担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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セイウンスカイ

「ねー、トレーナーさーん。行きましょうよ~」

 

 セイウンスカイを担当ウマ娘とし、共に駆け抜けた三年間。

 その成績は、これ以上ないくらいには素晴らしいもので。

 見事、年末の年度代表ウマ娘に選出。

 お互いにそれを喜び合ったものの、結果として俺は、普段の年末の書類整理に加え、年度代表ウマ娘に関する書類も片付けなくてはならなくなり。

 自主練習も終え、やることが無くなってトレーナー室へやってきたセイウンスカイの相手も出来ぬまま、必死に書類と格闘していた。

 

「トレーナーさんってば―」

 

 なおセイウンスカイは、ソファに寝転んで持ち込んだたい焼きを食べている途中。

 そして、

 

「一緒に釣りに行きましょうよ~」

 

 ずっと俺を釣りに誘ってくるのだ。

 なんでも、書類仕事を長く続けていては健康に悪い、と。

 たまには外に出て体を動かすべきだ、と。

 確かに言ってる通りだとは思うし、本来ならばそうした方がいいのだろう。

 だが、結局のところ、そうしたところでやらなければならない仕事の量は減らず。

 むしろ手を付けないせいで終わりが延びてしまう。

 なので俺はこうして書類と戦い続けているのだが。

 

「ふ~ん? そういう事ならセイちゃんにも考えがありますよ~?」

 

 何やら意味深な事を呟き、立ち上がったスカイは。

 とてとてと俺の所へ歩いてくると。

 

「失礼しま~す」

 

 と、俺の膝の上に着席。

 何をしてる? と言いかけたところにたい焼きを突っ込まれ。

 

「ほらほら~。食べないと窒息しちゃいますよ~?」

 

 なんてからかい口調で言いながら、俺にたい焼きを食べさせてきて。

 仕方が無いからたい焼きを咀嚼し。

 一匹を完食すると……。

 

「こんなのも『魚』なんですから、行きましょうよ。釣り」

 

 と、たい焼きをまるで泳いでるように動かして見せながら言ってくる。

 はぁ。しょうがない。

 こうなったらスカイは中々折れないからな。

 少しだけだぞ? と釘を刺し、スカイと出かけることにした。

 まぁ、たい焼きを買う位ついて行ってやるか……。

 

 

 で、どうして俺は山の中に?

 

「やだなー。釣りに行くって言ったじゃないですか~」

 

 なんて言ってくるセイウンスカイ。

 いや、たい焼きを買いに行くって話じゃ……。

 

「? そんな事一言も言ってませんよ?」

 

 で、でも……。

 

「確かにたい焼きも魚とは言いましたけど、それを釣りに行くとは言ってませんよね?」

 

 ……確かに。

 

「というわけでトレーナーさんの勘違いです。はいこれ」

 

 上手く言いくるめられた気がしないでもないが、渡された釣竿を受け取って。

 

「冬の時期は魚はあまり動かずに温かい場所でジッとしてます。そこを狙うのがポイントですよ~」

 

 冬の川釣りに関するアドバイスを俺に言うと、

 

「じゃあ私はこっちで……」

 

 なんて言って離れて釣ろうとするので。

 そうはさせるかとセイウンスカイについて行く。

 

「……えーっと?」

 

 何故か困惑するスカイに、離れて釣って自分だけ坊主なのは嫌だから、スカイの近くで釣って互いに坊主か、あやかるつもりだと伝えると。

 

「あー……。結構トレーナーさんてしたたかですよね?」

 

 と、スカイにだけは言われたくない言葉を言われてしまった。

 まぁ、そういう事だからとスカイについて行き、川にせり出した大きな岩の上で竿を垂らすことに。

 

「後は忍耐ですね~」

 

 というスカイにそうか~、と返し。

 ぼんやりとした時間が流れて……。

 

「あ、お茶飲みます?」

 

 と、水筒から湯気が昇るお茶を差し出される。

 お礼を言って受け取り、少し覚ましてゆっくり飲むと。

 ……うめぇ。お茶の温かさが身に染みる。

 

「もうちょっとありますんで、欲しくなったら言ってくださいね」

 

 と言ってスカイもゆっくりお茶を飲んで。

 またボーっと釣り糸を垂らす。

 ……確かに、たまにはこうしてゆっくりする時間も必要かもな……。

 

 

「というわけでセイちゃん、お弁当を作ってきました~」

 

 少し腹が減って来たな、という時間。

 そろそろ切り上げる? と、釣果ゼロで腰を上げようとすると。

 スカイがそう言ってアルミホイルに包まれた塊をいくつか取り出した。

 包みを開くと、そこには、のりたまふりかけのかかった俵おにぎりがコンニチワ。

 もう一方はおかか。他には紫蘇、青菜とそこそこ種類もある。

 作ってきてくれたのか? と尋ねると、

 

「誘ったのはセイちゃんですし? これくらいはしようかな~と」

 

 と、少し目を逸らしながら答えてくれた。

 何か企んでそうではあるが、まぁいいかと俵おむすびに視線を落とし。

 いただきます。と声を出し、豪快にばくり。

 うん。塩加減丁度いいし、素直に美味しい。

 あとはお茶があれば――、

 

「はいどうぞ」

 

 サンキュ。丁度欲しかったんだ、ありがと。

 と、計ったようなタイミングでスカイがお茶を差し出してくれた。

 素直に感謝。

 そうして、スカイと一緒に俵おにぎりを頬張って、昼食を終えた。

 ……そう言えば、梅干しは入れなかったのか? と、ラインナップ的にありそうだった具が無かったことを聞いてみると。

 

「あれ~? 知らないんですか~? 梅干しは釣れなくなるってジンクスがあるんですよ~?」

 

 とのこと。

 普通に知らなかったから、少し勉強になった。

 思えば外に出て、こうしてのんびりすることは少なかったし、いい気分転換になったな。

 その事をスカイに伝え、ありがとうと言うと……。

 

「じゃあじゃあ、お礼は頭なでなででいいですよ~? ……なんちゃって」

 

 とか言ったのでそれはもうスカイからギブアップが出るまで撫でてやった。

 途中から顔真っ赤にして固まっちゃうんだもん。

 撫でがいがありました。




俵おむすびはフラワーとの共同作業()

次回予告
トレーナーの事を旦那呼びする江戸っ子
多分マジでただただイチャイチャするだけになる←
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