担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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トウカイテイオー

 トゥインクルシリーズで最も大事とされる三年を、無事に走り終えてくれた俺の担当ウマ娘『トウカイテイオー』。

 そこで、三年間頑張ったご褒美として、また、感謝の気持ちとして。

 目一杯テイオーのわがままを聞いてあげることにした。

 もちろん今までの三年間もある程度は許容してきたし、自分で言うのもなんだが結構テイオーには甘いと思う。

 けど、今回のソレは今までのソレとは違う。

 言ってしまえば、テイオーの要求を全て飲む覚悟だ。

 というわけで早速その事をテイオー本人に伝えてみると、

 

「えー! 本当にー!? じゃあねじゃあねー」

 

 と太陽のような眩しい笑顔を俺に向け、犬かと思うほどに尻尾を振り回し。

 しばらく悩んだ末、

 

「そうだ! じゃあトレーナー、お弁当作って欲しいな!」

 

 だそうで。

 なんだその位ならいつでも作るのに、と思ったが、

 

「もちろん今日は特別に甘えていいんでしょー? だったら中身も豪華なものがいいなっ!」

 

 と釘を刺されてしまった。

 まぁ、仕方ない。とりあえず材料を買いに行かなくちゃな。

 テイオーに材料を買ってくることを告げると、

 

「じゃあボクは自主練してるねー!」

 

 そう言って元気に走って行ってしまった。

 お昼にはトレーナー室に来るようその背中に叫んだが、果たして聞こえていたのかどうか……。

 

 

「あ、マックイーン! 聞いて聞いてー!」

「あら、テイオーさん? 随分とご機嫌ですわね」

 

 自主練の為に競技場へ行く途中、マックイーンを見つけたテイオーは、トレーナーと別れたテンションのまま話しかけた。

 話しかけられたマックイーンも、最初は戸惑うも、いつもの事だという感じで気にしていなかったのだが。

 

「実はねー、トレーナーが三年間頑張ったご褒美に、今日一日なんでも甘えていいぞって言ってくれたんだ―!」

 

 その言葉を聞いて、マックイーンがピクリと反応。

 と言っても、ほんの一瞬、小さな反応だったため、テイオーはそれに気が付かず。

 

「だからねー、今トレーナーにお弁当作って貰ってるんだー!」

 

 喋りたいことを喋った挙句、

 

「じゃあボクは自主練してくるからー!」

 

 と勝手にどこかへ行く始末。

 残されたマックイーンだが、

 

「何でも……甘えていい日……」

 

 テイオーから聞いた三年間頑張ったご褒美を口にし、ギュッと拳を握った。

 

 

 ふぅ。こんなもんか。

 豪華なお弁当って言われてもあんまり思いつかなかったし、エビフライとハンバーグが入っとけば大丈夫だろ。

 テイオーだし。

 さて、弁当が出来たのはいいが、肝心のテイオーがまだトレーナー室に来ない。

 もうしばらく待って、来ないようであれば探しに行くかとソファに腰を下ろした時、何やら忙しない足音が聞こえてくる。

 

「トレーナー! お待たせ!!」

 

 勢いよく扉を開け、テイオーがトレーナ室へと入って来た。

 元気なのはいいがもう少しゆっくりな。

 そのうち扉壊れるぞ。

 

「ボクもうお腹ペコペコだよー! お弁当出来てるよね!?」

 

 もちろんだとも。

 さぁ、召し上がれ。

 とお弁当を渡すも、受け取りはすれど開こうとせず。

 どうかしたのかと心配すると、

 

「ねぇトレーナー。今日の甘やかしって、お弁当作って終わりじゃないよね?」

 

 俺の顔を見ながらそんな事を言ってきて。

 もちろんだ、と。今日一日なら何回でも甘えていいぞ、と告げれば、

 

「じゃあトレーナーの膝の上でお弁当食べたいな! いいでしょ?」

 

 だとさ。

 膝を揃え、どうぞと叩くと、

 

「いえーい!」

 

