに問い掛ける。

>カナリアは『ちょっとね』と微笑んで、シンとハイネにアイコンタクトを送る。ハゲタカ

>『すまない。遅くなった』ちょうどその時だった。

>屋敷の庭の向かって左手から、グラサンのおっさんが小走りで走ってきた。

>右頬に大きな傷のあるそのおっさんは、歴戦の勇士の名をくれてやるには申し分ない厳格だった。

>セキレイ

>『も~、ハゲ、遅ぇよ』

>ハゲタカ

>『なっオレはハゲじゃな い』

>カナリア

>『プッ』

>ハゲタカ

>『笑うな』

>さて、遅れて来て、セキレイにいじられてるこのおっさんは誰でしょう。

>シンはこの難問に頭を悩ませる。わかっているキーワードは『ハゲ』のみ。

>ハイネ

>『ハゲタカ様。お久しぶり です』

>セキレイの隣に立つそのグラサンのおっさんに、ハイネは先ほどの小鳥を頭に乗せたまま、再度頭を下げて挨拶をかます。

>セキレイとハゲタカが2人並んで立つと、何か物言えぬ存在感を感じる。

>ハゲタカ

>『確かハイネ・ヴェステン フルスだったな。5、6 年ぶりか。クロノスのア ーノルドからキミの生存 を知らされた時は、本当 に驚かされたものだ』

>ハゲタカは左手でグラサンをとり、ハイネの前に右手を出す。

>少々驚いた様子ではあったが、ハイネはゆっくりとハゲタカのその手をとった。この様子から、ハイネは、セキレイと違って、このハゲタカという男とは面識があると思われる。

>ハゲタカ

>『あちらの少年は?』

>グラサンをとっても、まったく衰えない厳つさで、シンを睨む。本人に睨んでいるつもりはないのだが。

>シン

>『シ、シン・アスカですっ 』

>思わず立ち上がって直立不動。蛇に睨まれた蛙。ハゲタカに睨まれたシン。

>ハゲタカ

>『そうか。私はアルスター の副長ならびに族長補佐 を任されているハゲタカ ・アルスターだ。よろし くな』

>ハゲタカがシンに歩み寄り、ハイネ同様右手を差し出す。その目付きは、『怪しげな動きを見せたら蜂の巣だ』と言わんばかりの威圧感。

>セキレイ

>『んで、あだ名が“ハゲ” 。良かったらそう呼んで あげてね』

>なんか色っぽい声と満面の笑顔でそう言っているセキレイに、ハゲタカはものすごく言いたいことがあるって顔をしている。

>ハゲタカ・アルスター。アルスター一族特有の赤い髪をスポーツ刈り風に刈り上げ、かなりの長身とグラサンで厳つさを際立たせている。セキレイと並んで立つと、近づき難いオーラを放つ。

>シンは震える手で、ハゲタカの右手をとる。

>ハゲタカ

>『…』

>ハゲタカは眼下のそんなシンを見て、頭の中に稲妻が轟いたかのように何かがほとばしる。

>ハゲタカ

>『』

>そしてその何かというが、頭の中で鮮明な映像となり、その忌々しき過去がよみがえる。

>

>━━━━━━━━━━━━充満する死体と血の匂い。漆黒の空には星の輝きの一切がなく、あるのは不気味に赤く照りつける月のみ。ハゲタカ

>『…』

>地に打ち臥す仲間の亡骸。それらの中心に伸びる二つの人影。

>その一つは若き日のハゲタカの姿であった。しかし、彼は尻を地につき、半身を起こしただけの状態であった。そんな中のもう一つの人影とは。

>ハゲタカ

>『貴様が…“白銀の竜王” …』

>ハゲタカの半身だけの影の前に立つもう一つの影。

>そして、ハゲタカの影と、そのもう一つの影をつなぐ、細長い一筋の影。

>もう一つの影の主

>『オレに…関わるな』

>この男が、ハゲタカの首に太刀を突き付けている。

>倒れた状態のハゲタカの手に、武器らしきものは握られていない。

>髑髏の面からわずかに見えたその男の顔と眼。赤く炯々とした眼光は、脳裏に焼き付いて離れない。

>━━━━━━━━━━━━ 

>ハゲタカ

>『…』

>そして、なぜだ。

>今、目の前で握手を交わしているこの少年に、なぜあの時の、あの男の面影を見る?

 

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