 とハイテンションに膝に着席。

 そのままご機嫌にお弁当を開き、中の具材を隅から隅まで確認し。

 

「はい! トレーナー」

 

 俺に入れておいたフォークを渡してくる。

 またもや頭に疑問符を浮かべると、

 

「あーん」

 

 どうやら食べさせろとの事らしい。

 全くわがままだな、と小さく笑うと、

 

「今日は甘える日ダモンニ!」

 

 と返されてしまった。

 しょうがないなぁとフォークでハンバーグを一口サイズに押し切り、突き刺して。

 

「あーん」

 

 大きく口を開けて待つテイオーの元へ。

 

「あむ! ……んー! ハンバーグ柔らかーい!! 肉汁も凄くジューシー!!」

 

 と、感想を伝えてくれる。

 こりゃあ食べさせがいがあるなと笑い、次は? と尋ねると、

 

「ご飯!」

 

 だそうで。

 そのままテイオーの言いなりに、言われるがままテイオーの口へと運び続け。

 

「あー、美味しかった!! ご馳走様!」

 

 ちゃんと手を合わせてご馳走さまと。

 お粗末様でしたと返し、空になった弁当を脇に置いて。

 次は何をするかと尋ねると、

 

「んー……どうしようかなー?」

 

 足をパタパタさせ、尻尾を左右に振りながら、俺に何をさせようか思案中。

 そして、

 

「そうだ! じゃあねじゃあねー」

 

 と一瞬だけ目を逸らし、言おうかどうか迷っている素振りを見せ。

 

「頭撫でてー」

 

 こちらに頭を突き出しながら要求。

 そんな事ならと、突き出された頭に手を添えて。

 三年間お疲れ様、と。テイオーを担当出来て本当に良かった、と。

 頭を撫でながら本心を口にする。

 怪我をしても決して挫けずに、俺を信じてトレーニングを頑張ってくれたこと。

 レースでも俺の作戦通り、指示通りに動き、時にはそれ以上の事をしてくれたこと。

 そして何より、今こうして無事に俺の前に居てくれること。

 今までも口にしてはいたものの、改めて三年間振り返った時に、自然と込み上げてきた言葉を口にしながら、ゆっくり、優しく。

 耳の間を往復し、耳の付け根をくすぐりながら手を滑らせ。

 しばらく続けていると、テイオーの身体が段々俺の身体にもたれかかってきて。

 耳を澄ますと、静かに寝息を立てていた。

 お弁当食べたし、眠くなっちゃったか、と苦笑し、テイオーを起こさないよう気を付けながら体勢を変え。

 俺もしっかりソファに寄りかかり、テイオーの目が覚めるまでの間、ずっと頭を撫で続けた。

 

 

 ……ちなみに、ガッツリ四時間ほど昼寝をしたテイオーは、目を覚ますなり、

 

「折角の一日だったのに無駄にしたー!」

 

 と騒いだので。

 寝ていた分、明日も甘える日でいいよと告げると、途端に元気になり、

 

「明日は何してもらおっかなー!」

 

 なんて言いながら、耳と尻尾を揺らして寮へと戻っていった。

 もしかしたら、甘やかしすぎなのかもしれないが、たまにはこれくらいしても罰は当たらないだろうと、『帝王』の後ろ姿を見送るのだった。

 

 

 なお、後日に、「トゥインクルシリーズを三年間走り終えるとトレーナーからご褒美を貰える」という噂が学園中に広まり。

 至る所でトレーナーが頭を抱えていたりするのだが、それはまた別の話。




次回予告
 2000年、菊花賞。
 7㎝での惜敗を経て、リベンジを誓ったその馬は、見事その雪辱を果たす。
 黒き馬体を反射させ、ゴール板を先頭で横切ったその馬を人々は持て囃す。
 速さと、強さを併せ持つ。次に見据えるは、覇王への挑戦。
 『エアシャカール』
 

 2012年JRAコマーシャル The winnerシリーズをイメージしてください()
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